僕のヒーロー(漫画)

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&font(#6495ED){登録日}:2021/09/05 Sun 19:41:37 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 9 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- 『僕のヒーロー』とは、赤マルジャンプ平成20年冬号に掲載された堀越耕平の[[読み切り]]漫画。 『テンコ』でデビューして以来、堀越先生の2作目の作品となる。 単行本では、『[[逢魔ヶ刻動物園]]』5巻に収録されている。 ご存じ、今や[[週刊少年ジャンプ]]の看板作品である堀越先生の代表作『[[僕のヒーローアカデミア]]』の原型となった作品であり、「ヒーローが当たり前となった社会」「体質ゆえにヒーローになれない主人公」といった要素の元となっている。 『逢魔ヶ刻動物園』の時点で読み切りを数作描いていた堀越先生だが、「一番のお気に入り」は本作だったとか。 *ストーリー 正義を守るヒーローと、悪を犯す怪人がいる世界。 そんな世界で、ヒーローのサポートアイテムを売る小さな会社に勤めるサラリーマン、緑谷弱。 彼はアイテムを売る情熱は誰よりも負けなかったが、生まれつきの虚弱体質でしょっちゅう倒れていた。 そんな緑谷には、ある夢があった。それは、「ヒーローになること」。 彼は会社の売り物のアイテムをこっそり拝借しては、夜な夜な無断のヒーロー活動を行っている。 ある日、彼はパトロール中に怪人と遭遇。手も足も出なかった緑谷を救ったのは、人気ヒーローのスナイプ。 だがスナイプは、緑谷が憧れるヒーローのポジティーを愚弄するような発言をし……。 *登場人物 ・&ruby(みどりや){緑谷} &ruby(ジャック){弱} 主人公。赤橋ヒーローサポートの新入社員。 ねじれた縮れ毛とそばかす、そして変な結び方をしたネクタイが特徴的でどこか不健康な印象を持つ青年。 ご存じ『僕のヒーローアカデミア』の主人公[[緑谷出久]]の原型となったキャラクターで、髪型やそばかすはほぼそのままだが、出久よりも目に生気が宿っていない。 また、出久は「無個性」なだけでそれ以外の身体スペックは連載当初、並~それ以上だったが、こちらは大の虚弱体質で、日常的に貧血や嘔吐を起こし、周囲から心配されている。 そうした体質ながらも熱心にアイテムを売り込むので、社長の赤橋をはじめとした他の社員からは「会社のヒーロー」とまで言われている。 幼い頃迷子になったところを当時無敵のヒーローだったポジティーに助けられ、以来ヒーローになることを志していた。 しかし、虚弱体質の彼にはヒーロー免許を取れず、仕方なくヒーローサポートアイテム会社に入社してそのアイテムを使い違法のヒーロー活動を行っていた。 その際のヒーロー名は「ジャック」。コスチュームはポジティーのパク…リスペクトである。 しかし、元々の虚弱体質ゆえに怪人相手にはアイテムを使っても手も足も出ないのが現状だった。 そんな中で、ポジティーを嫌うスナイプと出会い、彼に悪印象を持つのだが……。 ・スナイプ 現在人気急上昇中のヒーロー。 ガスマスクを付けた西部劇のガンマン風の見た目をしている。 斜に構えたニヒルな態度で、「孤高のヒーロー」の異名を持つ。 ヒーロー活動中怪人に襲われていた緑谷を助け、「ポジティーの真似」と言い切り、さらにポジティーを「情けねえヒーロー」と愚弄して緑谷から嫌われる。 怪人相手には常に遠距離による狙撃を行い、また怪人を怖がるような素振りを見せる。 『ヒロアカ』にも、[[雄英高校]]の教師ヒーローの一人として登場したが、本作の設定とは大きく異なる。 ・&ruby(あかはし){赤橋} 赤橋ヒーローサポートの社長。 眼鏡が似合うサバサバしたタイプの女性で、何をするにも自信満々さを崩さない。 