獪岳(鬼滅の刃)

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&font(#6495ED){登録日}:2019/02/10 Sun 14:33:00 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:&b(){&font(#3d85c6,#000000){約 10 分で読めるぞ}} ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){#bold(){&color(#3d85c6){じいちゃんなんて馴れ馴れしく呼ぶんじゃねえ!!} &color(#3d85c6){先生は“柱”だったんだ 鬼殺隊最強の称号を貰った人なんだよ!} &color(#3d85c6){元柱に指南を受けられることなんて滅多に無い!} &color(#3d85c6){先生がお前に稽古をつけてる時間は完全に無駄だ!!目障りなんだよ消えろ!!} &color(#3d85c6){なぜお前はここにいるんだ!!なぜお前はここにしがみつく!!}}} &ruby(かいがく){獪岳}とは『[[鬼滅の刃]]』の登場人物である。 CV:[[細谷佳正]]((アニメ第一期および柱稽古編では本名は明かされておらず、前者は「善逸の兄弟子」役、後者は「寺の子どもたち」役の一人として出演。)) *◆プロフィール 身長:167cm 体重:64kg 趣味:賭博 *◆概要 かつて、主人公・[[竈門炭治郎]]の同期である[[我妻善逸]]と共に元「鳴柱」の育手・桑島慈悟郎のもとで[[雷の呼吸>全集中の呼吸(鬼滅の刃)]]を学んだ兄弟子で、&bold(){雷の呼吸の継承権を持つ}青年。 初登場は単行本4巻の34話の那田蜘蛛山での善逸の回想だが、過酷な修行に泣きべそをかく彼に苛立ち(あと&bold(){桃})をぶつけ罵倒するという、お世辞にも良い兄弟子とは言えない人物として描かれていた。 ちなみにこの時点では名前すら判明していなかったことに加えて前述の言動もあって、読者からは自然発生的に&b(){「桃先輩」}の渾名で呼ばれることに。 [[&font(#bbb){『ジャンプ』で10年程先輩のテニスの人}>桃城武]]&font(#bbb){と被っているが混同されることはまずないだろう。} そのシーンを最後に長いこと存在に言及すら無かったものの、後に[[岩柱・悲鳴嶼行冥>悲鳴嶼行冥]]の回想にて似たような風貌の子供が自分の命惜しさに悲鳴嶼と他の孤児を鬼に売って生き延び、彼の心に[[トラウマ]]を植え付けていたことも発覚。 他人の空似の可能性もあるとはいえ、まさかの再登場に読者も驚きを隠せず、近々出番があるのではという予想が挙がっていた。 そして柱稽古編終盤、密かに事態は動き出す。 お付きの雀・チュン太郎から何かの手紙を受け取った善逸は、それまでのお馴染みのヘタれた雰囲気から一転、険しい顔つきになり炭治郎にこう言った。 &font(#ffdc00,b){「やるべきこと、やらなくちゃいけないことがはっきりしただけだ」「これは絶対に俺がやらなきゃ駄目なんだ」}と。 そして、遂に……! #center(){#bold(){ &font(#ffdc00){いるんだろ 出て来い} &font(#ffdc00){そこにいるのはわかってる} &color(#3d85c6,#000000){口の利き方がなってねえぞ 兄弟子に向かって} &color(#3d85c6,#000000){少しマシになったようだが} &color(#3d85c6,#000000){相変わらず貧相な風体をしてやがる} &color(#3d85c6,#000000){久し振りだなァ 善逸} &font(#ffdc00){獪岳 鬼になったお前を俺はもう兄弟子とは思わない} }} 143話の無限城での決戦の最中に「[[十二鬼月]]」の&bold(){新たな“上弦の陸”}として出現。 &b(){元鬼狩りでありながら[[鬼の始祖・鬼舞辻無惨>鬼舞辻無惨]]に魂を売り、[[鬼>鬼(鬼滅の刃)]]へと成り果てた姿}で善逸と対峙する。 #contents *◆外見 鬼化した影響で黒く染まった眼球に翡翠色の瞳、頬に黒い紋様が浮かんだ青年。 服装は鬼殺隊の隊士だった名残か隊服の上に黒い着物を着込んでおり、腰には青い帯を巻いている。 また、首や腕には青い勾玉が付いた装飾を身に着け、背中に日輪刀に似た刀を背負っている。 目の文字は右目が「上弦」で左目が「陸」となっている。 *◆性格 &bold(){自尊心が非常に強く、傲慢。} 自分がより優れた人物である事、自分だけが特別扱いされる事に執着する&bold(){承認欲求の塊}で、他人より下に見られることを酷く毛嫌いしている。 一方で、修行時代の鍛錬に対してはひたむきに努力をしており、その背中を見ていた善逸からは尊敬の念を抱かれ、桑島からも自身の技を継承する一人として期待されていた。 しかし、獪岳本人は&bold(){自分が雷の呼吸の壱ノ型&ruby(・){だ}&ruby(・){け}使えないこと、自身にとって恥ずべき弟弟子である善逸と同列に扱われること}に強い劣等感と屈辱を抱いており、内心では不満を募らせていた。 その反発もあってか、桑島は善逸と同じ柄の青い着物を獪岳に手渡していたが、それに袖を通すことはなかったという。 劇場版では過去の回想シーンがアニオリ描写として追加され、桑島に対して不信感を抱くようになった経緯が描かれている。師から雷の呼吸の継承者の証として羽織を手渡された際には自分を後継者に認めてくれたと思い、一瞬だが嬉しそうな表情を浮かべていた……が、直後に善逸も色違いだが自分と同じ羽織を渡されたのを目の当たりにし、彼も継承者に選ばれた事実に青筋を立てるも、それに対する怒りや不満は決して口には出さなかった。 また桑島は獪岳の修行に打ち込む姿勢を高く評価していたが、彼の心の闇や師弟の感情の擦れ違いに気付けず、それが結果的に後々の悲劇に繋がってしまった。 なにしろ初期の善逸は、炭治郎や民間の子供にさえ見下げ果てられる程に情けない人物であったため、そうした人物と同列扱いされることを侮辱と感じても仕方ないだろう。 加えて善逸が修行辛さに逃げ出すたびに桑島は彼を連れ戻すことに時間をとられ、獪岳に対して割く時間が少なくなることから『贔屓されている』と感じるのも無理からぬことではある。 こうした面に関しては桑島や善逸にも全く非がないわけではない。 鬼に変じてから人格は更に歪み、善逸が&font(#ffdc00,b){「もう善悪の区別もつかなくなったんだろ」}と指摘すれば、&b(){&color(#3d85c6,#000000){「善悪の区別ならついてるぜ! 俺を正しく評価し認める者は“善”!!低く評価し認めない者が“悪”だ!!!」}}と嘯くまでにその傲慢さやコンプレックスが肥大化。 どう考えても無惨が獪岳のいう”善”に該当するとは思えないが、末席とはいえ上弦に置いてくれた事を「俺を評価し認めた」と認識したのかもしれない。((黒死牟の推薦があったとはいえ、そもそも無惨以外を介して鬼化した時点である程度の見込みはあったと取れる(上弦は無惨が許可することで一時的に鬼化の血を使える)。加えて徹底した実力主義で一切贔屓がない環境・新入り鬼という状況で早くも「上弦」になっていた辺り……。))   修行時代には&font(#3d85c6,b){「先生」}と呼び慕っている様子であった桑島の事でさえも、自分だけを後継者としなかった恨みから&b(){&color(#3d85c6,#000000){「クソ爺」}}と侮辱するまでに性根が腐り果てており、対面した善逸からは&font(#ffdc00,b){「クズ」}呼ばわりされている。 