セーラー戦士死す!悲壮なる最終戦(セーラームーン)

登録日:2017/08/25 (Fri) 12:47:18
更新日:2022/08/04 Thu 13:38:08
所要時間:約 15 分で読めます



画像出典:『美少女戦士セーラームーン』第45話。
1993年2月20日放送。
演出:佐藤順一*1、宇田鋼之介
脚本:柳川茂
作画監督:伊藤郁子
美術:田尻健一

国民的アニメとなっていた、セーラームーンの第1シリーズ最終章。

サブタイトルの通り、主人公以外のメンバーが1人ずつ死亡フラグを立てて戦死・全滅するという衝撃的な内容で、当時の視聴者を呆然とさせた。
セーラー戦士の悲鳴と断末魔もリアルで怖い(病欠の三石琴乃の分までカバーしようと声優陣全員が気合を入れたんだとか)。

特にショックを受けた幼女が「学校に行かない」「ご飯を食べない」「高熱を出した」などの報告が相次ぎ、テレビ朝日に苦情が殺到したり、新聞に保護者から批判の投書が多数寄せられる社会問題となり、少女向けアニメの倫理観を問われる事態に発展した。
ちなみに北米版では、編集によってDDガールズにさらわれただけ、ということにされた。

このようにショッキングな最終二部作ではあるが、仲間との絆を示したアニメ版セーラームーンを象徴するエピソードとしても知られ、『劇場版セーラームーンR』やゲーム、ミュージカル等のメディアミックス作品、『サクラ大戦』『スマイルプリキュア!』『ドキドキ!プリキュア』『幕末Rock』などでオマージュがされている。

前回の第44話の収録を前に、月野うさぎ役の三石琴乃が急病で入院。急遽代役に抜擢されたのは、オーディションで三石氏と最終選考を争った、当時新人の荒木香恵(現:荒木香衣)だった。
最終回までに三石氏の復帰は叶わず、荒木氏には相当なプレッシャーがのしかかっていたという。この時の熱演を評価された荒木氏は、後にちびうさ役を任される。
病室で本放送を見た三石氏は無念だったと振り返り、アニメスタッフも三石氏の不参加を残念に思っていた。三石氏の復帰後に発売された「アニメイトカセットコレクション3」にて台詞が新録されるが、本編の台詞の差し替えは行われなかった。



【主な登場人物】
月野うさぎ/セーラームーン
CV:荒木香恵(代役)
ご存じ主人公。十番中学校2年1組。仲間思いだがドジで泣き虫でお調子者で、とても戦いには向かない性格。結構なメシマズ。カレーは悲惨な出来だったが、Rでは少しはマシになったようだ。
「幻の銀水晶」を持つプリンセスを探して、わりと能天気に正義の味方をやってきた。その正体は、銀水晶をその身に宿す月の王女・セレニティの転生者本人。だが本人に自覚は薄く、想像もしなかった運命に怯えている。
前世で恋人だった地場衛/タキシード仮面は現在ダーク・キングダムに囚われの身。レイの好きな人を取ってしまった事を気にしている。


★四守護神
セーラームーンの仲間で友達。うさぎと同じ中学2年生だがとてもしっかりしている。その正体は、セレニティを守る守護戦士の転生者。

水野亜美/セーラーマーキュリー
CV:久川綾
十番中学校2年5組。当時の大友に大人気だった、IQ200の控えめな天才少女。うさぎに会うまで友達もなく勉強漬けの日々を送っていた。
水星の守護を持つ水と知性の戦士で、冷気を撒くシャボン・スプレーを応用した撹乱が得意。ゴーグルとポケコンことポケットコンピューターを使った分析能力を持つ。セーラー戦士で唯一攻撃技を持たない。
マーキュリーの正体を知る妖魔七人衆の転生者・浦和良と両想いになり、現在は遠距離恋愛中。