亡き父の跡を継いで二代目社長になったが、経営知識ゼロなため、作るサポートアイテムはことごとくデザインがダサく、以来売上がウナギ下がりの大赤字にしてしまい、表面上は平気だが内心かなり気にしている。 人一倍セールスに熱心に取り組む緑谷を気にかけており、ポジティー好きなのも共通している。 ・ポジティー かつて無敵と言われた人気絶頂のヒーローで、緑谷の憧れの人。 「さよならは言わせねえぜ」が決め台詞。 怪人に致命傷を与えられ忽然と姿を消してしまい、[[死亡説]]が流れている。 赤橋ヒーローサポートの商品を唯一愛用したヒーローでもある。 ・生鮮戦隊ヘルシーズ 冒頭に登場し、緑谷から万華鏡型ブレードを売り込まれたヒーローチーム。 トマトレッド、キャベツグリーン、ダイコンホワイト、ナスブラック、ジャガブラウンの5人組。 緑谷の虚弱っぷりに引きつつも、彼の熱意に根負けして商品を購入した。 『ヒロアカ』には戦隊タイプのヒーローは希少なためある意味一番浮いた存在。 ・単眼の怪人 パトロール中に緑谷が初遭遇した怪人。 緑谷は手も足も出なかったが、スナイプにより瞬殺される。 ・巨大怪人 今作のラスボス。 当初は「バブー」しか喋らず、顔もスマイリーマークのようなぞんざいな見た目だったが、かなりの怪力を持ち巨大な口で標的を丸呑みにする。 スナイプが撃破しようとしたところを、自分が倒そうとした緑谷に妨害され、結果逃がしてしまい、さらには追いかけた緑谷をボロボロに痛めつけたところをスナイプに撃たれ倒される。 しかし、蘇生し言葉も喋るようになり、巨大な怪物と化してスナイプを捕縛、街を危機に陥れる。 *キーワード ・ヒーロー 治安と平和を守る存在。 今作では「[[個性>個性(僕のヒーローアカデミア)]]」の概念が存在しないため、厳しい体力訓練を受けて免許を取得した人間を指し、特異な能力自体は持ち合わせていない。 免許を取得して、初めてサポートアイテムを駆使して超人的な力を発揮できる。 ・サポートアイテム ヒーローの力の源。基本的にヒーロー免許を持つ者以外は使用することは禁じられている。 赤橋ヒーローサポートの作り出すアイテムは、二代目の社長に代わって以来壊滅的なダサさゆえに全く売れていない。 ・万華鏡型ブレード 赤橋ヒーローサポートの商品。 見ての通り、万華鏡の柄からブレードが伸びる。 ・ベーゴマナックル 赤橋ヒーローサポートの新商品。 ポジティーが愛用した商品にさらに改良を加えたもの。予算オーバーまでした社長の自信作。 ・怪人 社会を脅かしている、ヒーローに相対する存在。 『ヒロアカ』における「&ruby(ヴィラン){敵}」に相当するが、「悪事を働く個性保持者」という意味の『ヒロアカ』版とは異なり、本当に人外の存在のような印象を受ける。 その発生起源については劇中では語られていないが、無知性のような個体がダメージを与えられたことで進化し、知性がついた描写から人知を超越した存在である可能性がある。 #center(){ &b(){以下、本作の後半部分のネタバレがあります。} } 巨大怪人に捕らえられたスナイプを助けるため、緑谷は走る。 着ていたヒーローコスチュームを脱ぎながら、階段を駆け上がり、背広姿に。 ビルの屋上へと上った彼は、スナイプ目掛けて飛び掛かる。 #center(){ &color(green){スナイプ…いや} &font(24px,b){&color(green){ポジティー!!}} &color(green){おまえの仕事は怪人にやられる事じゃないだろ} &color(green){ポジティー!!} &color(brown){おまえ…何…者…だよ…} &font(18px,b){&color(green){ボクは…}} &font(24px,b){&color(green){サラリーマンだ!!}} } 万華鏡型ブレードの一刺しで怪人を油断させてスナイプを救出した緑谷は、ベーゴマナックルを託して「帰ってこいよ」と送り出す。 スナイプはベーゴマナックルの秘密機能―――殴った瞬間コマが発射され、体内を突き進み爆発する仕掛けを発動。それにより、見事怪人は撃破された。 