皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ(映画)

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&font(#6495ED){登録日}:2024/10/22 Tue 23:12:39 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 10 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&sizex(6){&font(b,i){イタリアだけじゃない&br()世界中が求めるヒーローだ}}} &b(){『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ(原題:Lo chiamavano Jeeg Robot)』}は、2015年制作・2016年2月に公開されたイタリアのSF・クライムアクション・ダークヒーロー映画。 日本では2017年5月20日に公開された。 監督は、これが長編デビュー作となったガブリエーレ・マイネッティ。 #Openclose(Show=▽目次){ #Contents()} *【概要】 ……ネタ臭い邦題だが、上記の通り&b(){原題から少しの意訳もしていない直訳}であり、何と監督のマイネッティ自身により付けられたもの。 日本では、イマイチ馴染みが薄いイタリア映画とあってか公開規模も小さく((配給のザジフィルムズは渋めのヨーロッパ映画を主に国内に持ち込んでくれる玄人好みの配給会社。))、せっかくのインパクトのあるタイトルも(時流のタイミングもあってか)刺さらず……と、 せっかくの&b(){ジャポネサブカルチャー礼賛映画}なのに肝心の日本では大ヒットしたとは言い難く“知る人ぞ知る”映画になってしまっているのが残念な所。 &font(l){そもそも鋼鉄ジーグの知名度自体が日本ではあまり高くないという事情もあるだろう。スパロボに出てやっと知名度を高めたぐらいで、かつ三回ぐらいしか出演できていないというのもあるし。} しかし、イタリア国内では国内最高峰のダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞にて、歴代最多16部門にノミネートされ7部門で受賞など、国産映画としては歴代最高峰の評価を受けるヒット作となり 、口コミからヨーロッパ各国での成績も上々だった模様。 *【制作背景】 ヨーロッパと日本のロボアニメの関係と言えば、&b(){フランスで視聴率100%を達成した『ゴルドラック([[UFOロボ グレンダイザー>UFOロボ グレンダイザー(アニメ)]])』}が有名だが、実は同時代のイタリア(とかスペイン)も似たような状況で、当時から日本産の各種アニメ━━特にロボットアニメが人気であった。 中でも、イタリアで人気があったのはフランス同様に『グレンダイザー(ゴルドレイク)』……&b(){そして、今回の主役となる『[[鋼鉄ジーグ]]』}である。((パレードの山車として巨大なマジンガーZやグレンダイザーが登場したり、音楽番組でも「鋼鉄ジーグの歌」は懐メロの定番になっている。)) どれだけ人気だったかと言うと、監督のガブリエーレ・マイネッティ曰く、当時のイタリアでは&ruby(●●){毎日}、TVプログラムの&b(){2〜3時間が日本のアニメの時間}で、しかも&b(){ご近所さんで広場に集って街頭テレビに歓声をあげる環境だった}とのこと。 ……そんなん大人気になるわなぁ。 子供達(大人も)は本気でヒロシ(司馬宙)の活躍に一喜一憂して拳を振り上げ、ごっこ遊びでは皆がジーグになりたがったのだとか。 割と真面目に、当時の子供達の倫理観や人生観を育てるのに貢献したのが勧善懲悪な日本のアニメだったとのこと。 イタリアというと、日本ではカルチョ(サッカー)とラテンと高級ブランドと美食の国というイメージで固まっているが、 実は、それと同時に&b(){老若男女が「鋼鉄ジーグの歌」で盛り上がれる国}なのだということを日本人はもっと知るべきである。 ……実は、そんな状況だったから2017年に『[[マジンガーZ/Infinity>劇場版 マジンガーZ / INFINITY]]』が制作・公開された時にはイタリアで盛り上がっていたのだ。 監督のマイネッティも構想を思いついた段階ではゴルドレイク(グレンダイザー)をタイトルに据えようかとも思っていたとのことだが、草稿が出来た頃には「この物語のテーマ的に変身型のジーグの方がタイトルに相応しいのではないか」と思い直したとのこと。 そして、そんな日本人ならばニヤニヤしてしまうような背景事情を持つ本作だが、ジャンル的には近年では珍しくなくなった&b(){リアリティ風味のダークヒーロー物}である。 作風としては中々にシリアスで重苦しい、容赦のないバイオレンス要素も普通にというか&b(){過剰なレベルに含まれる}。(誰が呼んだか[[タランティーノ>クエンティン・タランティーノ]]+[[MCU>マーベル・シネマティック・ユニバース]]な映画。) ……なので、タイトルの珍妙さから決して侮ってはいけないものの、それだけ&b(){クソ真面目にヒーローをイタリア人が考えて、且つその国産ヒーローの名前として何故に『鋼鉄ジーグ 』を選んだ}のか……それに思いを馳せつつ視聴してみるのも面白いかもしれない。 最後となるが、今作の特報映像のラストで「ジーグ」原作者の永井豪先生が今作に以下のメッセージを載せている。そして、2024年にダイナミックプロの許諾を受ける形で当時の絵柄を再現したクロスオーバーコミック『鋼鉄ジーグvsグレンダイザー』が刊行予定。 #center(){&b(){犯罪と汚濁まみれのローマの下町で、} &b(){アニメヒーロー『鋼鉄ジーグ』に憧れる女性の為、} &b(){正義の戦いに立ち上がる”男の純情”が美しい!!} &sizex(6){&b(){「ガンバレ、君は鋼鉄ジーグだ!!」}}} *【物語】 近頃の大規模な爆弾を用いたテロ騒ぎに揺れるイタリア、ローマ━━。 しかし、そんな社会情勢など関係ないとばかりに小悪党のエンツォは今日も高そうな金の腕時計をパクり……まんまと見つかって刑事に追われていた。 追い詰められたエンツォは川岸の小屋へ。 しかし、追ってきた刑事により挟み撃ちにされたもののエンツォの姿はない。 何と、往生際の悪いエンツォは刑事の目を誤魔化すためだけにゴミの散乱する川に入ったのだった。 刑事の姿が消えた後で川底のゴミを踏みながら岸まで戻ろうとしたエンツォだったが、途中で大きな缶のようなゴミに躓き、しかも誤って蓋を開けてしまい吹き出してきた物質を引っ被ることに。 自宅に帰るまでの間にみるみると体調を悪くしていくエンツォ━━そう、あの缶は&b(){不法投棄された核廃棄物が詰められたブツ}だったのだ。 そんなものを生身で吸収したのだから哀れなエンツォは翌日には……&b(){体調を回復させて動ける}ように。 翌日、地元の新興マフィア……にも至っていないチンピラ集団の一員で、唯一の仕事仲間と呼べる盗品を買い取ってくれるマンションの下の階に住むセルジョを仕事場まで訪ねたエンツォは、 外出してきたついでとばかりにセルジョが今しがたの大事な仕事として任された、工事中のビルでのアフリカ系の黒人2人組の麻薬バイヤーとの取引に付き合わされることに。 しかし、元から先日のトラブルにて傷を負っていたバイヤーの一人が、無理矢理に9階まで登らされたのが仇となったのか急激な昏睡状態に陥った後に泡を吹いて死んでしまい、上手く話をまとめようとしたセルジョもまた、もう一人の黒人に撃たれてしまうのだった。 しかし、体の大きいセルジョは倒れる前に突進して相手の黒人を柱に打ち付け、そのまま何度も後頭部を打ち据えて相打ちに。 ……そして、この時の衝撃でついでのように黒人がショックで発砲した弾丸を受けてしまい9階から外へと落ちるエンツォだったが━━ややあってから起き上がる。 混乱しつつ帰宅したエンツォはしつこくセルジョの娘であるアレッシアに詰問されるが、混乱とそもそもが父親が死んだなんて言えないので無視して帰宅。 ━━が、銃弾を受けた傷が直ぐに塞がったり、何よりもドアの前で騒ぎ続けるアレッシアを脅す為に強めにドアを叩いただけのつもりの拳が鉄の扉を貫通するなど、気づいてみれば自分に異常な力が備わっていることに気づいたエンツォはフードで顔を隠した後に深夜のATMに向かうと、警報が鳴るのもお構いなしに&b(){金庫を壁から引き剥がして帰宅}……大金をせしめるのだった。 