散弾銃

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散弾銃 - (2018/08/30 (木) 01:04:36) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2009/07/12(日) 05:46:32
更新日:2024/03/21 Thu 18:08:42
所要時間:約 6 分で読めます




概要

散弾銃とは、一度の射撃で複数の弾を撒き散らす銃。どうでもいいが下手な鉄砲数撃ちゃ当たるとはここからきている。

一瞬にして面を制圧でき、殺傷力が高いことから広く普及しており、狩猟用では素早く動く野性動物を仕留めるために、
警察では道路から迫ってくる犯罪者を迎え撃つために、軍隊ではとっさの遭遇戦や室内戦、ドアの錠前や蝶番を破壊する際に…と、様々な用途に用いられる。

もちろんストックで殴られたらたぶん死ぬ。というか、銃のグリップは最初期から鈍器に使う事も想定している。

大抵のゲームでは距離で威力が減衰する超近距離武器とされ、そのイメージから遠距離に対応できないと思っている人も多い。
しかし実際は射手からみて50mあたりが最大効果距離だったりする(12ゲージの場合)。

特に欠点とされるのは弾の大きさから装弾数・携行弾数ともに少ないという点。
装弾数はチューブマガジンやボックスマガジンで七、八発程度、ドラムマガジンでもせいぜい二十発。
同様に装填にかかる時間も他の銃より長くなりがち。欠点を補うため各社知恵を絞っている部分でもある。



種類

大きく手動装填、セミオート、コンバーチブル、フルオートに分かれる。
手動装填式やセミオートはライフルなどに比べても民間の所持規制が緩い傾向にあり、民間人が手にしやすい銃というイメージを持たれることも。
コンバーチブルやフルオートは基本的に軍隊か警察用で、フルオートに至っては民間人の所持は認められていない。

  • 手動装填
    人力で動作させる関係上構造が単純で信頼性が高く、安価でもあるため未だに需要が高い。
    ボルトアクション式狙撃銃が未だに使われているのと似たような理由である(あちらは命中精度などの理由もあるが)。
    警察機関などで特殊弾を使う場合でも手動装填のほうが多種類の弾薬に対応できることが利点となる。

    • ポンプアクション式
      レミントンM870やイサカM37などが有名。
      手動装填の散弾銃では特に普及しており、ロスの警官でさえポンプアクションを好む。
      理由は簡単で、例えばあなたが犯罪を犯し、逃げているとしよう。もちろん銃も、ナイフも持っている。パトカーのサイレン?そんなもの、どこ吹く風。
      しかし散弾銃独特のポンプ音を思い出してほしい。どこからともなく聞こえてくる、「がしょん」という恐怖。同時に覆い被さる威圧感。
      それらは形容しがたいいたたまれなさを煽るだろう。つまりそういうことだ。

      ……というのももちろんあるだろうが、実際は手動装填の利点である信頼性を維持しつつ特に素早く操作できることが評価されているため。*1
      弾を込める際は、ポンプ部分(フォアエンド)を引いてない状態で、大抵は引き金前方、排莢口下部に空いた穴から押し込む。

    • ボルトアクション式
      東北の猟師が愛用する村田式単発銃が有名。散弾銃としては珍しい形式の一つ。
      村田銃はもともと帝国陸軍が軍用ライフルの銃身を削ったものを民間に払い下げたのがはじまりで、その後は民間でも製造が始まって安価な猟銃として日本中で広まった。
      現在は後述のダブルバレルやセミオートの散弾銃に取って代わられ、周辺用具も生産中止されたためあまり見ることがない。

    • ダブルバレル
      連装銃。上下2連と水平2連があり、それぞれ銃身の配置だけでなく様々な点で違いがある。
      クレー射撃では照準を外さずに2連射する必要があるため、装填動作を挟まず連射できる上下2連が基本、ベレッタSO-5など。
      一応セミオートでも出来ない事は無いらしいが、上下2連のほうがレスポンスが機敏で、
      たとえミスファイヤしたとしても1、2発めのどちらかは確実に発射できるので得点に響きにくいので好まれる。
      狩猟用でも同じく信頼性を理由にダブルバレルを使うことが多い。国内では特に法規制の関係でポンプアクションやセミオートを使う意味が薄いという面もある。