獪岳の方もかつての弟弟子である善逸の存在を完全に見下し侮蔑しており、彼を&b(){&color(#3d85c6,#000000){「カス」}}呼ばわりしている。だが、再会した際の前述の台詞や戦闘時の反応を見る限りでも、自分と疎遠になった後の善逸が数多の戦いや仲間との出会いを通して大きく成長していた事は知らなかった様子で、そんな意味では現在の彼の実力を大きく見誤っていた。 #openclose(show=※獪岳オリジン){       #center(){#bold(){&color(#3d85c6){圧倒的強者に跪くことは恥じゃない 生きてさえいれば何とかなる} &color(#3d85c6){死ぬまでは負けじゃない} &color(#3d85c6){地面に頭をこすりつけようが 家がなかろうが泥水をすすろうが 金を盗んだことを罵られようが} &color(#3d85c6){生きてさえいれば いつか勝てる勝ってみせる そう信じて進んできたんだ}}} 人間時代は非常に荒れた生活を送っていた孤児で、強烈なハングリー精神で生き抜いてきた子供だった模様。 そういった過酷な生い立ちゆえか&bold(){&color(#3d85c6){「どんなことをしても最後に勝てばいい」}}という歪んだプライドを持つに至り、生き延びるためなら文字通り何でもする、良く言えばある意味非常に前向きな、悪く言えば&bold(){生き汚い}性格になってしまった((無惨も「生き延びる点」に対しては一切ブレがなく、猗窩座も生存を優先にしている。そういう意味では鬼には向いている人物ではある。))。 幼少期には悲鳴嶼が運営していた孤児院のような寺に引き取られており、当時の生活にも満足していたような様子を見せていたが、[[彼が盲目であるのをいいことに寺の金を盗んだ>半天狗(鬼滅の刃)]]のを他の子どもに知られ咎められ、彼らの独断で夜に寺を追放されてしまう。 しかし、山中で鬼と遭遇した獪岳は&bold(){[[命乞い]]の末、悲鳴嶼と子供たちを差し出すという取引を行い、寺に侵入して鬼除け用の香を消火し、鬼を寺に引き入れてしまう。}((他の子供が獪岳がいないことについて嘘をついたことなどが原因で、鬼が獪岳について言及するまで獪岳がいなくなったことを悲鳴嶼は知らなかった。また、子供達は鬼の習性を全く知らなかった。))その後どうなったのかは不明だが、本当の意味で飢え死に寸前のところを彷徨っていた中で桑島と出会い、(おそらく善逸より先に)引き入れられる。 その後は善逸よりも先に鬼殺隊の最終試験に合格していた可能性が高いが、実際に鎹烏の指令のもと任務に出向いていたのか、階級はどこまで上がったのか、[[御館様>産屋敷耀哉]]と何かしらの形で関わっていたのか、[[蝶屋敷>胡蝶しのぶ]]に出向いた事があるのか、悲鳴嶼が鬼殺隊の一員、それも柱となっていた事を知っていたのかどうかは明かされなかった。 しかし、柱稽古のため定期任務がなくなったからか、&bold(){地面の泥水を飲まなければ飢え死にする程の凄惨な環境}(黒死牟が来た時点では獪岳の住居もガラクタ同然の状態)で誰にも連絡を取ろうとせずに孤立していた((劇場版『無限城編 第一章』では、談笑する隊員達から離れた所で壁の鬼灯を一人で見つめる描写があり、その孤独がより強調された。ちなみに鬼灯の花言葉は「偽り」「ごまかし」「心の平安」など、獪岳に当てはまっている単語が大半。))ことが判明している。 鬼殺隊入隊後は自身が[[柱>柱(鬼滅の刃)]]になることを目標にしていたが、ハングリー精神とプライドの高さもあって他の隊士との人間関係は良好なものではなく、壱ノ型を使えないためかろくな任務にも参加できない獪岳への周囲の目はかなり冷ややかだった。((おまけに鬼殺隊としての最後の任務の後に事実上の行方不明となったにも関わらず、鬼殺隊本部からろくな対応をされなかったようであり、鬼化が判明した情報を聞いた最初の関係者も鎹烏から情報を聞いた直後にその責任を取り切腹した桑島だけである。))前述の通り彼を尊敬してる善逸はバカにした彼らに殴りかかったことがあるが、問題児がまたやらかしたのか同情されたくないと思ったのか当の本人からは「問題起こすなカスが」「お前みたいなのがいるのが本当に恥だぜ」と吐き捨てられたが……((この行動は[[不死川玄弥]]に通じるものがあるが、まさか殴られる側になろうとは思いもしなかっただろう。)) #center(){&bold(){&color(#cc66ff,#000000){鬼となり…更なる力が欲しいか…お前も…}} &bold(){&color(#cc66ff,#000000){あの方に…認められれば…我らの…仲間と…なるだろう}}} そんな獪岳の致命的な不運は、&bold(){&color(#ff0000){任務の最中に[[『上弦の壱』黒死牟>黒死牟(鬼滅の刃)]]とばったり遭遇してしまった事。}} 絶対的格上である黒死牟の存在は、ただ目にするだけで恐怖と絶望を植え付けるには充分すぎる相手。 良くも悪くも一般人的な感性を持っていた獪岳にとって、柱や主人公のように&bold(){&color(#ff0000){「鬼が相手ならば命を捨て、相討ちになってでも殺す・立ち向かう」という覚悟ガンギマリ勢}}になれる……はずもなく、何時ものように[[土下座]]してでもその場を切り抜けようとするが、孤立の末((善逸はとある回の表紙で仲間が後から誕生したことがあからさまに描写されている。))に待っていたのは鬼への勧誘。 &bold(){&color(#cc66ff,#000000){「その場で殺されるか血を飲んで鬼になるか(意訳)」}}を突き付けられてしまう。 #center(){#bold(){&color(#cc66ff,#000000){そして稀に…鬼とならぬ体質の者も…} &color(#cc66ff,#000000){……} &color(#cc66ff,#000000){存在するが…お前は…どうだろうな…} &color(#cc66ff,#000000){有り難き血だ…一滴たりとて零すこと罷り成らぬ…零した時には……} &color(#cc66ff,#000000){お前の首と胴は泣き別れだ}}} 血を掌に注がれた獪岳は恐怖に震えながら掌の血を摂取。そして、鬼への適性を無惨が認めた結果、人を貪り食らう悪鬼に変じてしまった。 獪岳の不幸は&bold(){自死を選べなかっただけの(ある意味で)真っ当な価値観を持っていた事}と、そして何より&bold(){上弦の壱に遭遇してしまった事}だろう。&s(){人間性が鬼殺隊に向いていない}((ただ選抜試験の内容が獪岳と悪い意味でマッチしている面もあるのは考慮すべきかもしれないが……。)) 黒死牟の言葉を鵜呑みにして血を呑んでも鬼にならないことを期待していたのかもしれないが、そんな都合のいい奇跡はそう起こらない無情さも感じられる。((ちなみに「鬼化に至らなかった者は肉体が崩壊し、死亡する」事が序盤の浅草編で描かれており、おそらくコイツの言う「鬼にならない体質」もそういう意味だと思われる。鬼を食って一時的に鬼の性質をコピーできる不死川玄弥とか、グラマーな体格に反して筋肉量「は」ムキムキマッチョな甘露寺蜜璃とかイレギュラーな奴も結構いるので、本当に「鬼化せずそのままでいられる」奴もいたのかもしれないが、その辺の真相はもう確かめようもない。)) ……境遇のせいで早くから性根が歪んでしまっていたことは否定できないのもまた事実だが。 ただ&bold(){もし遭遇したのが他の上弦だった場合、間違いなく命乞いなど通用せず殺されていた}であろうことを考えるとどのみちどうしようもなかっただろう。 そして17巻のおまけページにて、&bold(){悲鳴嶼の寺の子供達を鬼に差し出した子供の正体が獪岳であると明記。} 更に上記の過去が明らかになったため、情状酌量の余地が大幅になくなってしまう顛末となった。 