マザー!(映画)

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マザー!(映画) - (2024/08/11 (日) 22:53:02) の1つ前との変更点

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&font(#6495ED){登録日}:2018/04/08 Sun 17:03:18 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 ? 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&font(28px,b,red){私の家からみんな出て行け!!}} 『マザー!(mother!)』は2017年に公開されたアメリカ映画。 監督は『[[レクイエム・フォー・ドリーム>レクイエム・フォー・ドリーム(映画)]]』、『ブラック・スワン』のダーレン・アロノフスキー。 人里離れた一軒家に暮らす夫婦のもとに訪れる訪問客が原因で妻が追い詰められていく不条理劇。 主演は『世界にひとつのプレイブック』、『ノーカントリー』でそれぞれアカデミー賞を受賞したジェニファー・ローレンスとハビエル・バルデム。 さらにはエド・ハリス、ミシェル・ファイファーといった実力派俳優が名を連ねている。 ヴェネツィア国際映画祭で上映された際には、その衝撃的な内容から観客から賛否両論を巻き起こした。その様子はかつてカンヌ国際映画祭で物議を醸した『[[ファニーゲーム>ファニーゲーム(映画)]]』を彷彿とさせるほど。 アメリカ本国では2017年9月15日に公開され、日本でも東和ピクチャーズ配給で2018年1月の公開が予定されていたが、&bold(){製作元のパラマウントの意向で日本公開は中止となった。} 未公開に至った経緯としては、本国の興行成績不振や、映画自体があまりに過激すぎるためとの見方も強い。 その後、2018年4月にBlu-ray・DVDの発売が決定し、それに先駆け3月にTSUTAYA限定で先行レンタルが開始された。 さて、肝心のストーリーについてだが、&bold(){[[ネタバレ]]なしでの説明が非常に難しい}。 サスペンスなのか、ホラーなのか、コメディなのか、はたまたSFなのか、ジャンル区分することすら判断しかねる。 しかし、ダーレン・アロノフスキー特有の、登場人物を精神的に追い詰めて観客に逆撫でるような不快感を与える演出は本作でも非常に上手く機能しており、鑑賞中はストレスが溜まること必至。 さらに、後半にかけて想像もつかないような怒涛の展開に流れ込み、&bold(){クライマックスにはどう考えても近年の映画では倫理的にアウトなシーン}まで盛り込まれ、確実に人を選ぶ作風で(特に女性にはお勧めしない)、もはや70年代のカルト映画の様を成している。&font(l){よくこの時代に作れたなこの映画…。} おそらくアロノフスキー作品の中どころか、近年の映画の中でも一番上級者向けな作品であることは間違いない。 勇気のある人は、肝心の中身を是非ともその目で確かめてほしい。 *ストーリー ある人里離れた一軒家。そこでは一組の夫婦が静かな生活をしていた。 夫は詩人だが、最近はスランプでいい作品を生み出せない。妻はそんな夫を甲斐甲斐しく支え、普段は家の修繕作業をしている。 そんなある日、夫が散歩途中で知り合ったという自分のファンを名乗る老人を家に招き入れる。 他人の家で酒や煙草を楽しむ老人やそれを咎めない夫に不快感を覚える妻。 おまけに民宿と勘違いしたものだからその日は家に泊まるのだという。 そして次の日、老人の妻が夫を追いかけて家に押しかけてきた。さらに傍若無人に振る舞う老夫婦に苛立ちを抑えきれない妻。 しかし、悪夢はさらに続く。老夫婦の息子たち、親族、夫の作品のファン…。次々と現れては家を滅茶苦茶に荒らす客。 その果てに待ち受けていたものとは…。 *登場人物 ※今作では役名が誰一人としてつけられていない。