ゲーム脳

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ゲーム脳 - (2019/03/30 (土) 13:05:43) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/11/03(木) 21:45:56
更新日:2024/04/27 Sat 11:35:25
所要時間:約 10 分で読めます



「ゲーム脳」とは日本大学文理学部体育学科教授である 森昭雄 氏が、2002年7月8日付の『毎日新聞』夕刊の1面トップ記事や、
同年7月10日に刊行した著書『ゲーム脳の恐怖』(生活人新書、NHK出版)で提唱した新種の病気のことである。
その症状とは子どもや若者がゲームをやっていると認知症の患者と同じ状態になること。
この発見によってゲーム業界に大きな影響を与え、我々が安心してゲームができるのは森氏のおかげだと言える。

もしゲーム脳になっても、短時間のお手玉やけん玉を2週間続ければ完治するよ!



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   #   #
 # # 嘘を言うなっ!
   ∧_∧
# E)(#`゚Д゚)(ヨ
  UY   YU #

本当は森昭雄教授が妄想した只の疑似科学並びにノスタルジックな教育論。
本当はこんな症状にはなりませんのでご安心を。

<概要>
森昭雄によるとゲーム脳の定義は「僕の作った脳波計で計り、ある脳波が異常値になっていたらゲーム脳」というものだが、
その脳波計なるものは簡単な脳波しか図れないオンボロである。
脳波というものも目を閉じたぐらいでその異常値になる。
ちゅうかその脳波とはズバリα波のこと。
一般的にリラックスしてる時に出ると言われるあれだ。

よって勉強前や読書前にゲームをするのは、脳がリラックスし過ぎてしまうので確かにあまり良くない。
これは「脳トレ*1」で有名な東北大学の川島隆太教授のれっきとした研究であり、森の研究では無い。
でも勉強後や読書後は、脳がリラックスするのでむしろゲームはピッタリ。

因みにこの脳波、スポーツをした後にも全く同じ波形が検出されている。
しかしゲーム脳はダメ脳波で、スポーツ脳は良い脳波だそうだ。
……意味が分からない? 有識者含めて皆そうだからご安心を。

で、その定義を裏付けるものは、幼女から大学生まで(中高年層の脳波については調査対象外)ランダムで選んだ300人のゲーム中に計った脳波の計測結果らしいが、
これもこれで問題だらけであり、例のオンボロ脳波計の計測結果と森昭雄の主観(コイツオタクぽいな……等)でゲーム脳の定義が作られた。
因みに実験で使ったゲームは、森が説明するには、


「ソ連の軍隊で、
人を殺す為の教育の一つとして、
軍事目的で開発された、
人間を簡単に殺戮ができるロボットにする為の、
人殺しゲーム」


といういわくつきの一品、テトリスである。

ちなみに『ゲーム脳の恐怖』の中では「テトリス」という表現は使われていない。
同書の中で「積み木合わせゲーム」と表現されているゲームは登場するが、それがテトリスを指しているのかは不明である。

<ゲーム脳の症状>

  • 感情の抑制がきかなくなり、キレやすく、凶悪化・凶暴化する*2
  • 無気力・無表情・笑わない
  • ボーッとしてる、集中力がない
  • 忘れっぽい(数分前のこともすぐ忘れる)
  • コミュニケーション不全
  • 自分勝手で、羞恥心、理性がない

これらの根拠は森昭雄の主観と簡単な聞き取りのみで、科学的な根拠はない。
無気力なのにキレやすいとは一体どういう事なのかよくわからないが、
そもそも疑似科学的教育論なので(ry

だいたいこの森という男、
本業は運動生理学者体育学教授であり、脳神経学者ではない。
なお、森は自分への批判は「脳波を知らない素人の言い分」「ゲーム会社に金貰って言わされてる」とレッテル貼ったり根も葉も無い妄想に浸って聞かない。


他にも色々な突っ込み所があるが、全て書くにはこの余白では狭すぎるので、Wikipediaやニコニコ大百科、クソゲーまとめ@ウィキ(跡地)で調べてほしい。


このトンデモ科学、あちこちで噂されてた時期でさえ、スクエニのヒゲこと坂口博信やファミ通のヒゲこと浜村弘一に喝破されてたが、
何でもかんでもゲームと最近の子どもや若者のせいにしたいマスゴミ等にもてはやされた結果、すでに何の根拠もないことが証明されたにも関わらず、
2018年現在も未だに 、ゲームをする子どもや若者に好意的でない親や教育関係者、小児科医、精神科医、政治家などに支持されている。
さらに2018年現在に至るまで、学術論文の提出というアカデミックな手続きを経ていないにもかかわらず、これらの支持者の中には提唱者以外の大学関係者も含まれている。
「市民」の声には逆らえないという事だろうか?

