&font(#6495ED){登録日}:2019/07/14 Sun 16:08:10 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:&bold(){&color(#cc66ff,#000000){約 25 分で…読むことだ…}} ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){#bold(){ &color(#cc66ff,#000000){これ程までに…研鑚し極められた肉体と技が…} &color(#cc66ff,#000000){この世から消えるのだ…嘆かわしいと思わぬか…} }} &bold(){&ruby(こくしぼう){黒死牟}}とは『[[鬼滅の刃]]』の登場人物である。 CV:[[置鮎龍太郎]] #contents() *◆プロフィール [[身長]]:190cm 体重:93kg 趣味:[[囲碁]] 死地:無限城内 *◆概要 [[鬼舞辻無惨]]直属の精鋭集団「[[十二鬼月]]」において最上位階級たる&bold(){"上弦の壱"}を預かる……すなわち&bold(){&font(#ff0000){十二鬼月最強の[[鬼>鬼(鬼滅の刃)]]}}。 98話にて無限城に上弦の鬼が集結した際に[[半天狗>半天狗(鬼滅の刃)]]、[[玉壺>玉壺(鬼滅の刃)]]と共に初登場した。 普段は他の上弦同様無惨からの指令で産屋敷一族の居所および青い彼岸花の探索を行っており、また鬼として有望な人間を勧誘することもある模様。 *◆外見 長い黒髪を後ろで束ね、紫の着物と黒の袴を着用した侍風の男。 腰に刀を提げ、その顔には見る者を恐怖させる禍々しい三対の眼が並び、額と首筋にかけて炎の様な痣が浮かぶ。 その異貌を以て放たれる威圧感によって[[獪岳>獪岳(鬼滅の刃)]]は戦うことなく心を折られ、[[『霞柱』時透無一郎>時透無一郎]]も「&font(#40e0d0,b){他の上弦とは比べものにならない}」と評し戦意を喪失しかけた。 *◆性格 一人称は&bold(){&color(#cc66ff,#000000){「&ruby(わたし){私}」}}(まれに&bold(){&color(#cc66ff,#000000){「&ruby(おれ){俺}」}})。 侍然とした見た目に違わず、元々戦国時代の人間だった事もあって武人的な価値観の持ち主で、現在でも十二鬼月内の序列や従属関係を強く重んじる厳格な性格。 敵である鬼殺隊の柱に対してもその実力や研鑽を認めて賞賛する姿勢を示すため強さに対しては種族問わず真摯に評価する。 落ち着き払った古風な言動を取ると同時に、言葉を発する際には節々に&bold(){&color(#cc66ff,#000000){「……」}}と間を置きながら喋る独特の口調で話すのが大きな特徴。 このせいで会話の間合いが妙に長く、おまけに丁寧な発声をするので相手にしてみればコミュニケーションには忍耐が必要。 加えて&bold(){&color(#cc66ff,#000000){「死とはそれ即ち宿命」}}という死生観を持つ。 強さへの固執は強く、猗窩座同様老化による肉体の衰えを忌み嫌って&bold(){&color(#cc66ff,#000000){「鬼になることで永久に肉体と技の保存ができる」}}という理由で肉体的衰えのない鬼という種族を賛美。 弱者に対して辛辣で見どころのある強者を勧誘する辺りは猗窩座と似通っているが、見込みのある者が鬼になる前に死ぬ可能性については&bold(){&color(#cc66ff,#000000){「死んだらそれまで」}}と特に気にせず、強者を同族にすることへの執着も薄く、猗窩座のようにしつこく勧誘する素振りはなかった。 #openclose(show=黒死牟オリジン){ 人間であった時の名前は&bold(){&ruby(つぎくに){継国}&ruby(みちかつ){巌勝}}。 戦国時代の武家「継国家」の長男であり、上下関係に厳しい価値観はこの出自に影響されている。 また無一郎の直系の先祖であり、彼が継国家に残した子供の末裔が時透家である……つまり&bold(){&font(#ff0000){始まりの呼吸の剣士たちの一人}}である。 双子として生まれており、弟の名は&bold(){&ruby(つぎくに){継国}&ruby(よりいち){縁壱}}。 縁壱は生まれた時から額に不気味な痣があることから忌み子として扱われ父親に殺されそうになるも、それに激怒し猛反対した母親のおかげで10才で出家することを条件に生き延びた。 