魔術列車殺人事件(金田一少年の事件簿)

登録日:2012/02/09(木) 00:35:19
更新日:2020/03/17 Tue 16:30:19
所要時間:約 20 分で読めます




来たる4月28日

北海道は死骨ヶ原湿原を通る列車に魔法をかけた

死と恐怖の魔術を堪能されたし

地獄の傀儡師


魔術列車殺人事件は、『金田一少年の事件簿』に登場する北海道を舞台とした殺人事件。
単行本第20巻と第21巻に収録。全13話。
テレビドラマでは単発スペシャル3作目として2001年3月25日に、テレビアニメでは第33話~第36話として1998年1月12日~2月2日にかけて放送された。
「金田一少年」では初のトラベルミステリーである。
「魔術」「マジック」をテーマとした殺人事件で、技巧的でトリッキーな仕掛けや殺人方法が特徴。
アニメ版の容疑者リストの順番は上段は左から左近寺、由良間、桜庭、ジェントルで下段が夕海、長崎、高遠、残間の順でバックはオレンジ色。
登場する怪人は「地獄の傀儡師」。


以下ネタバレ




【事件の始まり】

警視庁に一通の脅迫状が届き、物語の幕が開けられる。
その中身は奇妙なからくり仕掛けの箱で、警察は謎解きに苦戦していた*1…が
金田一はあっさり仕掛けを解いて開けてしまう。
すると、中には奇妙なねじれたマリオネットが入っていた。

そのマリオネットは後に事件と犯人を象徴するものとなる。
更に犯人は「地獄の傀儡師」という不気味な名前を名乗り、来る4月28日北海道死骨ヶ原湿原を通る列車「銀流星」に魔法をかけたと促した。
そして、銀流星号と終点の死骨ヶ原ホテルで血の殺人劇が起こる…


【事件関係者】

  • ジェントル山神
CV:関根信昭/演:Mr.マリック
幻想魔術団の団長。本名は山神文雄(マジック開始早々本名を名乗るとか……)
得意はファイヤーマジック。列車のパフォーマンスの最初に現れた。
由良間によれば、最近スランプ気味らしい。
劇中突然、こめかみにナイフを突き立てられた死体として発見されるも消失。
なお、その最中に起こった爆弾騒ぎで現場に居合わせた一同が床に伏せる中、その場にいるはずのある人物だけが伏せていない……
その後、ホテルの一室でねじれたマリオネットと同じ姿で発見された。
一見すると変なポーズだが、手足の関節は全て切断され、糸と服で繋がっているという無惨な状態
ちなみに推理のシーンで描写に矛盾が生じたため、単行本では「ハンマーで殴って気絶させて、シャワー室で刺殺した」と添え書きで説明がなされた。
このシーンを考慮してか、ドラマ版では死因が撲殺に変わっている。

ドラマではMr.マリックが演じており、劇中でのマジックの指導も彼が行っている(今回のドラマでのマジックシーンは全て本物)。

  • ノーブル由良間
CV:檜山修之/演:村井克行
スタンダップマジックの貴公子という名の変態で魔術団のナンバー2。本名は不明。
イケメンだが明智いわく「キザでウザキャラで根性曲がり」お前が言うな
体重60kg。
マジックと称し美雪のブラをスリ取って人前に晒す。嫌がってもマジック途中と言って返さない。
はっきり言って、現実なら確実に強制わいせつで訴えられるレベルである。
ちなみに、ブラを手に詰め込み、その後何をするつもりだったのかは不明(元に戻すつもりだった?)だが、その前に怒った一の逆マジックでそれをスリ返された挙句にトゲだらけの薔薇を握らされ、痛い目を見たうえに大恥をかかされることに。ざまあみろ。
山神団長の死体がホテルで発見されたにも関わらずマジックショーの開催を強行し、次期団長気取りで有頂天になっていた。
しかしショーのトリで突如として死体として出現する。二番目の死亡者。
次期団長である自分のお披露目をするはずが、自分の死体のお披露目をすることになってしまった。

  • マーメイド夕海
CV:大川千帆/演:井上晴美
ジェントル山神の妻。本名は山神夕海。体重53kg。
ウォーターマジックが得意。
茶髪にウェーブがかった髪の美人。
夫婦仲は良いようだが、性格はかなりきつい。
夫が死体となって見つかった後、早くも次期団長を気取る由良間に対し、「憶えときな!由良間!このままじゃ済まさないからね!」と、激しい怒りを露わにしていた。
三番目の死亡者で、木にぶら下がった首吊り死体として発見される。 
ドラマ版ではヒステリックな性格はかなり抑えられており、近宮の死に何か思う所があるらしい。

