三枚のおふだ

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三枚のおふだ - (2025/04/18 (金) 12:58:08) のソース

&font(#6495ED){登録日}:2012/05/16 Wed 20:32:21
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 4 分で読めます

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『三枚のおふだ』とは日本の昔ばなしの一つである。
[[青森県]]や[[埼玉県]]に伝わっているものが有名であろうか。
認識ある方は多分、[[幼稚園]]のころに貰った本や図書館の本などにあるだろう。


*▼大まかな物語▼
むかしむかし ある所に小さな寺があって、そこにお師匠さんと、弟子の坊主がすんでいた。

ある日、山へ柴刈りへいった坊主だが、道に迷い、日もくれてしまった。

「まいったな、どないしよ」

と、そこに小さな家があった。&font(#ff0000){嫌な予感しかしないが}。

「こりゃ有り難い 一晩止めてもらおう」

とばかりに その家へ上がった。中には老婆がいて、

「あらあら、道に迷ってしまったかね。一晩泊まっていきなされ」

と言われ、食事を頂いたり、布団をしいて貰ったりした。&font(#ff0000){さらに嫌な予感しかしない}。



…その夜、寝ていると、どうも尻がむず痒い。 
坊主は何事かと思い眼を覚ますと、なんと…

#center(){&font(b,#ff0000){老婆が長い舌でケツを嘗めていたのだ。}}

「うへへへ 旨そうな尻だ。寝ている間に食っちまおうか…」

老婆の正体は&ruby(ヤマンバ){山姥}だったのだ。
&font(l){ヤマンバギャル(死語)がショタ坊主を「食べちゃおっ♡」な話ではないよ}

慌てた坊主、

「やっぱり。もう帰りますから許してくだせぇ」

と、帰るそぶりをしたが、時、既に遅し。

「正体がばれちまったら、もうお前に選択肢は無い。後はわかるな…」と言わんばかりに、老婆は、長い舌で&font(b,#ff0000){しつこく弟子の尻を嘗めてくる}。
流石に[[ヤバイ]]と感じた坊主だったが、老婆にケツを嘗められた挙げ句に食われて死ぬわけにはいかない。 そこですかさず、

「お腹の調子がわるい。&ruby(せっちん){雪隠}((便所のこと))へ行かしてくれねぇか?」

と行った。が……

「お前、そういって[[逃げる]]わけじゃないだろうな」

と老婆は言う。便所は外の小屋にあったのだ。それでも坊主は行きたいと願う。そこで、坊主に縄をくくったのだ。

「どないしよ」と坊主は悩んでいると、便所のうえに&font(#ffdc00){神様}がやってきて こういった。

「三枚のおふだをお前に托す。それを使って逃げなさい」

と。 そして、坊主にかかっていた縄を別の場所にくくりつけ、坊主をにがした。

山姥は気づいていないが、いい加減にプッツンときた山姥が無理矢理縄を引くと、

\どんがらがっしゃ~ん/

と、便所の屋根が落ちてきたのである。

「野郎、逃げやがったな!!」

と、キレにキレまくった山姥は、坊主を追い掛けまくった。
そこで坊主は一枚目の&font(#808080){白い札}に、

&bold(){「でかい山になれ!!」}

と願いを込めて後ろに投げる すると、平野だった場所はみるみるうちに天を仰ぐような巨大な山となった!!