落下し、他のヒーローに受け止められたスナイプが頭上に見たのは、命の恩人の姿だった。 #center(){ &color(green){お買い上げありがとうございます!!} &color(brown){へっ…何がサラリーマンだ…} &font(24px,b){&color(green){さよならは言わせねえぜ}} &font(24px,b){&color(brown){立派にヒーローじゃねえかよ…!!}} } *登場人物・改 ・スナイプ &b(){実は伝説のヒーロー・ポジティーその人であった。} 怪人に重い一撃を受けて以来、それがトラウマとなり、怪人に近づけなくなってしまったのだ。 しかし、ヒーロー活動を諦められなかった彼は、「ポジティー」であることを捨てて遠距離攻撃のスタイルをする別のヒーローとして活動を続けていたのである。 なお、「憧れのヒーローが過去の負傷により引退(弱体化)してしまう」点は『ヒロアカ』の[[オールマイト]]に受け継がれていると言える。 当初は過去の自分を蔑むような言動を取っていたが、ポジティーに強い憧れを抱く緑谷と再会し、初心を取り戻すようになる。 彼は、自分に宛てられた子供時代の緑谷のファンレターを肌身離さず持っていたのだ。 ずっと緑谷に救われていたと気付いた彼は、緑谷を「俺にとってのヒーロー」と認めるのだった。 全てが終わった後、再び「ポジティー」としての活動を開始したようだ。 ・緑谷弱 虚弱体質ゆえにヒーローになれないことに絶望していたが、赤橋から普段の営業の姿勢を褒められ、「ヒーロー」の本質をようやく理解する。 そして、サラリーマンとして、新しいアイテムを届けることによって捨て身の行動でスナイプを救った。 スナイプの、「首を摩る仕草」がポジティーのコスチュームによる名残だと気付き、彼がポジティー本人だと気付いていたのである。 憧れの人に「ヒーロー」と認められ、サラリーマンとしてより商品の営業に打ち込み、さらなる会社のヒーローとして躍進していくことだろう。 …虚弱体質は相変わらずだが。 ・赤橋 怪人に襲われる緑谷を見て、彼がヒーロー活動のために会社を利用していることに気付いたが、それ以上咎めることはしなかった。 緑谷の絶望を知り、彼が熱心に営業活動を行う姿を「立派」だとして、会社を救ってくれたことを感謝する。 そして、&b(){「ヒーローって職だけがヒーローじゃない」「困ってるヒトを救うことで人はヒーローになれる」}と説き、彼に本質を教えた。 その後、スナイプの正体発覚を機に注文が殺到し、会社の成績は右肩ウナギ上がりになった。 *そして『僕のヒーローアカデミア』へ 『戦星のバルジ』連載終了から2年のブランクを経て、長い準備期間をかけて連載開始したのが、本作を基にした『僕のヒーローアカデミア』だった。 連載のため、堀越先生は大幅に今作の設定を作り直し、主要人物に関しても基盤は同じながらもほぼ一新している。 そして、連載までには紆余曲折の設定変更があった。 例えば、主人公は最初期は「赤谷海雲(通称・ヤミクモ)」という名前で、無個性のまま、道具を用いて敵に対抗するという、読み切り版と同じようなコンセプトで行く案だった。 後に318話のサブタイトルに使われることになり、意識しているが不明であるが、この時のデクは黒い塊と化しており、陰気さマッハな今の姿はヤミクモの片鱗なのかもしれない。 しかし、「主人公に何か能力があった方が作品に広がりが持てる」という担当編集のアドバイスにより、個性[[ワン・フォー・オール>ワン・フォー・オール(僕のヒーローアカデミア)]]が生まれた。 他、[[爆豪勝己]]に当たるライバルキャラが「天才すぎて悪意なく他人の自尊心を踏みつける優等生」だったり、当初のヒロインがMt.レディのような巨大化能力を持つ少女だったりと、様々な案が浮かんでは消えていった。 これらの取捨選択によって、連載版は成り立っていったのである。 また、『僕のヒーロー』以外にも、『ヒロアカ』には堀越先生の他作品の要素が多数詰まっている。 ・『逢魔ヶ刻動物園』の登場人物がプロヒーローとして多数登場(ウワバミ、ギャングオルカ、シシド等) ・『進化ラプソディ』の「進化」を発展させた「個性」 ・『テンコ』の主人公テンコを基にした[[死柄木弔]] こうした、堀越先生の漫画家としての積み重ねが、『ヒロアカ』本編には色濃く出ている。 追記・修正は困っている人を救う精神でお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,5) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 逢魔ヶ刻動物園と併せて、作者の原点が溢れた作品。ヒロアカファンは一度触れて欲しい -- 名無しさん (2021-09-05 20:34:48) - ヒロアカとも共通するキャラのコミカルな会話が面白い -- 名無しさん (2021-09-05 21:25:43) - これ動物園に収録されていたのか -- 名無しさん (2021-09-05 23:21:20) - 担当に「やっぱり主人公に特別な力を持たせて欲しい」と言われた堀越先生の心境やいかに -- 名無しさん (2021-09-05 23:25:54) - 堀越先生はONE PIECEのウソップギャラリー海賊団にもイラストが掲載されたことがあるけど、『戦星のバルジ』が短期間で連載終了したことで精神的に落ち込んで創作活動が停滞してしまってたんだよな。 -- 名無しさん (2021-09-06 01:33:18) - ヒーローと怪人の設定はワンパンマンに近いよな。 -- 名無しさん (2021-09-06 01:35:02) - 現状のヒロアカもまぁ面白いけどさ、やっぱり原案の持たざるものがヒーローを目指す話も読みたかったよ。ヒロアカで当初OFA継承したときは本当にガッカリした -- 名無しさん (2021-09-06 05:06:53) - ↑3けどバルジの描き下ろし漫画がきっかけでデクが誕生したんだからバルジを描いたことも無駄じゃなかったんだよな -- 名無しさん (2021-09-06 05:08:16) - >「無個性のまま、道具を用いて敵に対抗する」 これだとエム×ゼロの二番煎じだと言われてたかも -- 名無しさん (2021-09-06 08:05:10) - 主人公としては「持つもの」になっちゃったけど、脇役やサブキャラ、ヴィランに持たざる者の絶望を語らせてきたから本誌も好きだな。心操、ミリオ、物間あたりが焦りという形で出してくれてた。ストレートに僻んでたのは刃物が出てくる個性のチンピラくらいだけど -- 名無しさん (2021-09-06 11:40:13) - ↑4わかる。デクは呪いを背負う方向で曇っちゃったからなあ。 -- 名無しさん (2021-09-06 11:43:12) - ↑5ある意味「マッシュル」がそれに近いんじゃないだろうか。いや、ノリとしては「ワンパンマン」に近いんだろうけど -- 名無しさん (2021-09-06 20:36:28) - かっちゃんの「優等生だが相手を見下す性格」は物間に受け継がれて行ったかも。また梅雨ちゃん、葉隠透、発目明は当初男性として出る予定だったとか。 -- 名無しさん (2021-10-04 07:55:37) #comment #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2021/09/05 Sun 19:41:37 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 9 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- 『僕のヒーロー』とは、赤マルジャンプ平成20年冬号に掲載された堀越耕平の[[読み切り]]漫画。 『テンコ』でデビューして以来、堀越先生の2作目の作品となる。 単行本では、『[[逢魔ヶ刻動物園]]』5巻に収録されている。 