武家の跡継ぎとして恵まれた環境で教育を受ける巌勝と異なり、環境を始めとしてぞんざいな扱いを受けていた縁壱。 母離れが出来ず常に母の左脇に寄り添っていた彼を巌勝は哀れみ、父の目を盗んで遊びに行ったり自作の笛を渡したりしていた。 縁壱は笑うことがなく、7つになるまで耳が聞こえないとすら思われていたが、巌勝が剣の稽古をしていたある時、音もなく松の影に立っていた縁壱が #center(){#bold(){&color(#ff9900){兄上の夢はこの国で一番強い侍になることですか?} &color(#ff9900){俺も兄上のようになりたいです}}} と、話しかけてきた。 巌勝は生まれて初めて口を開いたと思えば流暢に喋り出した縁壱に気味の悪さを覚えるも、同時に&bold(){&color(#cc66ff){「命をかける侍に母親にしがみついている奴がなれるはずない」}}と内心見下していた。 しかし、稽古を見学していた縁壱に父の配下が戯れに持ち方と構え方を教えると、 巌勝がいくら挑んでも一発も入れられなかった父の配下を、瞬きの一瞬で四発叩き込んで失神させるほどの才を見せた。 今まで哀れんでいた相手が実は己より遥かに優れた才能を持っていたことに現実に愕然としながら、 強さの秘密を縁壱に尋ねると、彼には既に体内の状態から先の先を読む技能…&bold(){「透き通る世界」}に目覚めていることが判明する。 弟の神童と呼ぶに相応しい才に、立場が逆転したとまで認識し失意と共に侍の夢を諦めかけるが、その夜縁壱が現れて母親が他界したことを告げ、このまま寺へ発つことを告げる。 #center(){#bold(){&color(#ff9900){いただいたこの笛を兄上だと思い どれだけ離れても挫けず 日々精進いたします}}} 巌勝にとっては大した価値もないガラクタ同然の笛を宝物のように扱う縁壱の姿に、巌勝は再び気味の悪さを覚える。 そして縁壱が去った後に、亡き母の日記を見ると左半身が不自由になりつつあり、苦しんでいたことが判明する。 そこで初めて理解する。&bold(){「母離れが出来ず常に母の左脇に寄り添っていた」}のではなく&bold(){「病で弱っていた母を支えていた」}ということを。 全てにおいて先を行かれていたことを知った巌勝は、縁壱へ臓腑が焼け付くほど嫉妬を抱き、その存在を心の底から憎悪した。 しかし、縁壱は寺にも行かず行方をくらましていた。 それから十年あまり、巌勝は縁壱のことを忘れ妻子に恵まれ、平穏な日々を過ごしていた。 だが、野営中に鬼に襲われた巌勝を、鬼狩りとなっていた縁壱が助けたのを機に再び時は動き出す。 十年あまりの間に剣技を極め、非の打ち所がない人格者へと成長を遂げた縁壱を見て再び嫉妬と憎悪の炎が再燃した。 その強さと剣技を手に入れるため、家も妻子も捨てて縁壱の後を追って鬼殺隊に入り、他の剣士達と同様に痣を発現させて全集中の呼吸を学んでいく。 そうして五大呼吸のいずれとも異なる独自の呼吸法「月の呼吸((呼吸に対応する刀身の色は紫))」を生み出し身に着けるも、未だに縁壱には遠く及ばない。 それでも、年月をかければいずれは追いつくかと思っていた…はずだったが。 ある日を境に痣を発現させた者が次々と死に始めた。痣とは寿命の前借りであり、齢25を迎えることなく死亡する代償を伴うものだったのだ。 それにより、修行に費やす猶予もないことを知り焦った巌勝のもとに全集中の呼吸に興味を持っていた鬼舞辻無惨が現れた。 #center(){#bold(){&color(#9900ff){ならば鬼になればよいではないか} &color(#9900ff){鬼となれば無限の刻を生きられる} &color(#9900ff){お前は技を極めたい、私は呼吸とやらを使える剣士を鬼にしてみたい}}} 縁壱の強さを超えるために鬼狩りをやっていただけであり((鬼狩りから鬼を出すことは、構成人員のほとんどが鬼の被害者、ないしその縁者である隊内において極めて重い))、また何よりも縁壱に追いつくために鍛錬する時間を欲していた巌勝はこれを承諾。 無惨の血に三日をかけて順応し鬼となると、手始めに当時の“お館様”を殺害しその首を新たな主へと献上する。 こうして始まりの呼吸の剣士たちの一人は&bold(){最悪の裏切り者}として鬼狩りと、そして弟と完全に袂を別つこととなった。 #center(){&font(#ff9900,b){お労しや 兄上}} そして年月がたったある赤い月の夜、本来であれば痣を発現させた副作用でとうに死んでいるはずの縁壱と再会。 