登録日:2010/03/12 Fri 00:27:18
更新日:2025/02/27 Thu 21:54:15
所要時間:約 5 分で読めます
原作レイプとは、原作、または原作者や原作ファンを冒涜しているとされているメディアミックスのこと。
注意
※この記事におけるローカルルールとして、項目・コメント欄共に個別作品名及び個別キャラクター名、関係者の名前等を出すことを禁止しています。
また、たとえ具体的に作品/キャラクター名を挙げていなくても愚痴や叩き行為とみなされた場合はりどみ違反となります。もし違反した場合はIPの規制などの措置が取られる可能性がありますのでご了承ください。
【概要】
文字通り「原作」を「レイプ」したように思えるところからきている。
類義語に「原作クラッシュ」「黒歴史」がある。
シリーズ物の作品では「これまでの作品」が原作に準じた立場として「旧作(前作)レイプ」や上記の「黒歴史」を使われる。
ただし基本的に「原作の冒涜」のイメージのため、原作と異なっていても原作の雰囲気を壊していない・これはこれでよいとされる場合は通常言われず、
改変も何も元ネタ程度(設定やキャラが神話モチーフなど)の場合もかなりアレンジされていようが「原作」とは違うので言われないことが多い。
酷いものの具体例としては、
- 作画崩壊
- 必要性を感じられないオリジナルキャラやオリジナルストーリー
- ↑とは逆に原作(原典)となる作品では存在・登場していたキャラクターを存在しないものとして扱う。
- 逆に尺の都合やストーリーを構成するために、必要であるはずの内容の大幅なカットや改変
- エロ・グロシーンを必要以上に挿入または除外
- 原作からの性転換・必要性の不明な人種変換などを含む外見の大幅の違い。
- キャラクターの性格改悪
- 美術、演出、主題歌、BGM等が低品質
…etc。
【原因】
原因には様々なものがある。
- 原作の尺と放送枠あるいは掲載枠の尺が明らかに合わない事による設定の削減や挿入
- 作品を公開する地域の法規制や、原作公開当時からの法や世間意識の変化などによって表現できないシーンがある
- 年齢制限を回避するために制限にかかるシーンを減らさなければならない
- 販促や宣伝面に気を取られすぎて中身が釣り合わなくなってしまう
- 予算が少ない
- 制作スケジュールが短い
- 芸能事務所の事情を優先したミスキャストや、芸能事務所ありきの制作経緯
- 制作・スポンサー側による原作と異なるターゲット客層取り込みを企図した改変
- 制作側の独自解釈や独特な感性
- 制作側の「この作品は人気作だからこの程度で満足するだろう」という慢心
- 制作側の手抜き・力不足
- 原作に対する理解・尊重の欠如
- 制作環境が劣悪
…etc。
【実情】
現在はどのメディアもネタ不足であり、映像になると特にそれが顕著である。
また映像の制作には相当の金がかかり、30分アニメの場合は1話作るのに1000万円かかると言われている。
つまり1クールのアニメを1本作るだけでも億単位の金が動く事になってしまうのだ。
そのため、どうしても「当たる」ことの担保された企画以外はなかなか通らない。
よって、予算や時間などの制約が増えた結果、結果的に原作レイプになってしまう場合が多いのだ。
そして最大の問題は「基本的にやり直しがきかない」という点である。
つまり一度失敗すると、その失敗をずっと引きずることになる。
その上、原作がどんなに名作でも、失敗したメディア化作品が初見の人には原作まで駄作扱いされてしまう。
例え原作に忠実な新作が作られ、原作レイプ扱いされたアニメをいくら原作サイドが
封印扱いしても、「○○のアニメ化作品」として永遠に残るのである。
しかも、実際には規格の手間や予算、人気の波もある事からよほどの事がない限り別メディア(特に映像)化に二度目はないので、
結果論的にだが「原作レイプのアニメ版のせいで、原作ファンだった人達が見たかった(原作愛のある)アニメ版は永久にこの世に出なくなった」となる場合も多い。
もう既に名作としての評価が周知されきった作品であれば、原作レイプ後の不評が原作に大きく影響してくる可能性はそうそうないので
まだ無視するか怒り半分ながらもネタにすることができないでもないが、より悲惨なのは「
隠れた名作がようやく日の目を見たと思ったら原作レイプ」のパターンである。
これからコンテンツが盛り上がると歓喜したファンの心を、当の作品が折っていく光景は筆舌に尽くしがたい。
【反応】
原作レイプ作品に対する原作者側の反応もまた様々だが、大抵はスルーか匂わせ程度の反応に留めることが多い。
というのも、メディアミックスには多くの企業や人物が関わっており、こうした作家の発言は多くの人に悪影響を及ぼすからである。
苦言を呈して、業界の権力者の不興を買ってしまったり、協調性の無い過激な人物だと思われて、業界から干されてしまうなんて事も考えられる。
そうなった場合、作家が仕事を失うだけでなく、その作家を支えるアシスタントや編集も路頭に迷う事は想像に難くない。
