登録日:2025/06/08 Sun 20:18:33
更新日:2025/06/10 Tue 16:23:07
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すみれとは、
ねこねこソフトより2015年にリリースされたアダルトゲーム作品である。
ねこねこソフト15周年記念作品と言う事もあってか、作中作として歴代のねこねこソフト作品の要素が登場している。
特に「みずいろ」の要素が強く、過去作の一部をプレイできるモードではみずいろにおける早坂日和ルートは全編を通してプレイできるようになっている。
また、脚本が同じ全年齢ゲームである「ナルキッソス」とは一部設定や世界観が一致しているらしく、後にこの作品の前日談が収録された続編がリリースされた。
プロローグ+3章構成となっている。
概要
基本的には2015年当時の現代日本を舞台としている。しかし、当時の
フルダイブ式ゲームブームのためか、一部だけダイブ式のゲームが存在すると言う設定。
主人公達がプレイしているゲーム、通称:ギャルゲ学園では過去のねこねこソフト作品をベースにした大人数参加型ゲームであり、基本的には従来のゲーム同様にディスプレイとキーボードで操作するゲームだが、一部機能を使用する場合のみ専用のゴーグルを付けてダイブする事が出来る。
この作品では、現実世界とギャルゲ学園との2つの世界を交互にプレイしながらストーリーを進めていく形になる。
あらすじ
社会人二年目の主人公は、自分が所属している会社の上司でもある父親からある少女の家庭教師を依頼される。
人付き合いが苦手な彼は断ろうとするが、家庭教師として勉強を付けている間も勤務時間として扱う上、通常業務も基本的に半ドンしていいと言う破格の条件と、
中年でありながら妻に先立たれて、最近寂しそうな父の姿を見て、どうしても断ることが出来なかったためにその依頼を受けることにした。
約束のある日、出会った少女は「初芝すみれ」を名乗るおとなしい少女だった。
その後は章形式で物語が進んでいく。
登場人物紹介
主人公
通称:健ちゃん。
みずいろの主人公とは同名。その繋がりかゲーム中でも彼のアバターを使用している。
社会人2年目の夏で、現在は父親が幹部を務める会社で営業の仕事をしており、その傍らですみれの面倒を見ていく。
学生時代は常に一人で、友達もおらず、誰かに声をかけられたくないために休み時間には寝たふりをして過ごすなどお世辞でも好印象とは言えない生活を送っていた。
しかし現在は生きるためと言う事もあってか、好きだったアニメもろくに見ることもなくなり、面倒くさがりながら仕事にくたびれる日々を送っている。
すみれとも当初は「表向き仲良しな振りをしよう」など後ろ向きな発言が目立っていた。
初芝すみれ
本作品のメインヒロイン。都内の女子校2年生。父親を亡くし、母子家庭で過ごしたためか母親含め他人に対してどうしても遠慮してしまいがちな性格をしている。
分からないことを分からないと相談することも出来ないため、どんどん成績が落ちていき、主人公の世話になった。
後にすみれの母親と主人公の父親が結婚することになったため、彼女は主人公の義妹となるのだが、それでも上記のような「表向き仲良しな振りをしよう」という関係性は変わらなかった。
主人公と少しだけ打ち解けたら速攻で主人公を学校まで迎えに来させては、クラスメイトに彼氏と紹介して増長し、しかしすぐに迎えに来ることを拒絶するなど精神的に不安定な部分も。
ある日、主人公達のグループに遭遇したオリジナルアバターの少女。最初は「初芝」と本名でプレイしていたが、主人公達に指摘されてからは「モエ」を名乗り、普段の彼女とは想像も付かないような明るい性格を振る舞っている。
1章では彼女がメインのストーリーとなり、前述通りの学校での心配やらで心身共に疲弊していることを語る。その背景や最初に会った時の「初芝」というリアルネームから主人公は彼女の正体に気付き、リアルで彼女の部屋に向かい、お互いに素性を明かすこととなった。
その後、生来の明るい性格がたまに顔を出しながらも「だからこそ嫌われたくない」と本心を吐露した。主人公もそれに対して「気持ちは分かるが、兄としてひとりぼっちでいないで欲しい。孤独に慣れないでくれ」と語る。
それ以降は少しずつだが普通の兄妹のような関係へと変わっていった。
今回登場する3人のヒロインの中では残念ながら一番地味になっていて、ほとんど再登場する機会が存在しない。と言うのもほぼほぼキャラが雛姫と被っている挙げ句、同じ脚本の作品である「ナルキッソス」に同名のキャラ「スミレ」がいて、彼女の方が人気と言うこともあって出番に恵まれない。
また、本作の大きな要素であるギャルゲ学園も他作品とコラボする際にはメタ的に邪魔になってしまうため、単独でキャラが立っている雛姫やあかりと比べて彼女を登場させる意義が薄いと思われる。
佐々木雛姫
ヒロインその2。金髪ツインテールですみれの1つ年下の少女。都内の名門学校に通っている。背は低いが巨乳。常に不機嫌でぶっきらぼう。