生きていた彼に動揺しつつも、己が鬼であるならば弟であっても殺さねばならぬと決意を固める。 しかし、縁壱は80歳を過ぎた老体となってなお全盛期と変わらぬ動きをみせ、黒死牟は刀を抜くことすら出来ず一閃される。 かつて感じていた鬱屈とした憎悪と嫉妬が蘇り、焦燥と敗北感で五臓六腑が捻じ切れそうになりながら次の一撃で頸が落ちると確信する。 だが、次の一撃は終いには来ることはなく、縁壱は直立したまま寿命で息絶えていた。 最後まで弟を超えることができなかった黒死牟は、勝ち続けることを決意し今に至っている。 結果として人の頃と全く変わらぬ人格と明確な記憶を有した、童磨同様鬼としては異端の存在である。 なお縁壱の回想では幼い縁壱に笛を渡した際、忌み子である縁壱に構うことを咎めた父親に顔が腫れ上がる程に殴られながらもそれを意に介さず、 その翌日に&bold(){&color(#cc66ff){「助けてほしいと思ったら吹け。すぐに兄さんが助けにくる」}}と微笑み弟を気に掛ける姿を見せていた。 その後は&bold(){日の呼吸を知る者を根絶やしにする為に、該当者を無惨と共に徹底的に殺し尽した}。 日の呼吸の存在が後世に殆ど伝えられていない事や、数が少なく、詳細が分からなさすぎて黒い日輪刀の持ち主は出世しないという鬼殺隊の伝承の原因となったのは、日の呼吸に繋がる存在を殺し続けた黒死牟の存在が非常に大きいと考えられる。 } [[公式ファンブック]]『鬼殺隊見聞録』によると無惨の彼に対する認識は&bold(){ビジネスパートナー}。 部下を誰一人として信用せず、気に食わなければ容赦なく殺してしまうあの無惨が実質ほぼ対等の相手と見ているのは破格と言って良い。 黒死牟自身も無惨とは気が合い、無惨が鬼達に恐れられる原因の1つである「思考の読み取り」に関しても、主君に絶対の忠誠を誓う黒死牟にしてみれば感情を隠して取り繕う必要がないのでむしろ気が楽だと考えていたらしい。 上下関係を重視している事から無惨から与えられた血を&bold(){&color(#cc66ff,#000000){「有り難き血」}}と形容する点でも主君に向ける崇敬の念が見える。 そして格上である[[童磨>童磨(鬼滅の刃)]]に対して[[猗窩座>猗窩座(鬼滅の刃)]]が拳を振るった際にはその左腕を斬り落として彼を諫め、軽薄に振舞う童磨にもまた釘を刺した辺りにもその思考がよく見える。 そんな中で格上の童磨と軋轢を起こす猗窩座に手を焼きつつも彼を気に入っており、入れ替わりの血戦を挑まれた時には本来であれば捕食していたところを喰わずに生かしておき、再び挑んでくることに期待を寄せていた。 その強さ故か、血戦を挑まれる機会自体が極めて稀だったせいか、猗窩座が挑んできた時は嬉しかったらしい((猗窩座をカウントしても、数百年でたった三度。他にも彼に血戦を挑んだ鬼が2人ほどいたようだが、彼等に関しては容赦なく食ったらしい))。 *◆戦闘能力 #center(){#bold(){&color(#cc66ff,#000000){此方も抜かねば…無作法というもの…}}} 十二鬼月が組織されて以降、&bold(){&font(#ff0000){一度も『上弦の壱』の座を明け渡さず頂点に立ち続ける}}怪物。 その外見と得物が示すように戦闘スタイルは刀を用いた剣術で、鬼よりも剣士としての形質が強く表れている。 ちなみに愛刀の名前は&ruby(きょこくかむさり){虚哭神去}。刀身に無数の目玉が蠢く禍々しいデザインが強烈なインパクトを放つ。オマケに本気を出すと刀身が伸び、横から三本の刃が生える。 詳しくは後述。 しかし黒死牟最大の特徴は&font(#cc66ff,b){「月の呼吸」}、つまり仇敵たる[[鬼殺隊>鬼殺隊(鬼滅の刃)]]と同様&bold(){&font(#ff0000){[[全集中の呼吸>全集中の呼吸(鬼滅の刃)]]によって身体能力を強化した上で}}それを行う事。 元より強靭な鬼の肉体性能を呼吸法で更に底上げすることによって、&bold(){痣を発現させた[[『風柱』不死川実弥>不死川実弥]]と[[『岩柱』悲鳴嶼行冥>悲鳴嶼行冥]]の2人を同時に相手取り尚圧倒する}程の絶大な戦闘能力を発揮する((加えてこの2人は強者たる柱の中でも更に上位の実力者である))。 他にも ・猗窩座に気取らせぬまま間合いに踏み込んでその腕を落とす ・至近距離から放たれた不意打ちの銃弾を全て刀で弾き飛ばす といった具合にその強さと技能は他の鬼達の追随を許さない。 