とはいえ獪岳に突き付けられたのは「他を差し出すか己が死ぬか」という究極の二択であり、まだ幼い少年期に後者を選べる人間の方が稀であろう。 加えて悲鳴嶼に鬼のことを聞いていたにもかかわらず何の相談もなしに山中にある寺から追い出し挙句に嘘をついた寺の子供たちの行動にも問題はある。 獪岳のその後を悲鳴嶼が最後まで知らずに済んだのは彼にとってせめてもの救いだったのかもしれない。 } *◆戦闘能力 雷の呼吸の継承候補者であり、鬼となった今でも雷の呼吸の型を戦いに用いるが、エフェクトは鬼に堕ちたことを顕すかの如き黒い稲妻。 更に呼吸による斬撃を血鬼術で強化し、&bold(){斬撃を加えた相手の肉体を罅割って焼く}効果を付与している。 &bold(){&color(#3d85c6,#000000){「雷の呼吸を超えた」}}と豪語するこの斬撃に侵された相手は皮膚と肉体を焼かれ続けることになり、時間が経過する程に罅状の傷が広く深く身体を蝕んでいく。「避けるのが困難で、かつどこかに当たれば勝てる」という恐るべき能力。 腐っても兄弟子だったことも踏まえてかアニメ『劇場版 無限城編』では血鬼術に頼らない剣技も若干盛られており、初見の筈の『霹靂一閃・八連』を剣技によって無傷で防ぎ切る技量を見せた。 得物の刀は自身の肉体から生み出したものだが、黄色い刀身に黒いひび割れのような紋様が浮かんでおり、雷の呼吸の[[日輪刀>日輪刀(鬼滅の刃)]]を模している(ちなみに善逸の日輪刀は普通の[[日本刀]]のような地に稲妻のような黄色い紋様)。 柄は黒を基調としている。 **◆流派 ・[[&bold(){全集中 雷の呼吸}>全集中の呼吸(鬼滅の刃)]] 高速の居合斬りで仕留める壱ノ型とは対照的に、手数の多さで攻めるヒットアンドアウェイ系の攻撃の多さが特徴的。 一撃でも当たれば効果が発動する自身の血鬼術との相性は良好。 #openclose(show=型一覧){ ・&bold(){弐ノ型 &ruby(いなだま){稲魂}} 瞬く間に一息で五連の斬撃を叩き込む。 「稲魂」とは稲妻の別称。 ・&bold(){参ノ型 &ruby(しゅうぶんせいらい){聚蚊成雷}} 敵の周囲を高速で旋回しながら切り刻む波状攻撃。 「聚蚊成雷」とは「蚊の羽音も集まれば雷の音となる」という意味の[[四字熟語]]で「塵も積もれば山と成る」と同じ。 ・&bold(){肆ノ型 &ruby(えんらい){遠雷}} 遠間から強烈な踏み込みで相手に接近し、横一文字に斬り捨てる技。 ・&bold(){伍ノ型 &ruby(ねつかいらい){熱界雷}} 衝撃を伴った強烈な斬り上げ。 「熱界雷」とは強い日射による上昇気流に前線が作用して起こる雷のこと。 ・&bold(){陸ノ型 &ruby(でんごうらいごう){電轟雷轟}} 広範囲に雷の様な斬撃を炸裂させて敵の全身を斬り裂く。 由来は勢いが非常に激しいという意味の[[四字熟語]]「電光雷轟」だと思われる。 } *◆物語での活躍 無限城で遂に邂逅を果たした善逸と獪岳。 善逸は邂逅早々に嘲る獪岳を意に介せず&font(#ffdc00){&bold(){「適当な穴埋め」}}と罵倒し、更にある事実を告げる。 それは善逸と同じく雷の呼吸の次期継承者とされていた獪岳が鬼に堕ちた責任を取り、彼らの師である慈悟郎が&bold(){&color(#ff0000){介錯もなしに切腹、自ら命を絶った(首を落としてくれる者がいない=長時間苦しみながら死んだ)}}という哀しい報せであった。 慈悟郎が獪岳の裏切りを知った経緯や一連の事態を手紙に記してチュン太郎に託したのかが誰なのかは明確にされなかったが、全てを知った善逸はかつての兄弟子を止める決意を固める。 柱稽古編のアニメ最終回では原作の不明点を補完するアニオリ描写として炭治郎や柱を除いた隊士たちが無限城に落とされた経緯が描かれたが、彼らの多くが突然の事態に困惑する中で冷静さを保っていた数少ない隊士の一人こそ本来ならばパニック状態に陥ってもおかしくないはずの善逸だった。目を閉じながら無限城を落下していく中である音を感知した彼は、普段のヘタレな性格を全く感じさせない険しい表情を見せながら音の発生源に向かっていくのだった。 尊敬する師が自責の念に苛まれて一人孤独に苦しみながら死んでいったことを知らされても、そのことを涙ながらに叫び、怒りの糾弾を投げかける弟弟子の姿を見ても、鬼となった事で心がますます歪んでしまった獪岳の感情は微塵も揺るがない。 #center(){#bold(){ &color(#3d85c6,#000000){知ったことじゃねぇよ} &color(#3d85c6,#000000){だから?何だ?悲しめ?悔い改めろってか?俺は俺を評価しない奴なんぞ相手にしない} &color(#3d85c6,#000000){俺は常に!!どんな時も!!正しく俺を評価する者につく} &color(#3d85c6,#000000){爺が苦しんで死んだなら清々するぜ} &color(#3d85c6,#000000){あれだけ俺が尽くしてやったのに俺を後継にせず テメェみたいなカスと共同で後継だと抜かしやがったクソ爺だ} &color(#3d85c6,#000000){元柱だろうが耄碌した爺に用はないからな ハハハハ} &font(#ffdc00){……フッ ははっ 爺ちゃんは耄碌してねえよ} &font(#ffdc00){俺がカスならアンタはクズだ} &font(#ffdc00){&ruby(・){壱}&ruby(・){ノ}&ruby(・){型}&ruby(・){し}&ruby(・){か}&ruby(・){使}&ruby(・){え}&ruby(・){な}&ruby(・){い}&ruby(・){俺}&ruby(・){と}&ruby(・){壱}&ruby(・){ノ}&ruby(・){型}&ruby(・){だ}&ruby(・){け}&ruby(・){使}&ruby(・){え}&ruby(・){な}&ruby(・){い}&ruby(・){ア}&ruby(・){ン}&ruby(・){タ}} &font(#ffdc00){後継に恵まれなかった爺ちゃんが気の毒でならねぇよ} &size(24){&color(#3d85c6,#000000){テメェと俺を一緒にすんじゃねぇ!!!}} }} 獪岳の侮辱混じりの高笑いに対して善逸の自虐も含んだ痛烈な皮肉が炸裂。 激昂した獪岳は刀を抜いて斬りかかるが、善逸の実力を見誤り逆に肩口を斬り裂かれてしまう。 #center(){#bold(){ &size(24){&font(#ffdc00){おせーんだよ クズ}} &color(#3d85c6,#000000){(斬られた!! 速い… コイツ!!)} &color(#3d85c6,#000000){(動きがまるで別人だ!!)} }} 柱稽古も含めた善逸の鬼殺隊の一員としての今までの実績を知らなかったのか、自分の知る姿とはまるで別人の様な動きを見せる善逸に驚きを隠せない獪岳。長きに渡って見下してきたかつての弟弟子の成長を突きつけられる中、彼の脳裏には鬼となった時の記憶が蘇っていた。 黒死牟を前にして戦うことすら叶わず、刀を置き地に額を擦り付ける己の姿。 あの圧倒的な恐怖に比べれば目の前の「小物」など大したことはない。 獪岳は修行時代のみっともなく泣き喚く善逸、そして自身をその善逸と共同の後継とした慈悟郎を想起すると、彼等への身勝手な憎しみと怒りを叫び反撃を開始。 #center(){#bold(){&color(#3d85c6,#000000){どうだ!?} &color(#3d85c6,#000000){血鬼術で強化された俺の刀の斬れ味は} &color(#3d85c6,#000000){目に体に焼きつけろ俺の力を} &color(#3d85c6,#000000){鬼になり雷の呼吸を超えた!!