原作レイプ

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原作レイプ - (2021/04/28 (水) 20:04:32) の編集履歴(バックアップ)


登録日: 2010/03/12(金) 00:27:18
更新日:2024/04/21 Sun 16:24:10
所要時間:約 5 分で読めます




[ローカルルール]
※この記事では項目・コメント欄共に、個別作品名及び個別キャラクター名、関係者の名前等を出すことを禁止しています。また、たとえ具体的に作品/キャラクター名を挙げていなくても愚痴や叩き行為とみなされた場合はりどみ違反となります。
もし違反した場合はIPの規制などの措置が取られる可能性がありますのでご了承ください。

概要

原作レイプとは、原作(または原作者や原作ファン)を冒涜していると感じるメディアミックスのこと。
文字通り「原作」を「レイプ」したように思えるところからきている。
類義語に「原作クラッシュ(こちらは後述するようにいい意味でも使われる事がある)」「黒歴史」がある。

ただし多少原作と経緯が異なっている程度の作品、
原作と異なっていても原作の雰囲気を壊していない作品、あるいは原作を改変しているもののは該当しない。

酷いものの具体例としては、
  • 作画崩壊
  • 棒読み演技(ただしそれが逆に嵌まる例もある*1)
  • 必要性を感じられないオリジナルキャラやオリジナルストーリー(無駄なシリアス、恋愛要素など)
  • エロ・グロシーンを必要以上に挿入または除外(文字通りのレイプシーン含む)
  • 内容の大幅なカットや改変
  • 原作からの性転換(男から女への変更が多い)
  • キャラクターの性格改悪(ヒロインのヤンデレ化など)
  • 美術、演出、主題歌、BGM等が低品質
…etc。

【原因】

原因には様々なものがある。
  • 原作の尺と放送枠あるいは掲載枠の尺が明らかに合わない事による設定の削減や挿入*2
  • 販促や宣伝面に気を取られすぎて中身が釣り合わなくなってしまう
  • 予算が少ない
  • 制作スケジュールが短い
  • 芸能事務所の事情を優先したミスキャスト(例として元のキャラクターよりも身長が低いなど)
  • 制作・スポンサー側による原作と異なるターゲット客層取り込みを企図した改変
  • 制作側の独自解釈や独特な感性
  • 制作側の「この作品は人気作だから(この程度で)満足するだろう」という慢心
  • 制作側の手抜き・力不足
  • 原作に対する理解・尊重の欠如(中には制作側が原作をほとんど知らない場合もある)
…etc。



◆アニメの場合

最近は原作が枯渇しているという問題もあり、少しでも人気がある漫画やラノベ等は、すぐにアニメ化されることが増えている。
しかし深夜アニメなどになると、予算やスケジュールは潤沢ではない作品も多く、
それに伴い原作レイプ率も必然的に高くなってしまうのが現状。

数が多く熱狂的なファンが多いが故に、ネット上では特に荒れやすい分野でもある。
特に荒れやすい要素として「長い原作を1クールに収めるための改変」「原作が未完でも最終回を迎えるための改変」「作画やキャラクターデザインの品質・アレンジ」「低品質な作画」といった面が挙げられる。
特定のスタッフや会社が何度も起こしたり、畑違いだったり経験の浅いスタッフがいきなりやってきて…といった事例も多い。

また、「アニメ作りのプロではない原作者ががっつり監修し過ぎた結果、原作通りではあるもののアニメとしての完成度は低くなってしまう」という、
「原作者自らによる原作レイプ」とも言える皮肉な例もごく稀にだが発生する事も。


◆ドラマの場合

ドラマ(特にゴールデン枠)は縛りが多く、視聴率重視のため主婦や子供や高齢者などの幅広い視聴者層に合わせて色々変えられてしまう。
荒れやすい例としては「客寄せパンダ的なキャスティングや流行り要素をねじ込む」「一般層に向けて本来なかった恋愛要素や家族愛要素を入れる」「画面に華を、と男性キャラを女性に変更」「長い原作を1クールに収めるための改変」「原作が未完でも最終回を迎えるための改変」など。

また、芸能事務所との関係でミスキャストも起こりやすい。
なお原作が漫画やラノベなどといった二次元のデザインがあった場合には……。


◆映画の場合

映画は地上波作品に対して、予算や準備期間が膨大になるため、失敗した場合のダメージが非常に大きいメディアである。
特に予算不足とそれに纏わるトラブルが顕著で、予算を回収するための試行錯誤が裏目に出て失敗に陥る事がある。
概ねドラマと同様で「客寄せパンダ的なキャスティングや流行り要素をねじ込む」「一般層に向けて本来なかった恋愛要素や家族愛要素を入れる」「画面に華を、と男性キャラを女性に変更」「長い原作を出来るだけ短い尺に納めるために大胆過ぎる取捨選択*3」など。
ドラマと違いCGや特殊メイクなどを使った「SFやファンタジーのような浮世離れした要素の多い実写映画」もできるのだが、これに挑戦すると表現の限界なども加わってより失敗しやすい。

