百鬼夜行(灼眼のシャナ)

登録日:2017/02/22 Wed 00:18:37
更新日:2023/01/07 Sat 06:58:35
所要時間:約 5 分で読めます




「安全運転、安全運航、危機に対さば、即退散」


百鬼夜行(灼眼のシャナ)とは、『灼眼のシャナ』に登場する組織。

隠蔽と遁走に秀でた“紅世の徒”三人組による運び屋の一味。
「安全運転、安全運航、危機に対さば、即退散」をモットーに“紅世の徒”や荷物の密かな運送を請け負っている。*1

メンバーは、頭目の“深隠の柎”ギュウキ、運転手の“與隷の御者”パラ、用心棒の“坤典の隧”ゼミナの三人。
基本メンバーの他、臨時に“紅世の徒”や、何も知らない人間を雇う事もある。

強敵に対しては正面から挑むのではなく、さっさと逃げる事を金科玉条としている為、周囲から“紅世の王”とは見なされてはいないが、全員がそれなりに大きな力を備えている。
ただし、彼らが長年に渡ってフレイムヘイズの追跡を逃れている理由は、“紅世の徒”としての力ではなく、人間以上に人間を理解していると評されるほどの巧みな人心操作と情報収集の能力故。
何よりも「少しでも嫌な予感がしたらさっさと逃げる」というスタンスが、フレイムヘイズの追跡を逃れている最大の理由。

逃げ足の速さは折り紙付きで、商売敵でありフレイムヘイズの交通支援を担当していた外界宿(アウトロー)『モンテベルディのコーロ』のトップである“无窮の聞き手”ピエトロ・モンテベルディでさえ、幾度かにわたる討滅の失敗により、彼らの討滅を諦め、運行ルートの破壊のみを目的に設定したほど。
かつては先代“炎髪灼眼の討ち手”であり、「当代最強」と称されたほどの討ち手だったマティルダ・サントメールと、相棒の“万条の仕手”ヴィルヘルミナ・カルメルの二人からも逃げおおせている。

20世紀初頭に起きた対革正団戦争期には、革正団のメンバーを運んでいたこともあり、影の花形として動いていた。

冷戦時代には、『冷戦下の事件』でフレイムヘイズの突入部隊に協力した事もあったようで、この時はギュウキたちも自ら戦った。

本編の少し前までは、中央アジア便を30年ほど運行していたが、ヴィルヘルミナと『約束の二人』との遭遇によって運行ルートを放棄し逃亡。
その後はアメリカ南部のとある町で休暇を取りつつ、新たな運行ルートを開拓していたが、隠棲場所を“彩飄”フィレスの自在法『風の転輪』によって発見され、彼女の依頼を受けた事によって、現代の大戦に巻き込まれていく。




“深隠の柎”ギュウキ

百鬼夜行の頭目。炎の色は唐紅。
角張った獣の頭を付けた首の長い獅子舞のような姿の“紅世の徒”。*2人化した姿は、がっしりした体格の大男。
人間を利用する術*3に特に優れた手腕を発揮し、その手腕で現地の人間の間に独自に構築した情報収集用のネットワークを張り巡らせる事で情報の収集を行っている。
万事に用心深い性格で、どんな行動を取るに際しても、事前に綿密な情報収集と情報操作で危機回避に備えており、いざというときは客を囮に使うのも朝飯前。
少しでも嫌な予感がしたら、苦労して開いた運行ルートもさっさと捨てて、数年の間行方を眩ませる。
実際の業務においては、作戦の立案の他、気配の隠蔽と幻惑の自在法である『倉蓑笠』を使って運行や遁走を補助する。

◆固有の自在法

彼の自在法『倉蓑笠』は、隠蔽と偽装を行う幻術系の自在法。
姿を消すだけではなく、漏れ出す気配の大きさを自在に調節したり、姿や音を別物に偽装して操る事も出来る応用範囲の広い自在法で、対象のサイズや数にかなりの融通が利く。
通常運行の際には、自分の身体をパラの“燐子”である乗り物と同化させる事で気配を隠蔽する。
ちなみにその際、憑依した乗り物の先端には彼の顔が付く。
名前の元ネタは日本の妖怪『牛鬼』。