}}} 血鬼術と雷の呼吸を組み合わせた戦術で善逸を終始圧倒し続け、全身を自身の術に蝕まれ奈落の底へと落ちていく善逸を見て勝利を確信する。 だが─── #center(){#bold(){ &font(#ffdc00){(どんな時もアンタからは不満の音がしてた)} &font(#ffdc00){(心の中の幸せを入れる箱に穴が開いてるんだ どんどん幸せが零れていく その穴に早く気づいて塞がなきゃ 満たされることはない)} &font(#ffdc00){(爺ちゃんごめん 俺達の道は分かたれた)} &font(#ffdc00){(ごめん &ruby(・・){兄貴})}}} 走馬燈のように過去の思い出を振り返りながらも覚悟を決め、兄弟子への未練を断ち切った善逸独自の漆ノ型『火雷神』が直撃。 未知の雷の呼吸の一撃に反応することすら叶わず、呆気なく頚を両断された。 #center(){#bold(){ &color(#3d85c6,#000000){(みっ…見えなかった!!何だ!?今の技 速すぎる 俺の知らない技だ 何を使った!?)} &color(#3d85c6,#000000){畜生!!畜生!!やっぱりあの爺贔屓しやがったな!!お前にだけ教えて俺に教えなかった!} &font(#ffdc00){違う 爺ちゃんはそんな人じゃない} &font(#ffdc00){これは俺の型だよ 俺が考えた俺だけの型&br()この技で いつかアンタと肩を並べて戦いたかった…}}} 崩れゆく肉体の中で未知の雷の呼吸の技に負けたことで&b(){&color(#3d85c6,#000000){「善逸が贔屓されていた」}}と喚き、恩師を罵倒する獪岳。 しかし続く言葉を聞いて自分の知らない間に大きく成長していた「善逸に」完全敗北したことを悟るが、頭が変になりそうだとして現実から目を逸らしてしまう。 全力を使い果たし意識を失った善逸を見て、高所からの転落で自分と一緒に死ぬため負けではないとほくそ笑むが… #center(){#bold(){&color(#87ceeb){人に与えない者はいずれ人から何も貰えなくなる 欲しがるばかりの奴は結局何も持ってないのと同じ}((善逸は壱ノ型しかできなかったが炭治郎にコツを教えており、半天狗戦で生かしている。)) &color(#87ceeb){自分では何も生み出せないから} &color(#3d85c6,#000000){!?} &color(#87ceeb){独りで死ぬのは惨めだな}}} 突然出現した愈史郎が間一髪で善逸を救助した事で最期の目論見すらも瓦解。 そして、哀れみ混じりに自身の生き様と在り方を痛烈に批判された事で、&font(#ff0000){&bold(){生まれてから今まで積み上げてきたプライドさえも完全に砕け散ってしまう。}} 何かを叫ぶもその内容は最早声にもならず ((劇場版においては、何らかの負け惜しみを吐こうとしていたようだが、結局その前に顎が崩れ去った。)) 、強欲な男は最期まで満たされる事なく塵となって消えた。 #center(){&bold(){&color(#3d85c6,#000000){~~~~}} &bold(){&color(#3d85c6,#000000){……}}} *◆余談 その後の愈史郎の解説によると、鬼としてのポテンシャル自体はかなりのものだったようで、敗因は&bold(){鬼になって早すぎたが故に血鬼術を十分に使いこなせてなかったこと}と断言。 仮に1年後に戦っていた場合&font(#ff0000){&bold(){斬り傷から一気に身体がバラバラになり善逸は即死していた}}とのこと。尤も、善逸も土壇場になるまで躊躇いを捨て切れていなかった節があるので、最初から容赦なく戦っていたらアッサリ勝っていた可能性も否定できないが……。((劇場版では善逸の霹靂一閃をあっさり捌いている様子もあるが、それより前のカウンターの初撃(「おせーんだよカス」の場面)は見切れていなかったことから、躊躇いで速度が落ちていた可能性はあり得る)) また、血鬼術で強化した弐から陸ノ型を善逸に叩き込んでも凌がれ、逆に漆ノ型で反応もできず仕留められたということは、すなわち&bold(){鬼による強化補正無しの隊士としての力量は善逸に及ばない可能性が高い。} 更に言えば獪岳は善逸が最終選別に合格し鬼殺隊に入隊した時点ではまだ鬼にはなっていなかったようで、145話の回想シーンが正しいなら獪岳が鬼になった時期は、&bold(){最大でも約一年程度でしかなく}柱稽古編の終わり際に鬼になったのなら&bold(){一週間も経っていない可能性がある。((善逸が獪岳の件を知った後、炭次郎は岩柱の稽古から去る直前であり、その後徒歩で[[冨岡義勇]]の道場に着いた後から無限城出現まで半日ほどしか経過していなかったことを考量すると、慈悟郎が死亡し、葬式を行ってから一週間ほどしか空きがなかった可能性もある。))} 劇中では非常に呆気なかったものの、彼を鬼に変えた黒死牟の慧眼は正しいものであったと思われる。 但し、[[柱>柱(鬼滅の刃)]]でもない善逸一人に倒されたのは事実であるため、当時の他の上弦ほどの実力はなく、いわば補欠合格の形で選ばれたようである。((尤も、今代の柱達は歴代でも別格の実力者揃いであることは考慮する必要があるだろう。十二鬼月を単独で倒した以上、少なくとも善逸はこの時点で通常なら鳴柱になれるだけの実力は間違いなく備えていると見ていい)) 実際、上弦の鬼の[[肆>半天狗(鬼滅の刃)]]、[[伍>玉壺(鬼滅の刃)]]、[[陸>堕姫/妓夫太郎]]が戦死して空席になり、後任で[[鳴女>鳴女(鬼滅の刃)]]が肆で獪岳が陸に選ばれ、伍が空席だったことから分かる。 後に彼が上弦に選ばれたのは黒死牟に推薦されたからということがファンブックで明かされた。 …そもそも他の上弦は100年以上鬼として存在しており、それだけ人間を食べている点を踏まえれば、鬼になって間もない獪岳を彼らと比較するのはあまりに酷といえる。 劇場版では愈史郎の血鬼術による探知が詳細に描かれた結果、他の上弦と同様に別格の気配を発しているのが可視化され、適当な穴埋めとはいえ十分な実力の持ち主であることがわかる((でなければ無惨も黒死牟の推薦をガン無視して即席下弦にしてしまうだろう。それ以前に黒死牟も推薦しないだろうが…))。 本編では善逸が真っ先に対処に行ったわけだが、獪岳が仮に一般隊士に向かったら間違いなく被害が甚大だった。 愈史郎がボロカス叩いた血鬼術も当たれば厄介な代物で、弐~陸ノ型は手数に長けるため負傷の機会が跳ね上がる。 柱ならまだ兎も角、一般隊士は即席下弦に何とか太刀打ちできるくらいの実力でしかなく、それよりは遥かに実力が高い獪岳に単独ではまず無理、複数で対処するにも相当の人数が必要、仮に撃破できたしても無傷では済むはずもなく、治療も含めた戦力リソースは著しく落ちる。 …あんまりなものの言い方すると善逸が真っ先に赴き、討ち取ったことで善逸一人がしばらく戦線離脱で済んだといえ、市街地最終決戦で残存戦力が少なくて無惨を取り逃がしました、な展開にならなかったことを考えると、善逸の功績は決して小さくなかったといえる。 ちなみに「獪」はズル賢い・調子よく立ち回るという意味。熟語では「老獪」(経験をつんでいて、悪賢いこと)などで見る機会がある。 #center(){&bold(){&color(#3d85c6,#000000){俺の項目を正しく評価し追記・修正する者は“善”!!}} &bold(){&color(#3d85c6,#000000){低く評価し荒らす者が“悪”だ!!!}}} #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,102) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #lsd() #comment_num2(num=30) }