剣術一辺倒[[というわけ]]でなく体術にも精通しており、劇中では ・無一郎相手に無刀取りをカウンター気味に決める ・振り下ろされた刀を逆に踏みつけて地面に叩きつけて刀の破壊を狙う などの離れ業を披露。単純な戦闘技能のみならず洞察力も極めて高く、初見の技「朧」に対してもその性質を即座に見抜き対応している。 再生能力や肉体強度も上弦らしく極めて高く、中でも頸の強度に至っては、痣を発現させた不死川の一撃でも刃が通らず、悲鳴嶼の鉄球の直撃にも耐えてしまうほど。 厄介なことに攻撃に対しては基本避けるか刀で受けるかして対応するため、再生能力にかまけた油断も見られない。 挙句駄目押しと言わんばかりに&bold(){&font(#6fa8dc){「透き通る世界」}をも習得しており}、追い詰められた時の奥の手として&bold(){全身から刀を生やして超高速の斬撃を放つ}技能を持つ。 戦国の世から数百年を生き、[[十二鬼月]]の頂点に君臨する彼はまさに最凶の鬼。 ちなみに搦め手を主体にせず己の技術で真っ向勝負を仕掛けるというスタイルは猗窩座とも共通する。 **流派/血鬼術 ***&font(#cc66ff){全集中 月の呼吸} 黒死牟が使用することで初めて存在が明らかになった呼吸。呼吸音は&bold(){&color(#cc66ff,#000000){「ホオオオ」}}。 出自で述べたとおり&font(#cc66ff){&bold(){「月の呼吸」}}自体は人間の頃に日の呼吸を基に自力で一から編み出したオリジナルの型だが、黒死牟はこれに血鬼術((劇中で明言されているわけではないが、技の特性からして血鬼術である可能性は高い))を組み合わせ、&bold(){「刀を振るって[[膨大な斬撃の弾幕を飛ばす>剣(遠距離武器)]]」}人外の剣技へと変貌させた。 血鬼術との併せ技だからか、はたまた黒死牟自身の練度故かとにかく技が多く、型の数は実に16(拾漆ノ型以降があるのかは不明)。ちなみにこれに次いで多いのは日の呼吸で、型12種+それらを連続して繋ぐ"13番目"となっている。 全体的に広範囲に致死となる攻撃が放たれる質・量をハイレベルで兼ね備えた物になっている事が特徴。 型の番号が増えるほど斬撃の密度・規模・攻撃範囲が増大するが、反面&bold(){&color(#ff0000){「剣術」という概念からかけ離れた血鬼術寄りの攻撃}}と化していく。 特に漆ノ型以降の技に顕著で、連打されると接近する事は疎か防御や回避すらも困難となる。 加えて&bold(){振るわれる刀や放たれる全ての斬撃に沿って大きさや長さが常にランダムで変化する三日月状の刃が無数に形成される}という初見殺し的効果もある((そもそも「全集中の呼吸」の技による炎や水流などは「使い手の技量でそう見える」だけなので、水の呼吸で本当に水が出たり、日・炎の呼吸で発火・炎上したりするようなことはない。故にこれも単なるエフェクトだろうと思われていたが、「マジで当たり判定がある」という恐ろしさは読者に強烈なインパクトを与えた。))。 その為あらゆる攻撃の軌道が非常に変幻自在且つ歪で、相応の実戦経験が無ければ対応する事は不可能。 そしてそれらの刃も触れれば人体を容易く切断するだけの威力を有する。 だがこの三日月は悲鳴嶼の武器で叩き割られている場面があり、一応は迎撃することも可能な模様。 #openclose(show=型一覧){ ・&bold(){壱ノ型 &ruby(やみづき){闇月}・&ruby(よい){宵}の&ruby(みや){宮}} 抜刀して真一文字に振り抜く。 動き自体は至ってシンプルな居合ながら上記の性質の為極めて回避困難であり、加えてそもそもが卓越した身体能力と戦闘技能を有する黒死牟が放つそれは、&bold(){&color(#ff0000){「異次元の速さ」}}と称されるほどの絶技と化している。 痣を発現させた状態で霞の呼吸漆ノ型・朧を使用した無一郎を一閃、その左手を斬り飛ばした。 ・&bold(){弐ノ型 &ruby(しゅか){珠華}ノ&ruby(ろうげつ){弄月}} 悲鳴嶼の放った「流紋岩・速征」と打ち合った技。 連続で虚哭神去を振るい広範囲を攻撃する。 「弄月」とは"月を見て楽しむ"という意味の言葉。 ・&bold(){参ノ型 &ruby(えんきづき){厭忌月}・&ruby(つが){銷}り} 前方を互い違いに切り裂く二連撃。忌月とは死者の命日がある月、銷は鎖や糸で繋いだものの事。 ・&bold(){伍ノ型 &ruby(げっぱくさいか){月魄災禍}} 虚哭神去を&bold(){振るうことなく}発生させる竜巻のような斬撃。 ここまで曲がりなりにも剣術らしかった月の呼吸も、ここからいよいよその域を脱し始め、血鬼術らしい攻撃と化していく。 