母子家庭であり、多忙な母親とはほとんど会うこともなく、タワーマンションの一室に独りで暮らしている。
母親には友達もいっぱいいて部活で忙しくも楽しい日々を過ごしていると話しているのだが、実際には雨の日でも構わずに人気のない公園で夜まで過ごして暇を潰している。
主人公とはとある人物からの情報により、偶然と必然を両方孕んだ出会いを果たし、それ以降何度も邂逅する。
ある日、主人公から暇なら妹の家庭教師を手伝って欲しいと頼まれ、主人公の家にやってくる。そして自分より年上の面倒を見ることになる
主人公とは偶然同じ時期にギャルゲ学園のゲームを始めた。最初はラムネの新佐倉をアバターにしていながらも、普段通りぶっきらぼうに接していた。しかし、多恵が加わり、グループとして行動することが増えてからは少しずつ生来の明るい性格を取り戻していき、オリジナルアバターの「ピンク」を使い始めるようになる。
ピンクとしては非常に明るく、激しくエロい。生来の性格であるゲーム内のアダルト機能も基本的には彼女ばかりが使用する。
彼女がメインとなる2章では、前述通りとある人物により、突然ピンクの正体が佐々木雛姫であることが明かされ、主人公が彼女とリアルで対面することになってしまう。
ゲーム内では付き合いが長く、かなり仲がいいのにリアルだとかなりぶっきらぼうな言動が災いしてか雛姫は主人公を何度も拒絶する。のに何故か主人公の方は何度も接触したがる
父親を失い、母親とも滅多に接することがない彼女がピンクとして他人と接することでその寂しさを発散させようとしているのは、他でもない主人公が一番よく分かっていた。
それもあり、半ばストーカーのように学校にまでつきまといながら何度も彼女にアタックしてついに「妹の家庭教師役」だけは頼むことが出来た。
夏休みになると、これまでのように一日を外で潰すのは苦しいためか、合宿と称して主人公の家に居候するようになり、すみれの正体が「モエ」であることを初見で気付きながらも、まだ主人公の方が信頼できると言って彼と同じ部屋で過ごすようになる。ちなみにかなり寝相が悪い
夏休みも後半の頃、雛姫は居候生活に対して決して悪くない感情を抱いていた。しかし、だからこそ彼女はまた独りで時間を潰すために公園や夜の町を歩くようになる。
見つけ出した主人公に対して「安心できる居場所が欲しい。でももうなくなって欲しくはない。迷惑にもなりたくない」と胸の内を告白。所詮は夏休みの間だけの関係だと、だから夏休みが終わるまでに元の孤独に心を慣れさせておかないと行けない。そう告げる雛姫だが、主人公は「いつでもうちに来ればいい。迷惑だってかけて構わない」と告げたのだった。
主人公との夜を経た後は、ツンデレじみた言動は変わらないし、自分のことを「重度のコミュ障でひねくれ者の天邪鬼」とまで自称するが、主人公達に対してなりふり構わず生来の性格を見せるようになり、やっと彼女は年頃の少女のように笑うことが出来るようになったのだった。
脚本が外注ではなく、シリーズの担当に戻ったからなのか、安心して笑える居場所を手に入れたからなのか定かではないが、かなりはっちゃけたキャラになってしまった。
ねこねこファンディスクなどで全裸で過ごす事はもちろん、「そらいろ」の妹・愛衣と一緒に行動することが多くなり、ポケモンGOをやり始めたりなどやりたい放題。
ちなみに全年齢作品であるねこねこソフト20周年記念ファンディスクにおいて彼女は、あかりより8~10年下だと明言された。あかりが主人公より1つ年上のため、25歳と仮定すると……
ちなみにその20周年ソフトによると、彼女の妹ランクは「非妹」らしい。
篠原あかり
ヒロインその3。すみれの前に度々姿を見せる成人女性。彼女の悩みを聞いてやったことが、彼女が一歩前に踏み出すきっかけとなる。
後に主人公とは昔会ったことがあること、主人公より1つ年上であること、弟がいること、多恵の中身であることが判明する。
ラムネの多恵をカスタムしたアバターを使用している。ギャルゲ学園をプレイしたばかりの主人公や雛姫と出会ってすぐに気が合い、可愛らしい外見とは裏腹のエロ親父的言動で他のメンバー達の雰囲気を和ませるなど年上としての気配りを見せている。
たまに声が出なくなったとしてボイスなしでプレイしているが、実はどういうわけか実弟とアカウントを共有しており、このボイスなしの状態は実弟がプレイしている状態となっている。
そして、その状態の多恵により、主人公にピンクの正体が佐々木雛姫であることが明かされる。
実は雛姫の亡き父親の前妻の娘であり、雛姫とは義理の姉妹となる。あかり本人は雛姫の存在を知っておりそれがピンクの中見だと言うことも知っていたが敢えてそのことを話さずに接していたが、見かねた弟が独断で主人公に入れ知恵した事で2章の物語が、そして3章が始まることになる。
彼女が小学生時代の頃に親の気を引きたくて病気の振りをしていた。しかしそれでも迎えに来てくれない親の気を引くためについには寝たふりをずっとするようになる。すると、病は気からと言うべきか本当に何日もずっと眠るようになってしまい、入院。