&font(#6495ED){登録日}:2019/02/10 Sun 14:33:00 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:&b(){&font(#3d85c6,#000000){約 10 分で読めるぞ}} ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){#bold(){&color(#3d85c6){じいちゃんなんて馴れ馴れしく呼ぶんじゃねえ!!} &color(#3d85c6){先生は“柱”だったんだ 鬼殺隊最強の称号を貰った人なんだよ!} &color(#3d85c6){元柱に指南を受けられることなんて滅多に無い!} &color(#3d85c6){先生がお前に稽古をつけてる時間は完全に無駄だ!!目障りなんだよ消えろ!!} &color(#3d85c6){なぜお前はここにいるんだ!!なぜお前はここにしがみつく!!}}} &ruby(かいがく){獪岳}とは『[[鬼滅の刃]]』の登場人物である。 CV:[[細谷佳正]]((アニメ第一期および柱稽古編では本名は明かされておらず、前者は「善逸の兄弟子」役、後者は「寺の子どもたち」役の一人として出演。)) *◆プロフィール 身長:167cm 体重:64kg 趣味:賭博 *◆概要 かつて、主人公・[[竈門炭治郎]]の同期である[[我妻善逸]]と共に元「鳴柱」の育手・桑島慈悟郎のもとで[[雷の呼吸>全集中の呼吸(鬼滅の刃)]]を学んだ兄弟子で、&bold(){雷の呼吸の継承権を持つ}青年。 初登場は単行本4巻の34話の那田蜘蛛山での善逸の回想だが、過酷な修行に泣きべそをかく彼に苛立ち(あと&bold(){桃})をぶつけ罵倒するという、お世辞にも良い兄弟子とは言えない人物として描かれていた。 ちなみにこの時点では名前すら判明していなかったことに加えて前述の言動もあって、読者からは自然発生的に&b(){「桃先輩」}の渾名で呼ばれることに。 [[&font(#bbb){『ジャンプ』で10年程先輩のテニスの人}>桃城武]]&font(#bbb){と被っているが混同されることはまずないだろう。} そのシーンを最後に長いこと存在に言及すら無かったものの、後に[[岩柱・悲鳴嶼行冥>悲鳴嶼行冥]]の回想にて似たような風貌の子供が自分の命惜しさに悲鳴嶼と他の孤児を鬼に売って生き延び、彼の心に[[トラウマ]]を植え付けていたことも発覚。 他人の空似の可能性もあるとはいえ、まさかの再登場に読者も驚きを隠せず、近々出番があるのではという予想が挙がっていた。 そして柱稽古編終盤、密かに事態は動き出す。 お付きの雀・チュン太郎から何かの手紙を受け取った善逸は、それまでのお馴染みのヘタれた雰囲気から一転、険しい顔つきになり炭治郎にこう言った。 &font(#ffdc00,b){「やるべきこと、やらなくちゃいけないことがはっきりしただけだ」「これは絶対に俺がやらなきゃ駄目なんだ」}と。 そして、遂に……! #center(){#bold(){ &font(#ffdc00){いるんだろ 出て来い} &font(#ffdc00){そこにいるのはわかってる} &color(#3d85c6,#000000){口の利き方がなってねえぞ 兄弟子に向かって} &color(#3d85c6,#000000){少しマシになったようだが} &color(#3d85c6,#000000){相変わらず貧相な風体をしてやがる} &color(#3d85c6,#000000){久し振りだなァ 善逸} &font(#ffdc00){獪岳 鬼になったお前を俺はもう兄弟子とは思わない} }} 143話の無限城での決戦の最中に「[[十二鬼月]]」の&bold(){新たな“上弦の陸”}として出現。 &b(){元鬼狩りでありながら[[鬼の始祖・鬼舞辻無惨>鬼舞辻無惨]]に魂を売り、[[鬼>鬼(鬼滅の刃)]]へと成り果てた姿}で善逸と対峙する。 #contents *◆外見 鬼化した影響で黒く染まった眼球に翡翠色の瞳、頬に黒い紋様が浮かんだ青年。 服装は鬼殺隊の隊士だった名残か隊服の上に黒い着物を着込んでおり、腰には青い帯を巻いている。 また、首や腕には青い勾玉が付いた装飾を身に着け、背中に日輪刀に似た刀を背負っている。 目の文字は右目が「上弦」で左目が「陸」となっている。 *◆性格 &bold(){プライドが非常に強く、傲慢。} 自分がより優れた人物である事、自分だけが特別扱いされる事に執着する&bold(){承認欲求の塊}で、他人より下に見られることを酷く毛嫌いしている。 一方で、修行時代の鍛錬に対してはひたむきに努力をしており、その背中を見ていた善逸からは尊敬の念を抱かれ、桑島からも自身の技を継承する一人として期待されていた。 しかし、獪岳本人は&bold(){自分が雷の呼吸の壱ノ型&ruby(・){だ}&ruby(・){け}使えないこと、自身にとって恥ずべき弟弟子である善逸と同列に扱われること}に強い劣等感と屈辱を抱いており、内心では不満を募らせていた。 その反発もあってか、桑島は善逸と同じ柄の青い着物を獪岳に手渡していたが、それに袖を通すことはなかったという。 劇場版では過去の回想シーンがアニオリ描写として追加され、桑島に対して不信感を抱くようになった経緯が描かれている。師から雷の呼吸の継承者の証として羽織を手渡された際には自分を後継者に認めてくれたと思い、一瞬だが嬉しそうな表情を浮かべていた……が、直後に善逸も色違いだが自分と同じ羽織を渡されたのを目の当たりにし、彼も継承者に選ばれた事実に青筋を立てるも、それに対する怒りや不満は決して口には出さなかった。 また桑島は獪岳の修行に打ち込む姿勢を高く評価していたが、彼の心の闇や師弟の感情の擦れ違いに気付けず、それが結果的に後々の悲劇に繋がってしまった。 なにしろ初期の善逸は、炭治郎や民間の子供にさえ見下げ果てられる程に情けない人物であったため、そうした人物と同列扱いされることを侮辱と感じても仕方ないだろう。 加えて善逸が修行辛さに逃げ出すたびに桑島は彼を連れ戻すことに時間をとられ、獪岳に対して割く時間が少なくなることから『贔屓されている』と感じるのも無理からぬことではある。 こうした面に関しては桑島や善逸にも全く非がないわけではない。 鬼に変じてから人格は更に歪み、善逸が&font(#ffdc00,b){「もう善悪の区別もつかなくなったんだろ」}と指摘すれば、&b(){&color(#3d85c6,#000000){「善悪の区別ならついてるぜ! 俺を正しく評価し認める者は“善”!!低く評価し認めない者が“悪”だ!!!」}}と嘯くまでにその傲慢さやコンプレックスが肥大化。 どう考えても無惨が獪岳のいう”善”に該当するとは思えないが、末席とはいえ上弦に置いてくれた事を「俺を評価し認めた」と認識したのかもしれない。((黒死牟の推薦があったとはいえ、そもそも無惨以外を介して鬼化した時点である程度の見込みはあったと取れる(上弦は無惨が許可することで一時的に鬼化の血を使える)。加えて徹底した実力主義で一切贔屓がない環境・新入り鬼という状況で早くも「上弦」になっていた辺り……。))   修行時代には&font(#3d85c6,b){「先生」}と呼び慕っている様子であった桑島の事でさえも、自分だけを後継者としなかった恨みから&b(){&color(#3d85c6,#000000){「クソ爺」}}と侮辱するまでに性根が腐り果てており、対面した善逸からは&font(#ffdc00,b){「クズ」}呼ばわりされている。 獪岳の方もかつての弟弟子である善逸の存在を完全に見下し侮蔑しており、彼を&b(){&color(#3d85c6,#000000){「カス」}}呼ばわりしている。