「月魄」は"月の精"・"月神"といった意味合いの単語。 ・&bold(){陸ノ型 &ruby(とこよこげつ){常世孤月}・&ruby(むけん){無間}} 大きく振りかぶって縦方向に弧を描く無数の斬撃を縦横無尽に見舞い周囲ごと対象を切り刻む斬撃。 「孤月」には"ものさびしく見える月"という意味がある。 ・&bold(){漆ノ型 &ruby(やっきょう){厄鏡}・&ruby(づきば){月映}え} 変化させた虚哭神去を前方を薙ぐと同時に地を走る五筋の斬撃を放つ。 変則刃こそ付随しないが、よく見ると&bold(){飛ばされた斬撃の側面に半円状の斬撃が追加で幾つか発生している。} なお斬撃を飛ばす際の一振りには変則刃が付随。 「月映え」は月に照らされた物が一層映える様子を指す。 ・&bold(){捌ノ型 &ruby(げつりゅうりんび){月龍輪尾}} 変化した虚哭神去を強烈な怪力で振り抜き、前方広範囲を抉り取るように放つ極太の斬撃。 その様は正に龍が尾を振るうかの如し。 ・&bold(){玖ノ型 &ruby(くだ){降}り&ruby(づき){月}・&ruby(れんめん){連面}} 虚哭神去を背中から前方にかけて振るい、相手の頭上から三日月型の斬撃を雨のごとく無数に降らせる。 「降り月」とは陰暦において満月から欠けていく月である。 ・&bold(){拾ノ型 &ruby(せんめんざん){穿面斬}・&ruby(らげつ){蘿月}} 対象を磨り潰すかのように幾重にも連なって放たれる丸鋸状の斬撃。 「蘿月」は"つたかずらから漏れ出る月光"の意。 ・&bold(){拾肆ノ型 &ruby(きょうへん){兇変}・&ruby(てんまんせんげつ){天満繊月}} 周囲を埋め尽くす程の斬撃を渦を巻くように発生させて繰り出す波状攻撃。 上記の「月魄災禍」を密度、数、攻撃範囲共に大幅に強化した上位互換技と言えるが、広範囲をカバーする分斬撃と斬撃の隙間は大きくなっているのが欠点。 「繊月」は細長い月、すなわち三日月を表す。 ・&bold(){拾陸ノ型 &ruby(げっこう){月虹}・&ruby(かたわ){片割}れ&ruby(づき){月}} 玖ノ型を上回る大きさと、地面を穿ち叩き割る程の威力の斬撃の雨が正確に標的を狙って降り注ぐ。 月の光で生み出される虹を「月虹」と呼ぶ。 } 血鬼術の絡まない純然たる月の呼吸がどのような型なのか、披露されなかった肆ノ型、拾壱・拾弍・拾参・拾伍ノ型の技名や動きは不明。((原作完結後に出たファンブックでもやはり言及されず。わざわざ欠番にしているとは考えにくいので、単に技が多すぎて全てをお披露目する尺と機会がなかったのかもしれない。ちなみに音(弍と参)・恋(肆)・炎(陸、漆、捌)・花(壱と参)も未使用の型は技名すら不明なまま。)) カラー版によると日輪刀の刀身は&font(#cc66ff){&bold(){紫}}に染まる模様。 **特殊技能 ・&bold(){痣} 炭治郎や現代の柱達も操る肉体の[[リミッター解除]]能力。 黒死牟は鬼になったことで最大の欠点である寿命を乗り越え、常時発動の域に達している。 ・&bold(){&font(#6fa8dc){透き通る世界}} &bold(){「無我の境地」「至高の領域」}とも呼ばれる、痣と同じく炭治郎や現代の一部の柱、鬼が使う、相手の肉体を透視する特異な視野。 透視した筋肉の動きや肺の収縮、骨の向きなどから相手の動きを先読みして先手を取ったり、内臓の位置を知覚して弱点を見破ったりと非常に応用性が高い。 **装備 ・&bold(){&ruby(きょこくかむさり){虚哭神去}} 鬼と化して以降から黒死牟が振るっている愛刀。 峰や鍔に無数の眼が浮かび、目釘部分が本物の眼になった、持ち主同様眼の存在が目立つ不気味な造形。 刀の名称が明らかになったのはファンブックから。 その特徴は&bold(){黒死牟自身の血と骨で形成されている為、変形能力と強い再生復元能力を備えている}事。 その為剣士にとって致命となりうる武器の破壊などを気にする必要が無いという利点がある。 単純に刀身の総質量に応じて放つことの出来る斬撃の射程・数が増すようで、劇中では本気を出したことで刀身が伸び、更に刃側から1本、峰側から2本刀身が新たに生えた&bold(){黒死牟の身の丈を軽く上回る規格外の大太刀}と化した。 そしてそんな大太刀を軽々と振り回し攻撃速度は微塵も衰えないためハンデにはなり得ない。 一応極めて高純度の日輪刀と切り結べば灼け落ちてしまうという弱点はあるが、そもそもそうなる程の代物が滅多に存在しない上、再生する特性もあって実質的な弱点とはなりにくい。 