  • セミオート
民生用として狩猟や競技などで使われるものが圧倒的に多い。
構造が簡単で価格や扱いやすさも簡便なのが利点。ブラウニング オート5やレミントンM1100などが有名で、日本でも豊和のフジ・スーパーオートが生産されていた。
基本的にセミオートでしか撃てず、反動やガス圧を利用し次弾装填するので、銃にあった弾を使わないと排莢不良が起こる欠点もある。
現代の日本で散弾銃と言えば民生セミオートか二連散弾銃のどちらかである。

  • コンバーチブル式
セミオート装填と手動装填を切り替えられる散弾銃。
弾を選んだり排莢不良に悩まされるセミオートの欠点と連発の難しい手動装填の欠点を補える優れものだが、その分機構が複雑で価格も高い。
基本的に軍や警察が主なユーザーではあるものの、民生用としても出回っていることがある。価格は普通のセミオートの倍近い値段なので需要は少ないらしい。
有名な銃はフランキ社のSPAS12(ターミネーターでT-800がぶっ放してたり某メイドが傘に偽装しているアレ)などがある。
まあベネリM3もセミ・ポンプ切り替え可能で、なおかつ安価で信頼性も高いので、SPAS12は趣味の領域だったりするが。

  • フルオート
比較的新しいものになると、AA-12などフルオートの散弾銃も作られている。撃たれる方はたまったものじゃないが、使う方にしても敵をミンチにする必要はないのであまり普及していないようだ。

  • ソードオフショットガン
ソウドオフ、ソーンオフとも。
ストックと銃身を切り落としたモデル。
犯罪者が隠し持ちやすいように改造したのが始まりと言われており、多くの国で民間人の所持を禁止されている。合法の存在としては概ね警察・軍用。
弾丸が銃口を過ぎた直後に大きく拡散するため、至近距離の敵を葬る以外に用途はない。あくまで携行性・至近距離での取り回し重視の仕様。
なお、勘違いされやすいがソードオフとは Sawed-off(のこぎりで切り落とした) という意味。Sword-off(剣で切り落とした)ではない。

  • 独自路線
「マガジンチューブ式だと再装填が手間、かといって着脱マガジン式だと弾倉が縦に延びて取り回しが最悪」「ポンプアクションだとレスポンスが遅いが、セミオートは信頼性が低い」「そもそも弾が大きいので装弾数に限界がある」「反動が大きいので素早い連射にそもそも向いてない」など、散弾銃は銃器としては普及しているもののなかなか課題が多い。
そのためそういった問題を解決しようとする熱意と独自路線を突っ走るユニークさが奇跡の合体事故悪魔融合を遂げた結果、とんでもない変態銃を生み出しててしまうこともある。
リボルバー弾倉を装備してしまった「SIX12」「RDIストライカー12」、弾倉すら無くなった「メタルストーム MAUL」等々。



弾薬

基本的に散弾銃は銃弾として、紙やプラスチックケースで散弾を包んだショットシェルを用いる*2
これは禁猟区でもない限り山道を歩いていれば思いの外簡単に見つけることができる。
以前は鉛の弾が使われていたが、狩猟用の弾薬は環境汚染を懸念して鉄やタングステン合金の弾丸が普及しており、狩猟用途での鉛散弾(レッドショット)の使用を禁止している国・地域も少なくない。
散弾銃と実包の口径は番号で表記され、10番、12番と数字が大きくなるにつれて口径は小さくなる。


  • バックショット
鹿撃ち用の散弾。「Buck(牡鹿)」を撃つための散弾なので「BuckShot」。
一般によく使われる弾で、0バック、1バックと数字の増加に伴い弾丸の直径が小さくなる。
よく聞くのは00(ダブルオー)バックだろう。


  • バードショット
鳥撃ちまたはクレー射撃用。
小さな銀玉のようなものが大量に詰まっており、これはなぜかF号、T号、BBB号、BB号と続き、そのあと1、2と続く。数字の関連はすべて同じ。さらに粒が小さく拳銃用の「ラットショット/スネークショット」なる弾薬もあるらしい。
殺傷力は比較的低いものの、コレを人に撃った場合数十発から数百発もの弾が体内に残り悲惨なことになる。


  • スラッグショット
「一粒弾」とも呼ばれ、熊などの大型動物に対して使用される。文字通り大きな弾丸が一発だけ入っており、強大な破壊力を持つ。
諸条件から有効射程はそれほど長くないが、なかにはスラッグショット専用に設計された銃などもある。


