SCP-451

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SCP-451 - (2019/05/30 (木) 06:22:57) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2017/10/17 Tue 22:00:12
更新日:2023/05/09 Tue 20:18:45
所要時間:約 9 分で読めます




笑っちまう話だが、子供のころはこういうのを空想したもんだった。
誰も彼もみんないなくなっちまって、両親に行かせてもらえないところに行ったり、好きなだけキャンディを食べたりするんだ。
大人になってなかったら、こんな事態も楽しめたのかもな。

SCP-451は、シェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト (SCiP) のひとつである。
項目名は『Mister Lonely (ミスター・ロンリー)』、オブジェクトクラスはEuclidである。

概要

20██/06/05: 世界中から誰もいなくなって一月が経った。[編集済]に触るべきじゃなかった。応援を呼ぶべきだったんだ。そうすれば少なくとも、人類皆殺しの責任は他の誰かさんのものになったのに。俺は今████████にいる。サイト19に辿り着くまでの最後の街だ。どこかに他の生き残りがいるかもしれないから、ペンとノートで書けるだけのことを書くことにした。████████は俺が今まで行った他の街とたいして変わらない。まるでちょうど1分前に人に見捨てられたような感じだ。歩道には車が停まっているし、テーブルの上には温かい食事もある。時間が止まっちまったのかとも思ったが、昼夜の変化はあるし、カレンダーはいつも正しく動いている。最初にこれが起こった時と比べると、今はもう物事がよくわからなくなった。明日になったらサイト19に向かうつもりだ。もしどこかに答えがあるとすれば、あそこにあるはずだ。事態を元に戻す方法を見つけることだってできるかもしれない。
SCP-451は、M█████ J████という名前の財団のエージェントである。
彼はある危険なアーティファクトの[編集済]を運搬する試みの最中、それに失敗し、一度は行方不明として扱われた。
その1ヶ月後、彼はサイト-19に現れ、その異常な性質が明らかになった後、SCP-451として分類された。
彼がM█████ J████のそっくりさんではなく、彼自身である事は、心理分析におけるストレス反応と一致したしぐさをしてる事から証明されている。
なお、運搬しようとしたアーティファクトが結局なんであるかは明かされていない。

20██/06/08: 今朝はまた食堂に行った。食べ物はまだ皿の上で湯気をあげていて、あちこちのテーブルには食べかけの食事があった。レトルトのトマトスープを飲もうとして冷蔵庫を見たが、どこにも見当たらなかった。それから朝食のメニューが出ていることに気付いた。これは一体どういうことだ?ひょっとしたら昨日俺がちゃんと読んでなくて、その時も今日と同じメニューだったのかもしれない。だけどそれにしたって、俺のスープは一体どこに行っちまったんだ?
M█████ J████改めSCP-451の異常性質は、自分自身以外の人間の存在や行動をSCP-451は知覚する事が出来ないという事である。
この為SCP-451は、自分のせいで自分以外の人間が全て死に絶えた、あるいは消滅したと考えている。
実際には他の人間が周りにいて行動していても、その行動に伴う変化は、SCP-451が注意を向けなくなるまで変化する事は無い。
例えば、食堂にSCP-451が向かうと、SCP-451には、その食堂はまさに一瞬前まで食事が行われていたかのように、食べかけの物が散らばっているような状態に見える。
朝に食堂にいた後昼に食堂を覗けば、それは朝食の光景から昼食の光景へと変化しているように見える。
しかしながら、誰かに見られている、尾けられていると言った、漠然とした感覚はあるようである。
SCP-451はアーティファクトの位置からサイト-19まで徒歩で1ヶ月かけてたどり着いており、それまでの経路で物品を調達している。
これは、その経路上で些細な窃盗事件や幽霊目撃談が報告された事から推定された行動である。
彼の所持品の中には、1ドルストアから盗んだ日誌帳があり、これが彼の異常性質や行動の理由についての重要な手掛かりとなっている。