翌朝、アレッシアがマフィア達にセルジョの行方を詰問されている声で目覚めるエンツォ。 自分の存在を出されないか━━という保身が目的で様子をうかがっていたのがきっかけだったが、異常な自分の能力に気づいたこともあってか、窓からセルジョの部屋へと侵入。 今まさにマフィアに荒らされ、アレッシアが窮地に追い込まれている現場に乱入する。 部下達に攻撃を命じた(一応は)ボスのジンガロだが、エンツォのパワーの前に仲間達が薙ぎ倒される中で、自分は何とかアレッシアを盾にして一撃を受けつつもしっぺ返しにエンツォの足に包丁を突き立ててから逃げることに成功。 ……こうして、グダグダとなりながらもアレッシアを救い出したエンツォにアレッシアは言う。 &b(){「鋼鉄ジーグ……司馬宙なのね。家に行ってもいい?」} これは、どうしようもないクズの中年男が傷つきながらも自分の好きな夢を忘れなかった少女の意思を受け継いで、自分が&b(){ジーグ・ロボット(ヒーロー)になるのを目指す}物語。 *【主要登場人物】 &font(b,#ff0000){※以下に核心部分のネタバレあり。} -&b(){エンツォ/ヒロシ} 演:クラウディオ・サンタマリア 本作の主人公。 しょぼくれた、ややメタボが入っている孤独なチンピラのおっさんで、仲間も組織もなく個人的な軽犯罪を犯しては細々と食いつないできた。 アダルトビデオ鑑賞と、小さなカップのヨーグルトを食べる位しか楽しみがない。 警察から逃げる途中で汚染された川に入った後に生き延びたのが原因で自分でもあやふやなままに超人的な力を身に着け、あやふやなままに各所のATMや現金輸送車を襲って大金をせしめ、その姿が動画サイトでか拡散されたことから&b(){&ruby(超人犯罪者){スーパークリミナル}}として、ちょっとした有名人に。 セルジョの死後、気まぐれから助けてしまったアレッシアと関わる中で自分も『鋼鉄ジーグ』を知り、無趣味だったためか思わずDVDボックスを買ってしまう程にハマってしまうなど根が素直なのは窺え、生活環境の悪さが現在の空虚な人物になった原因だと思える場面が多い。 アレッシアを無神経さから傷付けてしまった時には、フードを被っていなかったにもかかわらず&b(){路面電車に追いすがって後方から車輌を止めて脱線}させており、そもそもが自分が世間で騒がれているという自覚もなく&b(){“スーパークリミナル”としての正体を明かしてしまう}が……。 アレッシアにスーパーパワーを認められてからは“ヒロシ”と呼ばれている。 -&b(){アレッシア} 演:イレニア・パストレッリ 本作のヒロイン。 エンツォが盗品を買ってもらっているセルジョ(演:ステファノ・アンブロジ)の娘で、顔立ちは美しいが精神的に不安定な所があり精神科医の世話になっている他、セルジョが逮捕勾留されていた時には養護施設に預けられたりしていたのでエンツォも存在に気づいていなかった。 躁病気質でオタク趣味で『鋼鉄ジーグ』が好きで、世の中の悪いものをアマソや女王ヒミカ、炎の帝王……など『鋼鉄ジーグ』のキャラクターに例えることがあり、エンツォの超人的パワーを知った後は彼をヒロシと呼び慕い付きまとうようになる。 精神的に壊れてはいるが地頭はよく、一方ではこれまでの環境にて性的虐待を受けてきたと思われる様子もあり、夢であった“お姫様のドレス”を買ってもらった時にエンツォと結ばれるも、エンツォの行為が自分を虐げてきた男達と同様の身勝手なものであったことからショックを受けて去りかけるが、他ならぬエンツォに引き止められて父親の遺体とも対面させてもらったことで現実を受け止めてエンツォと共に逃げることに同意。 ━━が、その直後にエンツォのパワーを求めてやって来たジンガロに捕らえられ人質とされてしまう━━。 監督のマイネッティ曰く「自分だけでは何もできないエンツォに手足を付けてヒーローにしてやる卯月美和の役目」とのこと。 -&b(){ジンガロ} 演:イレニア・パストレッリ 上昇志向が強くプライドだけは高いが実態が全く伴っていない、成り上がりを目指しているチンピラ。 