酒井しのぶ

登録日:2025/11/19 (Wed) 18:45:00
更新日:2025/11/19 Wed 20:25:19NEW!
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酒井しのぶとは、「クレヨンしんちゃん」の登場人物である。

原作およびアニメの最初期にのみ登場するキャラクターである。
「クレしんで初期にのみ登場したキャラ」というと、売間久里代やロベルト・マクガイヤーあたりを連想する人も多いだろうが、彼らよりも先に登場し、さらに先に登場しなくなったキャラがこの酒井しのぶである。

この名前を聞いても思い出せないという人も、

「バイト先に度々しんのすけがやってきて、その破天荒な言動に振り回された上げく、オチで毎回バイトをクビになる女子大生」

と聞けば、思い出す人も多いのでは?


本編での活躍・扱い


原作では最初期から登場。
実は後にレギュラー陣になるキャラクターの大半よりも先に登場している

彼女が登場する回は、ほとんど毎回

「しのぶのバイト先にしんのすけがやってきて、散々振り回された挙句、理不尽にもクビになる」

という展開である。

クレしんでは、悪人や強欲な人物、しんのすけたちをバカにした人物などにはしばしばしっぺ返しが降りかかるが、
本人に全く落ち度が無いのに毎回理不尽に悲惨な目に遭っているというのがしのぶの特徴。
しのぶの登場当時に同じような役回りだったキャラクターには、ネネちゃんのママ、かすかべ書店の店長と店員(中村)がいる。


アニメでは、原作ではしのぶではないキャラもしのぶに置き換えられてるエピソードがあるため、原作よりも出番が増えている。
もちろん、毎回しんのすけのせいで理不尽にクビになるのは全く同じ。
さらにはしんのすけのみならず、他の野原家のメンバーが敵に回ることもある。
デパートの迷子センターでバイトをしていた時には、みさえが公開スパンキングショーを開始したため、一切関係ないしのぶがクビになった。
ガソリンスタンドでアルバイトをしていた際には、訪れたしんのすけとひろしのせいでやはりクビになり、見かねたひろしに野原家に招待されて、お詫びに振舞われた夕食を泣きながらやけ食いした。
当然ながらみさえは困惑していたが、この時点で「しんのすけのせいで何度もバイトをクビになっている子」と野原家には認識されている。

最後に登場した時には「あの子(しんのすけ)のいないところに行きたい~!!」と嘆いていた。
まあ、そりゃそうだろう…

その願いが通じたのか、1994年に放送された上記の回以降は、1996年のオールキャラ集合お祭り回でチラっと(モブ同然に)登場した以外、一切登場しなくなった。

そして時は流れて、2023年に行われた、しばらく登場していなかったキャラを再登場させる企画「おひさしブリブリproject」の一環として、実に27年ぶりに再登場。
セリフこそ無かったが、かすかべに健在であることが判明した。
また、この企画のキービジュアルではアクションデパートの制服を来たしのぶの姿が描かれ、大学卒業後は上記の苦い思い出があるはずのアクションデパートに就職したことが示唆された。


要するに、原作・アニメ初期のブラックユーモア路線を象徴するキャラクターである。
何の落ち度もないキャラクターがここまで一方的に被害を被るという展開は、家族愛や友情が大きなテーマとなっている現在のクレしんにはそぐわないだろうが、初期のクレしんはあくまで「破天荒な園児が大人たちを振り回す」というシチュエーションの面白さを描くコメディであった。
後にしんのすけとは深い絆で結ばれた存在として描かれるようになる家族や友人たちも、この時期は「しんのすけの純粋な被害者」という描かれ方のほうが多かったのである。

クレしんという作品自体が、「シュールなブラックコメディ」から「家族の絆を描くホームコメディにして、かすかべに生きる人々を描く群像劇」へと大きく路線変更した以上、「純粋な被害者」という以上の役割を持てなかったしのぶが退場したのはやむを得なかったというべきだろう。

同じ「被害者ポジション」でも、桜田もえ子(ネネちゃんのママ)はネネちゃんの母親という立場かつ「なぐられウサギ」の存在ゆえに、その後も作品内で一定の役割を持てた。
かすかべ書店組は、出番こそ減少したものの、やはり純粋な被害者ポジションから街の人々の群像劇の一角を担う存在に転身した。
しのぶはそのような立ち位置の変更ができなかったのが、作品世界から消えていった原因だろう。

作品初期を支えた犠牲者として、彼女の名前は憶えておきたい。


関連人物


  • 神田鳥忍

同作品に登場する、「女子大生で名前がしのぶ」キャラ。ななこお姉さんの親友。
それ以外には一切酒井しのぶとの共通点は無いのだが、「女子大生でしのぶ」という点が被っているキャラを出すあたり、彼女を出した頃にはもう原作者すらも酒井しのぶを覚えていなかったのだろうか…
こっちは実際の女子プロレスラーである神田忍から名前を取っていると思われるので偶然である

  • 四杉遥

スピンオフに登場する「バイト先を転々とする女子大生」キャラ。
しのぶが「異常な客に振り回される被害者」だったのに対して、こっちは「自分自身が異常者」である。




「酒井さん、追記・修正してって言ったでしょう!? もうあなたはクビよ!!」
「ええー、それはあの子が邪魔して~!!」




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最終更新:2025年11月19日 20:25