&font(#6495ED){登録日}:2016/03/23 (水) 23:25:20 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約7分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- 放射線取扱主任者とは、以下のものを指す。 1.[[放射線]]を取り扱う事業所において、作業者の障害防止業務を担当するポスト。もしくはそれに従事する職員。 事業所単位で最低1人置くことが法律で定められているが、仕事が多いので複数人揃えるのが普通。 2.1.の業務を行う上で必要な国家資格。本項で解説。 ・どんな資格なの? #center(){ &bold(){&color(red,yellow){免責事項}} &bold(){&color(red,yellow){項目内に記載された難易度評価・社会的評価は、あくまで執筆者ないしは追記者の個人的見解によるものです。言われた通り資格取ったのに選考落ちたーなんて言われても責任は取らないよ!}} &bold(){&color(red,yellow){また、実際に資格を取得したいと思った場合、当Wikiを参考にしようとは思わずにネットを切って参考書を買うなり講座を受けるなりすることを激しくおススメするよ!}} } 放射性同位元素等の安全管理のための法的及び技術的管理を行う、読んで字のごとく&font(red){放射線のエキスパート資格}。 放射性同位元素等を使ったり、売ったり貸したり、あるいはその結果生じた廃棄物を処分したりする事業所等には、 この資格を持つ人を置いて安全管理の統括や教育とかをさせることが法律で定められている。 誤解しやすいが、あくまで安全管理の統括者が持っていればいいので、&bold(){実際に扱う人自身は別に持ってなくてもいい}。 ちなみにこの資格で取り扱える「放射性同位元素等」とは、 基本的には[[放射線]]を出す物質や装置とかの内、理工系の研究や分析等に使用する物だと思えばいい。 例えば核燃料はここでいう「放射性同位元素等」の定義から外れるし、がん治療とかの医療分野の取り扱いも管轄外となる。 (前者は核燃料取扱主任者の、後者は医師の領分になる。) ・どこで使うの? 原子力発電や医療分野ばかりがクローズアップされがちだが、[[放射線]]を用いた技術の用途はかなり多様。 橋等の建造物を壊さずに安全検査したり、製品の滅菌に使ったり、生体内での細胞の挙動観察のレーダーにしたり……等々、 色んな分野で利用されるだけに、需要はかなり高い。 一方で国家資格の中では若干&bold(){マイナー}なことと、分野自体の専門性の強さから、供給は需要のわりに少な目である。 ・どうやって取るの? 取得要件は以下の通り。 ・1種:1種筆記試験に合格後、1種講習会を受講,修了する。 ・2種:2種筆記試験に合格後、2種講習会を受講,修了する。 ・3種:3種講習会を受講,修了する。 放射線取扱主任者には1種から3種までの区分があり、2種と3種は取扱数量や行う事業によっては選任できない。 1種はそうした制限がなく、あらゆる数量のあらゆる取り扱い事業において選任できる。 上記の通り、全ての区分において最終的には「講習会を修了」することで資格を得られる。 ただ、18歳未満の人物には放射性同位元素等の取り扱いをさせてはいけないことが法令で決まってるので、 取り扱い実習がメニューにある講習会の受講、ひいては資格取得も必然的に&bold(){18歳以上}というのが必要条件になっている。 一方で筆記試験には特に&bold(){受験資格はなく}、講習会も&bold(){筆記試験合格後はいつでも受講できる}ので、 「小学生の頃に筆記に合格して、社会人になってから講習会を受けて資格取得」というのも一応可能である。 ・試験、講習の日程は? 筆記試験が行われるのは、毎年8月20日前後。 これは夏の甲子園の決勝戦が行われる頃と被るので、受験者は観戦を諦めざるを得ない事態が多々ある。 余裕があるなら休み時間にワンセグで観る手はあるが、そうでないなら諦めて熱闘甲子園で確認しよう。 講習会は毎月ちょこちょこと受講者を募集しているので、割と自分の都合に合わせて受けられる。 ・合格条件は? 合格条件は1種,2種とも&font(red){全科目の総合得点率6割以上、かつ得点率5割未満の科目が1つも無い}こと。 