AA-12(散弾銃)

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登録日:2011/11/27 Sun 14:44:05
更新日:2025/09/09 Tue 15:15:59
所要時間:約 3 分で読めます






性能

全長:966mm
重量:5200g(ボックスマガジン装着時)
使用弾:12ゲージ
装弾数:8/20/32
発射速度:350RPM
動作方式: APIブローバック(試作)/ガスピストン オープンボルト(生産型)

概要

AA-12(オート・アサルト12)はアメリカのマクスウェル・アッチソン氏が構想、試作しMilitary Police Systems社(以下MPS社)が開発した散弾銃
フルオート射撃のみに対応しており、民間向けには何らかの方法でセミオート化させたモデルが流通している。



歴史

アッチソンが1972年に試作したアッチソン・アサルト12が源流。その際からはAPI動作を採用しある程度反動を抑える配慮を行っていた。
86年のフルオート規制前ということもあり個人製造しても問題ない時代であった。
しかしながら個人では限度があるということで数兆の試作にとどまった。
87年にMPS社に権利諸々を売却され、そちらで19年もの間改良に供されることになる(アサルトウェポン規制の失効と綺麗に被っているので出し時を測っていたと思われる)。

2005年に満を持して発表された新生AA-12は動作方式をブローバックからガス圧作動式に変更し、特に反動の低減を推している。
しかしながらCAWS計画もM1014(ベネリM4)の採用もすでに過ぎ去っており、アメリカ海兵隊が2004年に数丁で試験を行った以外では特段音沙汰なし。
商標なども切れたのかライセンス生産なのか、現在ではMPS社以外から民間仕様が発売されている。
そもそも2025年現在MPS社のホームページやfacebookなどが確認できず生存不明である…



特徴

ショットガンの実包は円柱状で太くリムが出っ張っているので、連発式ショットガンでは古来よりチューブ式の弾倉が使用されてきた。
しかし本銃ではシングルカラムのボックスマガジンを採用。トミーガンに似た構造によりドラムマガジンにも対応する。
どうしても口径とリムによってかさばるので実用的なサイズ感だと装弾数は期待できないが、タクティカルリロードができる点では優れているといえる。

連射速度は最大3インチを超えるストロークが必要な都合遅いが、その分指切りによる単発射撃などもうまくやれば可能となっている。

外装は樹脂製ですっぽり覆うような構造。USAS-12よりは軽くなっている。
内部パーツはステンレスを多用しておりメンテナンス不要*1、オープンボルトである点もあり耐水性も高いとされる。

また、本銃は反動の低さを売りとしている。
API式はオープンボルト式かつボルト前進時から激発を始める構造。ボルト前進の慣性を利用できるのでボルトを軽くしたりカウンターマス代わりに使う余裕がある。
リコイルスプリングバッファーもストック後端付近まで伸びており、ボルトキャリアがレシーバー後端に当たらないことでキックを弱めるコンスタント・リコイル システムを採用している*2
MPS社によりガス圧作動式に改修されたことでリコイルを受け止める必要もなくなった点も大きい。
これらにより、体感反動が90%減少する(反動-80%と体感反動-10%)と主張している。

本銃とほぼ同時に英国スペシャル・カートリッジ社によりFRAG-12榴弾が開発されている。
直径18.5mmなのでXM25などよりも小口径であるが、AA-12となら連射によって補えるという魂胆だろうか。
その他徹甲弾やエアバースト弾などXM25に張り合える機能を備えた弾頭が試作されたとされるがXM25がキャンセルされた今となっては見込みもなくなったといえる。
無論通常の散弾、スラグ弾も使用可能だが、弾種による連射性能の変化などは不明*3



フィクション

映画

主人公のロイスが迷彩塗装を施したAA-12を使用。
プレデターが放った猟犬に対してガンガンブッ放した。

  • 『エクスペンダブルズ』シリーズ
シルベスター・スタローン演じる主人公バーニー・ロスが率いる傭兵部隊「エクスペンダブルズ」の一人、ヘイル・シーザーが使用している。
散弾で敵集団をなぎ倒し、炸裂弾で監視塔を吹き飛ばす等大活躍した。
『エクスペンダブルズ2』、『エクスペンダブルズ3』でも引き続き登場したが、なぜか『3』だけSAIGA-12を改造してAA-12に似せたものを使用している。

