SCP-1994

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SCP-1994 - (2021/09/08 (水) 19:27:18) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2020/03/30 Mon 15:26:45
更新日:2024/04/09 Tue 10:58:11
所要時間:約 10分で読めます






腐って潰えた品性、若しくは初めから欠けていたか。




SCP-1994はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト(SCiP)の一つである。
オブジェクトクラスはKeter。

項目名は『腐敗』。


注意:本項目の本来のサイトには非情にショッキングな画像が挿入されています。ご確認の際は慎重に!



概要

SCP-1994は、旧ソ連のとある地域の歯科研究所で発見された、細菌性の異常現象の総称であり、主に3つに分けられる

一つめのSCP-1994-1は、ラズミン・イェルコフという、かつて歯科研究所に勤めていた人物が開発した血清である。これを体内に注入すると、身体中に歯がびっしりと生える。

二つめのSCP-1994-2は、SCP-1994-1によって生物の肉体に発生する、大量の歯そのもの。その本人の歯とほとんど変わらない性質的なのだが、極めて虫歯になりやすい。さらに腐った箇所から、白い粉末が発生するようになる。

三つめのSCP-1994-3は、SCP-1994-1の注射を受けた、あるいはSCP-1994-2由来の粉末に"感染"した人物全員のこと。感染した人物がどうなるかというと、



1.) 暴露初期
対象はSCP-1994-1の注射あるいはSCP-1994-2由来の粉末に暴露します。対象(SCP-1994-3)は約2週間に渡り明白な感染兆候を見せませんが、内部で生理学的細胞変化を受けます。
人体の各所からカルシウムの排出が始まり、免疫反応及び生体維持に関係する細胞小器官が"再構成"され、エナメル質の生成が可能になります。



2.) 突出
皮膚下における平均的に2週間の成長の後、SCP-1994-2は嚢胞に包まれた状態で皮膚を隆起させます。これら"突出"は関節を起点として生じ、後に頭・首・背・股間部に拡大します。
SCP-1994-3個体はこれらに触れることに痛みを感じる為、あらゆる除去の試みに抵抗します。SCP-1994-2群の成長と拡大はSCP-1993-3個体の代謝活動の低下と相関を示します。


感染初期は、外面的な変化は見られないものの、体内でカルシウムが急速に失われる。
続いて、身体の至る所にエナメル質の物体が生える。この時点でその箇所に触れると痛みを生じ、それを除去しようとしても痛みのため拒否される。さらに体内の活動が機能低下を引き起こす。


3.) 成熟と被覆化
 暴露時点から約5週間の経過時、SCP-1993-2を有する嚢胞が開裂し、成人の歯の形で表れます。歯が露出するに至った場合、SCP-1993-3の皮膚組織との癒着は固定的であり、外科的な手段でのみ除去可能です。加えて、この段階は発生範囲の急速な拡大からも特徴付けられます。
SCP-1994-2の成熟に伴い発生点は末端部の全てを覆い、口蓋・内耳・肛門・性器等のより柔な組織においても見られるようになります。


........想像しただけで痛々しい。さらに......


4.) 齲蝕
平均して8週間の被覆化の末、SCP-1994-3個体の全身はSCP-1994-2の層で覆われた状態になります。しかし、成熟より程なくしてSCP-1994-2の表面全体に渡って齲蝕病変の進行が始まります。
SCP-1994-2において、通常の齲蝕の原因となる酸分泌性細菌の繁殖は確認されない為、腐食の進行原理は不明です。SCP-1994-2実体の齲蝕の進行は速やかであり、最長でも7日以内に欠損が全般的に見られる状態になります。
この間、SCP-1994-2より白色の粉子が放出され、空気中を漂います。粉子の除去は従来の空気洗浄技術で除去可能なことが示されています。


とうとう体が腐り始め、例の粉末が発生してしまった。一応の対応策があることが幸いだが........


