錬金術殺人事件(金田一少年の事件簿)

登録日:2013/10/14 (月) 19:53:06
更新日:2020/04/26 Sun 08:32:20
所要時間:約 15 分で読めます





この世で輝く資格があるのは、本物の価値を持つ者だけなのだ――。


錬金術殺人事件は、金田一少年の事件簿での事件の1つであり、かつて金田一少年が解決した殺人事件のうちの一件。
File33。全13話。新シリーズ第7弾。
テレビアニメでは「R」第6話~第9話として2014年5月10日~31日にかけて放送された。
アニメ版での容疑者リストは上の段が左から美影、不二森、一色、園光寺、谷河で下の段が赤柴、玲香、繭村、鬼沢、神丘、深森となっておりバックはR共通。
登場する怪人は「錬金術師」。


以下、ネタバレにご注意下さい。


【事件の始まり】
オッサンの依頼でクイズ番組に挑戦する事になった一。
見事予選を勝ち抜き、3億円の金塊が眠ると言われる孤島・恋琴島(れんきんじま)へ渡る権利を獲得する。美雪も、アルバイトADとして同行。
その島はかつて謎の科学者・絵崎蔵人が「錬金術」の研究のために渡り、そして姿を消した曰くつきの島だった。

宝探しが始まろうというその矢先、ADの繭村琢也が忽然と姿を消した。
一たちが館内のカメラをチェックすると、そこには不気味な怪人の姿が映し出され、さらに繭村が死体となって発見される。
科学者・絵崎のなれの果てといわれる怪人「錬金術師」が、番組関係者の命を狙って動き始めたのだ。
怪人を警戒し、皆は部屋の門をしっかりかけ用心をするが、その最中第二の犠牲者が出てしまう。
そして、犠牲者の部屋に死体と共にいたのは、人気アイドルの速水玲香だった…。


【事件関係者達】

  • 谷河クリスティーナ(たにがわ-)
CV:新名彩乃
クイズ番組司会者。26歳。
普段は明るい性格だが、色んな男を垂らし込む尻軽女。
名前は滝川クリステルだがやってることは山本モナである。
怪しげな壺を大事に持っていて、触ろうとするとブチギレる。
玲香を犯人扱いし、拘束プレイを強要する。

  • 神丘風馬(かみおか ふうま)
CV:柿原徹也
歯学部の大学生。24歳。
クールで理知的なメガネだが、実はアイドルオタクという意外な一面もある。
専門外だが死体の検視も行い、一と共に事件の捜査にあたる。

  • 一色理科子(いっしき りかこ)
CV:九十九絹子
エリート理科系女子高生。18歳。
神丘に劣らぬクールメガネで、発想はフツーの女子高生じゃないとコメントされている。
「錬金術師」絵崎蔵人の娘らしいが、本人は面識がないという。
錬金術に詳しい。玲香が犯人だと疑われる中で彼女をかばう。

  • 園光寺忍(えんこうじ しのぶ)
CV:家中宏
番組プロデューサー。42歳。
ちょび髭を生やした穏やかなオッチャン。金に汚いという噂も・・・。
自殺した夕凪はるかが出演する予定だった映画「ゴールドラッシュ」のプロデュースも手掛けていた。

  • 鬼沢龍子(おにざわ りゅうこ)
CV:高乃麗
番組ディレクター。36歳。
「きわもの企画」を得意としていて、無人島にタレントとカメラマンを放り出して一週間過ごさせる番組を成功させてから、そんな番組ばかり録ってるらしい。
通称「鬼龍」。その名前のごとくかなり横暴な性格。
殺人鬼の影に怯えヤケ酒し、部屋の外のトイレに入ったところを首を貫かれて殺され第三の犠牲者になる。
用足し中だったため、発見された時は下半身丸出しだった。

  • 不二森映(ふじもり あきら)
CV:沼田祐介
カメラマン。32歳。
如何なる時でもじっとカメラを回し続けている不気味な男。
だが本来はただのコミュ障なだけだった模様。
速水玲香のファンであり、彼女の疑惑を晴らすために奔走していたが、何者かに花瓶で頭を殴られて殺されて、第四の犠牲者になる。