しかし、頭の回転が早く勘も鋭い、イキってる部分が多いとはいえ行動力もあるなど、決して侮れない部分が多くチャンスと堪え性とカリスマ性に恵まれていなかっただけなのかもしれない。&s(){[[男もイケるしな(ヌッ)>タフシリーズ(猿渡哲也)]]} 幼少期にのど自慢のTV番組((ビッグブラザーと言われてハッピーサンデーと訂正するのがお約束となっており、世間的にはビッグブラザーの方が有名→ジンガロはそっちには出れなかったという隠喩になっている。))に出たのが自慢。 仲間と共に地元のマフィアの下部組織の更に使い走りのボスを気取るが、実際にはその立場さえも危うい有り様である。 ジンガロ本人のみに問題があった訳ではないもののエンツォも居合わせたセルジョの取引の失敗あたりから仕事をもらっている下部組織との関係が悪化していき、その過程で仲間割れと報復で次々と仲間を失ってゆく。 そして、その打開策として自分と少なくない因縁を抱えたスーパークリミナルの正体がエンツォだと知り、協力か&b(){エンツォがパワーを得た原因を自分にも教えるように}迫る。 そして、アレッシアを人質として遂にエンツォがパワーを得た川辺まで案内させることに成功するが、そこを上役の女マフィアのヌンツィア(アントニア・トルッポ)に襲撃され、前回は免れた火だるまにされて川へと逃れるが、そこでエンツォと同じく放射性物質に触れても生存することに成功し、2人目の超人になることに成功。 組織を襲撃して配下達と共にヌンツィアを圧倒的なパワーで虐殺する様を自ら動画撮影し、実はヌンツィアが行っていた爆弾騒ぎを引き継ぎスタジアムでのサッカーの試合中に爆破事件を起こすことを予告した。 アレッシアからは“炎の帝王(竜魔帝王)”と呼ばれており、火だるまになった後にスーパーパワーを得るのも、そのオマージュだと思われる。 *【余談】 -EDで流れる「鋼鉄ジーグの歌」はエンツォ役のクラウディオ・サンタマリア自身によるカバー。&br()歌詞を見るとイタリア版では「君もジーグになれる」という、映画のテーマに合致したものになっているのが解るはず。 追記修正はヒロシ・シバになってからお願い致します。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,8) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 哀しくも美しいヒーローのオリジンの話だよなこれ -- 名無しさん (2024-10-23 23:20:27) - ↑いわゆるビギニングものってやつだな。誕生秘話というか。スーパーパワーの限界点の描写が凄くいい塩梅。高いところから落ちても大丈夫だが指はくっつかない…泣けるぜ -- 名無しさん (2024-10-24 07:44:03) - 欲を言えば、もっと人助けをしてからの場面が欲しかった。オープニングで現在の姿を見せてから回想で本編に行くか、エンドロールで見せてくれるでもいいから。野球ボールがショットガンみたくなってたのは笑った。VFXのレベル高かった。 -- 名無しさん (2024-10-24 08:42:53) - 懐かしい。観たけど「まあ悪くなかったな」って印象しか残ってなかった。もう一回見てみるか・・・。 -- 名無しさん (2024-10-24 11:23:45) #comment() #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2024/10/22 Tue 23:12:39 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 10 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&sizex(6){&font(b,i){イタリアだけじゃない&br()世界中が求めるヒーローだ}}} &b(){『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ(原題:Lo chiamavano Jeeg Robot)』}は、2015年制作・2016年2月に公開されたイタリアのSF・クライムアクション・ダークヒーロー映画。 