  • 特殊弾
口径の大きさのおかげで複雑な構造の弾を作れるため、散弾の代わりにゴム弾、催涙弾、ネット、ビーンバッグ*3等を発射して敵を殺さないようにする目的で使うものもある。
変わったものでは的に刺さると放電する発射型スタンガンや、可燃性の粉末を発射して火球を叩きつけるドラゴンブレス弾*4などがある。
腔圧が低いとかカートリッジの全長が長いとかで手動装填の銃でしか使えない弾も多く、使用の際には銃との相性に気を遣う代物でもある。


  • キャニスター弾
大砲用散弾。口径も威力も散弾銃とは比べ物にならず、一回の発砲で数百発の子弾が近距離・広範囲にバラ撒かれる。ハンパない初速のおかげで重機関銃と同等の威力があり、食らった歩兵はミンチよりひでぇ目に遭う。



絞り

散弾の広がり方は銃口がどの程度絞られているか(すぼめられているか)によって変わり、これを「絞り(チョーク)」という。
これによってしばらく固まって進み、そして散らばるといった位置調整が微妙にできる。
前出のクレー射撃用2連銃は、奥に向かって飛ぶクレーを撃ち落とすため、最初に発射する方と2発目の方で絞りを変えることもある。



二次元のショットガン

現実で広く使われており、日本の銃の中では最も手に入りやすいため、創作でもよく出てくる。
特にゾンビものでは確実にゾンビを仕留められる武器の筆頭であり、なおかつ民間人が持てる武器では最大火力とも言える必需品。ゾンビ以外でも人外の化物を相手にするときにはよくお呼びがかかる。
FPSなどに登場すると、至近距離の敵を吹き飛ばしつつ葬ることができるという凶悪な武器であることが多く、至近距離ではほぼ最強である。
しかし遠距離ではただのおかざりで、インパクトウェポンにもならないことがほとんどたが、先述の通り若干離れた距離が本来の射程という特性はあまり考慮されない(主にゲーム上の都合で)。



余談


  • レバーアクションのウィンチェスターはライフルであって散弾銃ではない!(まあ.410と呼ばれる登録上はショットガンとされる機種もあるけど)

  • アメリカのスラングで「ショットガン・マリッジ」というと所謂"できちゃった婚"のことを指す。由来は妊娠した娘の父親が彼氏にショットガンを突きつけて「責任をとれ!」と迫る様から。

  • カードゲームにおいて、手に持ったカードの束から複数の場所に1枚ずつカードを配り、すべての個所に配ったらそれに重ねるようにまたカードを配り……という手順を手元のカードが無くなるまで繰り返し、出来上がった複数のカードの山を1つに纏めるシャッフル方法を「ショットガンシャッフル」(またはディールシャッフル)と言う。だが、漫画『遊☆戯☆王』で異なるシャッフル方法(リフルシャッフル)をショットガンシャッフルと説明したせいで、日本国内では間違った知識を持つ者も多い。『遊☆戯☆王』では「カードを痛めるぜ」と非難されているが、本来のショットガンシャッフルは極力カードを傷めないことを目的としたシャッフル方法である。

  • アメリカンフットボールには「ショットガン」というフォーメーションがある。レシーバー(パスを受け取る人)を多くし、彼らがプレイ開始と同時に一斉に散らばっていく様を散弾に見立てている。

  • 元内閣総理大臣の麻生太郎氏の趣味はクレー射撃。

  • 日本において浅間山荘立てこもり事件の折に使われた為、一度に装填できる弾の数に制限がある。他にも散弾銃を使った凶悪事件のたびに、ただでさえ厳しい銃器規制がさらに厳しくなるので、散弾銃の所有者は踏んだり蹴ったりである。

  • アメリカではBB号バードショットと同サイズの弾を使う空気銃が「BB Gun」と呼ばれており、それらで使われる弾*5を特に「BBs」と呼んでいる。
    後に発売元の企業が規格を変え、弾のサイズが変わるとともに商品名も変更したが「BBs」という呼び名は残り続けている模様。
    確証はないものの、日本国内の遊戯銃の弾を「BB弾」と呼ぶようになったのはこの「BBs」というスラングに由来する…という説もある。


追記・訂正は適宜任せた。

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