登録日:2019/07/14 Sun 16:08:10
更新日:2025/09/28 Sun 16:44:44
所要時間:約 25 分で…読むことだ…
これ程までに…研鑚し極められた肉体と技が…
この世から消えるのだ…嘆かわしいと思わぬか…
黒死牟とは『
鬼滅の刃』の登場人物である。
◆プロフィール
身長:190cm
体重:93kg
趣味:
囲碁
死地:無限城内
◆概要
鬼舞辻無惨直属の精鋭集団「
十二鬼月」において最上位階級たる
"上弦の壱"を預かる……すなわち
十二鬼月最強の鬼。
98話にて無限城に上弦の鬼が集結させられた際に
半天狗、
玉壺と共に初登場した。
普段は他の上弦同様無惨からの指令で産屋敷一族の居所および青い彼岸花の探索を行っており、また鬼として有望な人間を勧誘することもある模様。
◆外見
長身に長い黒髪を後ろで束ね、紫の着物と黒の袴を着用した侍風の男。
鬼と化して以降人間からかけ離れた異形を取るものも少なくないところ、黒死牟の身体の外見は人間とほぼ変わらない……が、右の額と首元辺りには炎のような不気味な痣が浮かんでいる。
そして何よりの特徴は禍々しい三対の眼。真っ赤な"白目"に金色の瞳を持ち、"白目"は集中線のような筋、瞳はひび割れのような模様が浮かぶ。眼は真ん中が人間と同じ位置、上が眉があるべき位置、下は頬にある。
「上弦」「壱」は真ん中の眼にあり右目に「壱」、左目に「上弦」となっている。
眼が6つもある大男という時点でかなり怖いが、
『霞柱』時透無一郎も「
他の上弦とは比べものにならない」「
重厚な様は威厳すらある」と評し、「
体が戦闘を拒否している」とすら評し戦意を喪失しかけた。
また黒死牟と対峙した隊士の一人にして現・上弦の陸たる
獪岳は戦うまでもなく心を折られた。なお獪岳曰く、黒死牟の放つ威圧感は「
全身の細胞が絶叫し泣き出すような感覚」らしい……。
◆性格
一人称は基本的に「私」。回想やモノローグではたまに「俺」になる。
二人称は、無惨には「無惨様」で、三人称では「あの方」。
その他の鬼や人間に対しては呼び捨てか「お前」。
落ち着き払った古風な言動を取るものの、言葉を発する際には節々に「……」と間を置いた丁寧な発声で喋る独特の口調が大きな特徴。
このせいで会話の間合いが妙に長く、黒死牟とのコミュニケーションには忍耐が必要。
元々は戦国時代の人間だった事もあって武人的な価値観の持ち主で、現在でも十二鬼月内での序列や従属関係を強く重んじる厳格な性格。
また敵である鬼殺隊の
柱に対してもその実力や研鑽を認めて賞賛する姿勢を示し、強さに対しては種族問わず真摯に評価するが、弱者には辛辣。
また
「死とはそれ即ち宿命」という死生観を持ち、
「死んだらそれまで」と考えている。
猗窩座同様に「見込みのある強者」は勧誘こそすれど、鬼になる前に死ぬ可能性については特に気にせず、強者を同族にすることへの執着も薄く、猗窩座のようにしつこく勧誘する素振りはなかった。
そして"強さ"に対して並々ならぬ執着を持っており、「鬼になることで永久に肉体と技の保存ができる」という理由で肉体的衰えのない鬼という種族を賛美している。
人間であった時の名前は継国巌勝。
戦国時代の武家「継国家」の長男で、上下関係に厳しい価値観はこの出自に影響されている。
また実は時透家の直系の先祖で、巌勝が継国家に残した子供の末裔が無一郎たち……つまり始まりの呼吸の剣士たちの一人である。
双子として生まれており、弟の名は
継国縁壱といった。
縁壱は生まれた時から額に不気味な痣があったせいで忌み子として扱われ父親に殺されそうになるも、母親がそれに激怒し猛反対したために10才で出家することを条件に生き延びることを許されたのだった。
武家の跡継ぎとして恵まれた環境で教育を受ける巌勝と異なり、環境を始めとしてぞんざいな扱いを受けていた縁壱は、母離れができず常に母の左脇に寄り添っていた。
そんな弟を巌勝は哀れみ、父の目を盗んで遊びに行ったり自作の笛を渡してやったりしていた。
縁壱は笑うことがなく、七歳になるまで耳が聞こえないとすら思われていた。しかし巌勝が剣の稽古をしていたある時、音もなく松の影に立っていた縁壱が話しかけてきたのだ。
兄上の夢はこの国で一番強い侍になることですか?