だが、再会した際の前述の台詞や戦闘時の反応を見る限りでも、自分と疎遠になった後の善逸が数多の戦いや仲間との出会いを通して大きく成長していた事は知らなかった様子で、そんな意味では現在の彼の実力を大きく見誤っていた。 #openclose(show=※獪岳オリジン){       #center(){#bold(){&color(#3d85c6){圧倒的強者に跪くことは恥じゃない 生きてさえいれば何とかなる} &color(#3d85c6){死ぬまでは負けじゃない} &color(#3d85c6){地面に頭をこすりつけようが 家がなかろうが泥水をすすろうが 金を盗んだことを罵られようが} &color(#3d85c6){生きてさえいれば いつか勝てる勝ってみせる そう信じて進んできたんだ}}} 人間時代は非常に荒れた生活を送っていた孤児で、強烈なハングリー精神で生き抜いてきた子供だった模様。 そういった過酷な生い立ちゆえか&bold(){&color(#3d85c6){「どんなことをしても最後に勝てばいい」}}という歪んだ思想を持つに至り、生き延びるためなら文字通り何でもする、良く言えばある意味非常に前向きな、悪く言えば&bold(){生き汚い}性格になってしまった((無惨も「生き延びる点」に対しては一切ブレがなく、猗窩座も生存を優先にしている。そういう意味では鬼には向いている人物ではある。))。 幼少期には悲鳴嶼が運営していた孤児院のような寺に引き取られており、当時の生活にも満足していたような様子を見せていたが、[[彼が盲目であるのをいいことに寺の金を盗んだ>半天狗(鬼滅の刃)]]のを他の子どもに知られ咎められ、彼らの独断で夜に寺を追放されてしまう。 しかし、山中で鬼と遭遇した獪岳は&bold(){[[命乞い]]の末、悲鳴嶼と子供たちを差し出すという取引を行い、寺に侵入して鬼除け用の香を消火し、鬼を寺に引き入れてしまう。}((他の子供が獪岳がいないことについて嘘をついたことなどが原因で、鬼が獪岳について言及するまで獪岳がいなくなったことを悲鳴嶼は知らなかった。また、子供達は鬼の習性を全く知らなかった。))その後どうなったのかは不明だが、本当の意味で飢え死に寸前のところを彷徨っていた中で桑島と出会い、(おそらく善逸より先に)引き入れられる。 その後は善逸よりも先に鬼殺隊の最終試験に合格していた可能性が高いが、実際に鎹烏の指令のもと任務に出向いていたのか、階級はどこまで上がったのか、[[御館様>産屋敷耀哉]]と何かしらの形で関わっていたのか、[[蝶屋敷>胡蝶しのぶ]]に出向いた事があるのか、悲鳴嶼が鬼殺隊の一員、それも柱となっていた事を知っていたのかどうかは明かされなかった。 しかし、柱稽古のため定期任務がなくなったからか、&bold(){地面の泥水を飲まなければ飢え死にする程の凄惨な環境}(黒死牟が来た時点では獪岳の住居もガラクタ同然の状態)で誰にも連絡を取ろうとせずに孤立していた((劇場版『無限城編 第一章』では、談笑する隊員達から離れた所で壁の鬼灯を一人で見つめる描写があり、その孤独がより強調された。ちなみに鬼灯の花言葉は「偽り」「ごまかし」「心の平安」など、獪岳に当てはまっている単語が大半。))ことが判明している。 鬼殺隊入隊後は自身が[[柱>柱(鬼滅の刃)]]になることを目標にしていたが、ハングリー精神とプライドの高さもあって他の隊士との人間関係は良好なものではなく、壱ノ型を使えないためかろくな任務にも参加できない獪岳への周囲の目はかなり冷ややかだった。((おまけに鬼殺隊としての最後の任務の後に事実上の行方不明となったにも関わらず、鬼殺隊本部からろくな対応をされなかったようであり、鬼化が判明した情報を聞いた最初の関係者も鎹烏から情報を聞いた直後にその責任を取り切腹した桑島だけである。))前述の通り彼を尊敬してる善逸はバカにした彼らに殴りかかったことがあるが、問題児がまたやらかしたのか同情されたくないと思ったのか当の本人からは「問題起こすなカスが」「お前みたいなのがいるのが本当に恥だぜ」と吐き捨てられたが……((この行動は[[不死川玄弥]]に通じるものがあるが、まさか殴られる側になろうとは思いもしなかっただろう。)) #center(){&bold(){&color(#cc66ff,#000000){鬼となり…更なる力が欲しいか…お前も…}} &bold(){&color(#cc66ff,#000000){あの方に…認められれば…我らの…仲間と…なるだろう}}} そんな獪岳の致命的な不運は、&bold(){&color(#ff0000){任務の最中に[[『上弦の壱』黒死牟>黒死牟(鬼滅の刃)]]とばったり遭遇してしまった事。}} 絶対的格上である黒死牟の存在は、ただ目にするだけで恐怖と絶望を植え付けるには充分すぎる相手。 良くも悪くも一般人的な感性を持っていた獪岳にとって、柱や主人公のように&bold(){&color(#ff0000){「鬼が相手ならば命を捨て、相討ちになってでも殺す・立ち向かう」という覚悟ガンギマリ勢}}になれる……はずもなく、何時ものように[[土下座]]してでもその場を切り抜けようとするが、孤立の末((善逸はとある回の表紙で仲間が後から誕生したことがあからさまに描写されている。))に待っていたのは鬼への勧誘。 &bold(){&color(#cc66ff,#000000){「その場で殺されるか血を飲んで鬼になるか(意訳)」}}を突き付けられてしまう。 #center(){#bold(){&color(#cc66ff,#000000){そして稀に…鬼とならぬ体質の者も…} &color(#cc66ff,#000000){……} &color(#cc66ff,#000000){存在するが…お前は…どうだろうな…} &color(#cc66ff,#000000){有り難き血だ…一滴たりとて零すこと罷り成らぬ…零した時には……} &color(#cc66ff,#000000){お前の首と胴は泣き別れだ}}} 血を掌に注がれた獪岳は恐怖に震えながら掌の血を摂取。そして、鬼への適性を無惨が認めた結果、人を貪り食らう悪鬼に変じてしまった。 獪岳の不幸は&bold(){自死を選べなかっただけの(ある意味で)真っ当な価値観を持っていた事}と、そして何より&bold(){上弦の壱に遭遇してしまった事}だろう。&s(){人間性が鬼殺隊に向いていない}((ただ選抜試験の内容が獪岳と悪い意味でマッチしている面もあるのは考慮すべきかもしれないが……。)) 黒死牟の言葉を鵜呑みにして血を呑んでも鬼にならないことを期待していたのかもしれないが、そんな都合のいい奇跡はそう起こらない無情さも感じられる。((ちなみに「鬼化に至らなかった者は肉体が崩壊し、死亡する」事が序盤の浅草編で描かれており、おそらく彼の言う「鬼にならない体質」もそういう意味だと思われる。鬼を食って一時的に鬼の性質をコピーできる不死川玄弥とか、グラマーな体格に反して筋肉量「は」ムキムキマッチョな甘露寺蜜璃とかイレギュラーな奴も結構いるので、本当に「鬼化せずそのままでいられる」奴もいたのかもしれないが、その辺の真相はもう確かめようもない。)) ……境遇のせいで早くから性根が歪んでしまっていたことは否定できないのもまた事実だが。 ただ&bold(){もし遭遇したのが他の上弦だった場合、間違いなく命乞いなど通用せず殺されていた}であろうことを考えるとどのみちどうしようもなかっただろう。 そして17巻のおまけページにて、&bold(){悲鳴嶼の寺の子供達を鬼に差し出した子供の正体が獪岳であると明記。} 更に上記の過去が明らかになったため、情状酌量の余地が大幅になくなってしまう顛末となった。 とはいえ獪岳に突き付けられたのは「他を差し出すか己が死ぬか」という究極の二択であり、まだ幼い少年期に後者を選べる人間の方が稀であろう。 