猿蟹合戦(芥川龍之介)

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&font(#6495ED){登録日}:2019/08/17 Sat 01:08:23 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 3 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- 日本でよく知られる昔話、「猿蟹合戦」。 [[芥川龍之介]]はその後日談を1923年に書いている。 しかしこの話、あの[[芥川版桃太郎>桃太郎(芥川龍之介)]]と同様にかなりノリが狂気じみている。 握り飯を奪った猿への復讐を臼・蜂・卵(!?)と共に成し遂げた蟹だったが……? %%御伽草子風の話からいきなり近現代の風景に代わっているのは秘密。%% 【[[あらすじ]]】 復讐を遂げた蟹達がその後どうなったか知っているだろうか? 一般的な人たちは各々が元の生活に戻ったと考えているだろうが、それは誤りである。 &font(#ff0000){なんと彼等は復讐の後に警察に捕縛され、しかもその後の裁判で主犯の蟹は死刑に、その他の共犯3人は無期懲役に処せられたのだ。} 理由としては ・猿と蟹の間には握り飯と柿の交換において文書のやり取りを交わしていない(蟹の証言では証拠にならない) ・仮にそれが本当だとしても熟した柿と断っていない為、猿側の行為に落ち度があったとは考えにくい。 というものが上がった。 こういった事情から、被告である蟹側には「己の無知と軽率が原因」とされて同情の声も殆ど上がらなければ、学者からの見解も辛辣なものばかり&footnote(代議士の「蟹の仇討ちは武士道に通じる物がある」と言う意見が数少ない賛成派意見だったが、相手にされなかった上に「ただ猿に個人的な恨みがあったのでは?」と噂される始末である。)。 敏腕とされる弁護士にも同情を誘う以外の選択が取れず、「あきらめ給え」とさじを投げられてしまう&footnote(もっともこの言葉の矛先が力になれなかったことに対してなのか、それとも雇った金が無駄になる事に対してかは不明。)。 一見するとあまりにも不条理かつ理不尽な理由で蟹達が刑罰を受けているようにも見えるため、読者は可哀想に思うかもしれないが、世論は「蟹の死は当然である」としてその刑を是とした。 現に死刑の行われた夜、関係者のほとんどは約2日間熟睡したそうである。%%寝てねぇで仕事しろ。%% その上皆夢の中に天国の門を見て、「封建時代の城に似たデパアトメント・ストア」の様な天国を見たらしい。 さて、仇討ちに直接参加した者達の刑は決まったが、その周囲の人物である蟹の家族はどうなったのか? &font(#ff0000){結論から言うと、不条理の煽りを受けたかのように一家全員がバラバラの道を進んでいた。} まず蟹の妻は売笑婦となった。しかし理由は判然としていない。(作中では貧困説と性情説に分かれていた) 続いて蟹の長男だが「翻然と心を改めた」として株屋の番頭をしている。この蟹はある時自分の穴へ、同類の肉を食うために怪我をした仲間を引きずりこんだ。&footnote(クロポトキンが相互扶助論の中に、「『蟹も同類を劬わる』と云う実例を引いたのはこの蟹である」としている。無論皮肉以外の何物でもない。) そして次男の蟹は小説家になった。 女に惚れるほかは何もしていないが。父蟹の一生を例に、「善は悪の異名である」などと、好い加減な皮肉を並べている。 最後に三男の蟹だが、この蟹は愚物で器用な立ち回りが出来なかったらしく、母や兄たちと違ってただの蟹にしかなれなかった。 特に何か意味を求めずに歩いていた所、地面に落ちていた握り飯を発見。好物だったので拾い上げたが、&font(#ff0000){その近くにある柿の木の上には体についた虱を取っていた猿がいた……。} %%どう足掻いてもバッドエンドなその先を予想されつつ%%芥川は「その先は話す必要はあるまい。」とした上でこう締めくくった。 &font(#ff0000){とにかく猿と戦ったが最後、蟹は必ず天下のために殺されることだけは事実である。} &font(#ff0000){語を天下の読者に寄す。&bold(){君たちもたいてい蟹なんですよ。}} 追記・修正は復讐を果たした上で浮上に駆られないようにお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,3) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - めでたしめでたしで終わってる話を何もバットエンドにせんでも.... -- 名無しさん (2019-08-17 02:14:12) - ↑まあこんな御伽話のパロディーなんていくらでもあるから多少はね? 現実の争い事はめでたしめでたしで済まないのが普通ってことなんかなこの話 -- 名無しさん (2019-08-17 08:29:22) - 「空想法律読本」を先取りした一作 -- 名無しさん (2019-08-17 17:53:40) - 一方小松左京は蜘蛛の糸のバッドエンドをグッドエンド にした -- 名無しさん (2019-08-17 20:20:48) - 鬼灯さんからも一言....お願いします....柿助さんは内緒で....。 -- 名無しさん (2019-08-17 20:37:45) - 「猿が虱をっていた」…って何だ?元が分かんないから修正もできん… -- 名無しさん (2019-08-17 20:57:27) - ↑すみません、作成者です。プロット時のミスなので修正しました。 -- 名無しさん (2019-08-17 21:13:25) - 全国共通なメディア(雑誌とか)がようやく普及してきたあたりの時代で、まだ「昔話」というカテゴリが普及して間もないであろう頃にこれをやったっていう先見性 -- 名無しさん (2019-08-17 21:25:57) - そもそも猿は青い柿を投げつけて蟹を殺したんじゃなかったっけ?その子供たちが仇討ちをする話だったと思うが、猿の行為は殺人とみなされなかったのか? -- 名無しさん (2019-08-17 21:37:44) - 文面からして蟹サイドは全員生存し猿は死んでるみたいだから過剰正当防衛とみなされてるみたい? -- 名無しさん (2019-08-18 08:28:12) - Eテレの昔話法廷だと猿の方が訴えられてたな -- 名無しさん (2019-08-18 11:41:16) - まぁ当時なら斬新だったと思うが今なら「高二病過ぎる」って言われそうな内容よな… -- 名無しさん (2019-08-18 11:46:43) - ↑4警察に訴えれば捕まえられたけど犯人を殺しても罪は罪。 -- 名無しさん (2019-08-19 16:19:57) - 自分もこんな話考えたことあるで。『走れメロス』で、原作通りメロスが王様刺しに行こうとするけど、秒で『テロ等準備罪』で逮捕されるって話(笑 ち、違うんだ。自分の頭は芥川先生のような頭ではないんだーーー -- 名無しさん (2020-08-01 13:10:19) - もし芥川が現代人だったら、こういう嫌味と皮肉たっぷりのSSばっかり投稿してるニートになってたんじゃなかろうか -- 名無しさん (2020-08-01 13:20:45) - 寺田寅彦も猿蟹合戦を題材にした随筆を書いてたけど、芥川龍之介を揶揄ったわけじゃないが「昔話に現代的解釈をこじつけて形式的な教育の型にはめ込むのは子供の解釈の自由さを制限する行為である」としてたな -- 名無しさん (2022-01-26 23:45:10) #comment #areaedit(end) }
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