またいざとなれば全身から虚哭神去の刀身を無数に生やし、&bold(){ノーモーションかつ全方位に}無数の斬撃を撒き散らすこともできる。 *◆活躍 **刀鍛冶の里編 [[妓夫太郎>堕姫/妓夫太郎]]の敗北を受けて無惨が上弦の鬼を無限城に召集したため、鳴女の術によって馳せ参じる。 無惨の到着をいち早く察知し、主君からの&bold(){「数百年かけても産屋敷一族の殲滅も青い彼岸花の発見もできないとかお前らいる意味あるの?(意訳)」}という怒りを&bold(){&color(#cc66ff,#000000){「返す言葉もない」}}と粛々と受け止めた。 無惨が去ってからは童磨に対して必要以上に攻撃を加える猗窩座の左腕を音も無く斬り落とし、&b(){&color(#cc66ff,#000000){「お前は度が過ぎる」}}と叱責。 それでもなお減らず口を叩き続ける童磨に苛立つ猗窩座を&b(){&color(#cc66ff,#000000){「気に喰わぬのなら入れ替わりの血戦を申し込め」}}(=正式な場で童磨を殺せ)と諭し、その異貌を露わにして念を押した。 それに対し&b(){&color(#c97e85,#000000){「いつか必ずお前を殺す」}}と宣言した猗窩座に励む様に伝えると、音も無く姿を消し自ら無限城から退出した。 &s(){猗窩座を諫めはしたものの、彼も彼で上記の会話中では童磨をガン無視していた。} **無限城決戦編 [[善逸>我妻善逸]]と獪岳の同門対決において獪岳の回想という意外な場面で再登場。 獪岳の心を折って戦意を喪失させ、血を与えて鬼にした張本人であることが明かされた。 またその際に -強い剣士であるほど鬼に変ずるには大量の無惨の血とそれに適応する長い時間が必要 -稀に血を与えられても鬼に変じない体質の者がいる と語り、&b(){&color(#cc66ff,#000000){「私は丸三日かかった」}}との発言から彼自身もまた元鬼殺の剣士であることが確定した。 その後は無限城内の無数の柱が立つ部屋で鬼狩りを待ち構える。 猗窩座の気配が消えたことで彼の敗北を悟り、自身の期待に反して鬼を捨て人としての死を選んだ事に&b(){&color(#cc66ff,#000000){「さらなる高みへの道を自ら放棄するとは軟弱千万」}}と苛立ちを見せ、部屋の柱を数本斬り倒すなどいずれ自分を超える事を期待していた事もあり、失望からか珍しく感情を荒げる姿を見せた。 #openclose(show=そして……){ 鳴女により飛ばされてきた時透無一郎と遭遇。 気配から&bold(){「時透が継国家に残してきた子供の末裔である」}という衝撃の事実を語り出す。 無一郎は一瞬動揺するもすぐに気を鎮めて交戦。 黒死牟は無一郎を賞賛しながらも初見の技を即座に見切り、その左手を斬り飛ばす実力の差を見せつける。 無一郎は片手を失いながらも即座に止血して斬りかかるが、黒死牟は無一郎の刀を素手で奪い取るとその刀で彼を柱に磔にし、その優れた力量を見込んで鬼に変えようと画策。 更にその様子をうかがっていた[[玄弥>不死川玄弥]]の不意打ちの銃撃も難なく回避して玄弥の胴と腕を切り落とす。 三百年以上前にも鬼喰いをした剣士がいたようで、その剣士と違って胴体を切断しても絶命しない玄弥に感心するも鬼擬きに興味はないと頸を切断しようとするが、そこに乱入した実弥によって攻撃を阻止される。 #center(){&font(#008000,b){テメェは本当にどうしようもねぇ&ruby(・){弟}だぜ} &font(#008000,b){テメェはどっかで所帯持って 家族を持って爺になるまで生きてりゃよかったんだよ} &font(#008000,b){よくも俺の弟を刻みやがったなァ 糞目玉野郎ォオ 許さねェ 許さねェ 許さねェェ!}} 風柱・実弥は月の呼吸に付随する三日月の刃の性質を見切っていたこともあり、多少は善戦。 しかし、地力の差で次第に押されていき、傷を負ってしまうも、実弥は鬼を酩酊させる稀血を生まれつき持っており((これにより図らずも彼の稀血を我慢して襲いかからなかったことが、禰豆子の無害さを一番証明していたことが発覚した。))、黒死牟もその影響を受けたのを確認すると反撃を開始。 しかし、酩酊させてもなお、全く衰えぬどころかそれを楽しむ様子すら見せる黒死牟は実弥を圧倒。 しかしここで鬼殺隊最強の男である悲鳴嶼が参戦。 最強同士ほぼ互角の攻防の中ついに黒死牟の刀を折るも、刀は即座に再生し、逆に手傷を負ってしまう。 