SCP-2686

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SCP-2686 - (2020/05/22 (金) 15:57:55) の編集履歴(バックアップ)


登録日: 2019/04/30 Tue 21:55:00
更新日:2023/11/04 Sat 03:41:10
所要時間:約 7 分で読めます





SCP-2686はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト
オブジェクトクラスEuclid
項目名は「Moon Wizard (お月さまの魔法使い)」。


概要

SCP-2686は意思を持つ人型実体である。故にEuclid。
見た目は75歳位の男性である。ウール地の青緑色のシングルローブと灰色のナイトキャップをまとい、樫の杖を持っている。つまり魔法使いのおじいさんである。
『大魔術師ナイペリウス』を名乗るこの老人は、財団に敵対的ではなく、インタビュー等も可能であるが、後述の理由で完全な封じ込めは不可能とされている。

宗教・神話・民俗学・哲学・歴史等の幅広い知識を持ち、自身の起源等についてはこれらの話題で煙に巻いてしまう。
そして、中世ウェールズ伝承由来の様々な魔術、例えば遥か遠くにテレポートしたり、エネルギー弾で敵を打ち据えたり、人を動物に変えたりといった様々な魔法を使える……と、自称している。

そう、自称。財団が観測している限りでこれらの能力を使ったことは一切ない。

何?これじゃただの妄言垂れ流すボケジジイじゃねえか?ところがどっこい、このオブジェクト、存在する場所からして明らかに異常なのだ。
その場所とは、月面である。


月暮らしのナイペリウス

この先生、月面は雨の海に庭付き一軒家を建てて暮らしている。
財団は同じく雨の海にある月面基地から週イチで監視担当職員を送ると共に、地上における雨の海に関する観測データを改ざんしている。
(……うん、財団は月面基地を持っている。地上からワープで行ける奴を。
家の周囲に半径45mのドーム状の領域SCP-2686-1があり、ここへ外部から侵入しようとしても、反対側にワープしてしまうため、内部への手出しはできない、
SCP-2686-1内は樫やトネリコといった草木が生い茂り、独特の建築様式で建てられた木造藁葺き屋根の、農村風の一軒家がある。先生曰く中は地球と同じ環境らしい。
定期的に猫の使い魔コモドール・バックルちゃん(ちなみに財団はこの子を観測できてない)により、生肉(監視担当曰く家畜、先生曰くトナカイやクジラやグリフォンのもの)やフルーツが届けられる。


インタビューログ

さて、かのごとく月で悠々自適に隠遁生活を送るナイペリウス先生だが、
彼はなぜこのようなところで暮らしているのか、財団エージェントは押したり引いたりの巧みな話術を駆使しインタビューによりこれを突き止めた。
以下がそのインタビューの記録である。
<記録開始>

エージェント: こんにちは、先生! ちょっとお名前を伺ってもよろしいですか?

SCP-2686: (叫び) 我こそは大魔術師ナイペリウス、天に輝く月と星の支配者なり!

エージェント: なるほど。それでですね、どうやって月の上で暮らすようになったのか、教えていただいてもいいですかね?

SCP-2686: (叫び)我に問おうというのか、死すべき定めの人間よ!

エージェント: 言いたくなけりゃ別に全然問題ないんです。さて、行…

SCP-2686: (普通の声で)待て、待たんか。普通ここで諦めるか?古の知識について聞いてみようとか思わんの?星辰の秘密を探るとかじゃな、お前さんの(叫び)未来を知りたいとは思わんか!

エージェント: いえ、特に。物理的な情報に関してはだいたい分かりましたね、このあたりで。あとは生まれた場所と生年月日を教えていただければですね、私たちも…

SCP-2686: (叫び)なんと無礼な!我こそが遍く魔術師の中で何者よりも偉大であるということを思い知らせてくれようぞ!高貴なる探求の助力を求め、幾千もの者が我が知恵と魔術を求めた!最も力強き者のみが、地上において最も高き山の頂にある我が魔術の聖域に至ることができたのだ。だが、それでもなお多くの者が押し寄せた。故に我が荘厳なる力によってこの遠き地に住まいを移したのだ、心の深奥から我が知恵を望む者のみが見出し得る地に!