合格率は1種で20%代前半、2種で30%行くか行かないかくらいが通常。 これが高いか低いかは見る人次第だが、この試験は知名度の低さと専門性の強さ故、 受験者はそれなりに「訓練された人」が大半であることは忘れてはならない。 余談だが、試験を主催する原子力安全技術センターの調査(いずれも1種)によると、 受験者の7割以上が30歳以下、かつ過半数が学生(もしくは無職)と、圧倒的に若者の受験者が多い。 その8割弱は男性であることも相まって、試験会場はさながら[[男子校]]のそれである。 ・具体的な試験内容は? &color(#F54738){※実際に受験する際は、ちゃんと公式サイトの説明を確認すること!} &color(#F54738){ここに書かれている内容との差異で問題が発生しても責任は取らないよ!} 試験科目は以下の通り。 2種は1日がかりで3科目を、1種は2日がかりで6科目もこなすので、結構体力勝負でもある。 科目名の下に、それぞれの出題範囲の簡単な解説も併記しておく。 ・1種筆記試験 ・試験時間75分、1問1答式の5択×30問の科目 ・[[物理学]] 主に[[放射線]]の種類、発生条件、物理的性質や物質との相互作用等についての科目。 暗記すべき事項もそこそこあるが、数式や公式を使った計算問題がやや多め。 全体的に[[放射線]]を学ぶ上で必要な基礎が詰め込まれているので、真っ先に勉強するのがおススメ。 ただ内容は高校レベルの物理、数学のスキルがあること前提なので、そこが不安ならまずは高校時代に戻ったつもりで復習を。 ・化学 主に放射性物質の抽出や沈殿生成といった化学的取り扱いや、放射性物質を用いての化学分析等についての科目。 元素周期表をある程度覚えていることは当然として、モルの計算,各種物質の性質や起こす化学反応等、 高校化学をきちんと習得していないとほとんど取りつく島もない。 暗記あり、計算もそこそこありと総じて盛り沢山であり、多くの受験生にとって鬼門となる分野。 ・生物学 主に[[放射線]]の生体組織内での振る舞いや、それらに与える影響についての科目。 前提知識はDNAの構造や細胞分裂周期など初歩の初歩レベルで充分なので、物理や化学よりはとっつきやすい。 が、そこは生物。暗記すべき内容の量はかなりのものであり、全てを正確に網羅するのは大変。 あと生体組織へ与える影響の結果は、大抵残酷な死や重大な後遺症なので、話題が結構グロかったりする。 ・法令 この資格の根幹をなす法律である、放射線障害防止法についての科目。 法令分野についての例に漏れず、生物に負けず劣らず暗記すべき内容は膨大。 ただ頻出分野はある程度絞れる上に30問もあるので、 あちこちから点を拾ってたらいつの間にか及第点になることもあり、もしかしたら一番楽かも。 ただし[[放射線]]関連の法令はコロコロ改正するので、古い参考書や過去問を使う時は要注意。 ・試験時間105分、選択肢からの多重穴埋め×6問の科目 ・物化生 字だけを見ると物理、化学、生物の総合問題っぽいが、実際は3科目×各2問で独立している。 出題形式が違うので一問一答の単独科目とは気色の違う設問が飛んだりするが、極端な発展問題はあまり無い。 各科目で及第点を取れるくらいの力があれば、自然とこちらもこなせるだろう。 ・管理測定技術 読んで字のごとくの科目であり、管理分野と測定分野で大体半々ずつ出題される。 ・測定 放射性物質の放射能やエネルギーの測定、及びそれらにより得られたデータの取り扱いが主。 各種装置の原理、及び測定できる[[放射線]]と測定データを正確に理解した上で、 それらを適切に解釈、処理できなければ回答はおぼつかない。化学と並ぶ鬼門。 ・管理 実際の取り扱いに最も即した分野ゆえ、他全科目の総合問題に近い。 いわば本試験の[[ラスボス]]ともいえる分野なので、他科目を一通り理解してから挑むといいだろう。 &font(l){でもぶっちゃけ化学や測定の方が厄介。ラスボス≠最強ってのはよくある話。} ・2種筆記試験 ・管理技術Ⅰ:試験時間105分、選択肢からの多重穴埋め×6問 ・管理技術Ⅱ:試験時間75分、1問1答式の5択×30問 ・法令 :試験時間75分、1問1答式の5択×30問 管理技術はどちらも1種と同様の総合問題だけど、取り扱う範囲の違いから、分量は1種の1/3くらいと言われる。 