加えて悲鳴嶼に鬼のことを聞いていたにもかかわらず何の相談もなしに山中にある寺から追い出し挙句に嘘をついた寺の子供たちの行動にも問題はある。 獪岳のその後を悲鳴嶼が最後まで知らずに済んだのは彼にとってせめてもの救いだったのかもしれない。 } *◆戦闘能力 雷の呼吸の継承候補者であり、鬼となった今でも雷の呼吸の型を戦いに用いるが、エフェクトは鬼に堕ちたことを顕すかの如き黒い稲妻。 更に呼吸による斬撃を血鬼術で強化し、&bold(){斬撃を加えた相手の肉体を罅割って焼く}効果を付与している。 &bold(){&color(#3d85c6,#000000){「雷の呼吸を超えた」}}と豪語するこの斬撃に侵された相手は皮膚と肉体を焼かれ続けることになり、時間が経過する程に罅状の傷が広く深く身体を蝕んでいく。「避けるのが困難で、かつどこかに当たれば勝てる」という恐るべき能力。 腐っても兄弟子だったことも踏まえてかアニメ『劇場版 無限城編』では血鬼術に頼らない剣技も若干盛られており、初見の筈の『霹靂一閃・八連』を剣技によって無傷で防ぎ切る技量を見せた。 得物の刀は自身の肉体から生み出したものだが、黄色い刀身に黒いひび割れのような紋様が浮かんでおり、雷の呼吸の[[日輪刀>日輪刀(鬼滅の刃)]]を模している(ちなみに善逸の日輪刀は普通の[[日本刀]]のような地に稲妻のような黄色い紋様)。 柄は黒を基調としている。 **◆流派 ・[[&bold(){全集中 雷の呼吸}>全集中の呼吸(鬼滅の刃)]] 高速の居合斬りで仕留める壱ノ型とは対照的に、手数の多さで攻めるヒットアンドアウェイ系の攻撃の多さが特徴的。 一撃でも当たれば効果が発動する自身の血鬼術との相性は良好。 #openclose(show=型一覧){ ・&bold(){弐ノ型 &ruby(いなだま){稲魂}} 瞬く間に一息で五連の斬撃を叩き込む。 「稲魂」とは稲妻の別称。 ・&bold(){参ノ型 &ruby(しゅうぶんせいらい){聚蚊成雷}} 敵の周囲を高速で旋回しながら切り刻む波状攻撃。 「聚蚊成雷」とは「蚊の羽音も集まれば雷の音となる」という意味の[[四字熟語]]で「塵も積もれば山と成る」と同じ。 ・&bold(){肆ノ型 &ruby(えんらい){遠雷}} 遠間から強烈な踏み込みで相手に接近し、横一文字に斬り捨てる技。 ・&bold(){伍ノ型 &ruby(ねつかいらい){熱界雷}} 衝撃を伴った強烈な斬り上げ。 「熱界雷」とは強い日射による上昇気流に前線が作用して起こる雷のこと。 ・&bold(){陸ノ型 &ruby(でんごうらいごう){電轟雷轟}} 広範囲に雷の様な斬撃を炸裂させて敵の全身を斬り裂く。 由来は勢いが非常に激しいという意味の[[四字熟語]]「電光雷轟」だと思われる。 } *◆物語での活躍 無限城で遂に邂逅を果たした善逸と獪岳。 善逸は邂逅早々に嘲る獪岳を意に介せず&font(#ffdc00){&bold(){「適当な穴埋め」}}と罵倒し、更にある事実を告げる。 それは善逸と同じく雷の呼吸の次期継承者とされていた獪岳が鬼に堕ちた責任を取り、彼らの師である慈悟郎が&bold(){&color(#ff0000){介錯もなしに切腹、自ら命を絶った(首を落としてくれる者がいない=長時間苦しみながら死んだ)}}という哀しい報せであった。 慈悟郎が獪岳の裏切りを知った経緯や一連の事態を手紙に記してチュン太郎に託したのかが誰なのかは明確にされなかったが、全てを知った善逸はかつての兄弟子を止める決意を固める。 柱稽古編のアニメ最終回では原作の不明点を補完するアニオリ描写として炭治郎や柱を除いた隊士たちが無限城に落とされた経緯が描かれたが、彼らの多くが突然の事態に困惑する中で冷静さを保っていた数少ない隊士の一人こそ本来ならばパニック状態に陥ってもおかしくないはずの善逸だった。目を閉じながら無限城を落下していく中である音を感知した彼は、普段のヘタレな性格を全く感じさせない険しい表情を見せながら音の発生源に向かっていくのだった。 尊敬する師が自責の念に苛まれて一人孤独に苦しみながら死んでいったことを知らされても、そのことを涙ながらに叫び、怒りの糾弾を投げかける弟弟子の姿を見ても、鬼となった事で心がますます歪んでしまった獪岳の感情は微塵も揺るがない。 #center(){#bold(){ &color(#3d85c6,#000000){知ったことじゃねぇよ} &color(#3d85c6,#000000){だから?何だ?悲しめ?悔い改めろってか?俺は俺を評価しない奴なんぞ相手にしない} &color(#3d85c6,#000000){俺は常に!!どんな時も!!正しく俺を評価する者につく} &color(#3d85c6,#000000){爺が苦しんで死んだなら清々するぜ} &color(#3d85c6,#000000){あれだけ俺が尽くしてやったのに俺を後継にせず テメェみたいなカスと共同で後継だと抜かしやがったクソ爺だ} &color(#3d85c6,#000000){元柱だろうが耄碌した爺に用はないからな ハハハハ} &font(#ffdc00){……フッ ははっ 爺ちゃんは耄碌してねえよ} &font(#ffdc00){俺がカスならアンタはクズだ} &font(#ffdc00){&ruby(・){壱}&ruby(・){ノ}&ruby(・){型}&ruby(・){し}&ruby(・){か}&ruby(・){使}&ruby(・){え}&ruby(・){な}&ruby(・){い}&ruby(・){俺}&ruby(・){と}&ruby(・){壱}&ruby(・){ノ}&ruby(・){型}&ruby(・){だ}&ruby(・){け}&ruby(・){使}&ruby(・){え}&ruby(・){な}&ruby(・){い}&ruby(・){ア}&ruby(・){ン}&ruby(・){タ}} &font(#ffdc00){後継に恵まれなかった爺ちゃんが気の毒でならねぇよ} &size(24){&color(#3d85c6,#000000){テメェと俺を一緒にすんじゃねぇ!!!}} }} 獪岳の侮辱混じりの高笑いに対して善逸の自虐も含んだ痛烈な皮肉が炸裂。 激昂した獪岳は刀を抜いて斬りかかるが、善逸の実力を見誤り逆に肩口を斬り裂かれてしまう。 #center(){#bold(){ &size(24){&font(#ffdc00){おせーんだよ クズ}} &color(#3d85c6,#000000){(斬られた!! 速い… コイツ!!)} &color(#3d85c6,#000000){(動きがまるで別人だ!!)} }} 柱稽古も含めた善逸の鬼殺隊の一員としての今までの実績を知らなかったのか、自分の知る姿とはまるで別人の様な動きを見せる善逸に驚きを隠せない獪岳。長きに渡って見下してきたかつての弟弟子の成長を突きつけられる中、彼の脳裏には鬼となった時の記憶が蘇っていた。 黒死牟を前にして戦うことすら叶わず、刀を置き地に額を擦り付ける己の姿。 あの圧倒的な恐怖に比べれば目の前の「小物」など大したことはない。 獪岳は修行時代のみっともなく泣き喚く善逸、そして自身をその善逸と共同の後継とした慈悟郎を想起すると、彼等への身勝手な憎しみと怒りを叫び反撃を開始。 #center(){#bold(){&color(#3d85c6,#000000){どうだ!?} &color(#3d85c6,#000000){血鬼術で強化された俺の刀の斬れ味は} &color(#3d85c6,#000000){目に体に焼きつけろ俺の力を} &color(#3d85c6,#000000){鬼になり雷の呼吸を超えた!!}}} 血鬼術と雷の呼吸を組み合わせた戦術で善逸を終始圧倒し続け、全身を自身の術に蝕まれ奈落の底へと落ちていく善逸を見て勝利を確信する。 