火野レイ/セーラーマーズ
CV:富沢美智恵
火川神社の霊感巫女。私立TA女学院中等部2年。まつざか先生ではない。甘ったれたうさぎとは喧嘩ばかりだが、実はうさぎが大好きなツンデレ
火星の守護を持つ炎と情熱の戦士。必殺技は炎技のファイヤー・ソウル。
衛を好きだったが、前世からのうさぎと衛の関係を知って身を引いた。
火川神社に下宿する熊田雄一郎に想いを寄せられ、悪い気はしていないらしいが、衛を攫われたうさぎに気を遣ったのか告白はしていない。

木野まこと/セーラージュピター
CV:篠原恵美
十番中学校2年6組。ボーイッシュな怪力少女。初登場時は不良呼ばわりされたが、実はとても優しい性格。亜美と仲良し。
木星の守護を持つ雷と勇気の戦士。必殺技は電撃技のシュークリームサンデーシュープリーム・サンダー。
先輩への失恋を引きずって惚れっぽく、うさぎ行きつけのゲームセンター「クラウン」の店員古幡元基に憧れていた。

愛野美奈子/セーラーヴィーナス
CV:深見梨加
芝公園中学2年生。この頃はまだシリアスだった、仮面の戦士・セーラーVとして活躍する先輩戦士。
金星の守護を持つ愛と美貌の戦士で、必殺技は浄化技のクレッセント・ビーム。
ダーク・キングダムを追って渡英した帰国子女で、当時想いを寄せていたアランに失恋している。
原作で影武者だったせいかうさぎに似ており、金メッキが剥がれてネタキャラ化した後のシリーズではアホの子姉妹として扱われる。


ルナ
CV:潘恵子
うさぎをサポートするメスの黒猫。超古代の月の王国「シルバー・ミレニアム」の生き残り。
復活したダーク・キングダムに対抗し、現代に転生したセーラー戦士を探し出した。月の王国の技術で便利アイテムを作ってくれる。

アルテミス
CV:高戸靖広
美奈子をサポートするオスの白猫。当時は冷徹路線だったが、次第に美奈子に振り回される苦労人に。


DDガールズ
ダーク・キングダム城の入り口・北極圏Dポイントを守る最強の妖魔5人衆。
きわどいビキニを身にまとい、妖精に似た姿の女妖魔たち。青、緑、紅、紫、橙の肌色を持ち、リーダー格は青。
すばやく飛行し、両腕を伸縮自在の触手に変え、幻術を操る。チームワークまで完璧で、セーラー戦士がまるで歯が立たない強敵。今までに戦った妖魔や四天王はなんだったのか。
フィルムコミックスによると、北極圏Dポイントでのみ最大能力を発揮するらしい。PCエンジン版では陣地外でボロ負けしてしまっている。


【あらすじ】
ダーク・キングダムと戦うセーラー戦士は、四天王最後の一人クンツァイトを倒し、ダーク・キングダム城が北極圏のDポイントにあると知る。

しかし時すでに遅く、太陽の黒点が異常に広がり、世界各地で災害が頻発していた。遠い昔、月の女王に封じられたダーク・キングダムの支配者クイン・メタリアが復活しかけているのだ。

その夜。月野家のキッチンはぐちゃぐちゃに散らかっていた。うさぎが家族にカレーを作ったのだ。
クッソ汚い…じゃなかった、個性的に盛り付けられた赤黒いカレーからは、皮むきしただけのジャガイモ、ヘタ入りの人参、ブロッコリー、タコの足らしき物がはみ出している。