ご存じ、今や[[週刊少年ジャンプ]]の看板作品である堀越先生の代表作『[[僕のヒーローアカデミア]]』の原型となった作品であり、「ヒーローが当たり前となった社会」「体質ゆえにヒーローになれない主人公」といった要素の元となっている。 『逢魔ヶ刻動物園』の時点で読み切りを数作描いていた堀越先生だが、「一番のお気に入り」は本作だったとか。 *ストーリー 正義を守るヒーローと、悪を犯す怪人がいる世界。 そんな世界で、ヒーローのサポートアイテムを売る小さな会社に勤めるサラリーマン、緑谷弱。 彼はアイテムを売る情熱は誰よりも負けなかったが、生まれつきの虚弱体質でしょっちゅう倒れていた。 そんな緑谷には、ある夢があった。それは、「ヒーローになること」。 彼は会社の売り物のアイテムをこっそり拝借しては、夜な夜な無断のヒーロー活動を行っている。 ある日、彼はパトロール中に怪人と遭遇。手も足も出なかった緑谷を救ったのは、人気ヒーローのスナイプ。 だがスナイプは、緑谷が憧れるヒーローのポジティーを愚弄するような発言をし……。 *登場人物 ・&ruby(みどりや){緑谷} &ruby(ジャック){弱} 主人公。赤橋ヒーローサポートの新入社員。 ねじれた縮れ毛とそばかす、そして変な結び方をしたネクタイが特徴的でどこか不健康な印象を持つ青年。 ご存じ『僕のヒーローアカデミア』の主人公[[緑谷出久]]の原型となったキャラクターで、髪型やそばかすはほぼそのままだが、出久よりも目に生気が宿っていない。 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冒頭に登場し、緑谷から万華鏡型ブレードを売り込まれたヒーローチーム。 トマトレッド、キャベツグリーン、ダイコンホワイト、ナスブラック、ジャガブラウンの5人組。 緑谷の虚弱っぷりに引きつつも、彼の熱意に根負けして商品を購入した。 『ヒロアカ』には戦隊タイプのヒーローは希少なためある意味一番浮いた存在。 ・単眼の怪人 パトロール中に緑谷が初遭遇した怪人。 緑谷は手も足も出なかったが、スナイプにより瞬殺される。 ・巨大怪人 今作の[[ラスボス]]。 当初は「バブー」しか喋らず、顔もスマイリーマークのようなぞんざいな見た目だったが、かなりの怪力を持ち巨大な口で標的を丸呑みにする。 スナイプが撃破しようとしたところを、自分が倒そうとした緑谷に妨害され、結果逃がしてしまい、さらには追いかけた緑谷をボロボロに痛めつけたところをスナイプに撃たれ倒される。 しかし、蘇生し言葉も喋るようになり、巨大な怪物と化してスナイプを捕縛、街を危機に陥れる。 *キーワード ・ヒーロー 治安と平和を守る存在。 今作では「[[個性>個性(僕のヒーローアカデミア)]]」の概念が存在しないため、厳しい体力訓練を受けて免許を取得した人間を指し、特異な能力自体は持ち合わせていない。 免許を取得して、初めてサポートアイテムを駆使して超人的な力を発揮できる。 ・サポートアイテム ヒーローの力の源。基本的にヒーロー免許を持つ者以外は使用することは禁じられている。 赤橋ヒーローサポートの作り出すアイテムは、二代目の社長に代わって以来壊滅的なダサさゆえに全く売れていない。 ・万華鏡型ブレード 赤橋ヒーローサポートの商品。 見ての通り、万華鏡の柄からブレードが伸びる。 ・ベーゴマナックル 赤橋ヒーローサポートの新商品。 ポジティーが愛用した商品にさらに改良を加えたもの。予算オーバーまでした社長の自信作。 ・怪人 社会を脅かしている、ヒーローに相対する存在。 『ヒロアカ』における「&ruby(ヴィラン){敵}」に相当するが、「悪事を働く個性保持者」という意味の『ヒロアカ』版とは異なり、本当に人外の存在のような印象を受ける。 その発生起源については劇中では語られていないが、無知性のような個体がダメージを与えられたことで進化し、知性がついた描写から人知を超越した存在である可能性がある。 #center(){ 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しかし、「主人公に何か能力があった方が作品に広がりが持てる」という担当編集のアドバイスにより、個性[[ワン・フォー・オール>ワン・フォー・オール(僕のヒーローアカデミア)]]が生まれた。 