だが─── #center(){#bold(){ &font(#ffdc00){(どんな時もアンタからは不満の音がしてた)} &font(#ffdc00){(心の中の幸せを入れる箱に穴が開いてるんだ どんどん幸せが零れていく その穴に早く気づいて塞がなきゃ 満たされることはない)} &font(#ffdc00){(爺ちゃんごめん 俺達の道は分かたれた)} &font(#ffdc00){(ごめん &ruby(・・){兄貴})}}} 走馬燈のように過去の思い出を振り返りながらも覚悟を決め、兄弟子への未練を断ち切った善逸独自の漆ノ型『火雷神』が直撃。 未知の雷の呼吸の一撃に反応することすら叶わず、呆気なく頚を両断された。 #center(){#bold(){ &color(#3d85c6,#000000){(みっ…見えなかった!!何だ!?今の技 速すぎる 俺の知らない技だ 何を使った!?)} &color(#3d85c6,#000000){畜生!!畜生!!やっぱりあの爺贔屓しやがったな!!お前にだけ教えて俺に教えなかった!} &font(#ffdc00){違う 爺ちゃんはそんな人じゃない} &font(#ffdc00){これは俺の型だよ 俺が考えた俺だけの型&br()この技で いつかアンタと肩を並べて戦いたかった…}}} 崩れゆく肉体の中で未知の雷の呼吸の技に負けたことで&b(){&color(#3d85c6,#000000){「善逸が贔屓されていた」}}と喚き、恩師を罵倒する獪岳。 しかし続く言葉を聞いて自分の知らない間に大きく成長していた「善逸に」完全敗北したことを悟るが、頭が変になりそうだとして現実から目を逸らしてしまう。 全力を使い果たし意識を失った善逸を見て、高所からの転落で自分と一緒に死ぬため負けではないとほくそ笑むが… #center(){#bold(){&color(#87ceeb){人に与えない者はいずれ人から何も貰えなくなる 欲しがるばかりの奴は結局何も持ってないのと同じ}((善逸は壱ノ型しかできなかったが炭治郎にコツを教えており、半天狗戦で生かしている。)) &color(#87ceeb){自分では何も生み出せないから} &color(#3d85c6,#000000){!?} &color(#87ceeb){独りで死ぬのは惨めだな}}} 突然出現した愈史郎が間一髪で善逸を救助した事で最期の目論見すらも瓦解。 そして、哀れみ混じりに自身の生き様と在り方を痛烈に批判された事で、&font(#ff0000){&bold(){生まれてから今まで積み上げてきたプライドさえも完全に砕け散ってしまう。}} 何かを叫ぶもその内容は最早声にもならず ((劇場版においては、何らかの負け惜しみを吐こうとしていたようだが、結局その前に顎が崩れ去った。)) 、強欲な男は最期まで満たされる事なく塵となって消えた。 #center(){&bold(){&color(#3d85c6,#000000){~~~~}} &bold(){&color(#3d85c6,#000000){……}}} *◆余談 その後の愈史郎の解説によると、鬼としてのポテンシャル自体はかなりのものだったようで、敗因は&bold(){鬼になって早すぎたが故に血鬼術を十分に使いこなせてなかったこと}と断言。 仮に1年後に戦っていた場合&font(#ff0000){&bold(){斬り傷から一気に身体がバラバラになり善逸は即死していた}}とのこと。尤も、善逸も土壇場になるまで躊躇いを捨て切れていなかった節があるので、最初から容赦なく戦っていたらアッサリ勝っていた可能性も否定できないが……。((劇場版では善逸の霹靂一閃をあっさり捌いている様子もあるが、それより前のカウンターの初撃(「おせーんだよカス」の場面)は見切れていなかったことから、躊躇いで速度が落ちていた可能性はあり得る)) また、血鬼術で強化した弐から陸ノ型を善逸に叩き込んでも凌がれ、逆に漆ノ型で反応もできず仕留められたということは、すなわち&bold(){鬼による強化補正無しの隊士としての力量は善逸に及ばない可能性が高い。} 更に言えば獪岳は善逸が最終選別に合格し鬼殺隊に入隊した時点ではまだ鬼にはなっていなかったようで、145話の回想シーンが正しいなら獪岳が鬼になった時期は、&bold(){最大でも約一年程度でしかなく}柱稽古編の終わり際に鬼になったのなら&bold(){一週間も経っていない可能性がある。((善逸が獪岳の件を知った後、炭次郎は岩柱の稽古から去る直前であり、その後徒歩で[[冨岡義勇]]の道場に着いた後から無限城出現まで半日ほどしか経過していなかったことを考量すると、慈悟郎が死亡し、葬式を行ってから一週間ほどしか空きがなかった可能性もある。))} 劇中では非常に呆気なかったものの、彼を鬼に変えた黒死牟の慧眼は正しいものであったと思われる。 但し、[[柱>柱(鬼滅の刃)]]でもない善逸一人に倒されたのは事実であるため、当時の他の上弦ほどの実力はなく、いわば補欠合格の形で選ばれたようである。((尤も、今代の柱達は歴代でも別格の実力者揃いであることは考慮する必要があるだろう。十二鬼月を単独で倒した以上、少なくとも善逸はこの時点で通常なら鳴柱になれるだけの実力は間違いなく備えていると見ていい)) 実際、上弦の鬼の[[肆>半天狗(鬼滅の刃)]]、[[伍>玉壺(鬼滅の刃)]]、[[陸>堕姫/妓夫太郎]]が戦死して空席になり、後任で[[鳴女>鳴女(鬼滅の刃)]]が肆で獪岳が陸に選ばれ、伍が空席だったことから分かる。 後に彼が上弦に選ばれたのは黒死牟に推薦されたからということがファンブックで明かされた。 …そもそも他の上弦は100年以上鬼として存在しており、それだけ人間を食べている点を踏まえれば、鬼になって間もない獪岳を彼らと比較するのはあまりに酷といえる。 劇場版では愈史郎の血鬼術による探知が詳細に描かれた結果、他の上弦と同様に別格の気配を発しているのが可視化され、適当な穴埋めとはいえ十分な実力の持ち主であることがわかる((でなければ無惨も黒死牟の推薦をガン無視して即席下弦にしてしまうだろう。それ以前に黒死牟も推薦しないだろうが…))。 本編では善逸が真っ先に対処に行ったわけだが、獪岳が仮に一般隊士に向かったら間違いなく被害が甚大だった。 愈史郎がボロカス叩いた血鬼術も当たれば厄介な代物で、弐~陸ノ型は手数に長けるため負傷の機会が跳ね上がる。 柱ならまだ兎も角、一般隊士は即席下弦に何とか太刀打ちできるくらいの実力でしかなく、それよりは遥かに実力が高い獪岳に単独ではまず無理、複数で対処するにも相当の人数が必要、仮に撃破できたしても無傷では済むはずもなく、治療も含めた戦力リソースは著しく落ちる。 …あんまりなものの言い方すると善逸が真っ先に赴き、討ち取ったことで善逸一人がしばらく戦線離脱で済んだといえ、市街地最終決戦で残存戦力が少なくて無惨を取り逃がしました、な展開にならなかったことを考えると、善逸の功績は決して小さくなかったといえる。 ちなみに「獪」はズル賢い・調子よく立ち回るという意味。熟語では「老獪」(経験をつんでいて、悪賢いこと)などで見る機会がある。 #center(){&bold(){&color(#3d85c6,#000000){俺の項目を正しく評価し追記・修正する者は“善”!!}} &bold(){&color(#3d85c6,#000000){低く評価し荒らす者が“悪”だ!!!}}} #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,102) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #lsd() #comment_num2(num=30) }

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