弟の進悟が「本当に食えるのか」と訝しむが、「見た目は悪いが味は本格的だ」と胸を張るうさぎ。


しかし唐辛子を入れすぎ、あまりの辛さに涙を流すうさぎだった。うさぎの母・育子も別の意味で涙を流した。



しばらくして。ダーク・キングダムとの最終決戦を控え、火川神社に亜美、レイ、まこと、美奈子が集合していた。最後に遅れて来るうさぎ。


「いよいよね…」「腕が鳴るぜ」「とうとうここまで来たのね」

「ねえねえ、レイちゃん。雄一郎さんとキスくらいしてきた?」

「な、何よ急に…」

「だってさ、もしものことがあったら後悔するよ」

「もしものことなんてないわよ!!」

「いったーい!あたしはレイちゃんを心配して…」


「うさぎちゃん、もしものことなんて考えるのはやめよう」

「そうだよ!あたしだってこれがすんだら、思いっきり恋をしようって思ってるんだからね」

「まこちゃん!そうだよね、ごめん」

「恋か。あたしも………」

最後の戦いを前に、緊張感のないうさぎに呆れる亜美、レイ、まこと、美奈子。うさぎは縁起でもない発言をしてレイにどつかれる。
まことが恋の話を切り出し、遠い目をした亜美はみんなに注目されて真っ赤になってしまう。


「さあ、おしゃべりをしている暇はないぞ」
「全員、メイクアップよ!」

体に包帯を巻いたルナとアルテミスの号令の下、5人は変身の呪文を唱える。


「ムーン・プリズム・パワー・メイクアップ!」

「マーキュリー・パワー」「マーズ・パワー」「ジュピター・パワー」「ヴィーナス・パワー」
「メイクアップ!」





「一気に北極圏のDポイントまで行くのよ」

「どうやって?」

「全員、力を合わせてテレポートするんだ」

「私達は怪我をしちゃって足手まといになるから残るけど、大丈夫よね?」

「セーラー戦士が力を合わせれば、必ずクイン・ベリルを倒せる!」

変身した5人は、ルナとアルテミスにワープ技「セーラーテレポート」を教わる。
みんなで輪になって手を繋ぎ、北極点Dポイントを目指してテレポートするのだ。

テレポートの衝撃によって、火川神社の石畳は割れてしまう。残されたルナとアルテミスは5人の無事を祈った。











「さむい~!よくみんな平気でいられるわね~!」

「うるさい!シャキっとすれば寒くないわよ!」

「寒いわよ」

マーキュリーのポケコンを頼りに敵の本拠地を目指す5人だったが、北極の寒さに震えるムーン。
いつものようにムーンとマーズの言い争いが始まり、「先が思いやられる」と思うマーキュリーだった。

ポケコンが妖魔を感知し、周辺が霧に包まれる。ムーンを守ろうと身構えるマーキュリー、マーズ、ジュピター、ヴィーナス。
すると、磔にされたタキシード仮面が現れた。ムーンは駆け寄ろうとするが…


「待って!罠かもしれないわ」「ふつう罠だよね、これって…」

「でも…」

「あんたは単純だから、真っ先に狙われるのよ!」

「今調べるわ」

マーキュリーがピアスに内臓されたゴーグルを起動し、タキシード仮面?の分析に取りかかる。

タキシード仮面?に助けを求められたムーンは走り寄り、マーズ、ジュピター、ヴィーナスに取り押さえられる。タキシード仮面?の目が赤く光り、分析を終えたマーキュリーが警告した。

「みんな気をつけて!そいつは妖魔よ!」






マーキュリー以外の4人は触手に襲われ、ジュピターに助けられたムーンはマーズに叱られて謝るのだった。そんなムーンたちをあざ笑うように、DDガールズが姿を見せる。


「こーら、妖魔!よくも騙したわね!引っかかりやすいあたしも愚かだけど、すぐに乙女の純情を踏み躙るあんた達はもっと愚かよ!」

「だって、だってあたしを本気で怒らせちゃったんだからね!こうなったら…」


「うっ…!とにかく! 月に代わって、おしおきよ!」

タキシード仮面が消え、5人の女妖魔が正体を現した。クイン・ベリルに送り込まれたDポイントの守護者・DDガールズだ。


「あらっ…5人?」

「このDポイントの中ではお前達は私達に勝てないのよ」

DDガールズは姿を消し、再び磔にされたタキシード仮面が現れる。


「ふん、何度も同じ手に引っかかるようなおっぺけぺーがいるもんですか!…って、言ったそばから引っかかるんじゃないわよー!」

「だって、今度こそ本物だったらどうするのよ!」

またもや引っかかったムーンがジュピターとヴィーナスに取り押さえられた。

「あんまり…ナメるんじゃないよ!」

ジュピターがみんなを守るようにDDガールズを迎え撃つと、タキシード仮面の幻覚がクラウンの古幡元基に変わる。

「元基さん!?」

憧れの人が囚われた姿に怯んだジュピターは、DDガールズの触手に縛られてしまう。
マーズとムーンは必殺技を使おうとするが、ジュピターはあっという間にDDガールズに取り囲まれ、「これではジュピターを巻き添えにしてしまう」と攻撃を諦める。