5.) 終期
SCP-1994-2の発生と成熟の過程が完了したのち、SCP-1994-3の身体は腐食物で完全に覆われた状態になり、対象は終期に入ります。膨大な量の腐食組織と弱体化した免疫機構、栄養摂取の能力の欠如により、対象は概して腐食の完了後2週間で死亡します。残存するSCP-1994-2粒子の除去の為、SCP-1994-3の遺体は焼却されねばなりません。


感染者は最終的に、完全に歯で覆われた後、凡そ2週間で死に至る。当然残された遺体にも感染の危険性があるため、遺体は完全に焼却されるのである。


そんなわけで収容プロトコル。

  • 回収された全てのSCP-1994-1単位量は、サイト93における最上級セキュリティ収容ロッカーにて収容されます。SCP-1994-1は現在未収容と考えられています。

  • 回収された全てのSCP-1994-2実体は、サイト93における最上級セキュリティ収容ロッカーにて収容されます。ロッカーの外部には高容積洗浄塔が設置され、週に2回の交換を要します。ロッカーを出入りする人物は、汚染の可能性を防ぐためにハズマット装備の着用が義務付けられます。

  • 回収されたSCP-1944-3個体の残存はサイト93における高セキュリティー人型収容房にて管理されます。発見された全てのSCP-1994-3個体は収容及び観察の為にサイト93に移送されます。必要な措置と判断された場合、SCP-1994-3個体の絶命を防ぐ目的での生命維持装置の適用が行われます。房の外部には高容積洗浄塔が設置され、週に2回の交換を要します。ロッカーを出入りする人物は、汚染の可能性を防ぐためにハズマット装備の着用が義務付けられます。

  • 加えて、モスクワ周辺の財団監視部門はSCP-1994の発生の兆候を探ります。機動部隊タウ-13("口内検査")はSCP-1994発生事案の鎮圧を委託されるとともに、ラズミン・イェルコフ医師に関連する情報の収集を補助する任にあります。




発見

明確な理由は述べられていないが、1959年に財団エージェントと要注意団体の一つ、ロシア連邦軍参謀本部情報総局"P"部局との合同任務において発見された(以降、GRU-P工作員と呼称)。

既にラズミン・イェルコフは逃亡した後だったが、9人のSCP-1994-3個体が放置されており、内7人は末期であった。加えて、大量の資料と日記も発見された。
なお、襲撃中に5名の財団エージェントと3名のGRU-P工作員空気中のSCP-1994-2粒子に暴露してしまった。後にSCP-1994-3に指定され、サイト93における実験の対象となった。


ここで、イェルコフがなぜこんなものを作成しようとしたのかを明らかにする文書があるので記載する。


(省略)
私の業務は基本的に最も裕福なクライアントらを対象とするものだ。過去15年に渡って、私の仕事はモスクワの整形歯科におけるスタンダードの一つだ。クライアントらは私が行うことの出来た仕事に大変に感謝しており、被せ物に用いる金も、ブリッジの安定性も、磁器の清潔さも満足を得ている。これらは、君も既に知っていることと思う。

しかしながら、ここ数か月においてクライアントの一部がモノの見た目に対して不満を示すようになった。彼らは言う、「グリゴリー先生、あなたの仕事の質にケチをつけることなんてできません。ただ私達は、材料の品質があなたの処置の足を引っ張っているように感じているのです。詰め物も被せ物も綺麗なものですが、完璧ではありません。私たちは改善を要求します。」

君が理解してくれるであろうように、私はこれに狼狽している。私は自分の成した仕事に関して自負を持つのみならず、用いる材料の価値も誇りとしている。しかし悲しいかな、クライアントの要望には同意はせざるを得ない。いかに軟磁器を太陽の如く輝くように磨けど、神の作り給うた自然美には勝てないのだ。私は、他のどの歯科医も手にしたことの無い材料が必要だという結論に至った。ヒトの歯が必要なのだ

調達方法の問題にはただちに行きついた。モスクワの通りを探せば靴や粥のために歯を差し出してくれる貧民は多く見つかるだろうが、歯が使えるものではない。それは往々にしてひどく蝕まれていて、歪で、どこから欠けているものだ。ヒトの歯には違いないが、クライアントの要望には応えられないのだ。
(省略)
この案件に関して私から出せない額は無いが、如何せん時間が不足している。クライアントらが私と同等を主張する他の歯科医に移りはしないだろうかと、心配でならない。実際に行える奴はいないとしても、素人がどう考えるか分からないだろう?

