登録日:2016/03/23 (水) 23:25:20
更新日:2026/03/08 Sun 22:44:18
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放射線取扱主任者とは、以下を指す。
1.放射性同位元素等(以下RI等)を取り扱う事業所において、
管理区域周辺の空間線量,排気,廃液の放射能測定、RI等の取扱記録、並びに作業者の管理区域への出入,被曝線量,健康診断結果記録等の管理を担当するポスト。もしくはそれに従事する職員。
事業所単位で最低1人置くことが法律で定められているが、仕事が多いので複数人揃えるのが普通。
2.1の業務を行う上で必要な国家資格。本項で解説。
以下、本項では1を主任者、2を本資格と呼んで区別する。
どんな資格なの?
RI等を取り扱う作業者の安全を確保するための法的及び技術的監督を行う、RI等を扱う施設には不可欠の必置資格。
RI等を使ったり、売ったり貸したり、あるいはその結果生じた廃棄物を処分したりする事業所等には、
この資格を持つ人を置くことが法律で定められている。
誤解しやすいが、あくまで安全監督を行う者が持っていればいいので、実際に扱う人自身は別に持ってなくてもいい。
ちなみにこの資格で取り扱える「RI等」とは、基本的には理工系の研究や分析等に使用する物だと思えばいい。
例えば核燃料はここでいう「RI等」の定義から外れるし、がん治療とかの医療分野の取り扱いも管轄外となる。
なお核燃料の取扱には核燃料取扱主任者の資格が必要になるが、核燃料として使用せず単に保管するだけであれば主任者だけで事足りる。
放射線治療等の場合、使用に限っては医師の資格が必要だが、保管等に関しては同様に主任者の選任が必須。
ただ後述の通り、医師は当該資格を以て主任者へ選任可能。
まあただでさえ医師って殺人的激務なのに、主任者のクソめんどい業務まで兼任する医師は稀なので、放射線技師やそれ専門で雇った技術職員に取らせて選任することが多いけど。
どこで使うの?
原子力発電や医療分野ばかりがクローズアップされがちだが、
放射線を用いた技術の用途はかなり多様。
例えば橋等の建造物を壊さずに安全検査(建設業界)したり、製品の滅菌(工業製品メーカー)や
ジャガイモの発芽防止(食品会社)に使ったり、生体内での細胞の挙動観察のレーダー(学術研究)にしたり……等々。
一方で国家資格の中では若干マイナーなこと、分野自体の専門性がかなり強いことから供給と需要が少数域で拮抗しがちで、潰しが利くとは言い難い。
どうやって取るの?
本資格の取得方法は以下の通り。
- 1種:1種筆記試験に合格後、1種講習を受講,修了試験に合格する。
- 2種:2種筆記試験に合格後、2種講習を受講,修了試験に合格する。
- 3種:3種講習会を受講,修了する。
放射線取扱主任者には1種から3種までの区分があり、
3種は下限数量1000倍未満、かつ密封線源のみ使用する事業所で選任可能。
2種は下限数量1000倍超でも可だが、こちらも密封線源のみ,かつ放射能10TBq未満の制約がある。
1種はそうした制限がなく、また非密封線源、放射性発生装置、放射性廃棄物の取扱が唯一可能であり、あらゆる取扱事業所において選任可能。
上記の通り、全ての区分において最終的には「講習を修了」することで資格を得られる。
ただ、18歳未満の人物にはRI等の取り扱いをさせてはいけないことが法令で決まってるので、
取り扱い実習がメニューにある講習の受講、ひいては資格取得も必然的に18歳以上というのが必要条件になっている。
一方で筆記試験には特に受験資格はなく、講習会も筆記試験合格後はいつでも受講できるので、
「小学生の頃に1種の筆記に合格して、社会人になってから講習を受けて資格取得」というのも一応可能である。
試験、講習の日程は?
筆記試験が行われるのは、毎年8月20日前後を含む週の水曜~金曜。
会場は札幌、東京、大阪、福岡と大都市限定。かつては仙台、名古屋でも開催されていたが、COVID-19騒動以来受験者が減って不定期開催となった。
これは
夏の甲子園の決勝戦が行われる頃と被るので、受験者は観戦を諦めざるを得ない事態が多々ある。
諦めて熱闘甲子園で確認しよう。
講習会は毎月ちょこちょこと受講者を募集しているので、割と自分の都合に合わせて受けられる。
具体的な試験内容は?
