大予言・地球の滅びる日(ドラえもん)

登録日:2017/03/30(木) 17:19:13
更新日:2019/08/26 Mon 19:20:02
所要時間:約 9 分で読めます




暗き天に マ女は怒り狂う
この日終わり 悲しきかな

 「大予言・地球の滅びる日」は、漫画ドラえもんのエピソードの1つ。
 小学五年生1984年7月号に初収録された際のタイトルは「ナゾの予言書」となっており、
 今回の項目名はてんとう虫コミックス版・第36巻に収録された際に付けられたものである。

【概要】

 何かしらのひみつ道具がメインとなる機会が多い『ドラえもん』の物語の中でも、台詞以外でほとんどひみつ道具が登場しない珍しい話。
 しかも騒動の発端がスネ夫のび太による早合点と言う、普段とは少々毛色が違う物語となっている。
 特に次々に「予言」が当たり続けるシーン、そして最後にたどり着いた結論に恐怖を覚えた人もいるかもしれない。
 一方、出番こそ2コマのみと少ないが出木杉君の叡智も冴えわたる回にもなっている。
 「黄砂」と言う自然現象をこの話で知った人も多いのではないだろうか。

 そして、それだけにラスト2ページで明かされるまさかの真実がよりシュールぶりを際立たせている。
 案外「予言」と言うのは、こういう形で生まれてしまうものなのかもしれない。

【あらすじ】

 黄色い雲が覆い、昼間なのに薄暗い不気味な空。
 そんな中、ドラえもんは呑気に猫のタマちゃんとデートに出かけてしまった。

 部屋の中で暇をつぶそうとしたのび太だが、ふとドラえもんが寝ている押入れの傍から、奇妙な分厚い本を見つけた。
 1ページごとに、訳が分からない文章が記されているのだ。


ジョーガンネ玉落し 僅かなり 学刈 ター老婆を抜く

ゴリラキツネより機械の鳥を奪う

ター扉を開く 無音バス潜る

そして……。

暗き天に マ女は怒り狂う この日終わり 悲しきかな

 ……この内容を最後に、残りのページは全て白紙になっているのである。

 早速空き地でいつもの友達にこの奇妙な本の正体を相談するのび太。
 ジャイアンは「世界寝言全集」、しずかちゃんは「暗号の教科書」と推測したが、何故かスネ夫は深刻そうな顔をしていた。
 これと似たような、非常に恐ろしい文献をかつて読んだ事がある、と言うのだ。

 ますます暗くなり、明かりを灯さないと新聞も読めないほどになっていく空。
 そして最後のページに記された妙な言葉――のび太が少しづつ不安になっていた時、部屋にスネ夫が決死の形相で飛び込んできた。

思い出した!ノストラダムスの大予言!!

 ノストラダムスの大予言――ルネサンス期フランスの占星術師・ミシェル・ノストラダムスが記したという、様々な未来を予言した恐るべき書籍だ。
 これとよく似ている、と言うスネ夫の指摘を最初は一笑したのび太だが、スネ夫が持ってきた過去の新聞記事を切り抜いたスクラップブックと照らし合わせた所、
 とんでもない事実が次々に明らかになり始めた。

予言書の内容:ゴリラキツネより機械の鳥を奪う
同じ日の新聞:ゴリラそっくりの犯人が、キツネそっくりの機長が操縦していた飛行機をハイジャックする

予言書の内容:ター扉を開く 無音バス潜る
同じ日の新聞:居眠り運転のバスが湖に飛び込む


 本の中に記してあった奇妙な文章が、1月1日からそのページ分開いた日付に起きた事件とほぼ一致しているのだ。

 その事実に震え上がったのび太とスネ夫は、最後のページの文章を見て愕然とした。「暗き天」に終わる「○」と言うのは、
 つまり丸い星、地球の事なのではないか、と。
 そこからのページが白紙になっているのも、地球が終わるからに決まっている!

 ドラえもんが戻ってきたらタイムマシンで急いで逃げよう、と約束したのび太とスネ夫は、
 急いでジャイアンやしずかちゃんを始め、友達へ向けて次々とこの大変な事態を報告した。
 だが、出木杉君だけは予言なんて偶然かこじつけだ、と言って全く信じない。
 この謎の暗く不気味な空も、中国から細かい砂埃が偏西風に乗って飛んだ大量の砂が引き起こした「黄砂」と呼ばれる自然現象だ、と解説したのである。

信じないなら勝手にしろ!

 ところが、部屋に戻ってきたのび太が見たものは――。

人の日記を勝手に見るな!!

 ――デートから戻り、何故か大激怒していたドラえもんの姿だった。そして、その手に持っていたのはあの「予言書」。
 なんと、その正体は予言書でもなんでもなく、ドラえもんが書いていた去年の暗号日記だったのである。
 当然訳が分からず、のび太はドラえもんに解説してもらった。

内容:ジョーガンネ玉落し 僅かなり 学刈 ターと老婆を抜く
↓ 
正解:「年賀状(ネンガジョー))とお年玉(落し・玉)が少なくてガッカリのび太(伸び・太=ター)とババ抜きをした