「あたしのことはいいから…!」

自分ごと攻撃するよう訴えるジュピター。
DDガールズの激しい電撃を浴びて苦しむが、何かを覚悟したように顔を引き締め……


「あたしに電撃で勝負をしかけるとは、いい度胸だね…!」

「覚悟しな!シュープリーム・サンダァーーッ!!!」

「こしゃくな…!死ね!!!」

ジュピターはティアラから伸ばしたアンテナに雷を落とし、自らに放電させる。対抗したDDガールズが電撃の力を高めると、ジュピターも雷をパワーアップさせる。

ジュピターの絶叫が響く。2つの電撃がぶつかり合って大爆発が起きた。

爆風に耐えるムーンたち。マーキュリーが何かを察して俯く。
視界が晴れて現れたのは、橙と紫のDDガールを道連れに氷柱に巻き込まれたジュピターだった。









「みんな…」

「今助けるからね!」

「あたしはもう…それより早く…クイン・ベリルの所へ…」

瀕死のジュピターにムーンは泣き出してしまう。


「ダメ!ダメよ!みんな一緒でなきゃ!」

「まこちゃんあたしに言ったよ。『この戦いが終わったら恋をするんだ』って!」

「そう…言ったじゃない…ダメだよ嘘ついちゃ。嘘ついたら、閻魔様に舌抜かれるんだから…!」

「泣いてる暇はないよ…プリンセス…!さあ…元気を…出して…」

ジュピターは最後の力を振り絞ってムーンを励まし、ついに息を引き取ってしまう。










ジュピターの死にショックを受けるムーンたち。
ムーンはすすり泣いていたが、他の3人は冷静に目的地に歩き出そうとする。しかし、ムーンは拒絶した。


「嫌よ…」

「こんな思いをするのなら、銀水晶をあげちゃえばいいのよ…。そうよ、初めからそうすればよかったのよ!ほらクイン・ベリル!銀水晶なんかあげるわよ!」

「放してよ!こんな物があるからまこちゃんは…!もうおしまいにして家にかえ…!」

銀水晶を明け渡そうとしたムーンは、マーズとヴィーナスに取り押さえられた。
顔を険しくしたマーキュリーがムーンに平手打ちをする。マーキュリーはハッとした顔で謝る。

「ごめんなさい…!でも分かって。ジュピターの死を、無駄にしないで」

黙ったままのムーンに、マーキュリーが落ち込んでポケコンに目をやると、DDガールズの接近を知らせる表示が現れていた。
残りのDDガールズはあと3人。迎え撃とうとするマーズをマーキュリーが止めた。


「3人は先に進んで。ここは私が食い止めるから」

「でも…」

「ここから先は、私より攻撃力の強いあなたたちの力が必要になるわ。さあ!」

「亜美ちゃん、まさか…」

「私は死んだりしないわ」

「絶対よ!」

「うんっ」

ムーンはマーキュリーを振り返りながら、マーズとヴィーナスに引っ張られて逆方向に歩いていく。
マーキュリーもムーンたちを見ていたが、やがて前に向き直る。







しかし、攻撃能力を持たないマーキュリーが一人で戦うことは、自殺行為も同然だった。
DDガールズを迎え撃つマーキュリーは、初恋の相手の浦和良の幻覚を見て驚く。三年後の劇場版「亜美ちゃんの初恋」は原作漫画のアニメ化なのでノーカウント。

