ココ(ゴリラ)

登録日:2011/12/25(日) 21:57:56
更新日:2025/04/27 Sun 14:15:17NEW!
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人類は、ゴリラと会話は出来ない。
しかし、ゴリラの中には、
人間の言葉を理解し、
手話で意思の疎通が可能な個体がいる。

―それが、本項目で紹介するメスのローランドゴリラ・ココである。


【ココの誕生】


1971年7月4日、アメリカ合衆国サンフランシスコの動物園に一頭のゴリラが誕生した。
早速動物園側が名前を募集した所、独立記念日である誕生日に因み「ハナビコ」という名前が送られて来た。
カタカナだと判りづらいが、漢字で書くと「花火子」……つまり、独立記念日に打ち上げられた沢山の花火にちなんで付けられたのである。
こうしてハナビコは『ココ』というニックネームですくすく育つかのように見えた……。
が、生後3ヶ月で突如病気に倒れ、治療を受ける事になる。
その際に飼育員のパターソンが手話を教えた所、次々に上達してゆき、みるみるうちに言葉を覚えて行く……。

天才ゴリラの誕生である

そんなココが習得した単語数はざっと1000以上、理解出来る単語は約2000に及ぶ。
時には嘘をついたり、ジョークを言ったりする事もあるようだ。
※但し、彼女が使う手話はアメリカ英語のものであり、日本語の手話とは異なるので注意。


【エピソード】


  • ネコの絵本を読み聞かせされて以来ネコが大のお気に入りで、誕生日プレゼントにネコをおねだりする。
    飼育員がネコの人形をプレゼントするが、本物のネコが欲しかったらしく人形には見向きもしなかった。
    そこで子猫を三匹用意し、好きな子を選ばせた所、自分と同じ尻尾のない種類のネコをチョイス。
    飼育員の「間違って殺してしまうのではないか」という杞憂をよそに、
    ココは子猫に「まん丸ボール」と名づけ、体を舐めて毛繕いをするなど愛情たっぷりに育てた……。
    ……が、子猫は車に轢かれて死亡。その事を聞いたココは手話で「とても悲しい」と伝え、泣き出したという。
    ちなみに、傷心から立ち直ったのか今は別のネコを飼っている。

  • 趣味は人形遊びと絵。まるで俺r……ゲフンゲフン、特に絵はこだわりがあるらしく、手話でタイトルを飼育員に教えてくれる。
    中には「ハワイ」という題の絵もあるとか……。

  • ある日、「とても歯が痛い」と言い出したココ。
    早速治療に当たる為に全身麻酔をかける事になったが、治療前に専門家達との面会を要求。
    赤い服を着た医師を呼び寄せると、何を思ったか差し出された名刺を食べ始めた。
    名刺を歯痛の薬と思った……?

  • 研究家の一人、ムーリンと「死」について語った事がある。以下はそのやり取り。
ム:このゴリラは生きてるの? それとも死んでいる?
コ:死んでいる、さようなら。
ム:ゴリラは死ぬ時、どう考えている? 幸せ? 悲しい? それとも怖い?
コ:眠る。
ム:ゴリラは死ぬと、どこに行くの?
コ:心地よい穴に、さようなら。
ム:いつゴリラは死ぬの?
コ:年とり、病気で。

残念ながら、現時点で人類と意思の疎通が出来るゴリラは彼女を含めごく僅かであるため、全てのゴリラがこのような考えを持っているかは解らない。
しかしながら、上記のインタビューはゴリラの死生観を知る一つのきっかけになるだろう。

そして彼女は40歳。人間で言うと、もうおばあちゃんである。
彼女が苦労のない穴にさようならをした時に、第二のココは現れてくれるのだろうか……。
そんなココも2018年6月18日、ついに「心地よい穴」に旅立つこととなった…。

【批判】


……と、ここまでなら「凄いゴリラがいたもんだなぁ」という話だが、実は異説がある。
「ココが手話で話せる」という前提自体がパターソンらの勘違い、ないし狂言ではないかという説である。

まず槍玉に挙げられるのが、「ココはジョークが言える」というエピソード。
これは実際には単なるでたらめな仕草をパターソンらが「手話でジョークを言っている」と誤認、ないし意図的に曲解している可能性があると批判されている。
また、そもそもココの手話自体が厳密なアメリカ手話から大きく逸脱しており、「翻訳」できるのはパターソンら数人だけだったというのも根拠として挙げられる。

勿論これらの批判が言いがかりにすぎない可能性もあるのだが、少なくとも「猫が死んで悲しんでいる」という映像はバラバラの映像を編集で継ぎ接ぎしていることが判明しており、全てのエピソードが事実でないことだけは確かなようだ。

しかし、学術的検証がされる前にココは亡くなってしまった。
真相は『穴の中』という訳である。

【その他】


※映画『コンゴ』に出てくるゴリラ・エイミーは手話を使い人間と会話が出来る。
(作中では言語にハンディキャップのある人を補助する為に作られたマニピュレーターを装置し意思を伝える)。
但し、こちらのゴリラはフィクションな上に映画はとんでもないB級なので注意。

※特撮ドラマ『緊急指令10‐4・10‐10』の第12話『天才ゴリラの初恋』には、人間なみの頭脳を持つ「天才ゴリラ」が登場する。
しかし、最後はいくら人間なみの頭脳を持っていてもゴリラとしてしか扱われないことに絶望して自ら命を絶ってしまう。


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  • ナレーション:野田圭一
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最終更新:2025年04月27日 14:15