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黒曜石の火心/Obsidian Fireheart(MtG)

登録日:2011/03/27(日) 20:02:26
更新日:2025/12/29 Mon 13:17:02
所要時間:約 4 分で読めます




黒曜石の火心は、Magic the Gatheringのゼンディカーで登場した神話レアのクリーチャーである。


黒曜石の火心/Obsidian Fireheart (1)(赤)(赤)(赤)
クリーチャー — エレメンタル(Elemental)
(1)(赤)(赤):猛火カウンターが置かれていない土地1つを対象とし、その上に猛火カウンターを1個置く。その土地の上に猛火カウンターが置かれている限り、それは「あなたのアップキープの開始時に、この土地はあなたに1点のダメージを与える。」を持つ。
(この土地は、黒曜石の火心が戦場を離れた後も燃え続ける。)
4/4
}

色拘束が強く、赤いデッキ以外ではほぼ使えないが、4マナ4/4という赤にしては珍しく、極めて優秀なクリーチャースペックを誇る。


能力はバーン効果。
カウンターを相手の土地に乗せる事で、相手のアップキープ時にダメージを与える。
相手にしてみれば、自分の土地から発生するダメージの為、非常に対処し難い。

与えるダメージは一つにつき1点と微々たるものだが、毎ターンカウンターを一つ増やしていくだけで、大体5ターンくらいで相手を殺せる。


地味に一つの土地に一個しかカウンターが乗らない為、あくまでも土地一個は1点のダメージとなる為、自分で土地を破壊するのも躊躇われる。




特筆すべきは

(この土地は、黒曜石の火心が戦場を離れた後も燃え続ける。)

このテキスト。
フレーバーテキストではありません。

土地が燃えます

言おうとしている事は分かる。

『猛火カウンターの乗っている土地は黒曜石の火心が、戦場から離れても「あなたのアップキープの開始時に、この土地はあなたに1点のダメージを与える。」を失わない。』

って事だろ

イメージ優先で書かれたと思われるが、もうちょっと書き方ってもんがあると思う。
が燃えたらヤバいだろ。
アカデミーが燃えたらただの火事だ。
平地が燃えたらそれは「野火」って別カードだ。
ヴァラクート?これ以上噴火させてどうする?
海に沈んだ都市に至ってはそもそもどうやったら燃やせるんだ。

しかし、この能力は優秀である事は間違いない。

クリーチャーやアーティファクトなどの場に存在するダメージソースは場から離れたら、効果が無くなるのが普通である。
しかし、コイツは無くならない。

ある意味では『紋章』に近いシステムである。

故に、黒や青などのコントロール系デッキと戦っている時に、一度でも能力を起動出来ればそれだけで相手にとっては致命傷になりかねない。

現在の環境を支配しているジェイスコントロールデッキ達にも強い。


コントロール側にしてみれば赤には火力呪文を筆頭にカウンターしたいカードがあり、

「所詮は赤の4/4クリーチャーだろ、カウンターが勿体ないぜ!ジェイスでバウンスしてしまえばお終いだぜ!。HAHAHA!」

と侮って通してしまい、一度でも能力を起動されると途端につらくなる。
何度か能力を起動されてしまえば発狂モノである。

事実、筆者は発狂した。

自分の土地が燃えるのである。たまったものじゃない。
刻一刻とダメージを与えられ、明確に死(敗北)が近づいてくるのである。

他でも無い自分の土地によって!




テキストがカオスだからといって弱い訳では無い。

赤は戦いの中盤は、マナが余りがちになる。
相手ターン中にやる事はせいぜい稲妻を飛ばすくらいのもの。
ましてカウンターを構える訳では無いので、赤はスライ的な発想が大事である。

このカードは余ったマナを永続的なダメージに変える事が出来る優秀な能力である。



メイン投入しても腐らない能力、コントロールにも強く、4マナ4/4というビートにも強いという、汎用性が高く使いやすい優秀なカードである。


しかし、このカードはさほど使用されない。
理由は、

  • 色拘束が重い
  • 赤の4マナ帯には槌のコスや峠の英雄、などの優秀なカードがある。
  • ボードアドバンテージに直結しない。
  • ウィニーなどに無力
  • 土地が燃える?ヴァラクートじゃないの?