であれば、多少不愉快でも黙っている方が利口と考えるのも無理はないだろう。
稀に、原作者側が激怒し、人気作となった後の自作全てのメディア化を一切許さなくなったケースもあるが、
これは業界も無視できないほどの大物作家か、あるいは金や立場より作品愛を貫く硬骨漢のどちらかである。
原作ファンは皆一様に不満と怒りを爆発させる、あるいは悲しみに暮れる。
酷い場合は激しい炎上騒動に発展し、関係者への罵倒が相次ぐ。更には「○○はアニメ化(映画化)なんてしてないよ」等と言われてしまうことも。
しかし些細な違いさえも認めない人達になると、メディア化作品がそれほど悪くなくても原作レイプだと主張して叩いたりする場合がある。
また、原作のシナリオや設定とは齟齬や矛盾が生じる、ないし変更されているものの、作品そのものの完成度は高く、単体で見れば十分良作といえるものになっており、
原作ファンからは低評価だが、原作未見の視聴者からは高評価を得ているケースも存在する。
中には、「原作とは別物と割り切って見れば面白い」と原作ファンの中からも高い評価を得ている作品もある。
最近では「○○で炎上www」「○○の新作はクソだった?」などのタイトルで、
興味はあるが実情を知らないという層の閲覧を誘うアフィリエイトサイトやなども増えてきている。
こうした作品はファンから反感を買う事も珍しくなく、見ない方が無難であろう。
さらに「確かに原作レイプをされたが、レイプされたと怒る方が暴徒になったせいで話題に出すこと自体がタブーとなりアンタッチャブルになってしまった作品」もいくつか出てきている。
【良い意味での『原作レイプ』】
原作レイプは悪しき表現ではあるが、極稀に「良い意味」で使われることもある。
例えば原作で足りなかった描写を補間するなどして、原作の問題点を解消した場合がそれにあたる。
こういった改変は製作側に原作への愛・理解がなければまず起こり得ないため、
愛や配慮をもって原作を改変し、さらに作品の質を高める行為を「強姦」と表現するのはおかしいとして、
「原作クラッシャー」「原作ブレイカー」と言ったりもする。
酷い(?)例だと「あの人がメディアミックス描いたらなんだって原作クラッシャーになってしまう」と評されている作家さん、
果ては当該作品の原作者が最も「改変」を喜んでいるケースすら存在している。
中には「あ~、あれは確かに」と思い当たる読者もいるのではなかろうか。
また、例外として原作がいまいちだったとされる作品が別媒体で改変された結果、良作に生まれ変わることもある。
ちなみにこの用法で使われることはほぼない。あったとしても使った人が間違いなく白眼視される。
【原作レイプの例】
【アニメの場合】
最近は原作が枯渇しているという問題もあり、少しでも人気がある漫画やラノベ等は、すぐに
アニメ化されることが増えている。
しかし深夜アニメなどになると、予算やスケジュールは潤沢ではない作品も多く、それに伴い原作レイプ率も必然的に高くなってしまうのが現状。
数が多く熱狂的なファンが多いが故に、ネット上では特に荒れやすい分野でもある。
特に荒れやすい要素として「原作通りではないストーリー」、「ミスマッチなオリジナルストーリー」、
「キャラクターデザインの品質・アレンジ」、「
低品質な作画」といった面が挙げられる。
特定の人物や制作会社が何度もやらかしたり、畑違いだったり経験の浅いスタッフがいきなりやってきて…といった事例も多い。
また、「アニメ作りのプロではない原作者ががっつり監修し過ぎた結果、原作通りではあるもののアニメとしての完成度は低くなってしまう」という、
「原作者自らによる原作レイプ」とも言える皮肉な例もごく稀にだが発生する事も。
【ドラマの場合】
ドラマは制約が多く、視聴率重視のため主婦や子供や高齢者などの幅広い視聴者層に合わせて色々変えられてしまう。
荒れやすい例としては「客寄せパンダ的なキャスティングや流行り要素をねじ込む」、「一般層に向けて本来なかった恋愛要素や家族愛要素を入れる」、「画面に華を、とキャラクターの性別を変更」、「長い原作を1クールに収めるための改変」、「原作が未完でも
最終回を迎えるための改変」など。
また、映画などと比べて予算や制作期間が少ない為、CGや大規模なセットが必要になる作品は難しい面がある。
また、芸能事務所との関係でミスキャストも起こりやすい。
なお原作が漫画やラノベなどといった二次元、特に萌え系のデザインであった場合には…。
【映画の場合】
映画は地上波作品に対して、予算や準備期間が膨大になるため、失敗した場合のダメージが非常に大きいメディアである。
特に予算不足とそれに纏わるトラブルが顕著で、予算を回収するための試行錯誤が裏目に出て失敗に陥る事がある。
概ねドラマと同様で「客寄せパンダ的なキャスティングや流行り要素をねじ込む」、「一般層に向けて本来なかった恋愛要素や家族愛要素を入れる」、「画面に華を、とキャラクターの性別を変更」、「長い原作を出来るだけ短い尺に納めるために大胆過ぎる取捨選択」など。