20██/06/14: (研究員が日誌に書き込むことで意思疎通しようと試みている:これはSCP-451によって上書きされていた) [判読不能]チキンカレーに小便してやった!あと、俺の部屋から物がなくなりつつある。ペンが見つからない。ロンメルの部屋から1本拝借した。
SCP-451に対して直接コミュニケーションを取ろうとする試みは、これまでのところ全て失敗している。
例えば日誌に文章を書き残しても、SCP-451は書き込みに気付かず、その上に自分で文章を書き込んでしまう。
結果的に、文字の上に文字が上書きされてしまい、その部分は読めなくなってしまう。
また、周りの状況の変化は、SCP-451に気付かれないか、誤解される傾向にある。
例えば、開いた引き出しを閉じれば、SCP-451には勝手に閉じたように見え、引き出しを開けないように押さえつけると、SCP-451には引き出しがなぜか開かないように見えてしまう。
ただし、室温の変化やメニューの更新、部屋の模様替えなど、他の人間が行った変化は、例え誤解を生じたとしても知覚出来る。
何を知覚でき、何を知覚できないかは今のところ法則性が示されておらず、かなりバラバラである。

20██/06/17: 服を着るのはもうやめだ。サイト19は温度調節されているから、俺に必要なのはスニーカーだけだ。どうせ誰も俺を見るわけじゃなし。役に立つものはまだ何も見つからない。どこに行っても入れない。

20██/06/18: 震えて目が覚めた。温度計がたったの5℃を示していた。服を焼却炉につっこんだりするんじゃなかった。いくらかをロンメルの部屋から失敬する。俺にはサイズが大きすぎるが、少なくとも寒さはしのげる。

20██/06/19: また暖かくなってきた。昨日は地獄のような寒さだったのに。いよいよ何もかもが滅茶苦茶になってきたのかもしれないな。もうとっくの昔から滅茶苦茶だったのかも知れないが。

20██/06/20: で、寒さだ。まるで傘を差している時に日が差し始めて、そのまま傘を差していたら今度は土砂降りになるみたいな感じだ。

20██/06/25: バスローブを羽織ることで妥協した。ひょっとしたらむしろ良いことなのかもしれないが、まだあの見えない視線を感じる。
逆に、SCP-451を観察している側にとって、SCP-451はどのように写っているのかはあまり描かれていないが、以下のように推察できる。
まず、SCP-451は当然ながら見えている。さもなくば、SCP-451を発見する事はそもそもできないし、誰もいないと思って服を脱ぎ捨てた彼に服を着せるよう仕向けるために、室温を極端にいじる必要は無い筈である。
また、SCP-451へ直接は触る事も出来ていない。例えばSCP-451が開けた引き出しを閉めるような間接的な行動は出来る物の、SCP-451自身や持ち歩いている物に触れる事は出来ないようである。
SCP-451に直接コミュニケーションできない以上、サイト-19を半ば勝手にウロウロする彼の行動は、サイト-19が収容する潜在的な危険、例えばSCiPや警備システムに接触する恐れがある。
SCP-451はこれの影響を受けずとも、周りの職員には危害が及ぶ為、SCP-451が元々使用していたアクセスコードは無効化され (これは行方不明時には既に実行されていたと考えられる) 、警備員2名が常に付き添ってSCP-451の行動を監視している。ついでに、ポンコツな記憶力のせいでパスコードを部屋に隠し持ち、それ故にまんまと見つけられたエージェント・ロンメルのパスワードも無効化されている。

20██/07/05: 俺はク██████の根性なしだ。誰かに助けを頼まなきゃ、自殺することもできやしない。SCP-173の部屋に行って目を閉じてみた。あのクソッタレは俺に触りもしなかった。代わりに[編集済]。俺も他の連中と一緒に消えてしまいたかった。
更に、SCP-451は、ある事を明白に実行できない。
それは彼自身が自殺する試みである。
他の職員の誰かが彼の事を哀れに思って、自殺用に用意された剃刀や、天井に吊るされたロープの輪、拳銃などを彼は使用する事は出来ない。
触れる事こそできるようだが、いざ自殺しようとしても、それを遂げる事は出来ない。
自分自身で実行した事も、例えばSCP-173 (彫刻 - オリジナル) の目の前で目をつぶるような事をしても、SCP-173はSCP-451の首を圧し折るような事はせず、代わりに[編集済]した。他のSCiPでも同様である。