特に明星大学特別教授で、「戦後教育史」と「臨床教育学」を専攻分野とする教育学者の 高橋史朗 氏は、自身が提唱する「 親学 」にこの「ゲーム脳」仮説や、
2005年12月に刊行された岡田尊司『 脳内汚染 *3』(文藝春秋)を取り入れて各地で公演を行っている。
この親学の推進団体である「 親学推進協会 」には、かつて森も評議員として名を連ねていた。
さらに高橋は森との共著で『続・親学のすすめ―児童・思春期の心の教育』(モラロジー研究所)と『親が育てば子供は育つ―脳科学が後押しする親学のすすめ』(MOKU出版)を刊行している。

なお、この「親学」には「ゲーム脳」や「脳内汚染」のみならず、「発達障害予防論」や「サムシング・グレート」といった他の疑似科学や、
さらには偽史である「江戸しぐさ」なども取り入れられているというトンデモ教育論であるが、やはり教育関係者や政治家から(ry
また森や高橋は「テレビゲームが原因で自閉症になる」や「日本の伝統的子育てによって発達障害は予防、改善できる」などと発言して共に障害者団体から抗議を受けたが、こうした言説は、家庭用テレビが普及した時代から既に存在しており、ここで触れた森や高橋の言説も、1976年に刊行された岩佐京子『テレビに子守りをさせないで―ことばのおそい子を考える』(水曜社)を焼き直したものに過ぎない*4
この通り、親学には「日本の伝統的子育て」などのノスタルジーがちりばめられているので、その支持者は保守派のみと思われがちだが、
親学を支持する国会議員で2012年4月に結成された「親学推進議員連盟」は 超党派 の議員連盟である。
「市民」の声には(ry


さて、特に意味はないけど、ここでゲーム脳の症状の一部を振り返りたい。

  • 感情の抑制がきかなくなり、キレやすい
  • コミュニケーション不全
  • 自分勝手で、羞恥心、理性がない

はて、誰かに当てはまる気がするなあ?
名前は控えるけど。

ちなみに心理学ではアクションゲームが脳に高度な刺激を与え、判断力を向上させるという結果を出しているのだが。


『ゲーム脳の恐怖』はその中身のあまりのトンデモっぷりから、
と学会主催の第12回(2003年)トンデモ本大賞の大賞候補と呼ばれていたが、
村津和正『歯は中枢だった』(KOS九州口腔健康科学センター)というゲーム脳云々がどうでもよくなる程ぶっ飛んだ内容の本惨敗している。
正にお粗末。


余談だが時は大正時代、世間ではゲーム脳ならぬ「小説脳」なるものが流布していたらしい。
症状はゲーム脳そのもので、「小説は現実と夢を区別できなくなる」とか言われたそうな。

ちょうど恋愛小説などの娯楽小説が増え始めたころの話である。

また他にも、明治時代には「野球害毒論」(1911年)、テレビが普及し始めたころには「一億総白痴化」(1957年)、
ロックンロールが流行り始めたころには「エレキ禁止令」(1965年)や「ビートルズ禁止令」(1966年)などが流布した。こうした例を挙げていくとキリがない。
そういえばテレビが普及する前には、ラジオやマンガ、映画も子どもや若者に対して悪影響だと槍玉に挙げられていたんだとか*5。本当にキリが(ry
そして現代においても、各種電子メディアの普及により、子どもや若者の脳がこれらによって破壊されるという通俗的な批判や懸念が繰り返し登場している。

【その歴史】
小説で脳が~

ラジオやマンガ、映画で脳が~

テレビやビデオで脳が~

テレビゲームで脳が~

パソコンで脳が~

インターネットで脳が~

ケータイや携帯メールで脳が~

ネトゲで脳が~

スマホで脳が~  ←今ここ!