返信を期待している。私には歯が必要なのだ、イェルコフ。君が届けてくれるよう祈っている。

御健勝を、
グリゴリー





開発

どうやらイェルコフは、元々金持ちのために精巧な入れ歯を作っていたグレゴリーという人物から、もっとよい入れ歯を作成するために依頼されたらしく、そのために本物の人間の歯を人工的に作成しようとした。

本物の人間の歯を作るため、イェルコフは世界の別の面に答えを見いだした。自らが知りようもなかった"神秘と魔術"の世界を眼にし、そこでとある無名の男と出会った。

曰く、戦医時代に仲間を救うため黒魔術に転向し、その際に"妖精"なる存在と出会ったらしい。妖精の名は"イザベラ"。彼の個人的な助手としても活躍しており、彼女の仲間と供に多大な結果を上げていた。


その"妖精"たちを、イェルコフは手に入れた。無名の男を殺すことで。無名の男はイェルコフがどれだけ金を積んでも了承しなかったためであった。



ちなみにさっきから呼称している"妖精"。本家で画像が添付されている。見た目は真っ黒な蝶なのだが、いくつか特性が記述されてる。


104- 『歯の妖精

色: 黒/白

外観: 視覚的には通常の蝶と見受けられる。外観は不定で、中和状態でのみ完全に安定化する。この状態で最も取り扱いが容易。詳細な観察は人間的要素を明らかにする(手と腕、足、単純な顔)。

魔法的性質: ヒトの消化管で繁殖し、基本的な要素を含むヒトの歯を生成する。しかし基本的に宿主に致命的である[付記:これは試験前に伝える必要がある]。小さい生き物でありながら非常に強靭。痛みへの耐性も高い。唐突に終了する。解剖検体を同封。歯を生成する仕組みは不明。フッ化ナトリウムの作用が機構と関係していると考えられる。

結論: 検体は道のいくつかの化学物質を含み、これらは口腔環境で予想外の反応をしめす。さらなる研究の為にこれらを分離した。以前の16の検体と異なり、切開開始時点で終了しなかった。




........実は本家ページサイトには、"歯の妖精"の欄からとあるオブジェクトにとべる。

SCP-478。項目名は『歯の妖精』
オブジェクトクラスはEuclid。このオブジェクトがもつ異常性と上記の性質が全く同じなのである。........いわずもがな、両方とも同じ存在であり、イェルコフは"歯の妖精(SCP-478)"の力で数々の実験を行い、血清を作成したのだった。




分かりやすく要約すると........


知り合いの歯科技師から、金持ちのクライアントのために人間の歯とほとんど変わらない入れ歯を作りたいと依頼されたよ。ならいっそのこと人間の歯そのものを使おう! でもそんな技術持ってない........
⬇️
知り合いから魔術などのオカルトのことをを教えられた。そしたらそいつからの紹介で、なんか黒魔術で歯の治療している男と出会ったよ。彼もまた"歯の妖精"っていう実体の力を借りて治療していたんだ。
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"歯の妖精"たちを買いたいと頼んだけど断られたよ。仕方ないから殺して奪ってやったんだ。
⬇️
至る場所の人を都合してもらって実験。何とか完成したぞ。これで歯を摘出して入れ歯を作れる!
⬇️
なんか自分のことを嗅ぎ回ってる奴らがいるみたいだ。仕方ないから場所を移してさらに研究を重ねよう! ........あぁ、もう必要のない検体は研究所に置いていこうっと♪


........財団は今なお、このイカれた研究者を見つけようと躍起になって探しているが、見つかったという報告はない。
また、犠牲となった人の過程と、その実験の内容はここでは割愛させて頂く。あまりに凄惨な内容のため、確認したい場合は自己責任でおねがいしたい。
また、SCP-478の画像も非情に心臓に悪い画像であるため、閲覧には注意して頂きたい。


追記・修正は歯磨きをしっかりやってから。



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