  • ピエロ左近寺
CV:鈴木勝美/演:井上順
カードマジックが得意。本名は不明。体重72kg。
いつも笑っているおどけた性格だが、時々黒い表情を見せる…。
なお原作・アニメでは小太りで軽そうな男性だが、ドラマ版では当時50代でやせ型の井上が演じた。

  • 高遠遙一
CV:小野健一/演:藤井尚之
魔術団のマネージャー。痩せっぽちでメガネ。
団員のわがままに翻弄されっばなしのヘタレな青年。体重50kg
ちなみに演じた藤井氏の本業はサックス奏者で、初代ドラマ版はじめのレギュラー番組で一緒に演奏した事もあった。

  • チャネラー桜庭
CV:阪口大助/演:片桐仁(ラーメンズ
いつも左近寺と一緒にいるぽっちゃり系。サイコマジックが得意ネタ。本名は不明。体重81kg。ドラマ版ではガリガリな地味メガネ。

  • 残間さとみ
CV:篠原恵美/演:山田まりや
幻想魔術団の見習い。なかなかのセクシーボディ。体重55kg。
何かと夕海に叱られるが、明るくハキハキとした態度で活発に働いている。操り人形のロバートを使ったパフォーマンスが得意ネタ。
ロバートがどうやって動いているのかは作中最大の謎。
ドラマ版では美雪の親戚という設定が追加された。

  • 長崎巧四郎
CV:関根信昭/演:秋野太作
死骨ヶ原ホテルの支配人。
元は医者だったとのことで、沼に沈められた一のことを体温が低下していたが命に別状はないと診断した。
近宮玲子について何かを知っているらしく、由良間達を「近宮のマジックを盗んだ弟子たち」と呼んでおり、
態度を荒立てる事はないものの、内心、軽蔑の念を抱いている事を伺わせている。
なぜか彼女そっくりな人形を所持している。ロバートに並ぶ謎の一つ。 

【その他】
  • 近宮玲子
CV:小山茉美/演:金久美子
山神らの幻想魔術団の前身・近宮マジック団の団長。
5年前、マジックの練習中に不可解な転落死を遂げた。享年45。
明智警視が認めるマジシャンの一人。

オープニングに登場。渋めなナイスミドル。
警察に協力してくれている一を非公式ながらも表彰してくれたが、明智のイタズラによって…
結局表彰は取り止めになり、一は散々お説教を喰らった模様。

  • 四人の婦警さん
オープニングに登場した剣持警部の部下の婦警さん。四人ともめっさかわいい。
一の武勇伝を剣持警部から聞かされて一に会いたがっていたらしい。

  • リス
底なし沼に沈みかけた一を救うきっかけを与えた。
この時、一はリスにチョコチップクッキーをあげようとしていたが、実際、リスにチョコ(他にもネギ等)を食べさせるとリスは中毒死してしまう。なので絶対に真似をしないように!

【レギュラー陣】
毎度おなじみ主人公。
今回は剣持の依頼で銀流星に乗った。
底なし沼へ沈められ、危うく殺される所だった(一が犯人に殺されかけたのはこの事件で三度目)。が、直前に美雪からもらったお菓子が、自力脱出の決め手となった。
ビデオは巻き戻して返しましょう。
由良間がマジックで美雪のブラをスリ取ったことに激怒、プロマジシャン相手に逆マジックを仕掛けてスリ返したうえに代わりにトゲだらけの薔薇を握らせるという離れ業を見せた。
ちなみに、取り返したブツはちゃっかり自分のポケットに入れていたが、あっさり美雪に見破られて取り返された(多分ちゃんと返すつもりだっただろうが)

毎度おなじみヒロイン。
冒頭で飲み会に剣持夫人と乱入し鉄拳制裁。
列車では由良間にブラをスリ取られ(一が逆マジックで取り返してくれた)、中盤では一にセクハラ目的で抱き付かれ、ラストでは一に胸を揉まれてまたブラをスリ取られた。
また、今回はポシェットにお菓子を大量持参していた。四次元にでも繋がってるのかと一達から突っ込まれる。
しかし、その時一にあげたお菓子が、あとで彼の命を救う事に…世の中、何が幸いするかわからないもんだ。
途中、地獄の傀儡師によって拉致された…と思われたが…。
一が底なし沼に落ちたと知ったと時は、迷い無く飛び込もうとして静止されていた。