俺も兄上のようになりたいです
巌勝は生まれて初めて口を開いたと思えば流暢に喋り出した縁壱に気味の悪さを覚えるも、同時に「命をかける侍に母親にしがみついている奴がなれるはずない」と内心見下していた。
しかし、稽古を見学していた縁壱に父の配下(指南役)が戯れに持ち方と構え方を教えると、巌勝がいくら挑んでも一発も入れられなかった彼を、瞬きの一瞬で四発叩き込んで失神させるほどの才を見せた。
今まで哀れんでいた相手が実は己より遥かに優れた才能を持っていた現実を目の当たりにさせられ愕然としながらも、強さの秘密を縁壱に訊ねる。すると、縁壱は既に体内の状態から先の先を読む技能……「透き通る世界」に目覚めていることが判明する。
弟の神童と呼ぶに相応しい才を知ってしまい、立場が逆転したとまで認識し失意と共に侍の夢を諦めかける巌勝だったが、その夜縁壱が現れて母親が他界したことを告げ、このまま寺へ発つことを告げる。
いただいたこの笛を兄上だと思い どれだけ離れても挫けず 日々精進いたします
巌勝にとっては大した価値もないガラクタ同然の笛を宝物のように扱う縁壱の姿に、巌勝は再び気味の悪さを覚えるのだった。
そして縁壱が去った後に、亡き母の日記を見ると左半身が不自由になりつつあり、苦しんでいたことが判明。
そこで初めて「縁壱は母離れもできなかった」のではなく、「病で弱っていた母を支える為に常に側にいた」ということ、全てにおいて先を行かれていたと突きつけられることとなり、「私はその時、嫉妬で全身が灼けつく音を聞いた。縁壱という天才を心の底から憎悪した」と述懐している。
しかし、縁壱は寺にも行かず行方をくらましていた。
それから十年あまり、巌勝は縁壱のことを忘れ妻子に恵まれ、平穏な日々を過ごしていた。
だが、野営中に鬼に襲われた巌勝を、鬼狩りとなっていた縁壱が助けた事を機に再び運命が動き出す。
十年あまりの間に剣技を極め、非の打ち所がない人格者へと成長を遂げた縁壱を見て巌勝の中に再び嫉妬と憎悪の炎が再燃した。
その強さと剣技を手に入れるため、家も妻子も捨てて縁壱の後を追って
鬼殺隊に入り、他の剣士達と同様に痣を発現させて全集中の呼吸を学んでいく。
そうして五大呼吸のいずれとも異なる独自の呼吸法「月の呼吸」を生み出し身に着けるも、未だに縁壱には遠く及ばない。
それでも、年月をかければいずれは追いつくかと思っていた……はずだったが。
ある日を境に痣を発現させた者が次々と死に始めた。痣とは寿命の前借りで、齢25を迎えることなく死亡する代償を伴うものだったのだ。
それにより、修行に費やす猶予もないことを知り焦った巌勝のもとに全集中の呼吸に興味を持っていた鬼舞辻無惨が現れて持ち掛けた。
ならば鬼になれば良いではないか
鬼となれば無限の刻を生きられる
お前は技を極めたい、私は呼吸とやらを使える剣士を鬼にしてみたい
構成人員のほとんどが鬼の被害者、ないしその縁者である隊内において、鬼狩りから鬼を出すことは極めて重い……だが、
巌勝は縁壱の強さを超える手段として鬼狩りをしていただけで、また何よりも縁壱に追いつくために鍛錬する時間を欲していた事でこれを承諾。
無惨の血に三日をかけて順応し鬼となると、手始めに当時の“お館様”を殺害しその首を新たな主へと献上する。
こうして始まりの呼吸の剣士たちの一人は最悪の裏切り者として鬼狩りと、そして弟と完全に袂を別つこととなった。
そして年月がたったある赤い月の夜、本来であれば痣を発現させた副作用でとうに死んでいるはずの縁壱と再会。
理をも超えて生きていた縁壱に動揺しつつも、己が鬼であるならば弟であっても殺さねばならぬと決意を固める。
しかし、縁壱は80歳を過ぎた老体となってなお全盛期と変わらぬ動きをみせ、黒死牟は刀を抜くことすらできず一閃される。
かつて感じていた憎悪と嫉妬が蘇り、「五臓六腑が捻じ切れそう」だと例える程の焦燥と敗北感を抱きながら次の一撃で頸が落ちると確信する。
だが、次の一撃は終いには来ることはなかった。縁壱は直立したまま寿命で息絶えていたからだ。