  • 繭村琢也(まゆむら たくや)
CV:藤本たかひろ
番組AD。19歳。
ハンサムなチャラ男。島に向かうクルーザーを操縦していた。部屋を決めるくじを作った。
第一の犠牲者となり、胸を刺されて殺された後、何故か天窓に放置された。

  • 赤柴大樹(あかしば だいき)
CV:中川慶一
お笑いタレント。25歳。
関西弁を喋る気のいいあんちゃん。
頬がこけひょろ長いことも手伝って、かなり老けて見える。
美影とは知り合い以上の仲のようだが…。

  • 深森蛍(ふかもり ほたる)
CV:椎名へきる
タレント。20歳。
普段は清純派を気取っているが、本性はかなり性格の悪いヤンキー。
繭村が殺され、島に閉じ込められたとたんに豹変した。
殺人鬼から逃げるために自室にこもるが、睡眠薬を飲まされたところで胸を一突きにされて殺され、第二の犠牲者になる。

  • 美影紗月(みかげ さつき)
CV:宮島依里
深森のマネージャー。27歳。
アイドル級の美人で実際元アイドルだが、過去のある出来事を理由にマネージャーをしている。
美雪からタレントでもおかしくないと言われて血相を変えた。
蛍が殺されたことをきっかけにして、急に怯えはじめる。

  • 錬金術師
錬金術館に潜む謎の怪人。
黒いローブを纏い、マスクをつけ、巨大な大剣で人を殺して回る。
その姿はかつてこの島で姿を消した研究者・絵崎蔵人に似ているというが…。



【その他】
  • 夕凪はるか(ゆうなぎ-)
CV:後藤沙緒里
タレント。
2年前、仕事も波に乗りこれからという時に、覚醒剤使用の疑いをかけられ、自殺したという。
今回集められたメンバーに関係があるらしい。

  • 絵崎蔵人(えざき くろうど)
その昔、「錬金術」の研究をするために恋琴島に渡り、以後消息を絶ったという。
普段は黒いローブを纏い、仮面をつけていたらしいが…。

  • 三郎丸豊(さぶろうまる ゆたか)
IQ180の大学生。「探偵学園Q」からのゲスト出演。
冒頭で一らと共にクイズ番組に挑戦するが、あたりまえのように敗退。恋琴島へ行く権利を逃す。
その他、Qクラスの5人組も、1コマだけだが後頭部のみ出演している。


【レギュラー陣】
毎度おなじみ主人公。
剣持の奥さんがローンを株につっこんで破産した分を取り返すため、オッサンの依頼でクイズ番組に参加。
恋琴島では美雪と玲香の三角関係に悩まされることになるが…。
美雪への「お前は俺が絶対守る!!」は名言。

毎度おなじみヒロイン。
今回は、一について行くために、アルバイトADとして一と共に恋琴島へ向かう。
ADの繭村とイイ関係に見えるのを一に嫉妬(実際はバイトとはいえADとしての仕事をしていただけだが)されるが、彼女もまた一とイチャイチャする玲香に嫉妬する。が、今回の話で玲香と和解、仲良しに。
一の「お前は俺が絶対守る!!」で、ポーっとなっていた。
玲香が部屋に閉じ込められる際、自ら志願して一緒に閉じ込められるが、しばらくして、椅子に座ったままぐったりしているところを発見される。実は、玲香のアリバイを無くすために部屋に置かれていた睡眠薬入りの水を飲んで、2人で眠り込んでいたのだった。
推理の際には今回もサポートで活躍。美雪がいなければ一は積んでいた。
また事件とは無関係だが、今回の事件で巻き込まれた3人は「金田一→美雪→玲香」の順に生まれたことが分かった。
(ただしこれまでの公式設定「金田一:8月5日生まれ、美雪:11月24日生まれ、玲香:乙女座(8月23日~9月22日)」とは矛盾する)