主治医からはどこにも異常がなく、心因性のものだと診断。それ以降親は彼女を病院に預けたまま姿を見せることもなくなった。
しかし、当時彼女と同じように眠り続ける行為をした主人公が病院にやってくる。それを機に彼女も意識を取り戻すことが多くなり、主人公とは夜の冒険をするようになる。(エロい意味ではなく、夜の病院を見つからないように回るだけである)
サボりたいから、親の気を引きたいから、理由はどうあれ念じたことで本当に眠り続けるようになってしまった二人の冒険はある夜突然に終わる。
主人公の方の問題が解決したことで彼が一人退院することになったからだ。
それから再び孤独になった彼女だが、10年以上入院していた頃にある日突然に復帰。父が残したゲーム会社を継ぎ、コミュニケーション用としてギャルゲ学園と称されるようになるゲームを制作する。
その後、自身の父の後妻である雛姫の母親と出会い、罪滅ぼしのためにとあまり学業の成績がよくない彼女を都内の名門女子校に裏口入学させ、その際にギャルゲ学園がインストールされたPCを母親経由で雛姫へと渡した。
それを見た彼女の弟は姉と関わりがある人物を洗い出し、主人公とすみれにもギャルゲ学園がインストールされたパソコンを偶然に見せかけて与えることに成功する。
つまるところ、主人公、すみれ、雛姫、あかり(それと弟)がギャルゲ学園で出会うことは偶然と必然が混ざり合った運命だったのである。
しかし、3章にて主人公のパソコンが寿命により、度々フリーズするようになってしまってからは、ギャルゲ学園のサービス終了を決意。すみれも雛姫もある程度救われたのを確認した多恵だが、しかしそこで再び彼女は「都合のいい昏睡状態」を繰り返すようになってしまう。
姉の危機によりついに直接主人公と接触してきた弟により、彼女との夜の冒険が再び始まるのである……。
後に小学生時代の彼女をメインにした物語がナルキッソスに収録された。これにより、タイトルにもなっているしメインヒロインである筈のすみれが、唯一後の作品での出番がほとんどない事になってしまった。てかナルキッソスに同名のキャラがいて彼女の方が出番が多い
さくら
主人公の年の離れた実妹。雛姫と同じ都内のいいところのお嬢様学校に通っている小学生。
昔主人公が適当な作り話をした影響で、シーチキンがこの世で最も価値のある物質だと思い込んでいる。他にも目玉焼きを作れるのは世界に数人しかいないと言う将来が心配になるような認識を持っている。
彼女の中では妹は兄を「お兄ちゃん」と呼ばないとジュネーブに提訴されるらしい。
歴代作品の各キャラクター
15周年記念作品と言う事もあり、作中作であるゲームの中とは言え数多くのキャラクターが登場し、彼らに話しかけることも可能。
NPCと言う名目で原作のままの言動をする場合が多いが、中にはプレイヤーキャラとして本来の言動をしないキャラなどもいる。
ルタとラッテの掛け合いなど原作では決して見ることの出来ないものも存在する。それでいて本編の内容とは別にいつでもこの作中作のゲーム内にはダイブ可能なため、時には本編ストーリーそっちのけで浸ってしまう事も。
また、各作品のプロローグや共通ルートの一部などを視聴可能となっている。現在はともかく2015年当時はほとんどダウンロード販売されておらず、リアルディスク版もWindowsの最新バージョンに対応していないものも多かったため、さわりの部分しか見れないとは言えかなり重宝された。
逆に上記ほぼギャグ時空のキャラ同士の掛け合いなども相まって原作キャラやストーリーを誤解して覚えてしまうことも
余談
この項目を見れば薄らと分かるとは思うが、この作品は「コミュ障」「引きこもり」「家族との不和」「見て見ぬ振り」「虐め」など現実世界にも有り余るほどに存在する陰鬱な描写が数多く存在し、それらの描写がブッ刺さるプレイヤーも少なくないだろう。だが、逆に言えばこれらがブッ刺さるプレイヤーでないと恐らく引き込まれない独特な雰囲気の作品となっている。
前述通り、ねこねこソフトの作品は基本的に
片岡ともが書き上げているのだが、本作に関してはおまけ部分で歴代作品のオールスターシナリオなどを書いている関係上、どうしても手が足りず雛姫をメインにした2章のみ外注で脚本を雇っている。その関係上、他の章とは明らかに空気が異なり、各登場人物も言動がおかしい。
直接の続編として「ねこねこファンディスク4」が存在する。当初は公式サイト通販限定商品だったが現在ではダウンロード販売されていて、比較的手に入りやすい。この時点で既に雛姫はギャグ時空に渡っていたり、すみれとの格差が激しかったりする
追記・修正は学生時代に休み時間を寝たふりをしていた方がお願いします。
- 雛姫とあかりが腹違いの妹って書き込みがあるけど、雛姫って母親の連れ子だからあかりと血の繋がりはないはずだが。 -- 名無しさん (2025-06-09 10:08:37)
最終更新:2025年06月10日 16:23