「私にも、こんな幻を見ることができるのね」

勉強ばかりだった自分の変化を皮肉な形で実感し、自嘲げな笑みを浮かべるマーキュリー。
DDガールズが灼熱の火球を出現させた。すかさずマーキュリーはゴーグルを起動し、火球の正体を分析する。


「幻覚なのに実体がある!?幻覚の源は…あの額の石ね!」

「…幻覚の源を断つしかないわ」

マーキュリーは幻覚の発生源が、青のDDガールのティアラの石と分析。しばらくポケコンを操作するが、見え透いた罠に飛び込むしかないと結論づける。
シャボン・スプレーで体を冷やしながら火球に突入したが、待ち伏せていたDDガールズに炎で焼かれてしまった。


「さっさと焼き豚におなり」

「失礼ね…!」

「じゃあ焼き芋?」

DDガールズに再び炎攻撃を受け、虫の息となったマーキュリーはポケコンを握りしめてかすかに微笑む。

「これも、今日が使い納めかもね…」

マーキュリーは最期の力でポケコンを振り上げ、幻覚の源を砕いて氷柱の上に倒れていく。









「亜美ちゃん…!亜美ちゃんが死んじゃったよお!!」

「いちいちピーピー泣くんじゃない!!敵は…次々と襲ってくるのよ!」

マーキュリーの死を直感したムーンは座り込んでしまう。マーズがムーンを叱るが涙をこらえていた。ムーンはマーズを睨みつける。

二人から顔を背けていたヴィーナスが、ムーンの足元に忍び寄る影に気付く。
ヴィーナスはとっさにムーンを庇い、地下から飛び出したDDガールズの触手に囚われてしまった。


「やめてー!銀水晶はあげるから、美奈子ちゃんを離しなさいよー!」

「そんなことしたら、許さないから!!」

誰よりも前からダーク・キングダムと戦っているヴィーナスはムーンを叱るが、触手ごと地割れに引きずり込まれる。

「馬鹿め、命乞いをしても無駄だ。銀水晶はお前たち全員を始末した後で頂く。まずはこいつからだ!」

地割れの底にマグマが発生し、ヴィーナスの絶叫が響いた。
ムーンは美奈子の名前を叫びながら、マーズに安全な場所まで引っ張られる。

DDガールズにマグマに引きずりこまれたヴィーナス。苦しんでいたが、前を睨みつけてティアラに指をあてる。

「…クレッセント・ビーーーム!!!」

紅のDDガールを消滅させたヴィーナスは、吹き上がったマグマに飲み込まれていく。
ヴィーナスはマグマが固まった氷柱に巻き込まれ、触手を蔦のように絡めて永遠の眠りについていた。







ムーンは美奈子の名前を叫びながら、マーズに手を引かれて安全な場所に退避する。
残るDDガールズはあと2人。最後に残ったマーズもムーンを守って戦おうとする。


「セーラームーン…」

「何?」

「ケンカばかりしてたけど楽しかったわ。もしもの時のために言っとかないとね」

「『もしもはなし』って言ったじゃ…!待って。わかった後はあたし一人で全部やるから。全部やっつけてクイン・ベリルもやっつけて帰るから、レイちゃんは先に帰ってて。死んじゃ嫌だよ…!」

「あなたには最後の大きな戦いが残ってるから、パワーを蓄えとかないとね…」


ムーンの肩を抱いたマーズは、心配させないようにおどけて走り去っていく。ムーンはマーズを悲しそうに見つめていた。

DDガールズにファイヤー・ソウルを撃とうとするマーズ。しかしスピードに対応できず、地下に潜られてしまう。
動きを見せないDDガールズにマーズが苛立った瞬間、大量の氷塊が地面から吹き上がり、マーズは下敷きになってしまう。

「レイちゃん!!」

「レイちゃん…?」

「もらったぁ!」

呆然としたムーンに緑のDDガールが狙いを定める。
しかしらマーズを閉じ込めた氷塊の山から炎が噴き出し、緑のDDガールを焼き払った。マーズのファイヤー・ソウルがムーンを守ったのだ。残ったDDガールズはリーダーの青だけ。