などがあげられる。



ちなみにこのカード。神話レアにもかかわらず安い。
シングル販売が200円切っているところもあるほど安い。

ジェイス一枚で50枚くらい買える。


が、値段と強さが直結しないのがMtGの面白いところである。



一応、コイツの効果によって乗った猛火カウンターでしかダメージは発生しないので注意。


(この項目は、wiki篭もりがアニヲタを離れた後も追記・編集し続ける。)














……ただ、実はこの時期にスタンダードとしてはこのカードは採用されてなかった。
というのもこの時期のスタンダードは相当な大魔境であり環境とこのカードパワーが強くなかったためである。

  • 除去が乱れ飛んでいた
アラーラ~ミラディンの傷跡時代は除去の梁山泊と言えるレベルであり、
●3マナでタフネスを-5もしてライフで支払えば1マナ4ライフでどのデッキでも使える《四肢切断》
●2マナで黒以外を破壊する《破滅の刃》
●2マナでアーティストでないクリーチャーを破壊する《喉首狙い》
などが横行しクリーチャーというのはよほど優秀な仕事をしないと弱い時代。
たとえばこのカードより使用され大会でも活躍したほぼ同期の5マナの《悪斬の天使》ですらミラディンの傷跡時代になると上記のような強力な単体呪文により「出してすぐに仕事をしないから」という理由で評価が下がっていった。

  • 合うデッキがまったくなかった
●単色の場合
この時期の赤単といえば《稲妻》の再録でミラージュ時代の再来と言えるレベルで赤単の軽量カードが優秀だった。
このカードは出すのに4マナ、能力を使うのに3マナ、その次のターンからようやく1点ダメージを与えるようになる。
赤単で使うことを考えても、たとえば当時のジャンド・ナヤ対策に《消しえる火》というカードがある。4マナでプレイヤーに青マナを支払わなければ6点与えられるという強烈なカードだ。
《チャンドラ・ナラー》は5マナと重いが、+1能力を使えば相手のライフに圧をかけながら奥義の存在で相手に対処を迫れるし、-X能力を使えば除去としても使える。
同じく5マナの《包囲攻撃の司令官》は出したターンにゴブリンを3体並べるのでその時点でもうある程度仕事を終えてしまう。
さらにエルドラージ覚醒で登場した《カルガの竜王》は元手が軽いし、余ったマナを注ぎ込んでいけばどんどん強くなっていく。
しかしこのカードは4マナで出して次のターンに3マナを支払ってようやく土地に火をつけられて、その火が燃え始めるのがさらに次のターン。
つまり2ターン後に仕事を始めるという重いカードであり、1~2ターン生き延びてもらわないとそもそも役割を果たせない。
一応《地層の鎌》というカードを用いた中速赤単に採用されることはあったが、それだって必須枠といえるほどではないし、このデッキを覚えている人間が非常に少ないことからもお察しである。
他にも「能力目当てで採用するカードなのに能力を起動する前にバウンスされるとまったく仕事をできない=バウンスにかなり弱い」など、当時のクリーチャーとしては致命的な弱点が多い。

●多色の場合
アラーラの断片~ゼンディカー時代といえば、3色土地があるので3色以上のグッドスタッフデッキが多く、特に「続唱ジャンド」は恐ろしいほどにアドバンテージを稼いでくる。
このカードは出したところでまったくアドバンテージを稼がないどころか、「3マナ支払ってようやく仕事が始まる」「色拘束がやたら強くて出すのも難しい」。
確かにこのカードは「継続的なダメージ源を提供する」という独特な役割はあるが、色拘束に見合わないのである。
他の色のことを考えると、4マナ域に限っても《遍歴の騎士、エルズペス》《野生語りのガラク》《血編み髪のエルフ》《精神を刻む者、ジェイス》など優秀な連中がそろい踏みしており、
それらに負けないような仕事をすることが求められる。ミラディンの傷跡以降のことは言うまでもないだろう。

  • 「コントロール相手に強い」というのが幻想だった
上述の説明には「青や黒相手に一度でも起動できれば致命傷」と書いてある。
確かに額面上はコントロール相手に強いのだが、この時期はMTGの歴史上でも稀にみるレベルで青が弱かった*1
そのためコントロールデッキは「タップアウトコントロール」という、強力なカードを次々と展開したり相手のカードを徹底的に除去して「インスタントをあまり構えない」タイプのデッキが多かった。
そしてそういったデッキは、出しただけでライフを回復できる隠れ家サイクルや《カビーラの交差路》を出されるとそれだけで燃やした分を数回分帳消しにされてしまう。
このカードがよしんばうまく回って土地が毎ターン3つ燃え続けるようになったとしても、《悪斬の天使》のようにそれ以上のライフを回復してくるカードがあったらまったく意味がない。
つまりプレイヤーが想像するほどうまくハマる仮想敵がいなかったのである。

