リアルスティール(競走馬)

登録日:2025/08/18 Mon 02:05:39
更新日:2025/08/18 Mon 03:30:33NEW!
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リアルスティール(Real Steel)とは日本の元競走馬
15年クラシック世代の代表…になるはずだった伝説の名馬。

目次

【データ】

誕生:2012年3月1日
父:ディープインパクト
母:ラヴズオンリーミー
母父:Storm Cat
調教師:矢作芳人 (栗東)
馬主:サンデーレーシング
生産者:ノーザンファーム
産地:安平町
獲得賞金:4億1,676万円
通算成績:17戦4勝 [4-5-2-6]
主な勝鞍:16'ドバイターフ(GⅠ)、17'毎日王冠(GⅡ)、15'共同通信杯(GⅢ)

【概要】

2012年3月1日生まれの鹿毛の牡馬。
父は三冠馬ディープインパクト
母のラヴズオンリーミーは競走馬としては未出走ながら、大種牡馬ストームキャットと20世紀のアメリカ名馬100選にも選ばれた名牝ミエスクの血を引く世界的な良血。
全妹に日本調教馬として初めて米国競馬最大の祭典・ブリーダーズカップを制した名牝ラヴズオンリーユーがいる。
嫌味なほどの超良血に生産は天下のノーザンファーム、オーナーは最強のクラブ馬主サンデーレーシング、調教師は関西屈指の名伯楽である矢作芳人という完璧な布陣であった。

【戦歴】

2014年12月27日に阪神競馬場の2歳新馬戦芝1800mでデビュー。鞍上は福永祐一
共同通信杯(GⅢ)などデビューから破竹の4連勝で皐月賞に駒を進め、本来なら完勝したはずの立ち回りを見せたがドゥラメンテの豪脚に成すすべなく交わされ2着。ダービーでもドゥラメンテのレコードの激走の前に4着。
ドゥラメンテが戦線離脱した菊花賞ならばと再起をかけるも、覚醒したいとこのキタサンブラックにわずかに及ばず2着と、同期の化け物の後塵を拝してきた。
菊花賞2着であったものの、矢作師は「3000m以上でも大丈夫とは思わない」と考え、次年度の最大の目標としてドバイターフ(メイダン芝1800m)を見据えることに決定し、有馬記念の出走も見送った。

翌2016年2月、前哨戦として中山記念(中山芝1800m)に出走する。ここでは、追い出してからの反応が悪く、怪我から復帰してきたドゥラメンテの3着に敗れる。しかし、その後に国内での最終追い込りで好タイムを叩き出し、前哨戦で叩いた事が正解だったと矢作師は確信した。

次戦は本番のドバイターフ。ここで鞍上は世界的名手、ライアン・ムーアを迎える。14番枠からの発走となり、スタートするも前に壁を作れず折り合いがつかないように見えたが、実はムーア騎手は力を入れすぎないようにリアルスティールの口を向けていた。そして追い出してから末脚を発揮し、後続馬を振り切り勝利。ついに初GⅠ制覇の栄冠を海外で掴み、世代レベルの高さを証明してみせた*1
矢作師はこれが初の海外GⅠ制覇であり、「(2012年にディープブリランテで)ダービーを勝った時よりも嬉しい」と語っていた。後に全妹その親友などで轟かせる世界の矢作、その最初の一歩だった。

しかし、この後はロゴタイプの幻惑逃げに屈したりモーリスに粉砕されたりとやっぱり化け物たちに蹂躙された。

翌2017年10月にはドゥラメンテやサトノクラウンにも騎乗したミルコ・デムーロ騎手を鞍上に迎え毎日王冠に出走し、1年半ぶりの復活勝利を挙げる。しかしその後は、天皇賞・秋でキタサンブラックの4着、翌年のドバイターフはベンバトルの3着、安田記念でモズアスコットの15着に敗れ、安田記念後に右前脚の種子骨靭帯炎を発症し、7月に現役を引退し種牡馬入りした。
結局GⅠ制覇はドバイのみで引退。
もう少し世代がずれていればあと1つ2つくらいGⅠを勝てていたのでは…と思うようなスペック、そして不運ぶりであった。

【引退後】

引退後は社台SSで種牡馬入り。
種牡馬になってからは、ディープ牡馬屈指の良血とそれに見合わぬ格安の種付け料から人気種牡馬となり、産駒の評判もなかなか。
初年度産駒から、セントライト記念・エプソムカップ・オールカマーを勝ったレーベンスティール(母父トウカイテイオー)を輩出。

2年目産駒のフォーエバーヤングは、2歳で全日本2歳優駿(Jpn1)・JBC2歳優駿(Jpn3)を勝利し、3歳になってからは、サウジダービー(GⅢ)、UAEダービー(GⅡ)と海外重賞を連勝。その後、2度渡米してケンタッキーダービー(GⅠ)・BCクラシック(GⅠ)にそれぞれ挑戦し、共に3着に好走。国内でも、ジャパンダートクラシック(Jpn1)*2と東京大賞典(GⅠ)を制すなど、3歳にして世界トップクラスのダートホースとして活躍。そして、4歳になってから世界最高の優勝賞金を誇るサウジカップ(GⅠ)に挑戦し、香港最強の英雄にして現役世界賞金王で日本馬の宿敵であるロマンチックウォリアー相手に直線で差し返し、見事勝利を手にした*3

フォーエバーヤングがサウジカップに挑む本番直前にサウジ運営から来歴を振り返るアニメが公開されてリアルスティールも父として登場したのだが、作中で伝説の名馬と持ち上げられるわ「父の影が重くのしかかる」「父を讃えるだけでなく父を超えるために」のナレーションに加えて星座となった自分を息子が見つめるというバリバリ現役種牡馬なのにもうこの世にいないような演出をされるわと愛は伝わるけどツッコミどころが満載すぎる扱いになってしまったが、その後フォーエバーヤングがサウジカップを勝利したことで、本当に伝説を生んだ名馬となってしまったのだった。

芝でもダートでも産駒が活躍していることから、種牡馬としての評価も上々で、2024年はブリーダーズ・スタリオン・ステーションに移動*4になりつつも種付け権は満口。種付け数も前年の118頭から187頭に激増しており、これからの活躍にも期待ができそうだ。

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最終更新:2025年08月18日 03:30

*1 ちなみにリアルスティールがドバイで勝ったその当日に全妹のラヴズオンリーユーが誕生した。

*2 2023年まではジャパンダートダービーの名称で南関東三冠の一つだったが24年から3歳ダート三冠の一つになり開催月も7月から10月に変更された。

*3 尚、ロマンチックウォリアーはダート初挑戦にして3着のウシュバテソーロに10馬身以上も差を広げていた。ウッドチップが混ざっていてミシュリフやパンサラッサのような芝馬も走りやすいとはいえとんでもない馬である。

*4 なお、ブリーダーズ・スタリオン・ステーションの公式HPでは社台SSの連絡先が掲載されており、ブリーダーズ・スタリオン・ステーションに繫養されている社台SSの種牡馬のような状態となっている。