毎度おなじみオッサン。そして前回の事件で今回の玲香と同じ様な目にあった人。
事件には直接関わらないが、事件前と終わりに少し登場。

準レギュラーのアイドル。
クイズ番組の一環として、一らと共に恋琴島を訪れる。
しかしそこで殺人事件の容疑をかけられてしまうことになり…。

  • 剣持和枝
オッサンの奥さん。
台詞のハシに「メンゴ~」で登場。
家のローンを株につっこんで大損したらしい。



【以下、事件の真相… 更なるネタバレに注意。】
















はるか…
お前は…そいつらに…

殺されたのか!


  • 神丘風馬
この事件の犯人「錬金術師」
2年前に自殺したタレント・夕凪はるかは、生き別れになった彼の実の妹である。
幼少期を施設で過ごした2人は別々の家族に引き取られていったが、数年後に神丘はアイドルになったはるかを見つける。
その後二人は再会を果たし、はるかは実子が生まれ里親に蔑ろにされるようになった神丘のために学費を援助してあげるつもりでもいたが、突如彼女とは音信不通になってしまう。
はるかが覚醒剤使用の疑惑をかけられ自殺したことを知った神丘は慟哭したが、後日はるかから届いた手紙を読み、それが深森蛍を後押しする一味の罠であったことを知る。
そして、はるかを陥れた一味に復讐し、さらに彼女が出演する予定だった映画「ゴールドラッシュ」で彼女の役の相手になっていた速水玲香に全ての罪を被せ、彼女の名声を地に堕とす計画を立てたのである。

「錫で出来た扉を火で溶かして密室を破り、犯行後に錫で接着して元通りにする」という大胆かつ大がかりなトリックを用いた犯人。
館到着時に決めた部屋割りは、深森殺しのために繭村を買収していた神丘が仕組んだトリックであったが、その時に使ったくじをきちんと始末してなかったというお粗末な理由で犯人であると見破られてしまう。
くじ自体はすぐ繭村によってくす玉に流用されており、普通調べる奴がいないからと言って放置するのは分からなくもないが、万が一のことを考えれば処分すべきなのは明白。
仮にもクイズ番組の得点がトップだったくせに、そんなミスするなよ…。
繭村を錬金術師の姿で殺害後、ほかのメンバーに睡眠薬入りのペットボトル水を渡す。
深森が眠ったところで部屋の扉の一部を溶かし、鍵を開けて刺殺。
鬼沢がヤケ酒をしたときのペットボトルの水に下剤を仕込んでトイレに行かせて、天井から刺殺。
大剣を溶かして花瓶の中に隠していたが、不二森が自分のトリックを知らずに撮影しているのを見て、彼だけ唯一花瓶で撲殺。

途中で玲香が容疑者として閉じ込められた際、関係無い美雪が一緒に閉じこもることを志願したのは完全な計算外だったが、2人揃って眠らせることで、玲香のアリバイを消すことには成功した。

なお、「アイドルオタク」という設定はもちろん嘘で、繭村との繋がりを隠すために誤魔化したに過ぎない。
携帯電話の待ち受けに彼女の顔写真を使っていたが、間違いなく内心では苦痛だっただろう(もしかしたら、その待ち受けを見て恨みを絶やさずに燃やしていたのかもしれないが)。
真相解明後、玲香がはるかの相手役に起用されたのははるか自身の依頼であった事、玲香も彼女の期待に応えるために真剣に役に取り組んでいたことを聞かされ、玲香を深森のようなゲスと同一視していた自分を恥じて謝罪し、その後はおとなしく逮捕された。
深森たち3人の件に関しては情状酌量の余地はあるが、無関係の不二森殺害については厳しく追及されるだろう。

