SCP-1028-JP

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SCP-1028-JP - (2020/07/02 (木) 14:47:13) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2020/07/02 Thu 14:34:18
更新日:2024/04/13 Sat 23:32:48
所要時間:約 9 分で読めます




SCP-1028-JPとは怪奇創作サイトSCP Foundation日本支部のオブジェクトである。
項目名は『被虐の像』。
オブジェクトクラスはEuclid。

特別収容プロトコル

まずは特別収容プロトコルから。基本的にはモノ系オブジェクトらしく収用コンテナに入れておけ、というものなのだが、そのあとが若干不穏。
「Dクラスを常に一人常駐させること」「Dクラスのすぐそばに武器を収めたロッカーを設置すること」「 常駐しているDクラスが破壊衝動に駆られたらロッカーを開けて武器を提供し、SCP-1028-JPの破壊を指示すること 」などと書かれている。
特に最後の部分が異様であり、「オブジェクトを破壊せよ」というのは財団の本来の目的である「確保、収容、保護」に明らかに反している。
もちろんこんなプロトコルが定められているのにはちゃんとした理由がある。

オブジェクトの概要

本オブジェクトは、裸体の西洋人男性を模した大理石製の彫像である。
元ページではミケランジェロのダビデ像の画像が用いられているが、これは収用当時の状態で後述の「再生」の過程を経るたびに外見は変化するらしい。
ただ、どれだけ変化しても総質量は変わらず、「裸体の西洋人男性」という部分は一定。
また、どう見てもただの大理石製なのだが、実際は皮膚の内側には通常の人間と同じ臓器や器官が存在する。 これも大理石製だが 。……想像すると結構不気味である。
ただし消化器官の内容物や体液は確認されていない。

このオブジェクトの第一の異常性は、周囲の人間に 「この像を破壊しなければならない」 という精神的作用を起こすこと。
この精神的作用に侵された人間は、手元にある最も強力な武器を持って像を破壊しようとする。
……なんだかSCP-830-JPと似た異常性だな。あっちも破壊するのが特別収容プロトコルだし。
なお、武器がない場合素手や 噛みつき で破壊しようとする。もちろん大理石の像がそんなことで壊れるわけもなく、収容前の被害記録では 両手が粉砕された80代のおばあさん 大理石の破片を飲み込んで窒息死したおじさん なんかが確認されている。
またこの精神作用の及ぶ範囲は、像が80%以上破壊されるまで拡大していく。最大の範囲は24時間で400メートルを記録している。
ちなみに、人間でなくても一定以上の知性があれば対象になる。このために、収用後とある知性を持ったEuclidオブジェクトが収用違反を起こし、2名の死者を出している。
さらに、この強制力の影響下にある人間は像を破壊して出現した臓器などを リアルな人間のものと誤認する 幻覚作用も備えている。元々グロ趣味などを持っていない普通の人間であっても、なぜかそれに忌避を抱くことはなくむしろ興奮してより破壊活動に勤しむようになるらしい。
ただし、精神作用が途切れると 普通に自分のやったことを思い出してしまう ので、異常性とは関係なくトラウマを抱えるケースも報告されている。そういえば特別収容プロトコルでは「破壊を完了したDクラスは交代させる」とは書かれているけど、記憶処理を受けさせるとかは書かれていないんだけど……大丈夫だろうか?

第二の異常性は限定的な破壊耐性。破壊耐性なんぞ、モノ系オブジェクトの大半が常識のように備えているのだが、このオブジェクトのそれはかなり限定的。
「知性体及び人間の関わらない破壊」「過去100時間以内に使われた方法による破壊」「像の脳神経系への破壊」を受け付けない、というもの。
特に2番目の部分が厄介で、同じ方法で繰り返し破壊して無力化することができないのだ。そのため、特別収容プロトコルでは、「武器は一度使ったら違う種類のものと交換し、過去5回以内に同じ武器を提供しないこと」と定められている。

第三の異常性は「再生」。どれだけ破壊しても、この像の唯一破壊できない部分である脳神経系を基点に破片が再び寄り集まって再生してしまうのだ。
なお、脳から半径50メートル以上離したり、化学変化させて大理石ではなくしてしまえば破片は異常性を失うが、その場合不明な方法で大理石を補充してしまうので結局再生してしまう。
また再生後に精神作用を発し始めるまでの時間は一定していない。

まとめると、「周囲の人間に、繰り返し違う方法で、何度でも自分を破壊させるオブジェクト(リアルなグロ映像のオマケつき)」というのがコイツの正体である。

発見に至った経緯

このオブジェクトは某県の山中にある山小屋で発見された。
発見当時の状況は、「重機が盗まれた」と工事会社から通報があったことから警察官が捜査のために山中に赴いたところ、 地元の不良少年グループの一人が重機で山小屋を粉砕しているところに遭遇した というもの。不良少年すげぇ。
山小屋の中には3名の死者と、少年の仲間と思われる改造モデルガンを所持した軽傷者がいたため、警察官はこれを保護。
その後異常存在が絡んでいることから事件は警視庁公安部特事課に引き継がれ、オブジェクトの設置経緯に犯罪行為が絡んでいないか調べられた後、PEJEOPAT(既存日本超常組織平和友好条約)に従いオブジェクトそのものの管理は財団に継承。正式にSCP-1028-JPのナンバーが与えられた。

また、発見当時、公安部特事課は重機を操縦していた少年にインタビューを行っている。























……え?これだけ?








なんか腑に落ちない、と感じた人が多いのではないだろうか。しかし正真正銘、今現在のSCP-1028-JPの記録はこれで全部である。
「誰が何のために設置したの?」「そもそもどうやって作ったの?」「なんかすごいオチとかあるんじゃないの?」と感じてなんだかモヤモヤするだろう。
そもそもメタタイトルの「被虐の像」の意味合いもイマイチ不明である。この記録だけだと「単に存在し、単に破壊され、単に再生するだけ」のオブジェクトでしかない。
「あえて情報を制限して考察者にモヤモヤさせるのが目的」にしても、異常性についてはほぼ明確になっているし、それ以外の部分は単純に情報不足で考察するのも困難である。



余談

芸術作品関連のオブジェクト、ということで警戒する人も多いだろうが、実は珍しくこのオブジェクトにAre We Cool Yet?は一切かかわっていない
まぁAre We Cool Yet?だって、芸術品ならなんでもかんでも自分たちのせいにされても困るだろうが。

追記・修正は像を破壊してからお願いします



SCP-1028-JP - 被虐の像
by 08_ORB
http://scp-jp.wikidot.com/scp-1028-jp
この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。

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