  • 他のカードとのシナジーがまるで見込めなかった
たとえば「増殖」はカウンターを増やす能力を持ち、Lvアップクリーチャーや《墨蛾の生息地》《ファイレクシアの十字軍》《黒の太陽の頂点》などは「増殖」とシナジーを持つ。このカードの場合土地の上の猛火カウンターをいくつ増やしても、カウンターの有無しか判別しないため与えられるダメージは1点で増えることはない。
ではダメージそのものを増やすカードはというとその殆どはソーサリー・インスタント限定だったりする上にあくまでダメージ発生源は相手のコントロール土地なのでそもそもダメージ増加対象にならない。
このカードにはそういったシナジーするものが一切ないので、なおのこと「単体で仕事をすること」が求められた。


  • 総評
一応擁護すると、能力自体は弱いわけではない。
この時期のスタンダードの赤にはドローなんて存在しなかった。そのためマナフラッドを起こした時のマナの注ぎ先があると安心だったのだが、《黒曜石の火心》はその役割を見事に果たしてくれる。
また、無色かつ「自分のターンの開始時」のダメージ源なので防ぎようがないというのもある。うまいこと火をつけられれば、確かに対戦相手は発狂とまではいかずとも苦戦は必至だろう。
最近ではトーナメント実績のある《目覚めた猛火、チャンドラ》の+2能力で相手に与える紋章がこれと同じような機能を持っている。あの能力に苦戦したプレイヤーも多いのではないだろうか。この能力も弱いわけではない。
だが問題は、たとえば《悪斬の天使》を出されたら赤は発狂する間もなく悶死するし、《コーの火歩き》を出されたらその時点で赤は発狂する。相性差がそれくらいえげつない時代だったのである。
《目覚めた猛火、チャンドラ》の紋章が強いと言ったって、あちらは一切マナを食わず、さらにチャンドラ自身を固くしながら使える「詰め」の能力である。もちろん他の仕事もできるし環境にも合致している。
こちらはマナをやたら食う。しかも色拘束も非常にきつい。環境にまったく合っていなかった。
プロテクション(赤)がいても能力で攻撃を通せる?ご冗談、そんなことしてたら《悪斬の天使》みたいなもっとヤバいの出すまでの時間稼がれるだけだ。あの時期の赤がプロテク相手にできることは文字通り祈ることだけだ*2*3
確かに複数回起動できれば強いのだが、それを許してもらえるようなゆったりした時代ではなかった。
200円というのも一般的には当時の神話レアの最安値*4であり、ぶっちゃけ同時期に収録された《巣穴の煽動者》の方がレガシー実績がある分優秀とすら言えた。
《黒曜石の火心》で検索しても今や安売りされている通販サイトくらいしかヒットしないし、当時からしても存在を忘れられる類だ。
トーナメントの採用実績がないというより、「燃え続ける」という物珍しい注釈文以外はごくごくありふれたカード。
これがなかったら《大巨人のスフィンクス》とか《ヘルカイトの突撃者》みたいに、テキストどころか名前すら覚えられずに忘れられていくだけのカードだったはずだ。


  • 余談、注釈文よる騒動
「燃え続ける。」という注釈文もこのカードの機能をうまく示した名文ではあるが、《エイヴンの擬態術士》《水銀の泉》のように本体が離れても機能し続けるカードはすでに複数存在していた。特にエイヴンの方はスタンダードで同時期に使われ、トーナメント実績もあるカードだ。
だがこのカードの注釈文のせいで、注釈文のないこれらのカードは「本体が離れたら機能を失うのでは?だって機能を失う《成金、グヮファ・ハジード》に注釈はないし、火心にはよく目立つ注釈文があるじゃないか」という疑問のやり玉に挙げられるなどこの注釈文のせいで他のカードの機能が疑問視されることになってしまったのだ。
これは当時ちゃんとプレイしていないと分からないことだろう。テキストがカオスというより、テキストの外でカオスをもたらしたという方が正しい*5


同じような注訳文の入ったカード

さて性能については解説したが黒曜石の火心のように注訳文がフレーバー・テキストのようにになっているカードは少ないが存在する。

Flameskull / フレイムスカル (1)(赤)(赤)
クリーチャー — スケルトン(Skeleton)
飛行
フレイムスカルではブロックできない。
リジュビネーション ― フレイムスカルが死亡したとき、これを追放する。そうしたなら、あなたのライブラリーの一番上にあるカード1枚を追放する。次のあなたのターンの終了時まで、あなたはそれらのカードのうち1枚をプレイしてもよい。(これによりフレイムスカルを唱えたなら、もう1枚のカードはプレイできない。逆もまた然り。)