ドラマと違いCGや特殊メイクなどを使った「SFやファンタジーのような浮世離れした要素の多い実写映画」も多いのだが、
これに挑戦すると表現の限界なども加わってより失敗しやすい。
予算が潤沢なハリウッドにおいても、多様性を重視する世相などを重視して陥りがちだったりする。
例として、原作では有色人種のキャラクターに白人のキャストが当てられる事もあるが、これは「ホワイトウォッシュ(ホワイトウォッシング)」と呼ばれ、人種差別的であるとして世界的に批判・問題視されている。
それを意識し過ぎたのか、逆に白人系キャラクターに有色人種を当てた「ブラックウォッシュ」もあるが、これもまた然りである。
更に海外映画の場合、日本公開に際して、宣伝費用を抑えるためにスキルの乏しい芸能人を吹き替えに起用する、
内容と乖離したポスターやCMを製作するなど「(映画という)原作をレイプ」するパターンがたびたび発生している。
監督に癖があると、場合によっては盛大なクラッシュが起こりうる。
日本の場合、製作委員会によって、様々な方面から「スポンサーの要望」が発生したり、現実世界の事件、事故等に対する配慮から、原作の重要な要素を削ぎ落とす事を求められる、そもそもアニメ化に向かない作品をアニメ化することになるなど、
クリエイターが御用聞きにならざるを得ない事もあり、結果目も当てられない出来になることも。
【書籍の場合】
いわゆる「コミカライズ」「ノベライズ」化。
実力不足な無名の漫画家や作家が手掛けることがあり、その場合どうしても質の低下に繋がりやすい。
一方で、有名な漫画家や作家が手掛けると、それはそれで不思議な改変をされたり、その漫画家や作家の色に染まってしまったりする事もある。
近年多いのが小説投稿サイトのWeb小説の書籍化・漫画化。
Web小説は基本的に短時間でのカタルシス重視の作品になりやすいのに対し、漫画版は読者の共感を得るために、主人公の葛藤や成長を強調する方向で描かれやすい傾向にある。
また、作者が素人である都合上、自分の気分のままに執筆してプロットなどを組んでいない作品もあるので、「改変しないと話が成り立たない、起承転結を描けない」という場合もある。
Web小説に馴染みのない読者が「漫画は原作より面白い」「原作を読んでみたら酷かった」などと評価することがある一方で、
Web小説からのファンである読書が「漫画版では原作の良さがない」と不満の声を上げることがあるのは仕方ないことである。
なお、映像化作品やゲームなど制作に時間がかかる物が原作の場合「漫画家や作家は脚本や設定資料通りに物語を書いた」が、「原作側で制作中に変更があり、世に出た時に食い違う。」という他ではあまりない理由で相違点が発生する場合もある。
【ゲームの場合】
原作がヒットしているうちに発売しようとする為に製作期間を長く取れなかったり原作側の制作事情等で展開が予測できない事も多く、色々と詰めの甘い部分が目立つ状態で発売されてしまう。
酷い時には別ゲームを原作キャラクターにすげ替えただけの代物も存在する。
また、版権や予算の都合上、原作とキャスティングが違っていたり、原作の映像や音楽を使用できない場合も批判に晒されやすい。
また、シリーズ物である場合も、メーカーやスタッフの変更による技術低下や設定改変、果ては会社全体での工数…制作リソースの不足によって、ファンの怒りを買うような作品が生まれる事も。
コラボレーション作品においても、開発側が双方の設定を把握し切れず、結果ファンの怒りを買ってしまうことがある。
ただし、
キャラゲーはあくまでファンアイテムと割り切っているユーザーも多く、
ゲーム性に多少粗があっても設定等が原作通りであればあまり騒がれることはない。
【余談】
レイプ(凌辱・強姦)という非常に不謹慎な言葉が使われているが、この元ネタは何なのだろうか。
当時はニュー速VIPの「野菜レイパー」やエロ漫画のサブカルへの大衆化などの影響で、相手の合意なく一方的に振舞うことを侮蔑の意味を込めてレイプと呼ぶ文化があり、これがこの時期に話題になり始めた「特定の名前入力の禁止処理」などでさらに有名になった、なんて感じで覚えている人も多いだろう。
あるいは「
真夏の夜の淫夢」の語録のひとつが元ネタと目する人もいるかもしれない。
さらに「この元ネタは○○という作品である」と、当時の有名な原作レイプ作品を挙げてそれっぽい理屈をつける人もいることだろう。今のところどこから生じた言葉なのかは定かではない。
追記・修正は原作への郷愁と悲哀、原作レイプに対する怒りをこめてお願いします。
ただし、怒りのあまり冷静さを失わないように注意しましょう。一時の感情で相手を強姦魔呼ばわりしないようにするために…
この項目では記事・コメント欄共に、個別作品名及び個別キャラクター名等を出すことを禁止します。また、たとえ具体的に作品/キャラクター名を挙げていなくても愚痴や叩き行為はりどみ違反となります。
もし違反した場合はIPの規制などの措置が取られる可能性がありますのでご了承ください。
最終更新:2025年02月27日 21:54