そこで悲鳴嶼は使うもやむ無しと無惨まで温存するつもりだった「痣」を解放。 それに対して黒死牟は「痣」の発現者は例外なく25歳を迎える前に死ぬという副作用を明かし、既に25を超えている悲鳴嶼を極めた技を絶やさぬために鬼になるよう勧誘。 だが、悲鳴嶼は「柱」となった以上は明日の命の保証もないという覚悟はとうにしていること。 そして、我らは人として生死を全うすることを矜持としていると断言し、これを一蹴する。 さらに、&bold(){「例外はあったのだろう 痣を持ち25を超えて尚生き続けた者がいた」}と彼の発言の虚偽を指摘。 それに対して黒死牟は動揺したような様子を見せ、無言で悲鳴嶼に斬りかかる。 再び激しく斬り結ぶ2人の戦闘に痣を発現させた実弥も加勢。 黒死牟も本気を出し、刀を歪な大太刀に変形させると異次元の攻撃範囲を持つ型の数々で2人を追い詰める。 しかし、 -悲鳴嶼が戦闘の中で黒死牟と同じ&font(b, #6fa8dc){「透き通る世界」}に到達する -無力化したかに見えた無一郎と玄弥が復活 -極限状態で&font(b,#6fa8dc){「透き通る世界」}を垣間見た無一郎、黒死牟の髪と刀の破片を喰らい&bold(){「生物のように曲がる銃撃」}と&font(b,#990000){「木の根を発生させる血鬼術」}を身につけた玄弥、二人の命懸けの連携で完全に動きを止められる といった要因が重なり、今まで戦いを楽しむ余裕を見せていた黒死牟はついに首に刃が届く寸前にまで追い詰められる。 長らく感じていなかった命の危険に400年前の縁壱との再会を思い出した黒死牟は咆哮。 全身から刀を生やして反撃を放ち、無一郎と玄弥をそれぞれ横と縦に両断。さらなる攻撃を放とうとする。 しかし、死を目の前にしても仲間のために足止めをせんとする無一郎の想いに応えるが如く、[[耳飾りの剣士>耳飾りの剣士(鬼滅の刃)]]と同じ様に&font(red, b){赫く染まった刀}により黒死牟の動きを鈍らせ、更に玄弥が最期の力で血鬼術を再発動、血を吸うことで血鬼術を封じる力を有した木の根により完全に無力化。 そして悲鳴嶼の鉄球に実弥が刀を重ね当てた赫刀によってついに黒死牟は頸を落とされる。 だが… #center(){#bold(){ &color(#cc66ff){後継をどうするつもりだ?} &color(#cc66ff){極めた技が途絶えてしまうぞ} &color(#ff9900){私たちはそれ程大そうなものではない} &color(#ff9900){いつか これから生まれてくる子供たちが 私たちを超えてさらなる高みへと} &color(#ff9900){登りつめてゆくんだ} }} **終焉 #center(){#bold(){ &color(#cc66ff,#000000){特別なのは自分達の世代だけなのだと慢心していた私は 気味の悪さと苛立ちで吐き気がした} &color(#cc66ff,#000000){何が面白いと言うのだ} &color(#cc66ff,#000000){胴を両断されても刀から手を離さず} &color(#cc66ff,#000000){人間が血鬼術を使い} &color(#cc66ff,#000000){斬られても斬られても失血死せず} &color(#cc66ff,#000000){鬼に匹敵する成長速度で 肉体の限界を超える動きをし続け} &color(#cc66ff,#000000){日の呼吸の使い手ではない者たちが 刃を赤く染める} &color(#cc66ff,#000000){そんな未来を想像して何が面白い 己が負けることなど考えるだけで腸が煮え返る} &color(#cc66ff,#000000){俺はもう二度と敗北しない そうだたとえ頸を斬られようとも}}} 黒死牟はさらなる執念によって頸の弱点を克服。 もはや太陽の光以外にはどんな攻撃を受けても無意味と見下し自分はもう誰にも負けないと確信する。 だがしかし、彼は見てしまった。 実弥の刀に反射して映ってしまったそれを。 #bold(){侍の姿から遠くかけ離れた異形の怪物の姿を。} #center(){#bold(){&color(#cc66ff,#000000){(何だこの 醜い姿は……)} &color(#ff9900){兄上の夢はこの国で一番強い侍になることですか?} &color(#ff9900){俺も兄上のようになりたいです 俺は} &color(#ff9900){この国で二番目に強い侍になります} &color(#cc66ff,#000000){(侍の姿か?