登録日:2012/01/12 Thu 15:24:31
更新日:2025/07/24 Thu 10:12:43
所要時間:約 5 分で読めます
性能
全長:840mm
銃身長:368.3mm(14.5インチ)
重量:2.6kg
使用弾:
5.56mmNATO弾
装弾数:30+1
作動方式:ダイレクトインピンジメント ターンロックボルト
概要
コルト M727は、アメリカのコルト・ファイヤーアームズ社によって開発された
突撃銃。
アラブ首長国連邦(UAE)からの要請により
M16A2の銃身を短縮したアサルトカービンであり、コルト社のカービン銃の総称であるコルト・コマンドーのひとつ。
UAEの首都アブダビからアブダビ・カービンの俗称を持つ。
M16A2以降で改良されたリアサイト、M855弾対応の特徴は引き継がれており、キャリングハンドルが固定である点以外はほぼM4A1と大差がない。
コルト・コマンドーに属するものとしてはCAR-15(M607)にXM177(M609)やM653などM16A1の短縮版と、本銃やM733、M777(最初期型のM4カービン)などM16A2の短縮版、そしてそれらをもとに改良したM4カービン(M920)、M4A1(M921)が該当する。
本銃はこれらの中間に位置するため、80年代を代表する銃であるにもかかわらず知名度の面でとても不遇な銃になってしまった。
前史
コルトコマンドーの誕生
ベトナム戦争の中で採用されたM16はフルオート射撃が十分実用可能で銃、弾ともに軽く兵站上でも利点があったものの、20インチのフルサイズライフルである点は変わらなかった。最前線で隠密作戦や長距離偵察を行う特殊部隊員を初め、将校、車輌搭乗員等向けのより短く取り回しの良い小銃(
カービン)が必要とされた。
そこでコルト社はM16の銃身を短く切り詰め、伸縮式のストックに差し替えたCAR-15(M607)を開発した。
しかし、フルサイズの銃身での発砲を想定していたM193弾では短銃身だと銃身内で燃焼が終わらずマズルフラッシュと発砲音が大きく、初速も低下してしまった。隠密行動に支障が出るものとなってしまった。
そこで特有の巨大なフラッシュハイダーを装備して銃弾はそのままに解決を図ったXM177E1(M609)と改修型のXM177E2(M629)を開発。ついでに空軍向けにM610を開発した。
その後も最適な銃身長やケースデフレクター追加などの改良の結果、M193弾には14.5インチ銃身が最適とされ、以後は14.5インチにM16と同じフラッシュハイダーを装着したモデル(M653)が基準となる。
A2タイプのカービンとM203装着能力
その後使用弾薬が5.56mmNATO弾(SS109/M855)に変更となり、主力小銃M16A2に更新されるとそれのカービンタイプも制作されることとなる。
最初にはM723/M725が制作され、米特殊部隊などでのテストが始まった。
そんな1985年のある日、UAEが
(U∀E)「M203が装着出来るM16A2のカービン銃作って作って」
と言い出した。
もともとM723は細身の銃身でM203アンダーバレルグレネードランチャー(M16A1時に制作されそれに対応している)の装着能力があったのだが、M16A2仕様とすると話が変わってくる。
M16A2では銃口付近(ハンドガードから飛び出た部分)の径を太く(ヘビーバレル化)しており、M7XXシリーズでもそれを踏襲すべきだった。しかしハンドガード側を短くしていたせいで銃身にクランプして取り付けるM203を装着できなくなってしまう。
そのため、銃身のガスブロックから少し出たところだけ削ったステップカットバレルとしヘビーバレルとM203装着能力とを両立した。
こうしてM727が完成した。
特徴
前述の通りキャリングハンドルの脱着ができない点以外はほぼM4A1である。
ステップカットバレルはその後のカービンで踏襲され、M203の購入ができない民間モデルでも再現されるほどの人気を誇る。
実戦とその後
米特殊部隊の隊員はM4カービンが採用されるまで、好んでM727を使用し1980~90年代にかけてM7XXシリーズを運用していた。
湾岸戦争やソマリア内戦介入(ブラックホークダウンなどで有名)にてデルタフォースの隊員が使用している写真を見かけることも多いだろう。かのラリーヴィッカースもM723を使用していたという。
しかしUAE以外では軍の制式採用とされることはなく、M4カービン(M777/M920)の制式採用とともに米軍でも緩やかに姿を消していった。
姿こそ消したものの、
M4のお兄さんの名は伊達ではなくその後のM4カービン系列に少なからず影響を残している。
直接の派生はM727から銃身長をさらに短く(11.5インチ)したM733が開発されるなどしたものがある。
その後小改造の末M777をXM4として制式採用。その過程で
トップレール化が行われM9XXシリーズへと移る。
さらにはM733の知見を活かしたM933が制作され、そこからSEALs向けのMk18 CQBRが制作された。
また、M855と14.5インチバレルとの相性はあまり確認できていないままだったのでMk318 SOST弾など弾の側から改善を行っている例もみられる。
不遇
冒頭でも述べたがこの銃凄く不遇である。
- 採用先が特殊部隊であり軍制式採用ではない。
- なぜかXM177の知名度の方が高かった。
- ルフトハンザ航空機ハイジャック事件を解決したGSG-9、駐英イラン大使館占拠事件を解決したSAS共にH&K社のMP5を装備していたため、特殊部隊=MP5という図式が成立してしまった。
- 後継であるM4カービンが1994年に制式採用された。
- 派生のM733とM933はエアガン化されたが、M727はエアガン化されなかった。
など…
創作においてもM727が登場するのはほぼ以下のみ。
- 設定舞台が1980年後半~90前半で、アメリカ特殊部隊が主軸の作品
- 極めてマニアックな銃器が登場しする作品
レアというべきか知名度がないというべきか…不遇である。
M727が登場する作品
◆
ヨルムンガンド…レームが好んで使用。恐らくM727がry
特に5巻での活躍が目覚ましい。しかし7巻の武器統一に伴い
マグプル MASADAへ。MASADAェ…
でも回想で9巻の序盤大活躍。ヤッタネ!
追記・修正はM4カービンよりM727に愛と浪漫を感じる方お願いします。
- 映画「ヒート」でロバート・デ・ニーロとヴァル・キルマーがM733を使ってました。 -- 名無しさん (2013-09-27 12:09:59)
- こちら情報量などの面からコルトファイアアームズ社(銃器会社)に統合しようと思います。7/30めどとしていますので何かあればコメントをお願いいたします。 -- 名無しさん (2025-07-24 10:12:43)
最終更新:2025年07月24日 10:12