各キャラが何を現しているのかは観客に委ねられている ・妻/英名"&bold(){mother}" 演:ジェニファー・ローレンス/吹替:[[沢城みゆき]] 詩人の男と結婚した若く美しい新妻。 スランプ気味の夫を、家事をしながら支える気立てのいい女性。 仕事にかかる夫の代わりに、火事で荒れ果てた家のリフォームをせっせと行う一方で、自分への愛を確かめられないことのもどかしさを感じている。 しかし、夫が勝手に招き入れた客人が、勝手気ままに振る舞い家を荒らしまくり、夫は妻の自分そっちのけで客をもてなし不安と苛立ちを抱えていく。 おまけに老夫婦の夫人から「夫婦仲が悪いのは子供を作らないからよ」と耳が痛い嫌味を言われてしまい、夫に不満をぶつける。 その慰めから久しぶりに夫と関係を持ち、早速妊娠。幸せな家族生活が戻ってきたと思ったのも束の間、夫が書き上げた詩が大ベストセラーとなり、ファンが家に殺到。 更なる混沌が家を襲い、そして…。 体当たりで今作に挑んだジェニファー・ローレンスは撮影後にアロノフスキー監督と恋人関係になったが、本作のマーケティングの考え方の相違や悪評がたたり、破局となった。 ・夫/英名"&bold(){him}" 演:ハビエル・バルデム/吹替:[[大塚明夫]] スランプ気味で寡作な詩人。 火事で家を全焼させてしまい、全てを失ってどん底にいたところを今の妻と出会い、家を元通りに復元して再スタートした。 自分に尽くしてくれる妻を愛しているが、それをさも当たり前のように振る舞い無意識に妻の自尊心を傷つけている。 ひょんなことから一人、また一人と客を家に招き入れ、どんなに無礼に振る舞われても追い出そうともせず慈悲の心をもって客をもてなし、逆に妻の不安を煽っている。 妻との夫婦喧嘩の末に関係を持ち、それを機に浮かんだアイデアで新しい詩を完成させ、飛ぶような売れ行きを叩き出す。 そして今度は、新しく得た大量のファンや記者を家に招き、家を混沌の渦に叩き込む…。 ・老人/英名"&bold(){man}" 演:エド・ハリス/吹替:菅生隆之 夫が招き入れた最初の男。 近くに住んでいるらしい医者で、夫の大ファン。 肺に病気を患っているにも関わらず、ヘビースモーカーで酒癖が悪い。脇腹に手術跡がある。 ・老女/英名"&bold(){woman}" 演:ミシェル・ファイファー/吹替:高島雅羅 老人の妻。 派手好きでお節介焼きな下世話な女性。 平気で人の家を歩き回り、夫の書斎に入り込んで彼が大切にしていた水晶を壊し、さらにベッドルームで年甲斐もなくパコりまくる。 さらに妻に向かって「子を作って夫婦仲を取り戻せ」と面と向かって嫌味を言うなど、はっきり言って性格は悪い。 ・兄/英名"&bold(){oldest son}" 演:ドーナル・グリーソン/吹替:中尾智 老夫婦の上の息子。 父の遺産相続で自分の取り分が少ないことに不満を抱き両親に文句を言いに家まで来た。 さらに弟ばかり可愛がられることにコンプレックスを抱き、激怒するあまり弟と諍いになり、家を滅茶苦茶に荒らした挙句弟を殺してしまう。 怯えた末に逃亡し行方をくらますが、その後一人で後片付けをする妻の前に現れ彼女を脅す。 ・弟/英名"&bold(){younger brother}" 演:ブライアン・グリーソン/吹替:益山武明 老夫婦の下の息子。 父の遺産相続で兄と揉め、両親に文句を言いに家まで来た。 両親から溺愛されていると兄から嫉妬されており、また要領の悪い兄に不満を抱いている。取っ組み合いの末に兄に頭をぶつけられ重傷を負い、病院に運ばれるが帰らぬ人となる。 ・老夫婦の親族 弟の葬儀として家に集まった老夫婦の親族たち。 食べ物を勝手にとる者、家の塗り替えを勝手に行う者、部屋に勝手に入る者、シンクに腰かけた挙句壊して洪水を起こす者と様々。 ・夫のファン、信者、異教徒、警察etc... 夫の新作目当てで押しかけた様々な人々。 家に混乱以上の狂乱を巻き起こす。 ・編集者/英名"&bold(){herald}" 演:クリステン・ウィグ 夫の担当編集。 夫が書いた新しい詩を絶賛し、きっかけとなった妻を崇拝している。 