「なんだこの山は」

とばかりに山姥はいそいで山を駆け登る。

そして、またまた近づいた山姥、坊主は、二枚目の&font(#0000ff){青い札}に、

&bold(){「大川になれ!!」}

と願いを込めて後ろに投げる みるみるうちに、山姥の目の前は水でいっぱいになった。

「なんだこの川は!!」

とばかりに、大慌てで泳ぐ山姥。

そしてまた近づく山姥、坊主は三枚目の&font(#ff0000){赤い札}に、

&bold(){「大火事になれ」}

と願いをこめて後ろに投げる。山姥の目の前はみるみるうちに炎でいっぱいになった。

それでもかいくぐり、追い掛け回す山姥。

そうこうしてるうちに坊主の寺についてしまった。
坊主はいそいで扉を叩く。

「開けてくだせぇ 師匠様」

と言うが、

「待て待て、まだ慌てる時間じゃない」

と、のんびリーな師匠様。

ようやく開けてもらい、坊主は家に入れてもらう。とその直後お師匠の目の前には例の山姥がいた。

「お前、坊主を引き渡せ 引き渡したら命は助けてやる」

と山姥が言う。 そこでお師匠は、

「なら、俺の要求に答えられたら坊主を引き渡そう。大入道になれ。」

と言った。

「何を、簡単な事を」

と山姥は言うと 天を仰ぐようにでかくなった山姥。 そこで、お師匠様は、

「じゃあ、小さな豆になれ」
とお願いする。

「またまた(ry」

と山姥は言うと、小さい豆になった。お師匠様はその豆を拾って……


……&font(#ff0000){い゙だだぎま゙ぁ゙ず}。


物語は以上である。めでたしめでたし。


ちなみに味はほんのり甘かったらしい。


*▼バリエーション▼
昔話の例に漏れず、地域差により様々なバリエーションがある。
・お札は神様ではなく、出がけに師匠がくれた
・坊主はいたずら好きで、柴刈りではなく遊ぶもしくは栗拾いのために山へ行った
・山姥は坊主の尻を舐めず、人骨の転がった台所で包丁を研いでいるところを坊主に見られて正体がバレる
・一枚目の札は、「まだ入ってる」と便所で嘘を言う
・お札は巨大な砂山に変わり、足を取らせかなりの時間稼ぎが出来る
・お札が変わった大川の水を山姥は飲み干す
・お札が大火事に変わったら前に飲んだ川の水をゲロッて消火
・豆というのはあくまで大きさの比喩で、小さくなっただけの山姥を食べる
・最後の小さくなった山姥を師匠は餅にくるんで食べる
・山姥を食べた師匠がその後[[トイレ]]に行き、出した糞から山姥の化けたハエが出て飛び去る
などなど

まあ共通点は
・坊主は迷って山姥の家へ
・山姥は坊主を&font(b,#f09199){タベタイ}
・三枚のお札で時間稼ぎ
・お師匠様は山姥を食う
の4つか。


*▼神話として▼
この話には元ネタがあり、[[イザナギ]]が[[イザナミ]]を黄泉の国から連れ帰る事に失敗した時、[[イザナミ]]が差し向けたヨモツシコメから[[逃げる]]エピソードであるといわれている。
この話では[[イザナギ]]は最初に櫛の歯を折ってそれを竹の子に変え、次に髪留めの紐を山葡萄に変えてヨモツシコメの足止めを行い
最後に、黄泉津比良坂にあった桃の木から実を捥いで投げつけ、ヨモツシコメを追い払っている。

アメリカの神話学者ジョーゼフ・キャンベルによれば、世界の様々な神話や英雄譚は一貫して共通する物語構造を持ち、&bold(){魔術による逃走}というプロセスもまた、その中の一部に含まれると述べている。
これは「異界を訪れた英雄が自らに課せられた試練を終えた後、元の世界へ帰還する際に待ち構える苦難を越えるべく、超自然的な庇護者からあらゆる助けを借りる」というもので、前述の[[イザナギ]]のくだりは勿論、この昔話にもまんま当てはまることが分かる。
詳しくは同氏の著書『千の顔を持つ英雄』を参照。
かのジョージ・ルーカスも映画『[[スター・ウォーズ>STAR WARSシリーズ(映画)]]』を制作するにあたって大いに参考にした一冊だそうな。