これが…)} &color(#cc66ff,#000000){(これが本当に俺の望みだったのか?)}}} そう自身の姿に疑問を抱いた刹那、その精神の揺らぎに呼応するかのごとく無一郎の赫刀に刺された場所から身体が崩れ始める。 もはや技を出すこともできず、再生が追い付かなくなった。そして #center(){#bold(){ &color(#cc66ff,#000000){(頚を落とされ体を刻まれ潰され 負けを認めぬ醜さ)} &color(#cc66ff,#000000){(生き恥)} &color(#cc66ff,#000000){(こんなことの為に私は何百年も生きてきたのか?)} &color(#cc66ff,#000000){(負けたくなかったのか?醜い化け物になっても)} &color(#cc66ff,#000000){(強くなりたかったのか?人を喰らっても)} &color(#cc66ff,#000000){(死にたくなかったのか?こんな惨めな化け物に成り下がってまで)} &color(#cc66ff,#000000){(違う私は)} &color(#cc66ff,#000000){(私はただ)} &color(#cc66ff,#000000){(縁壱 お前になりたかったのだ)} }} 心の底から憎んでいたはずの縁壱こそが彼の目指していた存在であったことに気づく。 そして思い返す。生まれた時から鬼になるまでの己の人生を。 縁壱が寿命で往生した後、憎悪と共にその遺体を切り裂き、その懐からかつて渡した笛が零れ落ちたのを見た際に&bold(){&color(#cc66ff,#000000){「(もうやめろ 私はお前が嫌いだ)」}}と思いながらもその本来の双眼からは涙が溢れていたことを。 そうして、家と妻子を棄て、仲間を裏切ってまで日輪に手を伸ばし続けた男の成れの果ては、僅かな着物と縁壱が持っていた笛を遺して塵に還った。 その後は他の鬼と同様順当に地獄送りになったことが扉絵で明らかになっている。 他の上弦の上位陣と異なりあの世で一切他人と逢う描写が描かれる事はなく、一人孤独に地獄の業火に焼かれながらも高みを求めて掻き毟る両手だけが描写されている。 己の意思で家族を捨て、人である事を捨て、同胞や子孫を殺し続けた男の因果応報の末路であった。 後にファンブック『鬼殺隊見聞録・弐』に収録された描き下ろし漫画では岩の呼吸の斬られ心地について&bold(){&color(#cc66ff,#000000){「仁王像を彷彿とさせる…」}}と答えている。 その時は今際に見せた異形の姿ではなく、普段の姿に戻っていた。 } *◆余談 ・初登場時からそのビジュアルや設定、佇まいから&bold(){「絶対に強いはず」%%「というか無惨様より強そう」「もうこいつがラスボスでよくね?」%%}とある種の期待をもって見られていたが、本格的な活躍が始まるとその予想以上の強さに多くの読者を興奮と絶望の渦に巻き込んだ。 ・自身を常に縁壱と比較してきた巌勝だが、戦闘技術においては&br()&br()・月の呼吸という独自の呼吸法を生み出す&br()・後継者となれる才能の持ち主が出てこない&br()・修練を開始してから僅かな期間で痣を常態化させる&br()・透き通る世界にも辿り着く&br()&br()等、紛れもなく稀代の才覚の持ち主だった。 ・本誌掲載時に初めて刀身が描かれた際(獪岳の回想時)のビジュアルは血走ったような紋様が刻まれていただけのシンプルな物だった。後の単行本収録時には現行のデザインに修正されている。 ・巌勝の名は父親が&bold(){「強く、いつも勝ち続けられるよう」}と願い名付けられた。&br() #center(){&bold(){&color(#cc66ff,#000000){(実に良き項目)}}} #center(){&bold(){&color(#cc66ff,#000000){(詳細で分かりやすい)}}} #center(){&bold(){&color(#cc66ff,#000000){(Wiki篭りが建てた項目なのだろう)}} #bold(){&color(#cc66ff,#000000){此方も追記・修正せねば…無作法というもの…}}} #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,117) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #lsd() #comment_num2(num=30) }