20██/07/08: 銃を見つけた。これなら速やかに俺自身にケリをつけられるはずだった。終わらせてしまうために、休憩室に行った。それじゃあな。

誰かがいた!俺自身は死ねなかったが、彼にうまく命中してしまった。俺は応急手当の薬を取りに医務室まで走った。戻ってきた時には、彼はいなくなっていた。銃もなくなっていた。彼の血さえ見えなかった。
今のところ、SCP-451が他者と交流した事があるのはただの1度だけである。
SCP-451が拳銃自殺しようとした際、弾がSCP-451をすり抜け、偶然傍にいた財団の研究員に当たった。
研究員は致命傷を負ったが、その際SCP-451は研究員を明らかに視認していた。
残念ながら、研究員はSCP-451に有益な情報を伝える事無く死亡している。SCP-451も救急箱を取る為に研究員の傍を離れてしまい、戻っていた頃には死体も血の跡も知覚できなくなっていた。
条件が分かればDクラスを用いて交流の試みがあるかもしれないが、よほど条件が絞り込めない限り、いくら財団でも倫理規定に反する恐れがある。
もし条件がSCP-451が行動した結果生じた死に限定される場合、行動を他者が制御できないSCP-451に試みさせるのは無謀かつ危険すぎる。

20██/07/13: 面白いものを見つけた。俺が回収しようとしたアーティファクトは、これらの平行次元においては結局のところ財団の所有物になったようだ。このドタバタから抜け出すための鍵になるはずだ。この物体のSCP登録名を見つけ、それに辿り着くために調査している。
現在、財団はSCP-451とのコミュニケーションの試みの中で、1つ大きな発見をしている。
SCP-451には気づかれないか誤解される性質を逆用して、偽の情報を与えると、それについては知覚できる事が証明されたのである。
SCP-451は、彼が運搬を試みたアーティファクトが財団に回収されたとする情報を掴み、サイト-19の資源を用いて、現在の状況を脱出する方法を探る事にしたのである。
これにより、文字通り捉えどころのないSCP-451をサイト-19に収容する事に成功している。
なお、偽情報を掴ませる以上、アーティファクトは実際には回収されておらず、実際には財団の下でSCP登録名も存在しない可能性が高いが…。

それじゃあな、我が愛しき日誌よ。お前は役に立ったぜ。
SCP-451の日誌は、余白が無くなった事により、発見から約1ヶ月後で終わっている。
SCP-451自身は、自分は連続的に次元を移動しており、自分が移動する一瞬前に人間が消えてしまうと考えている。この為、新たな日誌が情報と共に失われるのを防ぐため、新たな日誌は常に携帯しており、読む事が出来ない。
今のところSCP-425 (割り込む登場人物) による秘密工作は、検討されている物の保留中である。

最近、SCP-451は自殺の傾向を見せています。多くの職員が彼の存在に対してどう感じているかは、彼に適当な自殺手段を与える理由にはなりません。SCP-451は事故の前までは優秀なエージェントであり、いつの日か彼が知覚を完全に回復すれば、再び復帰することが可能です。



余談だが、SCP-451は撮影された相手が何をしたかったかを映し出すカメラであるSCP-978 (欲望カメラ) で撮影対象となっている。
撮影された行動と結果は以下の通りとなっている。

被験者: SCP-451
撮影された行動: サイト-19のカフェテリアで泣いている。
撮影結果: SCP-451は、サイト-19の宿舎の寝台で他のスタッフ・メンバーに囲まれながら目を覚まし、横たわっている。SCP-451の顔には安堵の色が見て取れる。



(研究員がWikiに書き込むことで編集しようと試みている:これはSCP-451によって追記されていた)[判読不能]


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