追記、修正は老婆にケツを嘗められながらお願いします

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- まんが日本昔話のこの話が好き。小僧が『バイバイ』と言ったりめん玉飛び出して驚いたり山姥がサーフボード(?)に乗ったりカオス過ぎる  -- 名無しさん  (2013-10-20 23:35:22)
- 最後のはサムスピの妖怪腐れ外道… それはともかく、オチには「食われた山姥がお師匠様の糞から蠅となって出てきた」バージョンもあった気がする  -- 名無しさん  (2013-10-20 23:44:17)
- 元ネタはイザナギがイザナミの放ったヨモツシコメから逃げる話らしいな。  -- 名無しさん  (2013-10-20 23:46:21)
- 俺が知ってるのではヤマンバは尻を舐めるのではなく包丁を砥石でシャーコシャーコやってるのだったな  -- 名無しさん  (2013-10-21 01:15:10)
- 何でお札に「山姥退治して」てお願いしなかったんだ  -- 名無しさん  (2014-07-31 18:46:44)
- ↑2同じく 尻なめるだと子供に直感的に恐怖が分かりづらいからかな  -- 名無しさん  (2014-07-31 18:50:49)
- ↑2 仏門に帰依している小坊主には『相手を殺す』という具体的かつ明確なイマジネーションが不足していたんだ。符術の効果というのは詰まる所使用者のイメージだからね。  -- 名無しさん  (2014-07-31 19:03:52)
- 坊主が帰ってきた時に師匠は餅を焼いていて、山姥は小さくなったあと餅に入れられて食べられた記憶  -- 名無しさん  (2014-07-31 19:13:36)
- 大抵、昔話集に入っている結構有名かつ、昔話らしい昔話。やはり山姥の怖さ、お札のファンタジー性、住職の機転などの要素がほどよく混ざってるからであろう。  -- 名無しさん  (2014-08-01 01:20:09)
- 朧村正のDLストーリー1(化け猫のやつ)の裏EDが何故かこれw  -- 名無しさん  (2014-08-01 01:23:07)
- 俺の知ってるやつでは三番目は大量の桃だったな  --    (2014-08-01 01:46:51)
- なんだっけな、日本のこういう小話を劇中劇みたいな形で登場人物が語る本が小学校か中学校時代の図書館にあったような気がするんだ・・・その中でこのお札の話が取り上げられてた  -- 名無しさん  (2014-08-01 02:23:03)
- 相手に小さいものへの変身を誘導して撃退するってパターン、たしかアラビアンナイトにもあるよね  -- 名無しさん  (2014-08-01 03:32:01)
- 一枚目は便所で代返verしか知らんかった  -- 名無しさん  (2014-08-01 05:11:21)
- ババァ「小坊主かわいいよペロペロ」小坊主「何してんねん!」…ババァが美少女だったら違う展開に。…阿倍さんだったらすごく、大きいです。  -- 名無しさん  (2014-08-01 09:59:44)
- モチにくるんで食べた後和尚さんがお腹壊してトイレに行ったときお知りから出たのが「ハエ」だったという落ちが幼稚園の昔話の絵本のオチになっていた。  -- 名無しさん  (2014-08-01 11:21:44)
- ロリババァなら食われてもいい  -- 名無しさん  (2014-11-04 01:47:04)
- 神頼み的な超常の力ではなく、人間の智恵で化け物退治してしまう辺りが痛快。  -- 名無しさん  (2014-11-04 21:39:18)
- 昔ビデオでこれとにた西洋風の話を見た。ヤマウバが魔女になってたし、御札じゃなくてそれぞれ石鹸、針、ナイフやったけど。  -- 名無しさん  (2015-02-01 17:26:37)
- ドラクエ5のあれはこれのパロディーなんだよね?  -- 名無しさん  (2015-02-02 05:39:37)
- 能力バトルの一種と言える、のか?  -- 名無しさん  (2015-02-02 06:42:33)
- うちの近所だと一枚目は返事札だったなあ。監獄学園での屁の音みたいな、現代にまで通用するネタと言える。  -- 名無しさん  (2016-06-16 14:19:18)
- まんが日本むかし話で、なぜか山姥が大きさを変えるときのSEがガンダムで吹いたことがある  -- 名無しさん  (2016-10-26 12:22:37)
- これのロシア版でバーバヤガーと追いかけっこする話を読んだことがある。あれは何だったんだろ…  -- 名無しさん  (2016-10-26 12:32:33)
- ウルズ7「獲物を前に舌なめずり…三流のすることだな」  -- 名無しさん  (2018-03-20 14:29:49)
- 便所で「まあだまだ、ぴーぴーのさかり」と言って時間稼ぎをするバージョンを読んだ記憶がある。  -- 名無しさん  (2019-06-19 13:17:16)
- 『さいごまで読めない 日本のこわい話』(小池タミ子著)で読んだな。便所で札に「まだ」と言わせて逃げて、札で川出して大火事を消されるけど坊主は寺に逃げ切り、和尚が化かし合いと称して山姥を小さくして餅にくるんで食う流れだった。  -- 名無しさん  (2019-06-19 20:40:39)
- 超ド級伝奇サイキックチェイスアクションwwwwwwwwww  -- 名無しさん  (2019-06-19 20:44:45)
- 小さい時見た紙芝居では舐めるんじゃなくて小坊主が寝ようとしたときに本性現して包丁片手にすごい形相で食おうと襲い掛かってくるんだけどその絵が怖かったなあ  -- 名無しさん  (2020-11-20 20:42:51)
- アニヲタwiki(仮)の『まんが日本昔ばなし』の項目での紹介文が「モーターボートが出てくる昔話」だったので、YouTubeで探して見てみた。うん、あながち間違いじゃない…かもしれない。  -- 名無しさん  (2023-03-27 20:15:05)
- 大山、大川、大火事が坊主を助ける…ある意味「最強」だ。  -- 名無しさん  (2024-01-03 22:28:42)
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