次は一体「○○で脳が~」が出現することやら。


ちなみに、現代の教育者達がゲームの代わりに勧める遊びはスポーツや読書で、
それらもかつて「不良化する」「小説脳になる」などと非難されていたのは前述の通りである。
そして、もしラジオやマンガ、テレビ、TVゲームなどで子どもや若者の脳が破壊されたのならば、現在の中高年の脳は既に破壊されているという事になるが、
奇妙なことにそのような言説は聞いたことがない。


歴史は繰り返すということか。


もちろん誤解してはいけないのは、ゲーム脳の真偽はともかくとしても、
単純にゲームのやり過ぎが体に良いはずがないということ。

別にゲームに限ったことではないのだが、人間同じ刺激や行動ばかり繰り返す日々が続けば、
生活習慣が乱れ、結果として健康を損なったり、学業や仕事、交友関係に支障をきたしたり、性格や思考が歪んだりするのは当たり前である。
特にゲームについては魅力的な世界観やら迫力あるBGMやらてんこもりであり、正直な話現実よりはるかに楽しく、しかも非常に刺激的にも関わらず安全。
人によってはゲーム 依存症 に陥るほどハマってしまい、ゲーム抜きでは常に無気力だったり逆にイライラしたりと私生活に明らかな悪影響を及ぼすことも。

少なくとも依存症については「ゲーム脳」仮説の様に子どもや若者だけに限った話ではなく、紛れも無く実在する病気であり、
ゲームをしたからというよりは、ゲームしたさに健康で文化的な生活を犠牲にし続けたために、ゲーム脳で言われるような心身症状に陥る例は確かに存在はする。

ひどい例では寝食を忘れてネトゲに没頭した結果、過労死した実例なんかも存在するし、お隣の国の韓国なんかではやり過ぎで心臓発作を起こしたり、ネットゲームのトラブルで殺人に至ったケースもある。
日本でも別に他人事ではないから、指差して笑っていられる状況ではない。


特に、最近では無料でプレイできるタイプのスマホゲームも多数登場しているが、これはスマホの性質上いつでもどこでも手軽にプレイできる反面、ゲームの方がいくらやり込もうが課金しようがゴールが存在しない底なし沼であることが多い。
取っつきやすい割にその気になれば数十万単位で金をつぎ込めてしまうため、人によっては買い切りのコンシューマー向けゲームより質が悪いと言うことも。

無論、初めから無理しない程度に節度を持って楽しめば全く問題ないのだが、中にはスマホゲームに金も時間も健康も捧げた結果ドツボに嵌り、まともな生活を送れなくなる人がいるのも事実である。


さらに言えば「現実とフィクションの区別がつかなくなる」というのもあながちガセではない。
寝食を忘れてゲームをやり込んでる中、ふと外に出た時「あそこからジャンプしてあっちに行けそう」とか「あそこに隠しアイテムありそう」と思ったことはないだろうか?
もし仮にそのままフラッと体が動いて車道にでも飛び出してしまえば……。
特に子供の場合、海外でも昔から「ピーターパンの舞台を見た子供が窓から飛び降りて事故死」するケースが報告されており、日本でも1958年(昭和33年)に『月光仮面』が報道された頃から「真似して危険な事をする」ケースが後を断たない。近年も「空を飛ぶアニメを見た女子児童が窓から飛び降りた」という事故が発生している。ゲームでも同じことが言えるだろう。
これは何も子供に限った話ではなく、最近だとARゲームの『ポケモンGO』を街中でプレイした結果、ポケモンのいそうな場所へ不法侵入する人々が多く発生したのは記憶に新しい。
ゲームが悪いわけではないが、ゲームに影響されてこういう事をやらかす人がいるのは事実なのだ。

また最近は幼児期の子供をあやすのに、スマートフォンのゲームアプリ(幼児用のものも配布されている)を与えて放置する親が増えている傾向にあるという。
幼児期から「ゲームだけしか触れていない」事が脳の発育に悪影響を及ぼすと危惧されており、ある意味ではこれこそ本当の意味での「ゲーム脳」が生まれつつあるのかもしれない。

ゲーム脳がガセであっても、決してゲームへ過剰にのめり込むことが心と体に悪くない訳ではない。
要は頭の切り替えが出来れば良い。
「ゲームは一日八時間」で東大に合格した偉人(変人?)だっている*6
ゲームばっかりやってと言われるなら、それに比較する密度の濃い勉強をして見返してやるぐらいの気概を持とう。

「ゲームは一日一時間」の名言で有名な高橋名人だが、これは「ゲームをやりすぎるのは良くない」というよりも「ゲームだけで一日潰すのではなく、外で元気に遊んだり、テストでいい点を取るために勉強したりする時間を過ごすのも大事だぞ!」というニュアンスだったのは知る人ぞ知る話である。
今日のゲーム依存症が蔓延る現状を踏まえると、この発言を20年以上も前に残している名人はさすがとしか言いようがない。

追記、修正はゲーム脳を理解してからお願いします。

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