最後まで弟を超えることができなかった黒死牟は、勝ち続けることを決意し今に至っている。
結果として人の頃と全く変わらぬ人格と明確な記憶を有した、童磨同様鬼としては異端の存在である。
なお縁壱の回想では幼い縁壱に笛を渡した際、忌み子である縁壱に構うことを咎めた父親に顔が腫れ上がる程に殴られながらもそれを意に介さず、その翌日に「助けてほしいと思ったら吹け。すぐに兄さんが助けにくる」と微笑み弟を気に掛ける姿を見せていた。
その後は日の呼吸を知る者を根絶やしにする為に、該当者を無惨と共に徹底的に殺し尽した。
日の呼吸の存在が後世に殆ど伝えられていない事や、数が少なく、詳細が判らなさすぎて黒い日輪刀の持ち主は出世しないという鬼殺隊の伝承の原因となったのは、日の呼吸に繋がる存在を殺し続けた黒死牟の存在が非常に大きいと考えられる。
公式ファンブック『鬼殺隊見聞録』によると、無惨の黒死牟に対する認識は
ビジネスパートナー。
黒死牟自身も無惨とは気が合い、無惨が鬼達に恐れられる原因の1つである「思考の読み取り」に関しても、主君に絶対の忠誠を誓う黒死牟にしてみれば感情を隠して取り繕う必要がないので
むしろ気が楽だと考えていたらしい。
上下関係を重視している事から、無惨から与えられた血を
「有り難き血」と形容する点でも主君に向ける崇敬の念が見える。
そして格上である
童磨に対して
猗窩座が拳を振るった際にはその左腕を斬り落として彼を諫め、軽薄に振舞う童磨にもまた釘を刺した辺りにもその思考がよく表れている。
童磨と軋轢を起こす猗窩座に手を焼きつつも彼を気に入っており、入れ替わりの血戦を挑まれた時には本来であれば捕食していたところを喰わずに生かしておき、再び挑んでくることに期待を寄せていた。
その強さ故に血戦を挑まれる機会自体が極めて稀だったせいか、
猗窩座が挑んできた時は嬉しかったらしい。
◆戦闘能力
十二鬼月が組織されて以降、一度も『上弦の壱』の座を明け渡さず頂点に立ち続ける。
その外見と得物が示すように戦闘スタイルは刀を用いた剣術で、鬼よりも剣士としての形質が強く表れている。
ちなみに愛刀の名前は虚哭神去。刀身に無数の目玉が蠢く禍々しいデザインが強烈なインパクトを放つ。本気を出すと刀身が伸び、横から三本の刃が生える。
詳しくは後述。
黒死牟最大の特徴は
「月の呼吸」、つまり仇敵たる
鬼殺隊と同様
全集中の呼吸によって身体能力を強化した上でそれを行う事。
元より強靭な鬼の肉体性能を呼吸法で更に底上げすることによって、
無一郎も不死川玄弥も一切寄せ付けず、痣を発現させた『風柱』不死川実弥と『岩柱』悲鳴嶼行冥の2人を同時に相手取り尚圧倒する程の絶大な戦闘能力を発揮する。
他にも
- 猗窩座に気取らせぬまま間合いに踏み込んでその腕を落とす
- 至近距離から放たれた不意打ちの銃弾を全て刀で弾き飛ばす
といった具合にその強さと技能は他の鬼達の追随を許さない。
剣術一辺倒
というわけでなく体術にも精通しており、劇中では
- 無一郎相手に無刀取りをカウンター気味に決める
- 振り下ろされた刀を逆に踏みつけ、地面に叩きつけてその破壊を狙う
などの離れ業を披露。単純な戦闘技能のみならず洞察力も極めて高く、初見の技「朧」に対してもその性質を即座に見抜き対応している。
再生能力や肉体強度も上弦らしく極めて高く、中でも頸の強度に至っては、痣を発現させた実弥の一撃でも刃が通らず、悲鳴嶼の鉄球の直撃にも耐えてしまうほど。
厄介なことに攻撃に対しては基本避けるか刀で受けるかして対応するため、再生能力にかまけた油断も見られない。
挙句駄目押しと言わんばかりに「透き通る世界」をも習得しており、追い詰められた時の奥の手として全身から刀を生やして超高速の斬撃を放つ技能を持つ。
ちなみに搦め手を主体にせず己の技術で真っ向勝負を仕掛けるというスタイルは猗窩座とも共通する。
流派/血鬼術
全集中 月の呼吸
黒死牟が使用することで初めて存在が明らかになった呼吸。呼吸音は「ホオオオ」。
出自で述べたとおり
「月の呼吸」自体は人間の頃に日の呼吸を基に自力で一から編み出した独自の型だが、黒死牟はこれに血鬼術を組み合わせ、