  • 夕凪はるか
神丘の実の妹。
人気が出てからは相当に羽振りが良かったらしく、神丘が大学に行くための資金援助を申し出ていた。
しかし、そんな彼女の人気に嫉妬した深森蛍と、彼女を後押ししていた鬼沢龍子らの手により、覚醒剤入りのドリンクを飲ませられ、薬漬けにされてしまう。
芸能界のスキャンダルとなり、罠にかけられたと知ったはるかは、神丘に真実を告げる手紙を送り、自殺した。
また、自分が降板した映画に深森の相手役として速水玲香に出演を依頼している。
深森たちの悪事が世間に公表されて汚名返上し、名誉も回復するだろう。

  • 深森蛍
  • 鬼沢龍子
  • 繭村琢也
深森は実は裏でヤクザと繋がりがあり*1、鬼沢や繭村もその繋がりを容認していた状態だった。
自分を差し置いて映画出演を決めた夕凪はるかを引き摺り下ろすため、3人で結託し彼女を薬漬けにして芸能界から追放した*2。はるかを薬漬けにするための覚醒剤もそのヤクザのコネで用意したものだと思われる。
更に玲香に対しても「早く死んでくれないかな~。死んでくれたらあたしが悲劇のヒロインなのに」などととんでもないことを発言している。
その後殺された時にはざまあ見ろと思った読者、視聴者もいたはず。自分が死ぬとは思ってなかっただろう。殺されたことで悲劇のヒロインになれたのである意味願いが叶っている。

劇場版第1作の真上寺聖子を連想させる、タレントとしても人間としても最低の人でなし女だった(もっとも、原作のあちらはもっと最低で最悪なことをしているが。)。
鬼沢達に利用されているという意味では彼女もはるかと同じ立場だったろうに、本人はわかっていたんだろうか……。

鬼沢の「タレントは誰でも最初はただの石ころ」「その石を金にするのが私たちの役目」「この「錬金術」を理解できない奴は業界から消える」という言葉はある意味では正しいものの、その手段は人として最低の行為であり、目先の利益のために一人の人間の人生を簡単に潰す事も厭わない冷徹な本性がその裏に隠されていた。実際ヤクザとつながりのある深森を仲間に加え、深森の意のままに沿った行動をとったということは、「これからは自分の利益を邪魔する者や気に入らない者は誰であっても、深森の仲間のヤクザを使ってあらゆる手段で排除しよう。」という恐るべき理念の現れではないだろうか。

繭村も金で神丘に利用されたばかりでなく、二年前の事件をネタに深森と鬼沢を恐喝しようと考えるなどマトモではない。よくヤクザと繋がりのある人間を恐喝しようとするなんて考えたな。
一も神丘逮捕後に「鬼沢たちのやったことが世間に公表されるだろう」と言っていた。

  • 美影紗月
上記の3人と共にはるかを陥れる計画に加担はしたものの、それ以前に彼女は鬼沢に直訴している。
しかし深森の背後にいるヤクザの存在をちらつかせられ、鬼沢に脅迫される形で嫌々ながら従っていた。そのため3人が殺されていく中で自室で泣きながらはるかに対し謝罪していた。
神丘が殺害動機を語った後に謝罪した。深森の件で何らかの処分を受けるだろう。
アニメではそこら辺をカットされて同罪のように見えてしまう形になった(犯行が暴かれた後泣き崩れた様子はあったが)。

  • 不二森映
夕凪はるかの事件にはまったく無関係であり、錫を使ったトリックに気付きそうになったために口封じに殺されてしまった。
(金田一の為という訳ではないが)「カメラで証拠を残し、トリックの真相に偶然近づいてしまったために口封じに殺されてしまった」という点は、異人館ホテル殺人事件佐木1号とよく似ている(もしくは「最後の標的を殺害するまでの時間稼ぎの為に口封じとして殺害された」という意味では、オペラ座館殺人事件の緒方先生に近いとも言える。しかもあちらの犯人は今回の事件の犯人と同じく、最後の標的の殺害前に真相を暴かれたため、最後の標的の殺害を果たせなかった)。
彼は純粋に速水玲香を守りたいがために動いていただけあって、今回の事件で一番可哀想な人となった。もし単独行動をせず、自分と同じように玲香を信じている一と行動していれば死なずにすんだため、コミュ障が結果的に死ぬ原因になってしまった。
神丘も、「最大の失敗は彼を巻き込んでしまったこと」と自戒している。