エージェント: なるほど。で、一体いつ頃こちらに引越したんです?

SCP-2686: (普通の声で) 300年近く住んでおるよ。日に日に力は増すばかりじゃ。

エージェント: それで、その間どれだけの人がここを訪れたんです? おおよそで結構ですよ。

SCP-2686: えー、うむ、そうじゃな、その事なんじゃが。実を言うと一人も来とらんのじゃよ、弱ったもんじゃ。だが多分お前さんは探求の旅の助けを借りたいとか思っとるんじゃろ?ん?

エージェント: まあ、ご面倒でなければ、経歴について聞かせていただきたいとは思ってますが。

SCP-2686: そういうのは探求とは言わん。ただ真の英雄のみが儂の力に値する。

エージェント: それじゃ、どうして元々住んでいた所に戻ろうとしないんです? あまり多くの人が訪ねてきたわけでもないんでしょう。本末転倒じゃないですか。

SCP-2686: 問題なのはじゃな、儂が月の魔術師であるということなんじゃよ、実のところ。

エージェント: ええ、それで?

SCP-2686: それはつまり、天高きから降り注ぐ月の光が、儂の力の源ということじゃ。

エージェント: そうですね。

SCP-2686: で、儂らは今、月に居るじゃろ?

エージェント: なるほど。

SCP-2686: 月光は、かなり下の方から来とるんじゃよ。

エージェント: うーん。

SCP-2686: うーん、なんじゃ。全くもってな。

<記録終了>

要するに、このすごい魔法使いの先生、訪問客の多さに閉口して月へ逃げ込んだら、魔力の源である「空高くから降り注ぐ月の光」が存在せず、帰れなくなったと。それから300年。

うーん。

財団は、一応この残念じいさんが絶対に月面から出ないように気をつけることにしたようだ。


類似するオブジェクト


自身の特性で残念なことになってしまったオブジェクト。なぜそこを選んだ。

  • SCP-005-JP - 4羽の鳥の彫刻
ペリカンに似た鳥の銅像4体。4羽目のみ魚の銅像を咥えている。
意思を持ち、周囲の知覚と日本語による対話が可能。自身を「帝により天から遣わされた『偉大なる四羽の鷹』」と主張している。
皇紀2660年(西暦2000年)5月1日に、突然都内の公園に出現した。破壊は不可能。
「信心を失ったこの帝国の行く先を軍事力を以て救済する」と言っており、像に傷一つつけられない財団の力では彼らの兵器に対抗できないとも。

さて、そんな彼らが何故Safeクラスオブジェクトとして収容されているのか?
その答えを桑名博士によるインタビューログから抜粋する。
桑名博士: それでは……あなた方は動けないのに、どのようにして目的を達成するつもりなんですか?
なお、「特務技官の口さえ自由なら」とも言っている。特務技官とは?お魚さん咥えてる4羽目である。
メモ: インタビュー中、SCP-005-JP-4のもがっもがっという音が断続的に記録されていました。

各部位が全て違う恐竜の部位で出来たキメラ恐竜。
あらゆる虚偽を食らう異常特性のおかげで財団のカバーストーリーを無意味にし、大規模収容違反を引き起こした。
しかも虚偽を食らうごとに、成長し範囲は拡大して食べる情報の規模は大きくなるという更に厄介な特性を持つ。
しかし、成長に成長を重ねた結果、財団世界が物語=フィクションであると理解、自身を食らって消失した。
その結果、自身の引き起こした事象全てが無かった事になり、記録が一切残ってない報告書しか残ってない事から、
財団上層部からジョークオブジェクトとして認定される事となった。


追記、修正は月明かりの下でお願いします。




SCP-005-JP - 4羽の鳥の彫刻
by Kwana
http://ja.scp-wiki.net/scp-005-jp

SCP- 800-JP-J
by ksk-accel
http://ja.scp-wiki.net/scp-800-jp-j

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