“與隷の御者”パラ

百鬼夜行の運転手。炎の色は白緑。
パリッとした緑色の制服と制帽に、ゴーグルとスカーフ、純白の手袋を着用した幽鬼のような翳りという姿の“紅世の徒”。人化した姿は、眼鏡をかけた青年。
乗り物の運転や操作に関しては名人級の腕前を持ち、様々な乗り物を自身の“燐子”へと変化させ運転している。
広い範囲での移動が必要とされた対革正団戦争期には、軍用大型飛行船まで持ち出している。
また、揉め事を避けるため、乗客となった“紅世の徒”には人化の自在法の使用を義務づけている。

◆固有の自在法

彼の自在法『ヒーシの種』は、自分の身体の一部である黒い翳りを取り憑かせる事で、あらゆる物体を“燐子”へと変化させ操作する自在法。
普段はバスなどに取り憑りつかせる事で、乗り物を“燐子”に変化させているが、他にも多くの岩石を操ったり、取り憑いた物体を調査する事も可能。
名前の元ネタはフィンランドの妖精『パラ(Para)』。


“坤典の隧”ゼミナ

百鬼夜行の用心棒。炎の色は竜胆色。
ざんばら髪を雑に束ね、着流しの和服を着て隈取をした女性の“紅世の徒”。
物騒な外見に反して荒事は好まず、運行ルートでは「いかにも」な外見を活かして車内の平和と安全に努めている。
常にゴツいツルハシを持ち歩いており、戦闘能力もそこそこ有るが、強大な“紅世の王”やフレイムヘイズと張り合えるほどではない。
むしろ緊急時には、地面に大穴を開ける自在法『地駛』を使って遁走の手助けする事の方が多い。

◆固有の自在法

彼女の自在法『地駛』は、地面に大穴を開ける自在法。
地面を掘るのではなく「開ける」自在法で、音や振動は発生しないため、逃走以外に隠密行動にも利用可能。
欠点は地面から離れ過ぎると使えないこと。
ちなみに彼女の持つツルハシは、別に宝具でも何でもなく、ただ単に気分で持っているだけ。
名前の元ネタはリトアニアの民間伝承に登場する女の精霊『ゼミナ(Zemyna)』。






御崎市を舞台とした最後の大戦では、フィレスの要請を受けてカムシンマージョリーを「塔」に潜り込ませる役目を果たす。
その後は吉田一美と姿を変じた『約束の二人』を乗せ、カムシンを用心棒にして戦場を逃げ回っていた。
一時はピルソインの自在法『ダイモーン』の影響でパラの“燐子”が暴走した結果、狂乱する“紅世の徒”の大群に投げ込まれるハメになったが、ヴィルヘルミナの乱入で命拾い。
その後は戦闘終了まで「塔」の中に隠れていた。

この時内部構造を探っていたパラは「塔の奥に通じるスロープのような機構」を発見。
向こうから乗り込まれるリスクを考慮して“ヒーシの種”でフリーズさせたのだが、何とこれは教授の脱出装置だった
その結果、外で繰り広げられていたサーレキアラによる教授の討滅作戦に対し、偶然にも詰めの一手を担うこととなった。

大戦後は三人一緒に新世界『無何有鏡』に渡っており、そちらでも順調に活動中の模様。
新世界に行ってからは、旧知の“紅世の徒”とも再会し、やり甲斐のある仕事も請け負った。
人間を食わずに済むようになったのは、人間好きの彼らにとって、大いに喜ばしいことである。


  • Tips:「冷戦下の事件」とは
冷戦時代に起きた外界宿の一大不祥事。
人類の手に入れた「核兵器」で“徒”を滅せる、と驕った外界宿の急進派の人間メンバーが、組織を乗っ取り主導権を握ろうと暴走。米ソの原子力潜水艦を使用して核攻撃をかけようとしたのだが、封絶で無力化された挙句原潜を“徒”に乗っ取られるという事態になった。

討ち手たちはこの原潜を乗っ取った“徒”に対し、[百鬼夜行]の手を借りて原潜に潜入・討滅。暴走を起こした急進派も駆逐されている。
XXI巻で大騒ぎしていた面子の会話の終わり際に出てきたのがこの事件に関する話題である。

追記修正は「安全運転、安全運航、危機に対さば、即退散」をモットーにお願いします。

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最終更新:2023年01月07日 06:58

*1 ただし、面白い奴を運ぶ時と運ぶことで何かが変わると思えた時にのみ、このモットーは破られる

*2 ギュウキの外見の元ネタは愛媛県宇和島市の牛鬼(うしおに)

*3 自在法ではなく処世術