毎度おなじみ佐木2号。
今回は死体消失事件、体重調査、ヒスイなどをビデオカメラに収める見事な活躍を見せた。
更にアニメ版では死骨ヶ原ホテルで金田一と同じ部屋だった為、
後に放送される異人館ホテル殺人事件と同様に、金田一といたところを犯人に襲撃されたわけだが、
原作と違って金田一は底なし沼から自力で脱出することが出来なかった為、
もし佐木がおらず金田一1人の時に犯人に襲撃されていたら、金田一はほぼ確実に死んでいた。
そういった意味でも、彼がいなかったら今回の事件は詰んでいた可能性が高い。
ぶっちゃけ今回の最大の功労者。

毎度おなじみオッサン。
冒頭では一を部下の婦警さん(しかも美人揃い)と飲みに誘ってハメを外しまくっていた。あんな美人な奥さん持っていながら…うらやま死刑。
犯人を桜庭・左近寺に絞るというミス推理で失態を演じた。とは言え、ここでオッサンが団員達に体重を聞いた事が後々役に立つ事に。
しかし、その前に山神の死体消失トリックに関しての推理は、部分部分ではあるものの実は的を射ていた。
ドラマ版では、2代目最初の事件のせいか、この事件が一との初対面になり、近宮とは幼馴染だったという設定が追加された。
一が底なし沼に落ちたと知った時、飛び込む役を買って出た

毎度おなじみイヤミ警視。
…だが今回は休暇中なこともあり、終始冷静で控え目。
表彰のことで朝早くから金田一家に現れ、金田一母の朝食をごちそうになる(その際、朝食を絶賛していた)。
近宮玲子とは旧知の仲で、「生きたマリオネット」が自転車に乗るのは彼の発想が元である。
なお、この時の近宮との会話が彼女との今生の別れになり、明智が海外研修に赴いている最中に近宮は死亡してしまう。
帰国後、近宮の死亡事故の資料を確認した明智はトリックノートが無くなっていたこと、
事件現場の床板の釘が、真新しい新品に取り替えられていた*2可能性があることを突き止めて、近宮の死に疑念を抱き、彼女の死の真相を追う事になる。
当然、事件と近宮との因縁も早い段階で察知していた。
なお、人形繋がりからか、銀流星号の中で「ピノキオ」を読んでいた。





【今回の事件の舞台】

  • 銀流星
東京発、北海道行きの寝台特急(所謂「ブルートレイン」)で、第1の殺人事件現場。
寝台車は一般的な作りだが、食堂室はそこそこ豪華になっている。
金田一達は警察宛の脅迫状を元にこの列車に乗り込むことになった。
この列車の中では、幻想魔術団のメンバーが客寄せの為にマジックショーを披露している。
余談だが、作中の佐木の発言から、かの有名なブルートレイン「北斗星」も別に存在しているらしい。


  • 死骨ヶ原ホテル
銀流星の終点の駅のすぐそばにあるステーションホテル。そんな禍々しい名前のホテル作るなよ…
(この禍々しい名前の元ネタは北海道千歳市及び千歳川と思われる。元々アイヌ語で「大きいくぼみ」を指すシコツと言う地名だったが、死骨に通じて縁起と語感が悪いので、語感の似た千歳に改名した。なおシコツと言う地名は同市の支笏湖に残っている。)
第2、第3の殺人が起こった場所。洋風のホテルで、中身も結構良い造りをしている。
また、池を挟んで別館が存在し、2つの建物を跳ね橋が繋いでいる。年に1度、このホテルの別館で、幻想魔術団がマジックショーを開いている。
周りを湿地に囲まれており、場所によっては底なし沼もある。
また、隣町へ通じる一本道も、事件のおよそ1ヶ月前の大雨で通れなくなったままになっている。
っていうか、底なし沼がある様な危なっかしい場所にホテルなんか建てるな。
かつてはこの地は翡翠の産地で、そこそこ栄えていたらしい。

初期案ではホテルの場所が鳥取砂丘のような場所になるはずだったが、「簡単に脱出できそう」という理由で湿地帯に変更された。
だがこの「砂地に囲まれた事件の舞台」は後に別の事件にて使用されることになる。




【以下、事件の真相。更なるネタバレ注意】












あとは「羊(イケニエ)」たちを始末する方法を―― じっくりと考えるだけ…


近宮玲子の作った素晴らしいマジックを


私利私欲で汚した卑しい奴らにふさわしい




「死のショー」のプログラムをね!