試験科目は以下の通り。
2種は1日がかりで3科目を、1種は2日がかりで5科目もこなすので、結構体力勝負でもある。
合格条件は1種,2種とも全科目の総合得点率6割以上、かつ得点率5割未満の科目が1つも無いこと。
科目合格制度なんて温情はなく、一度の試験で上記の条件を満たすしかない。
特に科目数の多い1種でこれは少々きついためか、2日目になると露骨に受験生が減ってたりする。
合格率は1種,2種ともおおよそ20-30%で、やや1種の方が低い傾向にある。
これが高いか低いかは見る人次第だが、この試験は知名度の低さと専門性の強さ故に資格マニアや冷やかし層がかなり少なく、
受験者はそれなりに「訓練された人」が大半であることは忘れてはならない。
余談だが、試験を主催する原子力安全技術センターの調査(いずれも1種)によると、
受験者の7割以上が30歳以下、かつ過半数が学生(もしくは無職)と、圧倒的に若者の受験者が多い。
その8割弱は男性であることも相まって、試験会場はさながら
男子校のそれである。
科目名の下に、それぞれの出題範囲の簡単な解説も併記しておく。
- 試験時間110分、1問1答式の5択×30問、多岐選択式からの穴埋め×2問
主に
放射線の種類、発生条件、物理的性質や物質との相互作用等についての科目。
暗記すべき事項もそこそこあるが、数式や公式を使った計算問題がやや多め。
全体的に
放射線を学ぶ上で必要な基礎が詰め込まれているので、真っ先に勉強するのがおススメ。
ただ内容は高校レベルの物理、数学のスキルがあること前提なので、そこが不安ならまずは高校時代に戻ったつもりで復習を。
主に放射性物質の抽出や沈殿生成といった化学的取り扱いや、放射性物質を用いての化学分析等についての科目。
元素周期表をある程度覚えていることは当然として、モルの計算,理想気体の状態方程式,各種物質の性質や起こす化学反応等、
高校化学をきちんと習得していないとほとんど取りつく島もない。
暗記あり、計算もそこそこありと総じて盛り沢山であり、多くの受験生にとって鬼門となる分野。
主に
放射線の生体組織内での振る舞いや、それらに与える影響についての科目。
前提知識はDNAの構造や細胞分裂周期など初歩の初歩レベルで充分なので、物理や化学よりはとっつきやすい。
が、そこは生物。暗記すべき内容の量はかなりのものであり、全てを正確に網羅するのは大変。
あと生体組織へ与える影響の結果は、大抵残酷な死や重大な後遺症なので、話題が結構グロかったりする。
この資格の根幹をなす法律である、放射性同位元素規制法(旧:放射線障害防止法)についての科目。
法令分野についての例に漏れず、暗記すべき内容の多さと勉強のつまらなさが関門。
ただ頻出分野はある程度絞れる上に30問もあるので、
あちこちから点を拾ってたらいつの間にか及第点になることもあり、実は一番楽かもしれない。
というか試験制度改正により問題数最少、試験時間最短となったのでまごうことなく最弱。
ただし
放射線関連の法令はコロコロ改正するので、古い参考書や過去問を使う時は要注意。
- 実務:かつての管理測定技術に相当する科目で、管理分野と測定分野に大別される。
測定
放射性物質の放射能やエネルギーの測定、及びそれらにより得られたデータの取り扱いが主。
各種装置の原理、及び測定できる
放射線と測定データを正確に理解した上で、
それらを適切に解釈、処理できなければ回答はおぼつかない。化学と並ぶ鬼門。
管理
実際の取り扱いに最も即した分野ゆえ、他全科目の総合問題に近い。
いわば本試験の
ラスボスともいえる分野なので、他科目を一通り理解してから挑むといいだろう。
でもぶっちゃけ化学や測定の方が厄介。ラスボス≠最強ってのはよくある話。
- 2種筆記試験
- 物理学・化学・生物学:試験時間120分、1問1等式の5択×10問、多岐選択肢からの穴埋め×1問
- 実務:試験時間75分、試験時間75分、1問1等式の5択×10問、多岐選択肢からの穴埋め×2問
- 法令:試験時間75分、1問1答式の5択×30問
物化生,実務とも、取り扱う範囲の違いから、分量は1種の1/3くらいと言われる。
こう言うと楽そうに聞こえるけど、1種が膨大なだけで2種も十分範囲が広くて大変。
法令も1種より試験範囲が狭いが、その分1種より変に細かいことを聞かれたりすることもある。
そのため、受けるならいきなり1種がいいと言われることも多々。
資格講習
そんなこんなでボリュームたっぷりな筆記試験であるが、先述の通り資格取得にはさらに講習を受講しなくてはいけない。
主催機関は日本原子力開発機構(茨城)、日本アイソトープ協会(東京)、電子科学研究所(大阪)、原子力安全技術センター(京都)の4機関。
カリキュラムに細かな違いはある(らしい)が、修了すればどの機関でも構わないので、基本はお近くを選べばいいだろう。
ここからは最も長く過酷な1種講習会について説明する。
(現在、追記修正中)
他資格との互換性ってある?