「刀を振るって膨大な斬撃の弾幕を飛ばす」人外の剣技へと変貌させた。
型の数は確認できただけでも
十六にものぼり、全体的に広範囲に致死となる攻撃が放たれる質・量をハイレベルで兼ね備えた物になっている事が特徴。
加えて
振るわれる刀や放たれる全ての斬撃に沿って大きさや長さが常にランダムで変化する三日月状の刃が無数に形成されるという初見殺し的効果もある。
その為あらゆる攻撃の軌道が非常に変幻自在且つ歪で、相応の実戦経験が無ければ対応する事は不可能。
そしてそれらの刃も触れれば人体を容易く切断するだけの威力を有する。
だがこの三日月は悲鳴嶼の武器で叩き割られている場面があり、一応は迎撃することも可能な模様。
型の番号が増えるほど斬撃の密度・規模・攻撃範囲が増大する。特に漆ノ型以降の技に顕著で、連打されると接近する事は疎か防御や回避すらも困難となる。
抜刀して真一文字に振り抜くシンプルな居合斬り。
上記の性質の為極めて回避困難であり、加えてそもそもが卓越した身体能力と戦闘技能を有する黒死牟が放つそれは、「異次元の速さ」と称されるほどの絶技と化している。
痣を発現させた状態で霞の呼吸漆ノ型・朧を使用した無一郎を一閃、その左手を斬り飛ばした。
悲鳴嶼の放った「流紋岩・速征」と打ち合った技。
連続で虚哭神去を振るい広範囲を攻撃する。
「弄月」とは"月を見て楽しむ"という意味の言葉。
前方を互い違いに切り裂く二連撃。
忌月とは死者の命日がある月、銷は鎖や糸で繋いだものの事。
虚哭神去を振るうことなく発生させる、自身の周囲を巻き込む竜巻のような斬撃。
「月魄」は"月の精"・"月神"といった意味合いの単語。
大きく振りかぶって縦方向に弧を描く無数の斬撃を縦横無尽に見舞い周囲ごと対象を切り刻む斬撃。
「孤月」には"ものさびしく見える月"という意味がある。
変化させた虚哭神去を前方を薙ぐと同時に地を走る五筋の斬撃を放つ。斬撃を飛ばす際の一振りには変則刃が付随する。
飛ばされた斬撃には変則刃こそ付随しないが、よく見ると飛ばされた斬撃の側面に半円状の斬撃が追加で幾つか発生している。
「月映え」は月に照らされた物が一層映える様子を指す。
なおこの型以降の番号の技は全て変形後の虚哭神去を持ちいる。
変化した虚哭神去を強烈な怪力で横一文字に振り抜き、前方広範囲を薙ぎ払う極太の斬撃。
その様は正に龍が尾を振るうかの如し。
虚哭神去を背中から前方にかけて振るい、相手の頭上から三日月型の斬撃を雨のごとく無数に降らせる。
「降り月」とは陰暦において満月から欠けていく月である。
対象を磨り潰すかのように幾重にも連なる巨大な丸鋸状の斬撃を敵目掛けて飛ばす技。
「蘿月」は"つたかずらから漏れ出る月光"の意。
- 拾肆ノ型 兇変・天満繊月
周囲を埋め尽くす程の斬撃を渦を巻くように発生させて繰り出す波状攻撃。
「繊月」は細長い月、すなわち三日月を表す。
- 拾陸ノ型 月虹・片割れ月
玖ノ型を上回る大きさと、地面を穿ち叩き割る程の威力の斬撃の雨が正確に標的を狙って降り注ぐ。
月の光で生み出される虹を「月虹」と呼ぶ。
披露されなかった肆・拾壱・拾弍・拾参・拾伍ノ型の技名や動きは不明。
カラー版によると日輪刀の刀身は紫に染まる模様。
特殊技能
炭治郎や現代の柱達も操る肉体の
リミッター解除能力。
黒死牟は鬼になったことで最大の欠点である寿命を乗り越え、常時発動の域に達している。
「無我の境地」「至高の領域」とも呼ばれ、痣と同じく主人公・
竈門炭治郎や現代の一部の柱や鬼が使う、相手の肉体を透視する特異な視野。
透視した筋肉の動きや肺の収縮、血流の変化、骨の向きなどから相手の動きを先読みして先手を取ったり、内臓の位置を知覚して弱点を見破ったりと非常に応用性が高い。
鬼と化して以降から黒死牟が日輪刀の代わりに振るっている愛刀。
峰や鍔に無数の眼が浮かび、目釘部分が本物の眼になった持ち主同様眼の存在が目立つ不気味な造形。
刀の名称が明らかになったのはファンブックから。
その特徴は黒死牟自身の血と骨で形成されている為、変形能力と強い再生復元能力を備えている事。