予算が潤沢なハリウッドにおいても、昨今は海外(特に中国)への展開や多様性を重視した商業展開などを過剰に重視して陥りがちだったりする。
また、原作では有色人種のキャラクターに白人のキャストが当てられる事もあるが、
これは「ホワイトウォッシュ(ホワイトウォッシング)」と呼ばれ、人種差別的であるとして世界的に批判・問題視されている。
それを意識し過ぎたのか、逆に白人系キャラクターに有色人種を当てた「ブラックウォッシュ」もあるが、これもまた然りである。
更に海外映画の場合、日本公開に際して、宣伝費用を抑えるためにスキルの乏しい芸能人を吹き替えに起用する*4
内容と乖離したポスターやCMを製作する*5など「(映画という)原作をレイプ」するパターンがたびたび発生している。

監督に癖があると、場合によっては盛大なクラッシュが起こりうる。

日本の場合、製作委員会*6によって、様々な方面から「スポンサーの要望」が発生したり、現実世界の事件、事故等に対する配慮から、
原作の重要な要素を削ぎ落とす事を求められる、そもそもアニメ化に向かない作品をアニメ化することになるなど、クリエイターが御用聞きにならざるを得ない事もあり、結果目も当てられない出来になることも*7

◆書籍の場合

いわゆる「コミカライズ」「ノベライズ」化。
実力不足な無名の漫画家や作家が手掛けることがあり、その場合どうしても質の低下に繋がりやすい。
一方で、有名な漫画家や作家が手掛けると、それはそれで不思議な改変をされたり、その漫画家や作家の色に染まってしまったりする事もある。


◆ゲームの場合

原作がヒットしているうちに発売しようとする為に製作期間を長く取れなかったり原作側の制作事情等で展開が予測できない事も多く、
色々と詰めの甘い部分(打ち切りエンド、キャラクターの描写に矛盾がある)が目立つ状態で発売されてしまう。
酷い時には別ゲームを原作キャラクターにすげ替えただけの代物も存在する(原作とは無縁のジャンルのものが多い)。
また、版権や予算の都合上、原作とキャスティングが違っていたり、原作の映像や音楽を使用できない場合も批判に晒されやすい(遜色ないクオリティであれば好評を得る事もある)。

また、原作がゲームである場合も、メーカーやプロデューサーの変更による技術低下や、
設定改変によって原作ファンの怒りを買うような作品が生まれる事も*8

コラボレーション作品においても、開発側が双方の設定を把握し切れず、結果ファンの怒りを買ってしまうことがある。

ただし、キャラゲーはあくまでファンアイテムと割り切っているユーザーも多く、
ゲーム性に多少粗があっても設定等が原作通りであればあまり騒がれることはない(前作の出来や事前情報等でゲーム性も期待されていた場合は別)。


【実情】

現在はどのメディアもネタ不足であり、映像になると特にそれが顕著である。
また映像は相当の金がかかるため、どうしても資金面を気にしがちで「当たる」ことの担保された企画以外はなかなか通らない。
よってオリジナルより安心な原作ものに頼ることが増え、結果的に原作レイプも増えている。

最大の問題は、失敗してもやり直すことは基本的に出来ないということである。
つまり一度失敗するとその失敗をずっと引きずることになる。
その上、原作がどんなに名作でも、失敗したメディア化作品が初見の人には原作まで駄作扱いされてしまう。
例え原作に忠実な新作が作られ、原作レイプ扱いされたアニメをいくら原作サイドが封印扱いしても、「○○のアニメ化作品」として永遠に残るのである。

もう既に名作としての評価が周知されきった作品であれば、原作レイプ後の不評が原作に大きく影響してくる可能性はそうそうないので
まだ無視するか怒り半分ながらもネタにすることができないでもないが、より悲惨なのは「隠れた名作がようやく日の目を見たと思ったら原作レイプ」のパターンである。
これからコンテンツが盛り上がると歓喜したファンの心を、当の作品が折っていく光景は筆舌に尽くしがたい。


【反応】

原作レイプ作品に対する原作者側の反応もまた様々だが、大抵はスルーというか無視が多い。
メディアミックスには多くの会社が関わっており、業界の中の一自営業にすぎない作家が苦言を呈したところで何の影響もない。
時には、業界のお偉いさんの不興を買ってしまったり、協調性の無い過激な人物だと思われて、業界から干されてしまうなんて事も考えられる。
であれば、多少不愉快でも黙っている方が利口と考えるのも無理はないだろう。

稀に、原作者側が激怒し、人気作となった後の自作全てのメディア化を一切許さなくなったケースもあるが、
これは業界も無視できないほどの大物作家か、あるいは金や立場より作品愛を貫く硬骨漢のどちらかである。