この事件の真犯人、「地獄の傀儡師」
両親は離婚しており、彼は仕事人間である父親に引き取られイギリスで暮らしていた。
厳格な父は、家族サービスになど縁は無かったのだが、なぜか、ある日、父が珍しくマジックショーへ彼を連れ出す…その舞台に立っていたのが近宮玲子。
そこで、すっかりマジックの虜となった高遠少年はこっそり公園でマジックの練習を始める。その時、母と知らず近宮と出会いマジックを教え貰うようになる。

彼女を母と知ったのは亡くなった父の遺品整理をしていた時(尤も、高遠はそれ以前に、薄々母ではないかと感づいており、それほど驚かなかった)。

父の死後、息子としてだけでなく一流のマジシャンとしても母に認めて貰うという目標の元、海外で修行していたが、そこで母の死を知る。
そして、実家に帰宅した所、18歳の誕生日に母から贈られていた近宮のトリックノート*3を発見した。

その後、弟子達のマジックショーを見に来日。
この時点では、まだ母が殺されたとは思っておらず、「母の弟子たちの作ったマジックが好評を博している」という話を聞いて、単に興味を持って見に来ただけだった。
しかし、そこで高遠が見たものは母のマジックの盗作の数々だった。
これにより母が弟子達に殺されたことを悟り復讐心を胸に秘め、魔術団の中に潜り込み事件の日を迎える。

最初に山神団長を刺殺した後、バラバラ死体にして首だけ列車内に、残りを2個のバッグに入れる。その際天外消失マジックを使う。なお、このシーンで風船が割れる際に一たちが伏せた時、その場にいるはずの高遠のみ伏せていない(恐らく全員の気をそらした隙に、山神消失のトリックを行っていたものと思われる)
その後銀星号と並んでいたトレイン急便の列車から、自分が持っている胴体などが入ったバッグ2個と同じ色・種類のバッグ2個を交換して、胴体入りのバッグを都津根名義で泊まったホテルの1室に送りつけた。
その後ホテルの自室を立ち入り禁止にしておき、送り付けられたバラバラの胴体と生首を繋げてねじれたマリオネット状の死体を仕上げた。(死体のにおいはどう処理したのだろうか…)
ちなみに、首は、剣持の目の前で堂々と開け閉めしていたショルダーバッグの中に入っていた。
「犯人は死体を人間が丸ごと入るバッグに入れているはず」という思い込みを逆手に取り、生首だけをしれっと運んでいたのであった。
剣持の前で団長の生首入りのショルダーバッグをまさぐる様は読み返すとガチで恐い
由良間をステージの天井で刺殺後、マリオネットの人形を使い、シーソーの要領で降りてその場を離れた。
どちらも死体をマリオネットに見立てており、「傀儡師」の名の通りの凶悪さを演出しているが、実際には見立て自体がトリックになっている。

夕海は彼女の自室で絞殺したが、殺すときに悲鳴を上げられ犯行が即座にバレる
再びシーソーの要領で逃げようとするものの体重が遺体より軽く降りられなかった。やむをえず翡翠を錘に使ってその場は逃げおおせたが、佐木のビデオで翡翠の移動と夕海より体重の軽い容疑者は彼しかいないことが確認され、犯人だと暴かれた。
このように、(後付けで既に一人殺害したことはあるが)割としょうもないミスを連発していた辺り、彼もこの時点では犯罪者として未熟だったと言える。
そのくせ自分はミスで足が付いた犯人に容赦なく制裁するんだから、本当に面倒くさいヤツである。
(とはいえ、ドアのすぐ向こうに誰かが迫っている状況下でも死体を放棄せず、体重差の問題を咄嗟にクリアしてシーソーの要領で下に降り、死体を吊った状態で固定することで「傀儡師」らしさを演出し、その後素知らぬフリをして現場に戻るというのはそうとう頭の切れる人間でなければできる芸当ではない。一は焦って逃げたと推察しているが、焦っていても的確に状況を判断している)