本資格取得者は以下の資格取得において優遇される。
- ガンマ線透過写真撮影作業主任者:1種,2種資格者限定。都道府県労働局長への申請のみで免状取得可能。
- エックス線作業主任者:1種資格者は上に同じ。2種資格者は筆記4科目のうち「エックス線の測定に関する知識」「エックス線の生体に与える影響に関する知識」が免除、かつ試験時間が1時間短縮。
- 2種作業環境測定士:選任中または3年以上の実務経験ありの1種資格者は、2種筆記試験科目(共通科目)全免除でいきなり講習受講が可能。
- 1種作業環境測定士「放射性物質」:上に同じだが、2種取得後でなければ講習受講は不可。
- 核燃料取扱主任者:1種筆記試験合格者(免状は不要)は、筆記4科目のうち「放射線の測定及び放射線障害の防止に関する技術」が免除。
また、以下の資格は本資格に代わって主任者選任の条件となる。
- 医師・歯科医師:先述の通り、医療行為を行う事業所に限り1種免状と同様の効力を持つ。
- 薬剤師:医薬品製造を行う事業所に限り当該資格が1種免状と同様の効力を持つ。
総括
物理,化学,生物における広範の知識力、微分積分を始めとした演算力、更には試験や数日間の講習をこなす体力をも要求されるなど、
取得までには理工系のしんどいところを凝縮したような関門をパスしなければならない、いわば理工系のフルコース資格。
それだけに取得難易度は高いが、かと言って最難関クラスかというとそこまでではない。
理系の学生なら1~2か月ほどの勉強で1種の筆記は十分通れるくらいであり、試験日が8月なのもあってひと夏の挑戦にはぴったり。
反対に文系の学生など、知識ほぼ0の人が受かるには半年以上は必要と言われているけど、勉強した分確実に合格に近づける試験なので挑戦の価値は十分。
学生は就活前の箔付けに、専門職の人はキャリアアップの一環に、勿論それ以外の方も、今日からレッツトライ。
余談
この試験の勉強をすると、原発反対のデモ行進を行ってる人達や
放射線についてコメントしている人達の中に、
放射線の基本的な知識すら無しに、偏見と感情に任せた的外れな批判をしてるだけの人がどれだけ多いかが分かるようになる。
何かを批判する時は、それについて十分な勉強をしてからじゃないと恥を晒すだけってことだね
追記・修正は永続平衡の計算ができるようになってからお願いします。
- 学生の内に取ろうと思って、結局取らなかったことをすごく後悔してる。 -- 名無しさん (2016-03-24 00:05:07)
- はう~……ぷしゅう(試験内容の分野が難しすぎて、脳がオーバーヒートした) -- 名無しさん (2016-03-24 09:28:06)
- 偏見と感情に任せた人が多すぎて、この資格を持ってる人が正論を言っても間違い扱いされてしまいそう -- 名無しさん (2016-03-24 10:58:05)
- 非破壊検査に滅菌と、思えば放射線を扱う分野はかなり多いしなぁ -- 名無しさん (2016-03-24 18:32:33)
- ↑↑ まさにこれ -- 名無しさん (2016-03-24 18:44:45)
- 最後の一言、もう少しマイルドにした方が良いんじゃない? 荒れる原因になったりしないかな -- 名無しさん (2016-03-24 19:29:02)
- ↑でもここで荒らしてたら自分で自分のこと無知だって言ってるようなもんだけどなww -- 名無しさん (2016-03-28 08:46:41)
- ↑×5ソ連のルイセンコ論文という前例がある以上、「その『正論』とやら、本当は『体制に都合のいい話』ではないのですか?」なんて話も出てきそうだし。 -- 名無しさん (2016-03-28 10:18:37)
- ↑それ論点のすり替えと言わない? -- 名無しさん (2020-08-01 20:01:33)
- ↑チューバッカ弁論の方が近い -- 名無しさん (2020-08-01 21:52:41)
- この資格(第一種)を取得していたら核燃料取扱主任者の試験が一部免除される為、気休め程度だが楽になる。 -- 名無しさん (2025-11-16 15:57:44)
最終更新:2026年03月08日 22:44