原作ファンは皆一様に不満と怒りを爆発させる、あるいは悲しみに暮れる。
酷い場合は激しい炎上騒動に発展し、関係者への罵倒が相次ぐ。更には「○○はアニメ化(映画化)なんてしてないよ」等と言われてしまうことも。
しかし些細な違いさえも認めない人達(俗に言う原作厨)になると、メディア化作品がそれほど悪くなくても原作レイプだと主張して叩いたりする。

また、原作のシナリオや設定とは齟齬や矛盾が生じる、ないし変更されているものの、作品そのものの完成度は高く、
原作と比較せず、単体で見れば十分良作といえるものになっており、原作ファンからは低評価だが、原作未見の視聴者からは高評価を得ているケースも存在し、
中には、「原作とは別物と割り切って見れば面白い」と原作ファンの中からも高い評価を得ている作品もある。

最近では「○○で炎上www」などのタイトルで、興味はあるが実情を知らないという層の閲覧を誘うアフィリエイトサイトなども増えてきている。
さらに「確かに原作レイプをされたが、レイプされたと怒る方が暴徒になったせいで再評価ができずアンタッチャブルになってしまった作品」もいくつか出てきている。


【良い意味での『原作レイプ』】

原作レイプは悪しき表現ではあるが、極稀に「良い意味」で使われることもある。
例えば原作で足りなかった描写を補間するなどして、原作の問題点を解消した場合がそれにあたる。

こういった改変は製作側に原作への愛・理解がなければまず起こり得ないため、
愛や配慮をもって原作を改変し、さらに作品の質を高める行為を強姦(レイプ)と表現するのはおかしいとして、
「原作クラッシャー」「原作ブレイカー」と言ったりもする。

酷い(?)例だと「あの人がメディアミックス描いたらなんだって原作クラッシャーになってしまう」と評されている作家さんもいる。
中には「あ~、あれは確かに(笑)」と思い当たる読者もいるのではなかろうか。

また、例外として原作がいまいちだったとされる作品が別媒体で改変された結果、良作に生まれ変わることもある。

ちなみにこの用法で使われることはほぼない。あったとしても使った人が間違いなく白眼視される。


◆余談

レイプ(凌辱・強姦)という非常に不謹慎な言葉が使われているが、この元ネタは何なのだろうか。
当時はニュー速VIPの「野菜レイパー」やエロ漫画のサブカルへの大衆化などの影響で、相手の合意なく一方的に振舞うことを侮蔑の意味を込めてレイプと呼ぶ文化があり*9
これがこの時期に話題になり始めた「特定の名前入力の禁止処理」などでさらに有名になった*10、なんて感じで覚えている人も多いだろう。あるいは「真夏の夜の淫夢(話題になり始めたのが2005年)」の語録のひとつが元ネタと目する人もいるかもしれない。
さらに「この元ネタは○○という作品である」と、当時の有名な原作レイプ作品を挙げてそれっぽい理屈をつける人もいることだろう。それに絡めた余談をひとつ。

実は2008年10月8日に放映されたサウスパークのエピソードは原作レイプである。
これはサウスパークの作風に合わない話という意味ではなく、インディ・ジョーンズがジョージ・ルーカスとスティーブン・スピルバーグによって文字通り凌辱(レイプ)されるシーンが出てくる。めちゃくちゃ生々しい。
しかも3,4回、それぞれシチュエーションが違うという凝りっぷり。その上主人公の少年たちが映画館から逃げ出して嘔吐を繰り返すわ、「友達をレイプされるのを目の前で見せられたんだぞ!?」と叫ぶわやりたい放題。
これは当時上映された「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの迷宮」にあまりにも今までのインディ・ジョーンズらしさがなかったことをさんざんにこき下ろす、
いわば上記の「原作レイプ」をあげつらった話である。何せ本当に下半身を丸出しにしたルーカスによって原作キャラがレイプされているのだ。ケーブルテレビとはいえアメリカのアニメの基準はよく分からん

しかしこの作品が「原作レイプを題材にしてる」「文字通りの原作レイプ」という感想が2008年の段階では残っていない。
当時は「海外の反応まとめ」動画なんかが非常に人気を博しており、まとめブログが流行の兆しを見せていた頃。
文字通りあからさまにレイプしているのだから、「原作レイプ」という言葉と結び付けて話題になりそうなものなのに……。
それもそのはずで、この手の記事をやたら作りたがるニコニコ大百科の初版が2009年7月1日であり、このサウスパークの当該エピソードの放送の半年以上後。つまりサウパのこの話の放送時期にはまだ原作レイプという言葉がなかったのだ
「原作を劣化させないでくれ!」という悲痛なメッセージが視覚的にわかりやすいため、もしかしたらこの話が、「レイプ」というあまり日本で使わなかった言葉を用いていることも含め、
直接的あるいは間接的に語源になっているのかもしれない。


追記・修正は原作への郷愁と悲哀、原作レイプに対する怒りをこめてお願いします。
ただし、怒りのあまり冷静さを失わないように注意しましょう。一時の感情で相手を強姦魔呼ばわりしないようにするために……


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