おとなしく逮捕されたが脱獄し、一たちと対立する準レギュラーになる。
ヘタレは完全な作りキャラで、メガネもイメージ作りの目的で使用していた模様。
以降の詳細は該当項目で。


途中、美雪を拉致して、一がそれを追った…と思われたが、実は彼女に見せかけた人形を操っていただけで、本物の美雪は普通に自分の部屋にいた。つまり、本物の彼女には指一本触れていない。
一連の騒動は、美雪を狙うためではなく、彼女に見せかけた人形をエサに一を底なし沼に誘い込んで殺すための罠だったのである。
直接手を下さずに底なし沼に沈めるという手口を使ったことと、一の死を確認しないまま立ち去ったことで、本気で彼を殺す気があったかどうかは疑わしいが、死んでくれれば好都合と考えていたこと自体は間違いないだろう。
美雪もまさか、知らないところで自分の存在が一を殺すための罠に利用されているとは、思いもしなかったろう…。

余談だが、実は怪人の姿で登場して直接「地獄の傀儡師」と名乗ったわけではない。
最初に姿を現した時点ではボイスチェンジャーの声で「血のように赤い薔薇をどうぞ」と言ってバラのマジックを披露するだけだったため、一たち一行には魔術団のメンバーと勘違いされていた。
「地獄の傀儡師」を名乗ったのは、その後掛けた犯行声明の電話の中である。
怪人の姿で怪人として振る舞ったのも一を罠に嵌めるときだけである。
まぁ初登場時点で全開で怪しいので問題がある訳では無いのだが、少々わかりにくい。

なお、偽名で使った「都津根毬夫(とつねまりお)」はマリオネットのアナグラム。分かった人は多いかもしれない。
そしてこの偽名を、亡霊校舎の殺人で明智宛の脅迫状の送り主の名前として、(現実時間で)およそ18年ぶりに使用している。


  • ジェントル山神
  • マーメイド夕海
  • ノーブル由良間
近宮を死に追いやったメンバー。
だが、高遠の回想シーンを見る限りだと、彼等はあくまでも脅すのが目的であり、殺すつもりは全くなかった。
床板が外れた理由も事件当初は知らなかった模様。(もしかしたら、左近寺の口車に乗せられてしまったのかもしれない)
山神はスランプ気味だったそうだが、師匠のマジックと自分の腕との差で、改めて師匠の偉大さを思い知ったのが原因である可能性もある。
由良間は左近寺の事を知って当初はビビっていたようだが、トリックノートによって手にした栄光に溺れ、いつしか彼を傲慢な人間へと変えていった…。
夕海は「近宮先生さまさまよね」と彼女なりに感謝の念は持っていたようだが、山神と由良間が殺された際の台詞から内心は罪の意識と、左近寺が自分たちも殺すのではないかという疑念に怯えていた様子。
ある意味では彼らもまた左近寺の被害者でもあったとも言え、師匠への憧れと些細な慢心のせいで殺されてしまった若干自業自得ながらも哀れな人達であるといえる。

ドラマ版では近宮を脅そうとした動機について、ワンマンな彼女に独立を認めてもらえなかったという、若干同情できる理由が追加されている。
近宮からは「弟子などと思ったことはない。あなたたちはただのステージの道具でしかありません」と、かなり酷い事を言われていた。
弟子たちを奮起させるために敢えて突き放したとも取れるが、こんなことを言われてしまってはトリックノートを奪いたくなる気持ちも分かる気はする…。

余談だが、山神は原作において、回想以外で生きた姿で登場したコマ数が金田一史上最少の3コマである。(過去に亡くなった人物は除く。次点は首吊り学園殺人事件の古谷直樹の5コマ)
この事件最初の被害者で記憶に残る死に方&トリックが使われたものの、山神本人のキャラとしては薄いものとなった。


  • ピエロ左近寺
近宮玲子のノートを狙った張本人で、劇場天井裏の床板が外れるように細工をしていた。
近宮がその直後にその仕掛けによって転落死していることから、山神夫婦や由良間の行動を察知した上で細工を施したのは確実である。
何年も前の事件でその場に居合わせた訳ではないので仕方ないのだが、近宮の死の真相を追っていた明智としては心中穏やかにはいられなかったに違いない。