  • 絵崎蔵人
事件後、錬金術館の地下において屍蝋化した状態で発見された。
一色理科子とは似ても似つかぬ容姿であり、親子の可能性は否定された。
その死に様は「これが錬金術の研究にハマった者の末路か」と、一も哀れさを感じていた。

  • 谷河クリスティーナ
結局、彼女が持っていた壷が何なのかは明かされないままである。
ようするに、茅杏子の箱みたいなものだった。
解決後も玲香に対して謝罪はしていない様子。なので、読者&視聴者からの好感度は、お世辞にもよろしくない。

  • 園光寺忍
いかにもな肩書・金に汚いという噂・夕凪はるかのことを尋ねられた時の豹変振りから「何か関係あるのでは?」「というか元凶なのでは?」と予想した読者も多かっただろうが、まったく事件とは関係なかった。
豹変は、評価していた夕凪はるかの死についてぶしつけな訊き方をした一が単純に不愉快だったとかだろうか?

  • 速水玲香
今回の件に関してはまったくの被害者。
上記の通り深森が得た役の相手役として出演を依頼されるなど、はるかからは信頼されていたようで、一はそれを明かした時に見せた態度を「深森のように錬金術で生み出されたニセモノの金ではなくて、本物の金」と賞賛していた。
なお、神丘は「生き別れの兄妹」「妹がアイドル」「妹のために殺人に手を染める」など、彼女の兄・小城拓也と何気に共通点が多い。神丘がはるかの兄だと告白したとき一番驚いた表情を見せたのはそのためだろうか…

  • 剣持和枝
事件の最中、一がもらった賞金をさらに株に突っ込んでしまったが、今度は大当たりしたらしい。


【以下、更なるネタバレにご注意ください…】


















どお~?あたしのイカれた女子高生ぶりは


  • 一色理科子
正体はまさかの怪盗紳士。物語の最後の最後で突如姿を現した、一のライバル。
とりわけ地味でもなく怪しいわけでもなかった一色が、突然遂げた変貌に驚かされた読者も多いだろう。
絵崎教授の死体を確認するためと言って島に残り、一らに同行。その後一番大事なところで鮮やかな仕事ぶりを披露した。
なお、一(及び読者)にわかりやすくするためか、一色の変装を解いた後は醍醐真紀の顔になっていた。二重にメイクをしていたわけである。
本物の一色は、スケジュールが延期になったと嘘を吐かれたらしい…。
賞金の権利は失った訳だが、殺人事件に巻き込まれずに済んだと言うのが唯一の救いか。
声優としてクレジットされていた「九十九絹子」とは百々麻子氏の名前をいじった変名。


事件後、金塊の所在地を突き止めてついに本物の財宝を手に入れてしまった一。
まぁこの手の漫画ではこういうのは普通手に入らないからある程度フラグにはなっているのだが、剣持のオッサンの部下の手を借りて金塊を持ち出すことに。
しかし、その後でオッサンが本物の部下を引き連れてやってきたことで、金塊を持ち出した警官が偽物であることに気付く。
慌てて追いかけた時には、怪盗紳士は既に金塊と共に海の上だった。

一の完全敗北である。

…と言いたいところだが、今回の話では、普段のように予告状を送っていたわけでもなく(ニセの予告状すら来ていない)、怪盗紳士の存在をにおわせるような要素も、素振りすらも一切無かったため、一が彼女の存在に気づける可能性は0だったと考えられ、やり込められたとは言えても敗北と表現するのは難しいだろう。

ちなみに彼女が明らかに普段の犯行と毛色の異なる犯行に及んだ理由は不明(予告状は出されておらず、物が物なのでモチーフも盗まれてはいない)。
純粋に宝探しに参加したかったのか、いつぞやのリベンジでも狙っていたのか…。