こう言うと楽そうに聞こえるけど、1種が膨大なだけで2種も十分範囲が広くて大変。 また管理技術の1問1答は1種では無い形式なので、1種には無い独特の難しさがある。 法令も1種よりも試験範囲が狭いが、その分1種より変に細かいことを聞かれたりすることもある。 ・オマケで付いてくる資格ってある? 放射線取扱主任者の資格を持っていると、以下の資格も申請により取得できる。 ・ガンマ線透過写真撮影作業主任者:都道府県労働局長に申請すると免許がもらえる(1種、2種)。 ・エックス線作業主任者:上に同じだが、1種のみ。 ・作業環境測定士:2種は自動取得、1種は共通科目+[[放射線]]関連の専門科目が免除(1種、要選任or3年以上の実務経験)。 ・総括 物理,化学,生物における広範の知識力、微分積分を始めとした演算力、更には試験や数日間の講習をこなす体力をも要求されるなど、 取得までには理工系のしんどいところを凝縮したような関門をパスしなければならない、いわば&bold(){理工系のフルコース資格}。 それだけに取得難易度は高いが、かと言って最難関クラスかというとそこまでではない。 理系の学生なら1~2か月ほどの勉強で1種の筆記は十分通れるくらいであり、試験日が8月なのもあってひと夏の挑戦にはぴったり。 反対に文系の学生など、知識ほぼ0の人が受かるには半年以上は必要と言われているけど、勉強した分確実に合格に近づける試験なので挑戦の価値は十分。 学生は就活前の箔付けに、専門職の人はキャリアアップの一環に、勿論それ以外の方も、今日からレッツトライ。 ・余談 ・講習会の受講料は1種で約&bold(){17万円}、しかも&bold(){宿泊施設は自前かつ自腹で手配する必要あり}と、なかなかお財布に優しくない。 そのため学生時代に筆記だけパスしておき、お金に余裕のできやすい就職後に受講するのがおススメ。 中には勤め先におねだりして、出張扱いで自腹を切らず受講する人も結構いるとか。 ・この試験の勉強をすると、原発反対のデモ行進を行ってる人達や[[放射線]]についてコメントしている人達の中に、 [[放射線]]の基本的な知識すら無しに、偏見と感情に任せた的外れな批判をしてるだけの人がどれだけ多いかが分かるようになる。 &font(l){何かを批判する時は、それについて十分な勉強をしてからじゃないと恥を晒すだけってことだね} 追記・修正は永続平衡の計算ができるようになってからお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,6) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 学生の内に取ろうと思って、結局取らなかったことをすごく後悔してる。 -- 名無しさん (2016-03-24 00:05:07) - はう~……ぷしゅう(試験内容の分野が難しすぎて、脳がオーバーヒートした) -- 名無しさん (2016-03-24 09:28:06) - 偏見と感情に任せた人が多すぎて、この資格を持ってる人が正論を言っても間違い扱いされてしまいそう -- 名無しさん (2016-03-24 10:58:05) - 非破壊検査に滅菌と、思えば放射線を扱う分野はかなり多いしなぁ -- 名無しさん (2016-03-24 18:32:33) - ↑↑ まさにこれ -- 名無しさん (2016-03-24 18:44:45) - 最後の一言、もう少しマイルドにした方が良いんじゃない? 荒れる原因になったりしないかな -- 名無しさん (2016-03-24 19:29:02) - ↑でもここで荒らしてたら自分で自分のこと無知だって言ってるようなもんだけどなww -- 名無しさん (2016-03-28 08:46:41) - ↑×5ソ連のルイセンコ論文という前例がある以上、「その『正論』とやら、本当は『体制に都合のいい話』ではないのですか?」なんて話も出てきそうだし。 -- 名無しさん (2016-03-28 10:18:37) - ↑それ論点のすり替えと言わない? -- 名無しさん (2020-08-01 20:01:33) - ↑チューバッカ弁論の方が近い -- 名無しさん (2020-08-01 21:52:41) #comment #areaedit(end) }