細工がバレた後も、仮にその細工をしたのは自分だったとしてもその床板を近宮が踏んだのはあくまで偶然だと言い張った。
全く反省の色がなく、高遠の動機を被害妄想と言い切り、「ようするに近宮先生は運がなかった」と放言しているのだから尚更である。
事件についても仮にも同じ場所で働いていた仲間が殺された事をなんとも思っていない。(前述の近宮の転落死にしても、山神達は床板の仕掛けには気づいていなかったたため、近宮ではなく山神達の誰かが転落していた可能生もある。夕海は殺される直前「あの時のメンバーばかり殺されるなんて。まさか、あいつが口封じのために?」と呟いており、夕海が考えていたあいつとはほぼ間違いなく左近寺のことである。)
事件後のどさくさに紛れてマスコミに自分を売り込みまくってソロデビューした挙句、その公演でも件のノートのマジックを堂々と使う屑っぷりを見せる。
しかしその公演でノートに近宮が仕込んでいた欠陥脱出マジックをそうとは知らずに実演した結果、燃え盛るセットからの脱出に失敗し舞台上で焼死。
これによってめでたく汚物は消毒されたのである。ハッキリ言って自業自得であり、同情の余地は微塵もない。

彼の死によって高遠の復讐劇は終わりを告げたかに見えたが…。


  • チャネラー桜庭
近宮存命時代から幻想魔術団に在籍していたが、近宮殺害自体には関与していない。よって高遠の標的リストにも入っていなかった。
関与はしていないが、じつは左近寺の犯行の一部(天井裏の細工の現場)を目撃していた。真新しい釘という証拠もあることだしこのことを警察に伝えていればいくらか未来も変わっていただろうが、そういったことはせずそのまま魔術団に居座り続けた。
上記を話して左近寺に脅され顔を真っ青にしていながら、幻想魔術団が解散した後、別の団体から声がかけられても大金で左近寺のアシスタントになったことといい、決して悪人ではないが長い物には巻かれろタイプの典型的な小市民といったところ。
左近寺が舞台上で焼死したのを見て、彼は「これは近宮先生の呪いなんだ!」と、恐怖におびえていた。
(後に明かされた左近寺の死の真相から見るとあながち間違いでもなかったりする。)
左近寺の手からは解放されたが、今度は近宮の呪いに怯える事になってしまった。この気の弱さではもうマジシャンとして立ち直れないかもしれない。

  • 残間さとみ
夕海殺害後に一が体重が彼女より軽い人物と言った時に他のメンバーから真っ先に疑われたが、わずかながら体重が重くて無実だと証明された。
入団が近宮の殺害より後だったこともあり、団員内では唯一、事件に全く関わりはなかった。
事件後、幻想魔術団が事実上の解散となったため、別の団体へ移籍した。(*´∇`*)ゞヨカッタァァ。
また、高遠は犯行を暴かれる前の姿は演技ではあったが、残間のマジシャンの腕を評価したのは本音であろう。
しかしながら、この事件以降親しかった高遠が数々の凶行に走るようになってしまったため、優しい彼女が気に病んでいないか心配である…

  • 長崎巧四郎
どうやら近宮に恋心を寄せていた様子。近宮に息子がいたことには当然驚いていた。
回想話にも2人にそれらしい交流もなかったところを見ると一方的な恋心だったようだ。それで彼女そっくりな人形を作ったとすると、かなり歪んだ愛情である。
証拠なしでも山神達が近宮の死に関与しているとあたりを付けたのは大したものだが、結果とった行動が彼らに嫌味を言うだけというのはどうなんだろうか?
(逆に言えば、証拠がないからそれ以上の行為に踏み切れないのかもしれないが、高遠はもっと事情に疎い状況から真相にたどり着いて見せたわけで。)
ナイスミドルな雰囲気に反してかなりアレな性格をしている。

  • 近宮玲子
真犯人・高遠遙一の実母で、彼がマジックの道に進むきっかけを作った。
転落死の際に血で舞台上に置かれていた花瓶の白バラを赤く染めており、高遠がバラというアイテムを好むきっかけとなる。
自分のトリックノートが弟子達に狙われていることを察知していて、奪った者が「死の制裁」を受けるよう、後述の欠陥マジックを書き加えていた(息子である高遠にも全く同じ内容のノートを送っていたのだが、こちらには欠陥マジックは書かれていなかった)
彼女に非があるとするなら、弟子たちを顧みなさ過ぎた事に尽きるだろう。
自身の後継者である息子の高遠に全てを託したかった気持ちは分かるが、もう少し彼らの気持ちを汲んでやれば、左近寺はともかくとして山神らは脅かすような真似はしなかっただろう。
なお、先述の通りドラマ版に於いてはプロ意識が強すぎる故に弟子たちを蔑ろにしてしまった事が強調されており、同情の余地は薄れる。