日本では2017年5月20日に公開された。 監督は、これが長編デビュー作となったガブリエーレ・マイネッティ。 #Openclose(Show=▽目次){ #Contents()} *【概要】 ……ネタ臭い邦題だが、上記の通り&b(){原題から少しの意訳もしていない直訳}であり、何と監督のマイネッティ自身により付けられたもの。 日本では、イマイチ馴染みが薄いイタリア映画とあってか公開規模も小さく((配給のザジフィルムズは渋めのヨーロッパ映画を主に国内に持ち込んでくれる玄人好みの配給会社。))、せっかくのインパクトのあるタイトルも(時流のタイミングもあってか)刺さらず……と、 せっかくの&b(){ジャポネサブカルチャー礼賛映画}なのに肝心の日本では大ヒットしたとは言い難く“知る人ぞ知る”映画になってしまっているのが残念な所。 &font(l){そもそも鋼鉄ジーグの知名度自体が日本ではあまり高くないという事情もあるだろう。スパロボに出てやっと知名度を高めたぐらいで、かつ三回ぐらいしか出演できていないというのもあるし。} しかし、イタリア国内では国内最高峰のダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞にて、歴代最多16部門にノミネートされ7部門で受賞など、国産映画としては歴代最高峰の評価を受けるヒット作となり 、口コミからヨーロッパ各国での成績も上々だった模様。 *【制作背景】 ヨーロッパと日本のロボアニメの関係と言えば、&b(){フランスで視聴率100%を達成した『ゴルドラック([[UFOロボ グレンダイザー>UFOロボ グレンダイザー(アニメ)]])』}が有名だが、実は同時代のイタリア(とかスペイン)も似たような状況で、当時から日本産の各種アニメ━━特にロボットアニメが人気であった。 中でも、イタリアで人気があったのはフランス同様に『グレンダイザー(ゴルドレイク)』……&b(){そして、今回の主役となる『[[鋼鉄ジーグ]]』}である。((パレードの山車として巨大なマジンガーZやグレンダイザーが登場したり、音楽番組でも「鋼鉄ジーグの歌」は懐メロの定番になっている。)) どれだけ人気だったかと言うと、監督のガブリエーレ・マイネッティ曰く、当時のイタリアでは&ruby(●●){毎日}、TVプログラムの&b(){2〜3時間が日本のアニメの時間}で、しかも&b(){ご近所さんで広場に集って街頭テレビに歓声をあげる環境だった}とのこと。 ……そんなん大人気になるわなぁ。 子供達(大人も)は本気でヒロシ(司馬宙)の活躍に一喜一憂して拳を振り上げ、ごっこ遊びでは皆がジーグになりたがったのだとか。 割と真面目に、当時の子供達の倫理観や人生観を育てるのに貢献したのが勧善懲悪な日本のアニメだったとのこと。 イタリアというと、日本ではカルチョ(サッカー)とラテンと高級ブランドと美食の国というイメージで固まっているが、 実は、それと同時に&b(){老若男女が「鋼鉄ジーグの歌」で盛り上がれる国}なのだということを日本人はもっと知るべきである。 ……実は、そんな状況だったから2017年に『[[マジンガーZ/Infinity>劇場版 マジンガーZ / INFINITY]]』が制作・公開された時にはイタリアで盛り上がっていたのだ。 監督のマイネッティも構想を思いついた段階ではゴルドレイク(グレンダイザー)をタイトルに据えようかとも思っていたとのことだが、草稿が出来た頃には「この物語のテーマ的に変身型のジーグの方がタイトルに相応しいのではないか」と思い直したとのこと。 そして、そんな日本人ならばニヤニヤしてしまうような背景事情を持つ本作だが、ジャンル的には近年では珍しくなくなった&b(){リアリティ風味のダークヒーロー物}である。 作風としては中々にシリアスで重苦しい、容赦のないバイオレンス要素も普通にというか&b(){過剰なレベルに含まれる}。(誰が呼んだか[[タランティーノ>クエンティン・タランティーノ]]+[[MCU>マーベル・シネマティック・ユニバース]]な映画。) ……なので、タイトルの珍妙さから決して侮ってはいけないものの、それだけ&b(){クソ真面目にヒーローをイタリア人が考えて、且つその国産ヒーローの名前として何故に『鋼鉄ジーグ 』を選んだ}のか……それに思いを馳せつつ視聴してみるのも面白いかもしれない。 