3/1
2021年7月に発売されたフォーゴトン・レルム探訪の神話レア。
死亡時に追放したカードかこのカードをどちらかをプレイできる能力を持つ。
逆もまた然りの部分は英文だとvice versaと表記され直訳だと「逆に」というに意味になり契約書などで双方への契約適応の説明の際に省略するために使用される。
意味はそのまま「追放したカードを唱えたらなら、フレイムスカルは唱えることはできない」だろう。
契約書でも使用する定番文言のため日本語の慣用句に合わせた結果と思われる。

Shoot the Sheriff / 保安官を撃て (1)(黒)
インスタント
無法者でないクリーチャー1体を対象とする。それを破壊する。(暗殺者、海賊、邪術師、ならず者、傭兵が無法者である。それらでないあらゆるものは格好の的である。)
2024年4月サンダー・ジャンクションの無法者のアンコモン。
それらでないあらゆるものは格好の的であるは英文だとEveryone else is fair gameと表記され直訳だと「他のみんなは公正なゲーム」となるが実はfair gameはスラングで「恰好の的」という意味を持つため割とそのまま翻訳された結果だったりする。

注訳文以外での類似のカード

注訳文の()に入る形ではないが雰囲気を出すために説明以外の用途でテキストが組み込まれているカードが存在する。

能力語カード
実は同ブロックに入っている上陸などが該当するもので特定の効果の冒頭にフレーバー・テキストのように説明が入っているカード。基本的に前半部分が共通条件、後半がカードによって様々な効果を発揮する。
例えば上陸の場合
上陸 ― 土地が1つあなたのコントロール下で戦場に出るたび、〇〇
という文体で効果的には上陸の部分を削っても能力は機能しあくまでその次元に合わせた雰囲気のために入れられている。あと検索しやすい。
黒曜石の火心のようにするなら
土地が1つあなたのコントロール下で戦場に出るたび、〇〇(このカードは土地が出るたび上陸する)
といった感じだろうか

フレイバー語
フォーゴトン・レルム探訪で初登場。能力語のような構図でよりフレーバー・テキスト風になっている。
以降のコラボでも世界観作りに使用されている。
例を1枚あげると以下のような感じ。
君は悪党の住処を見つけた (1)(青)(青)
インスタント
以下から1つを選ぶ。
  • 企てを挫く ― 呪文1つを対象とする。それを打ち消す。
  • 秘密を知る ― カード2枚を引く。その後、カード2枚を捨てる。



対戦ゲームである以上カードの強さに比重が置かれがちだがゲームは楽しんでなんぼである。これらのカードのような開発会社の遊び心を忘れないようにしたいものである。

(この項目は、wiki篭もりがアニヲタを離れた後も追記・編集し続ける。)

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最終更新:2025年12月29日 13:17

*1 時のらせん~ローウィンで青が異様に強すぎた反動。特にローウィンが落ちてワールドウェイクが出る前の3ヶ月間の青は長いMTG史の中でも頭一つとびぬけて弱い時期で、それをたった1枚で支えたのが《精神を刻む者、ジェイス》だった。ジェイスの法外な高額化は実はこういった事情にも反映されている。

*2 出されたら負けるのでその前に殺せることを祈る。そして出されたら負けを覚悟しながら弱い対策カードを使う……という意味。冗談のように聞こえるだろうが、この時期の赤単はそういうデッキである。

*3 当時の赤単は清水直樹氏が公式サイトで赤をさんざんバカにしたり、晴れる屋サイトの前身であるhappymtgで「掲載されるデッキに《稲妻》すら入っていないのにデッキ名に「赤単バーン」という名前をつける」ことが流行するなど、上級者にものすごく侮蔑されていた。そのため赤単の研究がそんなに進まなかったというのもある。貧乏デッキだし白の適当なカード出すだけでビタ止まりするからしょうがないんだけどね。モダンで赤が実績を残し始めるまでの「赤をあからさまに格下に見る空気」は経験していないと分からないだろう。

*4 神話レアというレアリティ自体が特別視されていたことからご祝儀価格ビジネスが成り立っていた。

*5 もっともこの場会注釈文で補足していなかったカードが問題だったということになるが