【余談】

この事件の前の事件まで6件連続で犯人が死亡していた
(中には犯人の生死がはっきりと描かれていないものや、共犯者は生き残った事件もある)
犯人が生き残って逮捕されるのは首吊り学園殺人事件以来となる。

この事件のずっと後に起きた薔薇十字館殺人事件は、登場人物の立ち位置や殺され方にこの事件のオマージュともとれる演出が多い。
  • 皇翔=ジェントル山神(最初の被害者、バラバラ殺人)
  • 祭沢一心=ノーブル由良間(イケメン、刺殺)
  • 小金井睦=ピエロ左近寺(自滅)
  • 禅田みるく=マーメイド夕海(バラバラの犠牲者と恋人/夫婦関係)
  • 冬野八重姫=チャネラー桜庭(被害者たちの犯行を知っていた人物)
  • 毛利御門=長崎巧四郎(ホテルの支配人)
  • 美咲蓮花=近宮玲子(犯人の母親で被害者たちに殺される。ついでに殺されたのはどちらも犯人が18歳の時。)


【ドラマ版】
  • 松本版『金田一少年』の第一話。一と美雪は小学校以来五年ほど会ってなかった。
  • そのため寝台特急に乗った理由も違い、一はカニツアーの旅券を母からくすねたから、美雪はミス研の合宿という事になった。終点に辿り着いたところでミス研の合宿は中止となり、美雪以外が帰ってしまう。
  • 序盤の爆弾騒ぎは起こらない。そのため高遠のトリックは旭川で死体入りのバッグを宅配便で送ったという事にされた。
  • 高遠の一への襲撃を底なし沼から氷の湖に変更。
  • 事件の関係者達の体重が微妙に変わっている。
  • 夕海殺しの際に使用した翡翠は下の階の部屋に置かず、氷の湖に捨てている。
  • 謎解きはホテルではなく帰りの列車内で行われる。
  • 事件後、高遠は脱獄せず、面会に来た一の言葉に動揺するという人間らしい一面を見せた。

【アニメ版】
  • 冒頭の警視総監からの表彰のシーンはカット。
  • 第1の事件の場所であるコンパートメントが3号室から5号室に変更された。
  • ねじれたマリオネット入りのからくり箱のシーンは列車内での回想として出てくる。
  • 長崎が一行を出迎えるシーンがカット。また長崎が近宮に似たマリオネットを持っていたシーンもカットされている。
  • 明智が魔術団のメンバーの事を一に教えるシーンがホテル内に変更されている。山神については説明されていない。
  • ホテル内で美雪が一にセクハラされた際、美雪は立ち去っていない。
  • 金田一は底無し沼から自力で脱出出来ず、救助されている。
  • 原作では夕海殺害後に行われた天外消失のトリックの説明、生きたマリオネットに関する剣持の取調べ、荷物の配送予約のシーンは全て夕海殺害前に行われる。
  • それに伴い、原作ではいなかった天外消失トリックの謎解きと生きたマリオネットの取調べシーンに夕海が登場する。
  • 近宮玲子の転落死の詳細について以下の2点が変更された。
    • 外れた渡し板の釘について、原作だと「釘が新品になっていた」のに対してアニメでは「釘が緩められていた」となっている。
    • 転落時にステージ上にあったバラについても原作では白いバラが置いてあり、それが彼女の血で赤く染まったのに対してアニメでは元から赤いバラになっている。
  • 明智と近宮が知り合うきっかけになった事件中の検問の一件がカット。それに伴い明智が彼女のマジックショーに来るきっかけが、既に触れられていた「奇術ファンだったから」という簡素な理由になっている。
  • 原作では夕海殺害時にボーイが叫んでいる事に気付いてその結果金田一達が駆け付けたのだが、アニメでは夕海の叫び声を金田一達が直接聞いた事で部屋の前に駆け付けた。
  • 金田一が翡翠が下の部屋に移されていることに気づいたのが、夕海殺害後に部屋に来た時に変更。
  • 山神の首をショルダーバッグに入れて持ち運んでいた事に関する説明がカット。
  • 高遠が眼鏡をとった際、漫画では踏み潰しているが、アニメでは薔薇に変えた。またアニメでは高遠が犯行を認めた瞬間声が一変し、トーンが低くなる。
  • 原作では左近寺のショーがあったのは7月17日だったのが放送時期の関係からか、2月1日に変更されている。
  • 事件後の左近寺のショーに残間、桜庭の2人は来ていない。
  • 物語のラストは高遠脱獄及び無重力岩天外消失のトリックなどについてをファミレスで話す場面に変更。