最後となるが、今作の特報映像のラストで「ジーグ」原作者の永井豪先生が今作に以下のメッセージを載せている。そして、2024年にダイナミックプロの許諾を受ける形で当時の絵柄を再現したクロスオーバーコミック『鋼鉄ジーグvsグレンダイザー』が刊行予定。 #center(){&b(){犯罪と汚濁まみれのローマの下町で、} &b(){アニメヒーロー『鋼鉄ジーグ』に憧れる女性の為、} &b(){正義の戦いに立ち上がる”男の純情”が美しい!!} &sizex(6){&b(){「ガンバレ、君は鋼鉄ジーグだ!!」}}} *【物語】 近頃の大規模な爆弾を用いたテロ騒ぎに揺れるイタリア、ローマ━━。 しかし、そんな社会情勢など関係ないとばかりに小悪党のエンツォは今日も高そうな金の腕時計をパクり……まんまと見つかって刑事に追われていた。 追い詰められたエンツォは川岸の小屋へ。 しかし、追ってきた刑事により挟み撃ちにされたもののエンツォの姿はない。 何と、往生際の悪いエンツォは刑事の目を誤魔化すためだけにゴミの散乱する川に入ったのだった。 刑事の姿が消えた後で川底のゴミを踏みながら岸まで戻ろうとしたエンツォだったが、途中で大きな缶のようなゴミに躓き、しかも誤って蓋を開けてしまい吹き出してきた物質を引っ被ることに。 自宅に帰るまでの間にみるみると体調を悪くしていくエンツォ━━そう、あの缶は&b(){不法投棄された核廃棄物が詰められたブツ}だったのだ。 そんなものを生身で吸収したのだから哀れなエンツォは翌日には……&b(){体調を回復させて動ける}ように。 翌日、地元の新興マフィア……にも至っていないチンピラ集団の一員で、唯一の仕事仲間と呼べる盗品を買い取ってくれるマンションの下の階に住むセルジョを仕事場まで訪ねたエンツォは、 外出してきたついでとばかりにセルジョが今しがたの大事な仕事として任された、工事中のビルでのアフリカ系の黒人2人組の麻薬バイヤーとの取引に付き合わされることに。 しかし、元から先日のトラブルにて傷を負っていたバイヤーの一人が、無理矢理に9階まで登らされたのが仇となったのか急激な昏睡状態に陥った後に泡を吹いて死んでしまい、上手く話をまとめようとしたセルジョもまた、もう一人の黒人に撃たれてしまうのだった。 しかし、体の大きいセルジョは倒れる前に突進して相手の黒人を柱に打ち付け、そのまま何度も後頭部を打ち据えて相打ちに。 ……そして、この時の衝撃でついでのように黒人がショックで発砲した弾丸を受けてしまい9階から外へと落ちるエンツォだったが━━ややあってから起き上がる。 混乱しつつ帰宅したエンツォはしつこくセルジョの娘であるアレッシアに詰問されるが、混乱とそもそもが父親が死んだなんて言えないので無視して帰宅。 ━━が、銃弾を受けた傷が直ぐに塞がったり、何よりもドアの前で騒ぎ続けるアレッシアを脅す為に強めにドアを叩いただけのつもりの拳が鉄の扉を貫通するなど、気づいてみれば自分に異常な力が備わっていることに気づいたエンツォはフードで顔を隠した後に深夜のATMに向かうと、警報が鳴るのもお構いなしに&b(){金庫を壁から引き剥がして帰宅}……大金をせしめるのだった。 翌朝、アレッシアがマフィア達にセルジョの行方を詰問されている声で目覚めるエンツォ。 自分の存在を出されないか━━という保身が目的で様子をうかがっていたのがきっかけだったが、異常な自分の能力に気づいたこともあってか、窓からセルジョの部屋へと侵入。 今まさにマフィアに荒らされ、アレッシアが窮地に追い込まれている現場に乱入する。 部下達に攻撃を命じた(一応は)ボスのジンガロだが、エンツォのパワーの前に仲間達が薙ぎ倒される中で、自分は何とかアレッシアを盾にして一撃を受けつつもしっぺ返しにエンツォの足に包丁を突き立ててから逃げることに成功。 ……こうして、グダグダとなりながらもアレッシアを救い出したエンツォにアレッシアは言う。 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