ムーンがほっとしたのも束の間、マーズは報復に炎攻撃を受けてしまう。マーズの悲鳴がやむと、氷山から青いDDガールと倒れたマーズが出てきた。

青いDDガールの触手が絶望したムーンに迫る。ムーンは一歩も動けない。

「まだ、終わってないわ」

その時、力尽きたはずのマーズが触手を掴んだ。マーズの腕から放たれたファイヤー・ソウルが触手を伝い、怯えるDDガールを焼き尽くす。

「やっぱり、うさぎの言う通り…雄一郎にキス…しとけば…よかった…ね」

マーズもムーンを気遣いながら、眠るように死んでいく。美しいけれど儚い姿で。ムーンはもう何も言わなかった。












「まこちゃん、亜美ちゃん、美奈子ちゃん、レイちゃん…」

「そっか。これは夢だ…。朝起きたらみんな『おはよう』って。レイちゃんはあたしのこと、『ドジうさぎ』って…」

1人残されたムーンは、死んでいった仲間を思いながら膝を抱えて泣いていた。悲しみに耐えきれず、遂に現実逃避してしまう。

突然ムーンの背後に白い腕が伸びてきて、肩の上に乗った。

『ほら。元気出して』

腕の主は、死んだはずのジュピターの幻だった。
驚いたムーンが泣き止むと、マーキュリーとヴィーナスの幻も励ます。

『うさぎちゃん、しっかりして』

『希望を捨てないでね』


『うさぎ、立って!』

「はいっ!」

マーズの声を聴き、涙を拭って立ち上がったムーン。
マーズの幻が仁王立ちでムーンを睨んでいたが、ムーンと目が合うと微笑む。


『いつも、私たちは一緒よ』

「みんな…」

『さあ、走って!』

「……うん!」


(そうだ、私は一人じゃない。一人じゃない…!)


仲間たちの魂にうなずいたムーンは、一人でダーク・キングダムの城に走っていく。


【余談】
◆フィルムコミックスの四守護神の最期の台詞は、


「あたしの……ことは…いいから…メタリアがめざめたら…たいへんだよ…」
「泣いてるヒマは…ない…よ…プリンセス…」
「月の守護神をなめないことね」
「プリンセスはあたしたちがまもるわ!!クレッセント・ビーム!」
「うさ…ぎ………ケンカばっかり…してたけど…たのし…かった…ね……」

◆第一期から『S』までシリーズ構成を担当した富田祐弘氏は、原作を務めた『ウェディングピーチ』(武内直子もファンだったらしい)などのラブコメも得意とする一方で、全滅ENDの「皆殺しの富野」で知られる『伝説巨神イデオン』や『聖戦士ダンバイン』の脚本・シリーズ構成に参加、『ビックリマン』でもやはり全滅ENDをやっている。
富田氏あたりの提案で『機動戦士Vガンダム』にはオマージュのシュラク隊が登場したが、やはり全滅の憂き目に遭った。

◆第21話の完全メタ回「子供達の夢守れ!アニメに結ぶ友情」では、親友の只野和子とセーラーVのアニメを作っているアニメーターの松下浩美が、ネフライトに洗脳されて「今の視聴者は刺激的な話を求めている」とラストシーンにセーラーVの戦死を描こうとし、子供達の夢を壊すまいとしたムーン達に阻止されている。
その後、現実のアニメーター達は本当にセーラー戦士を殺してしまい、子供達を悲しませてしまった。

◆一人だけ敵を倒せず力尽きたセーラーマーキュリーを不満に思ったファンの苦情を受けてか、R以降はセーラーマーキュリーにも攻撃技が追加された。

◆漫画版の原作者の武内直子氏もド派手な戦死シーンを描きたかったらしいが、担当のおさぶに阻止されていた。なのでアニメでやられて「今でも根に持っている」とか。
その無念もあったのか、原作最終章のスターズは、全滅したムーン以外の仲間が敵として復活した末に仕方なくムーンに倒される展開となり、読者に深いトラウマを与えた。



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最終更新:2022年08月04日 13:38

*1 絵コンテ執筆を担当。