他、[[爆豪勝己]]に当たる[[ライバル]]キャラが「天才すぎて悪意なく他人の自尊心を踏みつける優等生」だったり、当初のヒロインがMt.レディのような[[巨大化]]能力を持つ少女だったりと、様々な案が浮かんでは消えていった。 これらの取捨選択によって、連載版は成り立っていったのである。 また、『僕のヒーロー』以外にも、『ヒロアカ』には堀越先生の他作品の要素が多数詰まっている。 ・『逢魔ヶ刻動物園』の登場人物がプロヒーローとして多数登場(ウワバミ、ギャングオルカ、シシド等) ・『進化ラプソディ』の「進化」を発展させた「個性」 ・『テンコ』の主人公テンコを基にした[[死柄木弔]] こうした、堀越先生の漫画家としての積み重ねが、『ヒロアカ』本編には色濃く出ている。 追記・修正は困っている人を救う精神でお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,5) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 逢魔ヶ刻動物園と併せて、作者の原点が溢れた作品。ヒロアカファンは一度触れて欲しい -- 名無しさん (2021-09-05 20:34:48) - ヒロアカとも共通するキャラのコミカルな会話が面白い -- 名無しさん (2021-09-05 21:25:43) - これ動物園に収録されていたのか -- 名無しさん (2021-09-05 23:21:20) - 担当に「やっぱり主人公に特別な力を持たせて欲しい」と言われた堀越先生の心境やいかに -- 名無しさん (2021-09-05 23:25:54) - 堀越先生はONE PIECEのウソップギャラリー海賊団にもイラストが掲載されたことがあるけど、『戦星のバルジ』が短期間で連載終了したことで精神的に落ち込んで創作活動が停滞してしまってたんだよな。 -- 名無しさん (2021-09-06 01:33:18) - ヒーローと怪人の設定はワンパンマンに近いよな。 -- 名無しさん (2021-09-06 01:35:02) - 現状のヒロアカもまぁ面白いけどさ、やっぱり原案の持たざるものがヒーローを目指す話も読みたかったよ。ヒロアカで当初OFA継承したときは本当にガッカリした -- 名無しさん (2021-09-06 05:06:53) - ↑3けどバルジの描き下ろし漫画がきっかけでデクが誕生したんだからバルジを描いたことも無駄じゃなかったんだよな -- 名無しさん (2021-09-06 05:08:16) - >「無個性のまま、道具を用いて敵に対抗する」 これだとエム×ゼロの二番煎じだと言われてたかも -- 名無しさん (2021-09-06 08:05:10) - 主人公としては「持つもの」になっちゃったけど、脇役やサブキャラ、ヴィランに持たざる者の絶望を語らせてきたから本誌も好きだな。心操、ミリオ、物間あたりが焦りという形で出してくれてた。ストレートに僻んでたのは刃物が出てくる個性のチンピラくらいだけど -- 名無しさん (2021-09-06 11:40:13) - ↑4わかる。デクは呪いを背負う方向で曇っちゃったからなあ。 -- 名無しさん (2021-09-06 11:43:12) - ↑5ある意味「マッシュル」がそれに近いんじゃないだろうか。いや、ノリとしては「ワンパンマン」に近いんだろうけど -- 名無しさん (2021-09-06 20:36:28) - かっちゃんの「優等生だが相手を見下す性格」は物間に受け継がれて行ったかも。また梅雨ちゃん、葉隠透、発目明は当初男性として出る予定だったとか。 -- 名無しさん (2021-10-04 07:55:37) #comment #areaedit(end) }

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