その為、剣士にとって致命となりうる武器の破損などを気にする必要が無い。
単純に刀身の総質量に応じて放つことのできる斬撃の射程・数が増すようで、劇中では本気を出したことで刀身が伸び、更に刃側から1本、峰側から2本刀身が新たに生えた黒死牟の身の丈を軽く上回る規格外の大太刀と化した。
そしてそんな大太刀を軽々と振り回しながら、攻撃速度は微塵も衰えないためハンデにはなり得ない。
一応極めて高純度の日輪刀と切り結べば灼け落ちてしまうという弱点はあるが、そもそもそうなる程の代物が滅多に存在しない上、再生する特性もあって実質的な弱点とはなりにくい。
またいざとなれば全身から虚哭神去の刀身を無数に生やし、ノーモーションかつ全方位に無数の斬撃を撒き散らすこともできる。
◆活躍
刀鍛冶の里編
妓夫太郎の敗北を受けて無惨が上弦の鬼を無限城に召集したため、鳴女の術によって馳せ参じる。
無惨の到着をいち早く察知し、主君からの
「数百年かけても産屋敷一族の殲滅も青い彼岸花の発見もできないとかお前らいる意味あるの?(意訳)」という怒りを
「返す言葉もない」と粛々と受け止めた。
無惨が去ってからは童磨に対して必要以上に攻撃を加える猗窩座の左腕を音も無く斬り落とし、「お前は度が過ぎる」と叱責。
それでもなお減らず口を叩き続ける童磨に苛立つ猗窩座を「気に喰わぬのなら入れ替わりの血戦を申し込め」(=正式な場で童磨を殺せ)と諭し、その異貌を露わにして念を押した。
それに対し「いつか必ずお前を殺す」と宣言した猗窩座に励む様に伝えると、音も無く姿を消し自ら無限城から退出した。
無限城編
善逸と獪岳の同門対決において、獪岳の回想という意外な場面で再登場。
獪岳が任務で訪れていた村を壊滅させており、恐怖と絶望の末に戦意を喪失して命乞いをした彼を鬼に勧誘した張本人であることが明かされた。
またその際に
- 強い剣士であるほど鬼に変ずるには大量の無惨の血とそれに適応する長い時間が必要
- 稀に血を与えられても鬼に変じない体質の者がいる
と語り、「私は丸三日かかった」との発言から彼自身もまた元鬼殺の剣士であることが確定した。
更に言えば、獪岳が鬼と化してから日が浅いにも関わらず、無限城での決戦前に上弦に選ばれた裏には黒死牟の推薦があったという設定がファンブックで明かされており、彼の鬼としての実力や将来性をそれなりに評価していた事が窺える。
その後は無限城内の無数の柱が立つ部屋で鬼狩りを待ち構える。
猗窩座の気配が消えたことで彼の敗北を悟り、自身の期待に反して鬼を捨て人としての死を選んだ事に「さらなる高みへの道を自ら放棄するとは軟弱千万」と苛立ちを見せ、部屋の柱を数本斬り倒すなどいずれ自分を超える事を期待していた事もあり、失望からか珍しく感情を荒げる姿を見せた。
鳴女により飛ばされてきた時透無一郎と遭遇。
気配から「時透が継国家に残してきた子供の末裔である」という衝撃の事実を語り出す。
無一郎は一瞬動揺するもすぐに気を鎮めて交戦。
黒死牟は無一郎を賞賛しながらも初見の技を即座に見切り、その左手を斬り飛ばす実力の差を見せつける。
無一郎は片手を失いながらも即座に止血して斬りかかるが、黒死牟は無一郎の刀を素手で奪い取るとその刀で彼を柱に磔にし、その優れた力量を見込んで鬼に変えようと画策。
更にその様子をうかがっていた
玄弥の不意打ちの銃撃も難なく回避して玄弥の胴と腕を切り落とす。
三百年以上前にも鬼喰いをした剣士がいたようで、その剣士と違って胴体を切断しても絶命しない玄弥に感心するも鬼擬きに興味はないと頸を切断しようとするが、そこに乱入した実弥によって攻撃を阻止される。唯一の家族である玄弥を危険な戦いに巻き込ませたくないために彼に辛く当たり続けていた実弥だったが、ようやく自分の本心を明かすと同時に大切な弟を傷付けられた怒りを爆発させる。
テメェは本当にどうしようもねぇ弟だぜ
テメェはどっかで所帯持って 家族を持って爺になるまで生きてりゃよかったんだよ
よくも俺の弟を刻みやがったなァ 糞目玉野郎ォオ 許さねェ 許さねェ 許さねェェ!