アニメ版ではファイル1~ファイル4の4話構成だが、
事件の締めくくりとなるファイル4の次回予告のサブタイトル映像では、
通常の「黒バック+白文字(事件名+ファイル番号)」の他に、花びらが舞う演出が追加されている。
が、その花は高遠が好んでいる血の様に赤い薔薇ではなく、どう見ても桜の花びらだった。

再放送時、ファイル2の次回予告部分で「都津根毬夫」の部分に妙なノイズが入っているが、これはフィルムの保存状態が悪かったせいでその部分の音声が欠損してしまったかららしい。


【作中のマジック】
  • 天外消失
高遠が山神団長を殺害するときに使用。列車の一室に横たわった山神の死体が風船の破裂とともに消失してしまうというもの。

  • 生きたマリオネット
幻想魔術団オリジナルマジックで通っていたが、実は近宮のトリックノートのマジックをそっくり再現したもの。
それだけでも充分凄いは思うが…
ちなみにドラマ版では劇中のマジック指導も兼ねていたMr.マリックが完全再現してみせた。
流石である。

  • 無重力岩天外消失
左近寺が焼死したマジック。
脱出マジックの檻代わりとなる岩のレプリカにリン(マッチなどに使われている発火性物質)を仕込んでおき、脱出する際に指などで擦って点火することで、通常の脱出マジックに「火の気がないはずなのに炎が上がる」という不可思議な状況をプラスするトリックなのだが、舞台上で行うと発火温度の低いリンがスポットライトの熱で自然発火し、脱出不能になってしまうという完全な欠陥マジック。
それもそのはず、近宮がトリックノートを奪った者に制裁を加えるために作ったデストラップである。
ターゲットを油断させるため、スポットライトを使わないリハーサルでは成功するように作ってあるところがまたえげつない(仮にリハでスポットライトを使ったとしても、恐らく自然発火の影響で焼死していただろう)。
優しそうな顔して恐ろしいことをするオバサンだ…(まあ、弟子たちの方が人格的に問題有りだったので、ここまで激しい罠を仕込むのも仕方ないのだが)。
高遠があっさり逮捕されて見せたのは、左近寺達が奪ったものと自分に送られたもの、2冊のトリックノートを見比べて、奪われた方にだけこの欠陥マジックが書かれているのを見て、最後の左近寺殺しを「母親に譲る」ためだった。
なお、この行為は未必の故意が成立する。

ドラマ版ではこのマジックがテレビ中継され、司会を日本テレビのアナウンサーの藤井恒久氏が担当していた。
マジックが失敗し、左近寺が焼死する様が公共の電波に流れてしまって、お茶の間も番組製作スタッフも凍りついたに違いない…。
しかし、マスコミ関係者にとっては願ってもない衝撃映像かつ大スクープであるため、驚異的な視聴率を叩き出した後で、この映像が連日ニュースで参考映像として取り上げられたものと思われる。

ちなみに、後の事件の「番組制作中の事故」は左近寺の焼死だったのではとも考察されているが、時期的に恐らく違うだろう。

なお、左近寺がこのマジックを観客に紹介するコマにて、観客席に「機動戦士ガンダム」のシャア・アズナブルとセイラ・マス兄妹が描かれている。
いわゆるカメオ出演というやつだが、仮面かぶって観客席にいるシャアは完全にただの怪しい客である。
あえて言おう、不審者であると。








―僕は人を欺くことに快感を覚え、君はそれを見抜くことに使命感を感じているようですがね―






いつかまた… どこかで会いましょう…





Wiki籠り魔術団による追記・修正マジックをご覧下さい。

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