ゲーム

  • Grand Theft Auto IV
拡張DLC『The Ballad of Gay Tony』にてドラムマガジン仕様が「オートショットガン」の名称で登場。
連射速度は「軍用ショットガン」や『The Lost and Damned』の「アサルトショットガン」に劣るものの
20発の大容量装弾数とショットガンタイプで最長の射程距離、距離による威力減退が少ないおかげでかなり強力な武器。
だがこいつの真骨頂は通常の散弾に加えてショットガンタイプで唯一「榴弾」を装填できること。
対車両に効果絶大であり、車やヘリコプターもエンジン付近を狙えば数発で爆破、スクラップにできるほどの破壊兵器と化す。

「ショーストッパー」という名称で登場しており、ショットガンでは唯一のフルオート銃。ドラムマガジン仕様で、使用弾種はバックショット。
最上位の「エキゾチック武器」というカテゴリに属し、対NPC戦においては防具の「ストライカー」シリーズとの組み合わせで凶悪な性能を発揮する*5
続編のThe Division2にも「ACS-12」という名称で登場しており、変わらず活躍している。

CV:本多真梨子
☆5のショットガンで長期戦向けのスキルを持つ。
深夜ラジオを聴くのが趣味で夜更しが多いらしく目に隈を作っており、日光が嫌いで色白であることも手伝って不健康そうな印象。
またストレスを感じると糖分を欲するクセがあるとされ、保有スキルの名前も糖分にまつわるものになっている。

どちらも全てのモードで登場。
2だとショットガンのカテゴリで唯一のフルオートだが、3ではUSAS12も参戦した。
箱マガジンが使用されており、拡張マガジンをセットしても残念ながらドラムマガジンにはならない。
2のスペシャルオプスではサプレッサー+心拍センサー+ドットサイトが装着された隠密仕様のものが登場する。

  • Escape From Tarkov
MPS社名義でフルオートモデルを実装。
カスタマイズができる都合、外装をひん剥いて中身を見ることができ(さすがに動作までは見れない)、動作機構などに関する資料としての価値もある。

遊戯銃

東京マルイが電動ショットガンとして発売。
3発同時フルオート連射により実銃ばりの凶悪な弾幕を張れる。その鬼火力が仇となってか一部のフィールドでは使用禁止にされる程の困ったちゃんでもある。
付属は大根おろしに使えそうなボックスマガジンだが別売りオプションでドラムマガジンも存在しドラムマガジン仕様も再現可能。
なお、概要でも触れてる通り本来はフルオート専用だが、エアガン化に際して新たにセミオートポジションが追加されている。

【余談】

  • ヒストリーチャンネルの番組では、フルメタル・ジャケットでおなじみのR・リー・アーメイがフルオートで全弾ノリノリで撃ち尽くして「これを私にくれ!!」と叫んだことがある。

  • 携行用途以外にも、武装ドローンや無人銃座に流用されている。なにそれ怖い。



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最終更新:2025年09月09日 15:15

*1 MPS社の設計者曰く、実際は1000発ごとの整備を行うべきである。

*2 コンスタント・リコイルはリロイ・ジェームス・サリバン氏による特許。AR-10をAR-15に改修したりMini14を作ったりC-Magを作ったりしておりかなり現代銃器に影響を残した設計者であった。1933~2024

*3 ベネリ M3などはもともとの反動利用式の不安定さとレスリーサル弾の使用を想定してかポンプアクションも併用していたがM4では不要としてオミットしている

*4 大宇財閥のうち韓国軍の制式銃器を製造していた部門。現在は財閥がアジア通貨危機で経営破綻したことからSNTモーティブとして分裂している。

*5 ストライカーシリーズは「弾丸が命中した数だけ攻撃力を上昇させる」という効果を持つ。散弾一粒を一発とカウントするため散弾を高速連射する本銃と相性が良く、更に上位の「改良版ストライカー」シリーズと組み合わせるとHP自動回復効果まで付属してくるため更に強力になる