風柱・実弥は月の呼吸に付随する三日月の刃の性質を見切っていたこともあり、多少は善戦。
しかし、地力の差で次第に押されていき、傷を負ってしまうも、実弥は鬼を酩酊させる稀血を生まれつき持っており、黒死牟もその影響を受けたのを確認すると反撃を開始。
酩酊させてもなお、全く衰えぬどころかそれを楽しむ様子すら見せる黒死牟は実弥を圧倒。
しかし、ここで鬼殺隊最強の男である岩柱・悲鳴嶼が参戦。
最強同士ほぼ互角の攻防の中ついに黒死牟の刀を折るも、刀は即座に再生し、逆に手傷を負ってしまう。
そこで悲鳴嶼は「今使うもやむ無し」と無惨まで温存するつもりだった「痣」を解放。
それに対して黒死牟は「痣」の発現者は例外なく25歳を迎える前に死ぬという副作用を明かし、既に25を超えている悲鳴嶼を極めた技を絶やさぬために鬼になるよう勧誘。
だが、悲鳴嶼は「柱」となった以上は明日の命の保証もないという覚悟はとうにしていること。
そして、我らは人として生死を全うすることを矜持としていると断言し、これを一蹴する。
さらに、
「例外はあったのだろう 痣を持ち25を超えて尚生き続けた者がいた」と彼の発言の虚偽を指摘。
それに対して黒死牟は動揺したような様子を見せ、無言で悲鳴嶼に斬りかかる。
再び激しく斬り結ぶ2人の戦闘に痣を発現させた実弥も加勢。
黒死牟も本気を出し、刀を歪な大太刀に変形させると異次元の攻撃範囲を持つ型の数々で2人を追い詰める。
しかし、
- 悲鳴嶼が戦闘の中で黒死牟と同じ「透き通る世界」に到達する
- 無力化したかに見えた無一郎と玄弥が復活
- 極限状態で「透き通る世界」を垣間見た無一郎、黒死牟の髪と刀の破片を喰らい「生物のように曲がる銃撃」と「木の根を発生させる血鬼術」を身につけた玄弥、二人の命懸けの連携で完全に動きを止められる
といった要因が重なり、今まで戦いを楽しむ余裕を見せていた黒死牟はついに首に刃が届く寸前にまで追い詰められる。
長らく感じていなかった命の危険に400年前の縁壱との再会を思い出した黒死牟は咆哮。
全身から刀を生やして反撃を放ち、無一郎と玄弥をそれぞれ横と縦に両断。さらなる攻撃を放とうとする。
しかし、死を目前にしても仲間のために足止めをせんとする無一郎の想いに応えるが如く、
耳飾りの剣士と同じ様に
赫く染まった刀により黒死牟の動きを鈍らせ、更に玄弥が最期の力で血鬼術を再発動、血を吸うことで血鬼術を封じる力を有した木の根により完全に無力化。
そして悲鳴嶼の鉄球に実弥が刀を重ね当てた赫刀によってついに黒死牟は頸を落とされる。
だが…
後継をどうするつもりだ?
極めた技が途絶えてしまうぞ
私たちはそれ程大そうなものではない
いつか これから生まれてくる子供たちが 私たちを超えてさらなる高みへと
登りつめてゆくんだ
終焉
特別なのは自分達の世代だけなのだと慢心していた私は 気味の悪さと苛立ちで吐き気がした
何が面白いと言うのだ
胴を両断されても刀から手を離さず
人間が血鬼術を使い
斬られても斬られても失血死せず
鬼に匹敵する成長速度で 肉体の限界を超える動きをし続け
日の呼吸の使い手ではない者たちが 刃を赤く染める
そんな未来を想像して何が面白い 己が負けることなど考えるだけで腸が煮え返る
俺はもう二度と敗北しない そうだたとえ頸を斬られようとも
黒死牟はさらなる執念によって頸の弱点を克服。
悲鳴嶼と実弥による怒涛の猛撃を受け続けてなお再生を止めず、もはや太陽の光以外にはどんな攻撃を受けても無意味と見下し自分はもう誰にも負けないと確信する。
……だがしかし、彼は見てしまった。
偶然にも実弥の刀に反射して映ったそれを。
(何だこの 醜い姿は……)
兄上の夢はこの国で一番強い侍になることですか?
俺も兄上のようになりたいです 俺は
この国で二番目に強い侍になります
(侍の姿か?これが…)
(これが本当に俺の望みだったのか?)
そう自身の姿に疑問を抱いた刹那、その精神の揺らぎに呼応するかのごとく無一郎の赫刀に刺された場所から身体が崩れ始める。
もはや技を出すこともできず、再生が追い付かなくなった。
そして、
(頚を落とされ体を刻まれ潰され 負けを認めぬ醜さ)
(生き恥)
(こんなことの為に私は何百年も生きてきたのか?)