内容:ゴリラキツネより機械の鳥を奪う

正解:ジャイアンスネ夫からラジコン飛行機(=機械の鳥)を分捕る

内容:ター扉を開く 無音バス潜る

正解:のび太どこでもドア(=扉)を開くとしずかちゃん(=静香=「無音」)のお風呂に通じたので、慌ててしずかちゃんはお風呂(=バス)の中に潜った

 そして、今回の騒動の根源になったあの文章は――。

内容:暗き天に マ女は怒り狂う この日終わり 悲しきかな

正解:のび太のテストの点数(=「暗き」「天」)ママ(=「マ」が付く「女」)がカンカン、この日どら焼き(=「○」)の在庫が尽きてとっても悲しい


 ――予言でもなんでもなく、ごく普通の日常の光景に過ぎなかったのである。
 そして、それ以降の文書が無かったのは、ただ単にドラえもんが怠けていただけだったのだ。
 のび太の三日坊主よりはましだとはドラえもんの談(「マ女」の文面は200ページ目であり、確かに数段ましではある)。

 あまりにしょうもない事実にがっかりするのび太。だが、既に事態はとんでもない方向に動いていた。
 ドラえもんに事態を解決してもらうと、皆が揃って野比家に集まろうとしていたのである。

 今にもはち切れそうな玄関のドアを前に、大慌てするのび太とドラえもんであった……。


何とか事情を説明して帰ってもらえ!
どうやって説明すればいいんだよ!!

【アニメ版】

◇大山版

 1989年3月24日に初放送。
 初掲載時の「ナゾの予言書」と言うタイトルで放送された。
 タイトルコールのドラえもんの声も少しだけおどろおどろしいものになっている。

 基本的な流れはほぼ同じだが、スネ夫やのび太が広めた警告がジャイアンやしずかちゃんどころか町中の人にまで響いてしまった結果、
 ドラえもんに助けてもらうべく大量の人々が扉をぶっ壊して一斉に野比家に突入するという原作以上にドタバタ極まりないエンドになっている。
 中には車ごと飛び込んだ人もいたようだが……。


もう、こうなったら本当に地球を滅ぼすしかないよ!なんか道具出して!!
な、何を馬鹿な事言ってるんだよ!!

 なお「ター扉を開く~~」の一連の部分の回想シーンで、のび太が使用したどこでもドアが登場しており、僅かながらひみつ道具が登場している。また、「マ女」のページは放映日に合わせてか90ページになっている。

 原作では絵が出ていなかった「ゴリラそっくりの犯人」「キツネそっくりの機長」は写真が出ており、それぞれコングキングフォックス機長というまんまな名前が付けられた。

 細かい事だが、「ター扉を開く~」の予言は、「無音」では意味が伝わりにくいからか「音無し」に文言が変更されている。

◇わさドラ版

 2017年2月17日に放送。
 原作通り「大予言・地球の滅びる日」のタイトルになっているが、各部に独自のアレンジが多くなっている。

 ノストラダムスの大予言の1999年から18年後のアニメ化という事もあり、
 大慌てで駆けつけたスネ夫の台詞が少々異なっており、予言書自体を解説する内容となっている。
 また、騒動の発端となった「暗き天にマ女は~~」の一連の文章の解釈が彗星衝突で地球が滅亡する」と言う、
 のび太の部屋っぽい雰囲気の自室を持つ少女が主人公の1人のアニメ映画のような状況となっている。
 その後のび太とスネ夫は慌ててしずかちゃんやジャイアンに説明しても最初は誰にも信じてもらえず
 2人だけで奮闘してシェルターを掘ったり、地球滅亡の危機に様々な準備をしたり決死の行動を繰り広げていた。

 戻ってきたドラえもんによるネタ晴らしものび太とスネ夫2人に対するものになっている他、
 「ター扉を開く~~」の一連の内容が、しずかちゃんのお風呂を覗いたのび太が湯船に飛び込んでしまったと言うものに変更されている。
 その時に至ってジャイアンたちもようやくスネ夫たちの忠告を信じたのだが、
 既に全てのネタ晴らしをされた後で……。

 なお、ドラえもんのデートは黄砂が舞い降りていたこの日ではなくタイムマシンを使って空が明るい昨日に行ってきたという設定になっており、
 こちらも本編内で僅かながらひみつ道具が登場している。

 そして、この騒動の発展させた張本人であるスネ夫は「ボクちゃん、知~らないっと!」としらばっくれようとするが、当然ドラのびに「知らないじゃないだろ!」と怒られ、冷や汗をダラダラかくというオチが追加された。

【余談】

  • 今回の大騒動の発端の1人になってしまったスネ夫だが、実は別の回(「〇□恐怖症」)で一番苦手なものは「ノストラダムスの大予言」だと白状している。
    暗号日記の内容を早とちりしてこのような事態を引き起こしてしまったのはそういう理由なのかもしれない。

  • 現時点で既に誰もが分かっているが、1999年に「ノストラダムスの予言」なるものは実現しなかった。そもそも、スネ夫が恐れるように「世界が滅びる」とは言っておらず、予言が一見当たっているように言われたのも、本話で出木杉が言っている通り「偶然やこじつけ」の産物である。詳しくはミシェル・ノストラダムスの記事や、懐疑論の書籍などを参照。

  • 今回取り上げられた「ノストラダムスの大予言」と言う題材は、後にその1999年に制作された映画『ドラえもん のび太の宇宙漂流記』で重要な要素となっている。
    また漫画版『ザ☆ドラえもんズSP』でも1997年にノストラダムスを題材にした物語が連載されている。

  • 「ドラえもんの大予言」と言う似たようなタイトルの話がてんとう虫コミックス版第1巻に収録されているが、こちらはタイムテレビを活用した全く別の話である。


内容:青洲築城と共に願掛けをする。

正解:追記・修正お願いします。

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