SCP-973-JP

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SCP-973-JP - (2020/08/03 (月) 15:30:52) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2017/04/28 (金) 15:21:43
更新日:2023/12/27 Wed 20:30:34
所要時間:約 5 分で読めます





彼の上に輝く星は、たいていは彼と同じ色をしている。



SCP-973-JPは、シェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスはEuclid。
項目名は「エターナル・ダークホース」。



概要

コイツがなにかというと、一頭の馬である。
厳密な種類は判明していないが、外見的特徴には特に異常な点はない。

では、異常な特性が何かというと、ずばりその行動。
何とこのお馬さん、日本各地で日々行われる何かの「大会」に、「暗星 豪」という人間として参加しているのである。
どうやって出現するのか、また消えるのかは判明していない……つまり、突然現れて参加し、突然消えるのである。

馬が大会に出たら大騒ぎだろ!? と思うかもしれないがそこはSCPオブジェクト。
この馬、視覚・聴覚を介した認識災害特性を備えており、自身がそこにいることに全く不自然さを感じさせないのだ。
さらにこの馬、運動能力(というか肉体の能力)が優れており、一般的な馬の身体能力に加えて、人間と同等の動作まで滞りなく行うことができる。
どのくらいかと言うと、字だって書ける。「外見的特徴には特に異常な点はない」はずなので手も指もないはずなのだが、とにかく書ける。
物理的に不可能だろうとか言ってもそこはSCPオブジェクト、物理法則なんて知ったことではないのだ。

で、参加した大会のいずれについても適正を示す……つまりあらゆる種目が得意分野ということらしい。
が、致命的なミスなどにより、想定される成績が残せたケースは稀だという。器用なのか不器用なのかどっちなんだ。
さらに、保有している認識災害特性は大規模な記憶・記録の消去を可能とするが、財団のそれと違って欺瞞記憶との置き換えができない。
これにより選手やその関係者の記憶、各種の書類や記録が穴あき状態になってしまう。当然、少なからず混乱が発生する。
とはいえこのオブジェクトも一応その辺気にしてはいるらしく、後述するようなアフターフォロー(?)はしている。

大会が終わると、残した成績に応じた期間は出現しない。おもに、成績が良いほどに期間が長くなる傾向がみられる。

こんなおかしなものを財団が放置しておけるわけもなく、日本支部は早速収容に動いた。
が、この馬は参加枠が企画の時点で用意されているため予選には出てこない。つまり常時シード枠、何たる優遇。
ならばそれを潰してしまえ、ということで参加枠を消して企画者に記憶処理をした……のだが、即座に回復されあえなく失敗。

前述の認識災害特性により、財団関係者以外はSCP-973-JPが参加していることに違和感を持てない。さらに、あらゆる記憶も記録も、大会終了後に消えるため捕捉は困難。
だったら競技会自体を中止にしてしまえ、となったが、今度は別の大会にエントリーされてまたも失敗。


そして懸念事項として、コイツが獲得した賞品やトロフィーなどは、コイツ自身が消えた1分後に、財団のとあるサイトに出現することがある。
またこいつの存在や、やらかしたことの異常性は財団関係者以外には認識することができない。というか、財団にだけ認識させている、というのが実際のところだろう。
これはつまり、SCP-973-JPは財団の存在を認知しており、自身の能力で及ばない部分のフォローを丸投げしているという事実の裏付けだ。
財団にしてみれば全く以て傍迷惑な話だろうが、曲がりなりにも後始末のことを考えているだけ良心的と言えなくもないか。

大会ごとに現れては消える、という特性から財団施設での収容は実質不可能とみた財団は、その後の情報隠蔽に重きをおいて対処することを決定。
結果制定された特別収容プロトコルがこちら。

編成された情報収集チームは各地のエージェントと連携して、SCP-973-JPの参加する大会・競技会を捜索し、SCP-973-JPの動向を常に監視して下さい。
隠蔽部隊う-8("尻拭い")はサイト-81██に出現する物品の修正、他参加者の賞品の回収を行い、修正された順位に移送して下さい。
また隠蔽部隊う-9("しわ寄せ")はSCP-973-JPの参加した大会・競技会の記録の処理を行って下さい。
SCP-973-JPの今までに確認されていない行動を確認した場合は、サイト-81██管理者へ報告して下さい。

毎度のことだが、日本支部の部隊名はハイセンスである。


事案記録

実質的に収容ができない関係上、コイツに関する記録はすべて事案である。
報告書に記載されている三つをここで紹介する。

  • その1
長野で行われたスケートの大会。が、試合前練習でスケート靴が壊れてしまい欠場となった。
消失期間は1時間20分。

  • その2
全日本と題されたフルマラソンの大会。こっちではとにかく走ればいいというだけあって馬とは相性が良かったのか、見事に優勝。
消失期間は29日。
ちなみに、二足歩行で参加したらしい。

  • その3
小型馬限定の競馬。乗ろうとした馬の限界を超え、拒否されたため欠場。
消失期間はたったの2分。
よっぽど悔しかったのだろう。-とあるエージェント

その前に馬が馬に乗るってなんだ。



補遺

ところで、コイツの参加する「大会」は当初スポーツあるいはそれに類するものだと考えられていたが、ある時とある市で開催された書道コンクールにコイツの作品が出展されていたことが発覚。
もしかして大会なら何でもいいのか、と危惧した日本支部は、専門の情報処理チームの増員を本格的に検討している。

ちなみにそのコンクールだが、テーマは「自身を表す」。
そしてこのお馬さん、かなりの達筆で書いた。



余談


このSCPは財団日本支部で2017年4月に開催された「新人執筆者コンテスト」において投稿され、 見事に最優秀賞を勝ち取った オブジェクトである。

投稿期間の開始直後に投稿され、長らく首位を独走していたSCP-ZZZ-JP-J「暁を覚えず」*1(最終成績第2位)。
それを超えるべく通常ナンバーで書かれたSCPがコレであり、投稿期間終了近くの投稿でありながら急速に評価を高め、一気にトップを抜き去ってしまったのだ。
エターナル・ダークホースは リアルでもダークホースだった。


追記・修正は大会に参加してからお願いします。


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-973-JP - エターナル・ダークホース
by perry0720
http://ja.scp-wiki.net/scp-973-jp

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