SCP-1238

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SCP-1238 - (2018/10/16 (火) 20:50:40) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2018/10/14 Sun 17:35:00
更新日:2023/08/16 Wed 07:46:43
所要時間:約5分で読めます





SCP-1238とは、海外のシェアワールド「SCP Foundation」に登場するオブジェクト(SCiP)のひとつ。
項目名は『Tunnelfish(トンネルフィッシュ)』

概要

こいつが何かというと、現在の分類学上には存在しない深海魚の一種である。種族的にはスズキに近い。
大体アメリカとカナダの国境辺りに住んでいるのだが、数が多すぎるため収容はできてない。

といってもこいつら、普段は振る舞いも食性もただの魚であり、特に人に害がある訳でもない。金属でできてたり空気中やマグマを泳いだりもしない
人に寄生することもないし爆発したり宇宙まで吹っ飛んだりしゅみで財団職員を連れ去ったりもしない
・・・こう並べてみると鳥や猫に負けないくらい多いなぁ。

SCP-1238の主要な異常性は4月~7月の産卵期に現れる。
この時点で成熟している個体の消化器官が謎の変化を遂げ、鉱物や金属を消化して栄養にすることが可能になる。要するに岩を食って生きることができるようになるのだ。
こいつはその能力を使って集団で大陸棚を掘り進み、トンネルを掘ってそこに卵を産み付ける。生まれた子供は10年ほどで成体になり、だいたい35年くらい生きる。結構長生き。
1238個体群は基本的にこのトンネル内に住んでおり、産卵も毎年同じトンネルで行う。個体数の増加に伴いトンネルは枝分かれし、更に拡張していく。




・・・以上である。




本家記事には他にも色々こいつの生態などについて書かれているが、異常性の説明は大体上記の通り。
はっきり言えばSCP-1238は「岩を食える魚」というだけであり、それ以上でもそれ以下でもない。Anomalousでも良さそうなレベルである。
というか人間の脅威になるわけでもないし、普通に新種の魚として学会で発表してもいいんじゃないだろうか。岩を分解してエネルギーにするとかかなり有益そうだし。

だがしかし、実際こいつはオブジェクトである。財団だって資源は有限だし、収容する必要のない実体をSCPに指定する訳がない。



ましてや「Keter」クラスに分類するなんてあり得ないのだ。



そう、SCP-1238のオブジェクトクラスKeter(収容が不可能かつ、全人類にとっての脅威となり得る)
しかもこいつはその中でもタチの悪い「将来的にK-クラスシナリオを引き起こしうる」タイプのKeterである。
一見大したことなさそうに見えるこいつのヤバさは、異常性よりもその習性と人間社会への影響にあるのだ。

19世紀ごろまでは、SCP-1238は正真正銘無害な存在だった。
しかし漁業の発達により、それまで1238を餌としていた鯨などが大幅に減少、または絶滅したことにより、捕食者がいなくなったこいつらは爆発的に増加。
その結果こいつらのトンネルはどんどん拡張していき、とうとうアメリカとカナダの西部全体に拡がってしまったのである。
おまけに1238自身は岩を食う性質上食用に適さないため、漁獲の対象にもならず、現在もその数は増え続けている。

もし何らかのきっかけでトンネルが崩れた場合、"事象638-ミュー"と呼称される大規模な地盤沈下を引き起こすと考えられている。
特に "ゴールド・ゾーン" と指定されている地域は全て海底に沈み、そこにいる住民も文化もインフラもまとめて海の底となる。
具体的に何が起こるかというと、

  • ゴールド・ゾーン内のほぼ全ての生物が絶滅
  • 大量の化学廃棄物や放射性廃棄物などが太平洋へ流出
  • アメリカの食料生産への深刻な被害、それに伴う物価の急上昇
  • ゴールド・ゾーン隣接地域での飢饉や伝染病の流行。
  • 太平洋全体での大規模な津波、世界規模での海面変動
  • 全世界の漁業に対する致命的な影響
  • ネットワークの広範囲での途絶
  • 上記の事象による世界的な混乱、インフラが崩壊したことによる政治的問題の多発。

どう見てもIK-クラス:世界文明崩壊シナリオである。しかも世界経済が崩壊するということは、当然その地盤の上に成り立っている財団にも深刻な影響をもたらす。
財団が死ぬことは世界が死ぬことと同義。そのまま別のK-クラスシナリオにも発展しかねない。ただの変な魚からどうしてこうなった・・・。

もしもこのままSCP-1238が増え続けると、2100年までに事象638-ミューがほぼ確実に発生すると考えられている。
たった今1238が全滅したとしても、今後数百年間は高いリスクが付きまとう。
遅かれ速かれ事象は必ず起こると言うわけだ。

そんな訳で財団は、以下のような特別収容プロトコルを定めた。
  • SCP-1238をできる限り破壊してね。あとトンネルを見つけたら封鎖してね。
  • ゴールド・ゾーン内に他のオブジェクトを収容しないでね。でも移動できない奴はいいよ。
  • 財団の重要人物は業務の時以外はゴールド・ゾーンに入らないでね。もちろんO5は何があってもダメだからね。
  • もし事象638-ミューが起きそうだったら、ゾーン内の職員は文化的に重要な人や物をできる限り退避させてね。自分の命は後回しにしてね。
  • 専門の移動研究班はゾーン内のサイトに残ってね。そしたら通信できなくなるまで司令部にデータを送ってね。

さりげなく職員に死ぬまで業務を遂行しろとか書いてあるが、そうしないと世界が滅びるのでまあ仕方ない。「冷酷だが残酷ではない」という安心の財団クオリティである。

余談

これらのプロトコルは当然O5も把握しているのだが、実は1人だけこの情報を伝えられていない人物がいる。

事前の私達と中央倫理委員会との協議により、O5-8をこの知らせから故意に除外し、事象638-ミュー-34を知らせる事にはなっていません。O5-8の初期の人生と教育状況、また現在彼の拡大家族がゴールド・ゾーン内で生活している事から、O5-8が現時点で脅威に気付く場合、利害衝突が引き起こる可能性があります。

・・・世界を守るために同僚さえも切り捨てる。それが財団である。






追記・修正はゴールド・ゾーンでお願いします。


SCP-1238 - Tunnelfish
by Smapti
http://www.scp-wiki.net/scp-1238

SCP-1238 - トンネルフィッシュ
by gnmaee
http://ja.scp-wiki.net/scp-1238

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