家が混沌に陥った際には、異教徒を弾圧し処刑する狂信者にまで信仰がエスカレートしていった。 ・赤ん坊 妻が夫との蘇った愛の末に誕生した新しい命。 家での狂乱の渦の中で誕生し、妻が懸命に抱きかかえるが、赤ん坊を独占しようとする夫に奪われ、やがて信者たちの前に捧げられる。そして…。 *解説(解釈の一つ) #openclose(show=ネタバレ注意){ 今作で描かれているのは、「&bold(){もしも地球が一軒の家だったら?}」という寓話である。 そして、妻とは家であり、すなわち「&bold(){地球}」=「&bold(){地母神}」のメタファー。 夫は妻=地球を作った「&bold(){神}」、そして家を荒らす客人は神が作った「&bold(){人間}」。 作中では何度も、妻が傷つくたびに家の内部で壊死するような描写があり、これは家もまた傷つくことの暗喩なのである。 すなわち、本作は「&bold(){神は人間を愛するが、人間は地球を荒らして痛めつけている有害な存在である}」を2時間かけて不快感たっぷりに描いた映画なのである。 詳しいメタファーを解説すると ・水晶=地球の命。生命の源であり、世界を作る「光」である。 ・最初の客の老人=最初の男、アダム。イヴはアダムの肋骨から作られる。(手術痕が肋骨を指している) ・老女=最初の女、イヴ。イヴに誘われる形でアダムは禁断の果実を食べ、理性を身につける。(そして初めての性交を交わす) ・老夫婦の息子=アダムとイヴの息子、カインとアベル。カインはアベルに嫉妬し彼を殺す。人類の最初の殺人。 ・親族の馬鹿騒ぎ→水浸し=ノアの箱舟の洪水。堕落した人類に与えられた神の罰。 ・新しい夫の作品=新約聖書。聖書の解釈を巡って人間は導きもされるが争いも起こった。 ・家の中の狂乱=戦争、暴動、テロ、貧困、飢餓等、人類史の再現。詩人に救いを求める人々は、神に縋る人間の様子。 ・赤ん坊=イエス・キリスト。神の子と称される救世主。やがて彼は人間から処刑され、その血肉を見立てて信者の間でパンとワインとして分け合う。 ・爆発=マタイによる福音書に記された黙示録、ハルマゲドン。人類の最終戦争。 …となる。 そしてラストシーンで、夫は妻の心臓から水晶を抜き出し、家は再生し、新しい妻が生まれる。 愚かな歴史は繰り返される。そしてこの地球もまた然り、なのかもしれない。 このことからわかるように、あからさまな聖書メタファーによる人間批判を盛り込んだストーリーは各地で批判を受けていた。 元々、アロノフスキー監督は『ファウンテン 永遠につづく愛』や『ノア 約束の舟』で聖書モチーフの映画を手掛けており、今作でもその一環が見受けられる。 だが、あくまで監督は明言を避けており、観客に解釈を委ねている。 なお、妻が気分が悪くなるたびにトイレで飲んでいた「黄色い粉末」について、アロノフスキー監督は「墓場まで持っていく」と語っており、詳しい解説はなされていない。 } 荒らされた後、水晶の力で再生した項目を追記修正お願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,12) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 先が全く読めず、次から次へと斜め上なストーリーになっていき、なおかつ結末はこれ以上なく腑に落ちるという奇跡的バランスを持った映画。 -- 名無しさん (2018-04-10 21:23:54) - 見れば納得 日本では受けないわ -- 名無しさん (2018-04-10 21:32:20) - あぁ、ファウンテンの人か……ファウンテンもオススメダヨ! -- 名無しさん (2018-09-14 14:16:55) - 聖書なんてただの作り話だしなぁ。すでに最初の人類は女性だって判明してるし。それですべてのことに説明がつくし。本当あほらしい。 -- 名無しさん (2022-05-08 18:16:01) - キリスト教が世界宗教で知名度高いから下敷きにしてるだけで聖書前提のいわゆる宗教映画とは違うだろ神よりも地球がメインだし 国語の成績低そう -- 名無しさん (2022-05-23 19:56:48) - 「黄色い粉末」ねぇ あんまり良いもんじゃなさそうだな -- 名無しさん (2022-07-19 10:38:12) - 「アカデミー賞とれば映画監督としては一生困らない」が通説だが、この映画の内容と売れ行きでダーレン監督の評判がガタ落ちし(元々内容が過激だからとアンチも爆発)、更に私生活も醜聞で相次ぎキャリアも爆散したという -- 名無しさん (2023-01-15 19:30:31) #comment #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2018/04/08 Sun 17:03:18 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 ? 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&font(28px,b,red){私の家からみんな出て行け!!}} 『マザー!(mother!)』は2017年に公開されたアメリカ映画。 監督は『[[レクイエム・フォー・ドリーム>レクイエム・フォー・ドリーム(映画)]]』、『ブラック・スワン』のダーレン・アロノフスキー。 人里離れた一軒家に暮らす夫婦のもとに訪れる訪問客が原因で妻が追い詰められていく不条理劇。 主演は『世界にひとつのプレイブック』、『ノーカントリー』でそれぞれアカデミー賞を受賞したジェニファー・ローレンスとハビエル・バルデム。 さらにはエド・ハリス、ミシェル・ファイファーといった実力派俳優が名を連ねている。 ヴェネツィア国際映画祭で上映された際には、その衝撃的な内容から観客から[[賛否両論]]を巻き起こした。その様子はかつてカンヌ国際映画祭で物議を醸した『[[ファニーゲーム>ファニーゲーム(映画)]]』を彷彿とさせるほど。 アメリカ本国では2017年9月15日に公開され、日本でも東和ピクチャーズ配給で2018年1月の公開が予定されていたが、&bold(){製作元のパラマウントの意向で日本公開は中止となった。} 未公開に至った経緯としては、本国の興行成績不振や、映画自体があまりに過激すぎるためとの見方も強い。 その後、2018年4月にBlu-ray・DVDの発売が決定し、それに先駆け3月にTSUTAYA限定で先行レンタルが開始された。 さて、肝心のストーリーについてだが、&bold(){[[ネタバレ]]なしでの説明が非常に難しい}。 サスペンスなのか、ホラーなのか、コメディなのか、はたまたSFなのか、ジャンル区分することすら判断しかねる。 しかし、ダーレン・アロノフスキー特有の、登場人物を精神的に追い詰めて観客に逆撫でるような不快感を与える演出は本作でも非常に上手く機能しており、鑑賞中はストレスが溜まること必至。 さらに、後半にかけて想像もつかないような怒涛の展開に流れ込み、&bold(){クライマックスにはどう考えても近年の映画では倫理的にアウトなシーン}まで盛り込まれ、確実に人を選ぶ作風で(特に女性にはお勧めしない)、もはや70年代のカルト映画の様を成している。&font(l){よくこの時代に作れたなこの映画…。} おそらくアロノフスキー作品の中どころか、近年の映画の中でも一番[[上級者向け]]な作品であることは間違いない。 勇気のある人は、肝心の中身を是非ともその目で確かめてほしい。 *ストーリー ある人里離れた一軒家。そこでは一組の夫婦が静かな生活をしていた。 夫は詩人だが、最近はスランプでいい作品を生み出せない。妻はそんな夫を甲斐甲斐しく支え、普段は家の修繕作業をしている。 そんなある日、夫が散歩途中で知り合ったという自分のファンを名乗る老人を家に招き入れる。 他人の家で酒や煙草を楽しむ老人やそれを咎めない夫に不快感を覚える妻。 おまけに民宿と勘違いしたものだからその日は家に泊まるのだという。 そして次の日、老人の妻が夫を追いかけて家に押しかけてきた。さらに傍若無人に振る舞う老夫婦に苛立ちを抑えきれない妻。 