四槓子(麻雀)

登録日:2018/03/06(火) 19:34:00
更新日:2024/11/09 Sat 07:02:24
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麻雀の役の一つ。役満
読みは「スーカンツ」。

中国麻雀にも同様の役があり、こちらは「四槓」と表記するため「子」が必要ないことに注意。点数は中国麻雀で最高となる88点。

上がる方法はいたってシンプルで、を4回行い、4つの槓子を揃えること。この際、暗槓、明槓は問われない。テンパイ形は必然的に裸単騎の形になる。

つまり4回同じ牌を4つ揃えるだけで子32000点、親なら48000点貰えるということである。

ちなみに1回少ない三槓子は中国麻雀では32点だが、日本の麻雀ではたった2翻で単体では子なら最低2600点、親なら最低3900点。*1












と一見とても簡単そうだが、麻雀経験者ならお分かりの通り、役満の中で一二を争うほど上がることが困難な役である。


出現頻度だけで言えば「あがったら死ぬ」といわれている九蓮宝燈の中でもめったにお目にかかれない「純正九連宝燈」よりも、和了り理論値33万分の1の100%運でできる「天和」よりも更に低く、その低さはあるプロ雀士をして「他の役満は全てあがったがこれだけは見たことすらない」と言わしめるほどである。*2


では、なぜ上がるのがそれほど難しいかについて説明する。


1 流局されやすい(途中で強制的に局を終わらせられやすい)

麻雀にはいくつか途中流局のルールがあるが、「四開槓(スーカイカン)」と呼ばれるその場で複数人のプレイヤーが4度槓することによって流局になるルールが存在する。ただし、1人で4回槓をした場合は流局にならない。なってしまったらこの項目はいったい何なのか


ここで重要なのは、1人で4回槓をしようとしても、誰かが槓をした時点でその局において4回槓をすることが不可能となってしまう点である。

そして、たとえ4回槓をできたとしても、誰かがもう1度槓をした時点で流局となり、やはり四槓子は不成立となる。(ただし5回目の槓を認めないルールも多い。事前にルールは見ておこう)

このように、同じ牌4つを4組揃えられるかどうかという条件と同時に、他の人に槓されないかどうかという二つの条件をクリアしなければ聴牌(テンパイ)すらできないのである。

また、麻雀には対子場という、山牌の偏りや各々の手牌の傾向により連続した数字を集めにくく同じ牌が集まりやすい局面がある。

4つも槓をするということは4種類の同じ牌を3枚は固めて持つ事は確定であり、そこに数牌の真ん中の方が含まれていれば対子場に近づくことになるため、必然的に相手が槓する可能性も上がっているのである。

そして難しい点はこれだけではない。



2 他家に手役をばらさなければいけない

四暗刻など他の役満はメンゼンで聴牌することも可能であり、鳴きがほぼ前提となっている大三元や四喜和も字牌すべてを鳴かないという場合が少なからずあるので、その人が役満であるかどうかはその人が上がるまで分からないということも多い。

しかし、槓は自分が同じ牌を4つ全て積もってきた場合でも他家に宣言して見せなければならず、聴牌した時点で役満であることが必ず白日のもとにさらされてしまう。

当然他家は役満を上がられたらたまったものではないので(始めたばかりの人やよほどいい手を積もってない限り)降りるようになり、ツモ以外では大抵上がれなくなってしまう。

また、包(パオ)(いわゆる責任払い)というルールが存在し、自分の捨てた牌で4回目の槓をされてしまった場合、半額、もしくは全額支払わなくてはいけなくなる。

これを避けるため、3回目の槓がされた時点で多くのプレイヤーは自身が複数枚持っているか、場に1枚でも出てしまっている牌(生牌)を切りがちになってしまう。

更に4回槓をすると必然的に手牌は1枚(裸単騎)になってしまうため、自分が捨てた牌(現物)だけでなく他家目線で4枚の在り処が確認された(河に捨てられた・ドラ表示牌にある・ポンやチーで場に公開されているのどれか。)牌および全体で3枚捨てられた牌も全て安全な牌となってしまい、それを切られ続ければ自力で引いて上がることしかできなくなる。

このように、槓の特性により他家に手役がばらされる影響で上がれる可能性も非常に低くなってしまうのだ。

3 王牌と嶺上開花の存在

1回の対局に於いて、王牌と言うその対局では絶対に引けない14枚が存在する。
しかしそれは槓をする毎にドラが1枚ずつ増え、更に嶺上牌と呼ばれる牌を1枚ずつ引く事になるのだが、それが4つになるとドラ表示牌が全てめくられた状態になり、嶺上で取る牌ももう取れなくなってしまう。
5つ以上の槓を認めていない、縦しんば槓しても流局になるのはこの王牌と嶺上開花のルールも関わっていて、前述した1の流局されやすいと言うのはこれらも関わっているからである。





このように四槓子は、聴牌するまでが茨の道であるばかりか、聴牌してからも運を必要とする、非常に上がりにくい役なのである。





他にも槍槓になる可能性もあり、結果として役満の中では最難関候補の一角となってしまっている。


ローカルルールとして難易度の高さからW役満とされる場合がある。
他にも、4回槓した時点で上がりとするものもある。むしろ、元々の定義はこれである。
かつては一人で4回槓をしようが複数人でしようが流局扱いとなっていたが、徐々にルールが日本化される過程で上記の定義となり、そして現在の形へと向かっていった。このルールを今でも見かければ昔の名残と考えればよい。





ちなみに、4つの槓をすべて暗槓で行った場合、暗槓は暗刻としてみなすこともでき、しかも自動的に裸単騎による単騎待ちになるため四暗刻単騎と四槓子のダブル役満になる。
しかも四暗刻単騎をダブル役満とみなすルールもあるため、このルールの場合はトリプル役満になる。
ただ、これが出る確率は言うまでもなく0にほぼ等しい。
上がったら一生分の運を使い果たしたと考えてもいい。

なお、実は四槓子の下位に当たる三槓子ですら確率的には下手な役満よりアガりにくい。
それでいて役の値段は僅か二飜である。



追記・修正は四暗刻単騎と四槓子のW役満を出した人にお願いします。

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最終更新:2024年11月09日 07:02

*1 実戦では大抵これよりは高くなるが、子で16000点(親24000点)になればかなりいい方

*2 2018年2月の時点で月に90万回以上の対局が行われているネット麻雀サイト天鳳での集計結果によると、三槓子でさえ字一色や小四喜といったどっちかというと出やすい程度の役満と肩を並べるレベル。四槓子は当然最も確率が低い