ただ、彼女の犯行にはどう見ても多額の金がかかっていることから、そのための費用を稼ぐために今回の犯行に及んだのではないかとも考えられる。
なお、物語中に神丘が発したセリフ「キミの発想はフツーの女子高生じゃないな」が、さりげなく彼女の正体を暗示していることになる。



【トリックについての考察】
本事件の深森蛍殺害に使われたトリックは金属の性質を考慮すると、極めて荒唐無稽なトンデモトリックと言わざるを得ない。
というのも錫にも当てはまる全ての金属の重要な性質として、「熱および電気の良導体」であるということがある。
厚さ2.5cmの扉に断熱テープで表面をマスキングしてコンロのバーナーであぶったとしても、その熱は扉本体から容易に逃げてしまい断熱テープは役割を果たさないと考えられる。
また最終話で扉のサイズに言及されているが、その寸法と錫の密度から扉の重量は約368kgとなる。
このような扉を一部溶解させるには本編で述べられているバーベキュー用バーナーではとてもじゃないが火力不足である。
また一がこのトリックを憶測で述べているところも、このトリックのトンデモさを裏付けているところといえる。

……と思われていたが、原作者インタビューによると「バーナーを使って本当にできるか実験したら、ビックリするくらい簡単にできた」とのこと。
詳細は不明だが、いったいどのような条件で実験をしたのだろうか…

【アニメ版】
原作との相違点
  • 美雪が同行する理由が変更された。
  • 剣持は登場しない。それに伴い、和枝が家のローンを株に突っ込んだという話はカット
  • 冒頭のクイズはカット。それに伴い探偵学園Qの登場人物は一切登場しない。
  • 谷河は壺を抱えていない。
  • インゴットのレプリカを見せる場所をクルーザーの上から館内に変更。
  • 金田一がブレーカーを修理する場面はカット。
  • 神丘に「溶接工のアルバイト経験がある」という設定が追加(錫の扉を溶かす際にその経験が役に立ったというフォローになっている)
  • 剣が溶かされたタイミングが第一の事件の直後でその後は別の凶器が使われたことになっている。
  • 鬼沢の死因となった刺し傷の位置が喉から左胸に変更。
  • 赤柴が引いたクジが明かされる(本人が「ワイも外れや」と言ってる)。
  • 犯人が明らかになるクジ引きの際、最後の一人がシルエットになっていない(他の人物のクジが明らかになってるのに最後の一人だけシルエットになっていたらおかしい)
  • 犯人の名前が書かれている位置を怪人名の右側に変更
  • はるかの荷物に覚醒剤のアンプルを入れる被害者を繭村に変更
  • 深森がヤクザと関わっているくだりはカット。
  • 美影が覚せい剤事件に関係してないと言っているシーンはカット。 (恐らく深森がヤクザと関わっているくだりがカットされたため鬼沢が美影を脅せる材料が無くなってしまったためだと思われる。)
  • 絵崎教授の遺体は警察の捜査で見つける。
  • 怪盗紳士の手下達が金塊を運び出すシーンはカット。


【余談】
  • アニメ版において、今作の犯人である神丘風馬役を担当した柿原徹也氏は、同時期に放送されていた「FAIRY TAIL第二期」と「ベイビーステップ」にも出演していた事から、偶然にも「 週刊少年マガジンのマンガ原作のアニメ三作品同時期出演 」という快挙を成し遂げている。アニメ放送時期の週刊少年マガジンにも取り上げられ、特別インタビューのコーナーが掲載された。
  • 深森の部屋に玲香がいると知らせるため、神丘は金田一の部屋の前に玲香のヘアピンを置いていく事で彼女を探すよう仕向けるのだが、実はマガジン掲載時では部屋の前にはスカーフを置いていた。このスカーフも回想ではちゃんと玲香が首に巻いていた物として描かれているのだが、過去の事件を踏まえると 玲香が首にスカーフを巻くなんて事はあり得ない 描写である。コミックス収録時にはヘアピンに修正されているため、読者から指摘があったか作者自身がミスに気づいたのだろう。


追記・修正は金塊を運び出してからお願いします。

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