(負けたくなかったのか?醜い化け物になっても)
(強くなりたかったのか?人を喰らっても)
(死にたくなかったのか?こんな惨めな化け物に成り下がってまで)
(違う 私は)
(私はただ)
(縁壱 お前になりたかったのだ)
心の底から憎んでいたはずの縁壱こそ、自分が目指していた存在であったことに気づく。
そして思い返す。生まれた時から鬼になるまでの己の人生を。
縁壱が寿命で往生した後、憎悪と共にその遺体を切り裂き、その懐からかつて渡した笛が零れ落ちたのを見た際に「(もうやめろ 私はお前が嫌いだ)」と思いながらもその本来の双眼からは涙が溢れていたことを。
(何故私は何も残せない)
(何故私は何者にもなれない)
(何故私とお前はこれ程違う)
(私は一体何の為に生まれてきたのだ)
(教えてくれ 縁壱)
そうして、家と妻子を棄て、仲間を裏切ってまで日輪に手を伸ばし続けた男の成れの果ては、結局のところ何者にもなれぬまま、身に纏っていた着物と縁壱の笛のみを遺して塵に還った。
その後は他の鬼と同様順当に地獄送りになったことが扉絵で明らかになっている。
他の上弦の上位陣と異なりあの世で一切他人と逢う描写が描かれる事はなく、扉絵にて一人孤独に地獄の業火に焼かれながらも高みを求めて掻き毟る両手だけが描かれている。
己の意思で家族を捨て、人である事を捨て、同胞や子孫を殺し続けた男の因果応報の末路であった。
後にファンブック『鬼殺隊見聞録・弐』に収録された描き下ろし漫画では岩の呼吸の斬られ心地について「仁王像を彷彿とさせる…」と答えている。
その時は今際に見せた異形の姿ではなく、普段の姿に戻っていた。
◆余談
- 現上弦では童磨と同じく炭治郎と一度も相対しないまま退場した。
- 初登場時からそのビジュアルや設定、佇まいから「絶対に強いはず」
「というか無惨様より強そう」「もうこいつがラスボスでよくね?」とある種の期待をもって見られていたが、本格的な活躍が始まるとその予想以上の強さに多くの読者を興奮と絶望の渦に巻き込んだ。
- 自身を常に縁壱と比較してきた巌勝だが、戦闘技術においては
・月の呼吸という独自の呼吸法を生み出す
・後継者となれる才能の持ち主が出てこない
・修練を開始してから僅かな期間で痣を常態化させる
・透き通る世界にも辿り着く
等、紛れもなく稀代の才覚の持ち主だった。もっとも、なまじ高い才覚を持つ分縁壱との差をより強く認識してしまう所もあったと思われる。
- 本誌掲載時に初めて刀身が描かれた際(獪岳の回想時)のビジュアルは血走ったような紋様が刻まれていただけのシンプルな物だった。後の単行本収録時には現行のデザインに修正されている。
- 巌勝の名は父親が「強く、いつも勝ち続けられるよう」と願い名付けられた。
この項目が面白かったなら……\ポチッとせねば…無作法というもの…/
- 弟からは格上と見てもらってるというすれ違いが美しいよね -- (名無しさん) 2025-07-26 17:10:05
- 映画の猗窩座が最高すぎただけに、同じように映像媒体で大暴れする黒死牟(&童磨も)を拝めるのはあと何年後になるのか… -- (名無しさん) 2025-07-26 17:11:50
- 兄上からは悲鳴嶼さんを褒めてるけど、悲鳴嶼さんからは割りと酷評されてた兄上。(貴様の下らぬ観念を至上のものとして他者に強要するな) -- (名無しさん) 2025-07-31 18:35:04
- 本来なら緑壱の足りない部分を厳勝が補う、二人揃って神の遣いだったのではと思わなくもない -- (名無しさん) 2025-08-01 18:19:12
- もしあの夜に対峙したのが兄弟二人だったなら、無惨は確実に滅ぼされていたなんて考察もあるぐらいには強者の側 -- (名無しさん) 2025-08-01 19:15:14
- 勝手に縁壱を除いて歴代の柱最強だと思ってる -- (名無しさん) 2025-08-02 01:37:17
- おそらく心技体全部悲鳴嶼さんに負けてると思うが -- (名無しさん) 2025-08-02 01:49:11
- おそらくファンからの呼称は黒死牟や巌勝より兄上呼びの方が多いと思われる。鬼滅自体兄キャラは多いけど兄上で誰のこと指してるのかわかっちゃうの草生える -- (名無しさん) 2025-08-03 01:03:49
- 他には 長男→炭治郎、兄ちゃん→実弥、お兄ちゃん→妓夫太郎 で大体通じると思う -- (名無しさん) 2025-08-03 01:10:31
- 本人が弟との差を理解出来る天才だった事が不幸だったなって -- (名無しさん) 2025-08-09 09:23:50
- その過激な信者というのの詳細は分かりかねるけど、ここのコメント欄見ても「同情できる部分は色々あるけど、それはそれとしてやってる所業は普通にアウトだから一人寂しく地獄行きは妥当」って意見が大半のように見えるけど。 -- (名無しさん) 2025-08-12 19:25:47
- 私は兄上好きなキャラ。弟の頼壱さんも。アルスラーン戦記のラジェンドラⅡ世の「いっそ他人に生まれればこんなことにはならなかったやもしれない。」な兄弟のすれ違いが美しい -- (名無しさん) 2025-08-16 20:59:51