しかし、悪夢はさらに続く。老夫婦の息子たち、親族、夫の作品のファン…。次々と現れては家を滅茶苦茶に荒らす客。 その果てに待ち受けていたものとは…。 *登場人物 ※今作では役名が誰一人としてつけられていない。各キャラが何を現しているのかは観客に委ねられている ・妻/英名"&bold(){mother}" 演:ジェニファー・ローレンス/吹替:[[沢城みゆき]] 詩人の男と結婚した若く美しい新妻。 スランプ気味の夫を、家事をしながら支える気立てのいい女性。 仕事にかかる夫の代わりに、火事で荒れ果てた家のリフォームをせっせと行う一方で、自分への愛を確かめられないことのもどかしさを感じている。 しかし、夫が勝手に招き入れた客人が、勝手気ままに振る舞い家を[[荒らし]]まくり、夫は妻の自分そっちのけで客をもてなし不安と苛立ちを抱えていく。 おまけに老夫婦の夫人から「夫婦仲が悪いのは子供を作らないからよ」と耳が痛い嫌味を言われてしまい、夫に不満をぶつける。 その慰めから久しぶりに夫と関係を持ち、早速妊娠。幸せな家族生活が戻ってきたと思ったのも束の間、夫が書き上げた詩が大ベストセラーとなり、ファンが家に殺到。 更なる混沌が家を襲い、そして…。 体当たりで今作に挑んだジェニファー・ローレンスは撮影後にアロノフスキー監督と恋人関係になったが、本作のマーケティングの考え方の相違や悪評がたたり、破局となった。 ・夫/英名"&bold(){him}" 演:ハビエル・バルデム/吹替:[[大塚明夫]] スランプ気味で寡作な詩人。 火事で家を全焼させてしまい、全てを失ってどん底にいたところを今の妻と出会い、家を元通りに復元して[[再スタート]]した。 自分に尽くしてくれる妻を愛しているが、それをさも当たり前のように振る舞い無意識に妻の自尊心を傷つけている。 ひょんなことから一人、また一人と客を家に招き入れ、どんなに無礼に振る舞われても追い出そうともせず慈悲の心をもって客をもてなし、逆に妻の不安を煽っている。 妻との夫婦喧嘩の末に関係を持ち、それを機に浮かんだアイデアで新しい詩を完成させ、飛ぶような売れ行きを叩き出す。 そして今度は、新しく得た大量のファンや記者を家に招き、家を混沌の渦に叩き込む…。 ・老人/英名"&bold(){man}" 演:エド・ハリス/吹替:菅生隆之 夫が招き入れた最初の男。 近くに住んでいるらしい医者で、夫の大ファン。 肺に病気を患っているにも関わらず、ヘビースモーカーで酒癖が悪い。脇腹に手術跡がある。 ・老女/英名"&bold(){woman}" 演:ミシェル・ファイファー/吹替:高島雅羅 老人の妻。 派手好きでお節介焼きな下世話な女性。 平気で人の家を歩き回り、夫の書斎に入り込んで彼が大切にしていた水晶を壊し、さらにベッドルームで年甲斐もなくパコりまくる。 さらに妻に向かって「子を作って夫婦仲を取り戻せ」と面と向かって嫌味を言うなど、はっきり言って性格は悪い。 ・兄/英名"&bold(){oldest son}" 演:ドーナル・グリーソン/吹替:中尾智 老夫婦の上の息子。 父の遺産相続で自分の取り分が少ないことに不満を抱き両親に文句を言いに家まで来た。 さらに弟ばかり可愛がられることにコンプレックスを抱き、激怒するあまり弟と諍いになり、家を滅茶苦茶に荒らした挙句弟を殺してしまう。 怯えた末に逃亡し行方をくらますが、その後一人で後片付けをする妻の前に現れ彼女を脅す。 ・弟/英名"&bold(){younger brother}" 演:ブライアン・グリーソン/吹替:益山武明 老夫婦の下の息子。 父の遺産相続で兄と揉め、両親に文句を言いに家まで来た。 両親から溺愛されていると兄から嫉妬されており、また要領の悪い兄に不満を抱いている。取っ組み合いの末に兄に頭をぶつけられ重傷を負い、病院に運ばれるが帰らぬ人となる。 ・老夫婦の親族 弟の葬儀として家に集まった老夫婦の親族たち。 食べ物を勝手にとる者、家の塗り替えを勝手に行う者、部屋に勝手に入る者、シンクに腰かけた挙句壊して洪水を起こす者と様々。 ・夫のファン、信者、異教徒、警察etc... 夫の新作目当てで押しかけた様々な人々。 家に混乱以上の狂乱を巻き起こす。 ・編集者/英名"&bold(){herald}" 演:クリステン・ウィグ 夫の担当編集。 夫が書いた新しい詩を絶賛し、きっかけとなった妻を崇拝している。 家が混沌に陥った際には、異教徒を弾圧し処刑する狂信者にまで信仰がエスカレートしていった。 ・赤ん坊 妻が夫との蘇った愛の末に誕生した新しい命。 家での狂乱の渦の中で誕生し、妻が懸命に抱きかかえるが、赤ん坊を独占しようとする夫に奪われ、やがて信者たちの前に捧げられる。そして…。 *解説(解釈の一つ) #openclose(show=ネタバレ注意){ 今作で描かれているのは、「&bold(){もしも地球が一軒の家だったら?}」という寓話である。 そして、妻とは家であり、すなわち「&bold(){地球}」=「&bold(){地母神}」のメタファー。 夫は妻=地球を作った「&bold(){神}」、そして家を荒らす客人は神が作った「&bold(){人間}」。 作中では何度も、妻が傷つくたびに家の内部で壊死するような描写があり、これは家もまた傷つくことの暗喩なのである。 すなわち、本作は「&bold(){神は人間を愛するが、人間は地球を荒らして痛めつけている有害な存在である}」を2時間かけて不快感たっぷりに描いた映画なのである。 詳しいメタファーを解説すると ・水晶=地球の命。生命の源であり、世界を作る「光」である。 ・最初の客の老人=最初の男、アダム。イヴはアダムの肋骨から作られる。(手術痕が肋骨を指している) ・老女=最初の女、イヴ。イヴに誘われる形でアダムは禁断の果実を食べ、理性を身につける。(そして初めての性交を交わす) ・老夫婦の息子=アダムとイヴの息子、カインとアベル。カインはアベルに嫉妬し彼を殺す。人類の最初の殺人。 ・親族の馬鹿騒ぎ→水浸し=ノアの箱舟の洪水。堕落した人類に与えられた神の罰。 ・新しい夫の作品=新約聖書。聖書の解釈を巡って人間は導きもされるが争いも起こった。 ・家の中の狂乱=戦争、暴動、テロ、貧困、飢餓等、人類史の再現。詩人に救いを求める人々は、神に縋る人間の様子。 ・赤ん坊=イエス・キリスト。神の子と称される救世主。やがて彼は人間から処刑され、その血肉を見立てて信者の間でパンとワインとして分け合う。 ・爆発=マタイによる福音書に記された黙示録、ハルマゲドン。人類の最終戦争。 …となる。 そしてラストシーンで、夫は妻の心臓から水晶を抜き出し、家は再生し、新しい妻が生まれる。 愚かな歴史は繰り返される。そしてこの地球もまた然り、なのかもしれない。 このことからわかるように、あからさまな聖書メタファーによる人間批判を盛り込んだストーリーは各地で批判を受けていた。 元々、アロノフスキー監督は『ファウンテン 永遠につづく愛』や『ノア 約束の舟』で聖書モチーフの映画を手掛けており、今作でもその一環が見受けられる。 だが、あくまで監督は明言を避けており、観客に解釈を委ねている。 なお、妻が気分が悪くなるたびにトイレで飲んでいた「黄色い粉末」について、アロノフスキー監督は「墓場まで持っていく」と語っており、詳しい解説はなされていない。 } 荒らされた後、水晶の力で再生した項目を追記修正お願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,12) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 先が全く読めず、次から次へと斜め上なストーリーになっていき、なおかつ結末はこれ以上なく腑に落ちるという奇跡的バランスを持った映画。 -- 名無しさん (2018-04-10 21:23:54) - 見れば納得 日本では受けないわ -- 名無しさん (2018-04-10 21:32:20) - あぁ、ファウンテンの人か……ファウンテンもオススメダヨ! 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