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「2025/08/12 (火) 01:49:45」「2025/08/12 (火) 19:19:33」「2025/08/12 (火) 19:39:41」「2025/08/12 (火) 19:42:00」「2025/08/15 (金) 14:10:18」「2025/08/17 (日) 23:46:32」「2025/08/17 (日) 23:47:27」「2025/08/18 (月) 21:24:56」「2025/08/18 (月) 21:29:40」以上9件のコメントをコメント整理に関する相談ページに報告しました。相談から24時間以上反対が無かったため当該コメントを削除しました。 -- (名無しさん) 2025-08-18 21:55:59
- また、上記のコメントを行った「240b:c020:4d1:3d4b:8737:a15:6e09:3ca7」「240b:c020:4c2:43ce:9bff:f140:2fb2:4b89」「240b:c020:633:49fa:8d61:dcde:2c28:50a2」以上3件のIPを「該当項目キャラのファン、信者に対する再三の愚痴。それに対するこちらの呼びかけを無視した主観を多分に含む自己主張の繰り返し、その上で一方的にこちらを悪質な信者と決めつける罵倒。」を理由として荒らし報告ページへ報告しました。 -- (名無しさん) 2025-08-18 22:16:53
- ↑15でも実際黒死牟はそう言われても仕方無いんだよな妻子捨てたり鬼殺隊裏切って当時のお館様殺してるし子孫鬼にしようとした挙げ句に殺めたし -- (名無しさん) 2025-08-20 17:23:47
- ↑ただ最期に「○○みたいな『侍』になりたかった」と本音をこぼして形見の○を残して消えるのが美しい。 -- (名無しさん) 2025-08-25 18:29:26
- ↑最後に自分の変わり果てた姿見た後自殺してその際に本音言うのは嫌いじゃないが今までやって来た事考えるとはよ気付けやとしか思えない -- (名無しさん) 2025-08-26 00:14:29
- そこに気づける兄上だったら400年前に全部終わってたんだ -- (名無しさん) 2025-08-27 10:24:05
- 長男の正の側面が炭治郎、負の側面が兄上 兄は弟より優れてなければならないという武家社会の呪縛に雁字搦めになってる -- (名無しさん) 2025-08-27 12:08:53
- 無惨の方針が絶対だったんだろうけど、縁壱の代理敵として日の呼吸の適性を持つ剣士を成長させきってから倒すって思考はなかったのかな? -- (名無しさん) 2025-09-04 20:05:20
- 無惨が許さないし、そもそも特別なのは日の呼吸より縁壱本人なので流派だけ同じでも仮想敵すら務まらない -- (名無しさん) 2025-09-04 20:52:20
- 頼壱さんが転生しても兄上はまだ地獄にいるっぽい。 -- (名無しさん) 2025-09-07 19:40:32
- 弟への感情は複雑だからな 死んだら号泣したし、最期の独白がお前になりたかっただし -- (名無しさん) 2025-09-07 20:01:39
- 炭治郎とエンカウントした時の反応とか気になる -- (名無しさん) 2025-09-07 20:19:31
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上記にある、荒らしのコメント(削除済み)に反応しているコメント(2025-08-16 19:40:38、2025-08-18 00:14:11、2025-08-18 06:03:29)をコメント整理に関する相談ページに報告しました。 -- (名無しさん) 2025-09-09 10:38:09 相談から24時間経過したため該当のコメントを削除しました。
- ともすれば全キャラの中でもトップクラスに人間臭いよね。だから好きだし嫌いになれないけど、それはそれとして実のところ作中屈指の悪人でもあると思ってる -- (名無しさん) 2025-09-11 12:28:36
- ↑自分のやった罪に対して最後の最期まで自覚ないあたり確かにどうしようもない悪ではあるな。玉壺みたいに自分の美学だから殺していいみたいな言い訳すらしねぇもん。ガチで殺しも人喰いにも何一つ心動かしてない -- (名無しさん) 2025-09-11 16:32:09
- ↑戦国時代の生まれだから、「下々の者達の命は特権階級の者が好きに使っていい」って考えあったかもだし、鬼化の影響でそれがより強まったのかも -- (名無しさん) 2025-09-14 12:04:14
- 産屋敷の先代お館さま殺害、首を持って無惨のもとへ行くっていう凄まじいことやってるけどな -- (名無しさん) 2025-09-14 12:32:36
- 弟のやってることが後世へ繋ぐこと、この人がやってることが自分の持ってるものを切り捨てることで対比になってる。 -- (名無しさん) 2025-09-17 11:08:31
最終更新:2025年09月28日 16:44