登録日:2025/08/18 Mon 18:02:01
更新日:2025/08/18 Mon 20:13:15NEW!
所要時間:約 12 分で読めます
一昭とは、「スーパードクターK」および「DoctorK」の登場人物である。
【概要】
主人公
KAZUYAの叔父であり、彼の父である
一堡の弟。
登場時はその姿と呼びかけから、KAZUYAに
「死んだはずの父が生きている」と勘違いさせるが、後に正体が判明。
日本に麻薬を流通させ、中絶した胎児の臓器販売を行う組織の長として活動。
この非常に悪辣な手法はKAZUYAを当然ながら激怒させる。
その目的は
「現在の堕落した人類の退廃」と
「胎児の臓器による優良人種の長命」……非常に解りやすい
優良人種のみによる人類の支配である。
そしてその最終目的は
「最も優秀なKの一族であるKAZUYAの補完」、つまり
KAZUYAのクローンを作ることだった。
苛烈な思想を持つ悪役であり、スーパードクターK時代最後の敵役であった。
……が、最終目標達成の目処が立って以降は完全に姿をくらまし、その行方は知れなくなった。
そして次の登場時には……
【来歴】
彼らの父(つまりKAZUYAの祖父)である一宗は当時ロシアに渡っており、メイドのロザリアを付き人にし暮らしていた。
そこで妻の昭子が長男一堡を出産。ロザリアの娘であるロオラと姉弟のように育てられた。
その3年後、慣れない環境と当時の栄養状態の悪さで体が弱っていた昭子は次の子供を出産時に亡くなり、その時の子供は昭子の名前を一文字受け継ぎ「一昭」と名付けられた。
時は第二次大戦末期、遂に彼らの住む場所までが戦場となり始めていた。
一宗は二人の息子を連れて日本に帰国しようとするも、ロザリアとロオラを心配した一昭はロシアに残ることを志願。
同様の心配を抱いていた一宗も一昭の信念を信じ、一昭を置いて一堡とともに帰国した。
この後、一昭はロザリアの籍に入り、名前を「スラフ・カズアキ・パリジニコフ」と改めることになる。
一昭はアカデミーで順調に成長し、ソビエト有数の外科医に上り詰める。
結婚し子供を設ける事になるが、妻と子供を事故で失ってから性格が変わり、謎の研究に没頭するようになる。
その後、失踪。それ以降ロザリア達の前に姿を表すことはなかった。
……それから数十年後、日本で発生したコカインベイビーの事件の黒幕としてKAZUYAの前に姿を表すのだった。
【活躍】
【スーパードクターK】
初登場は31巻。部下のランカー・ジリノフスキを使いKAZUYAを確保しようとするが、彼の部下がやられていくのを見て姿を表す。
KAZUYAに今の人類が地球環境を破壊していくだけだと語り、医学は自然の摂理で死んでしまう者達を無理に長生きさせるだけだと語る。
そして「人類の進化」を目指すためにKAZUYAを勧誘しようとするが、人を犠牲にした計画に憤るKAZUYAは当然拒否。
しかし一堡似の見た目とKAZUYAを誰よりも評価する甘言で彼を動揺させ、その場は去っていった。
「お前が私の元にもどる日を待っているぞKAZUYA」
KAZUYAは一堡が晩年暮らした家で発見した写真を手がかりにロシアに向かう。
そこでKAZUYAは出会った相手が叔父の一昭であることを知る。正体バレ早くない?
その後、KAZUYAの元許婚の黒須麻純を利用してKAZUYAを確保。睡眠薬で眠らせた彼から血液を採取し、クローン作成の準備を進める。
遺伝子情報を取るためなら注射一回分でよいはずなのに何故か献血バック一個分の血液を採取している。そんなに欲しかったの?
だが途中で駆けつけたTETSUによってKAZUYAを連れ戻されるが、既に遺伝子情報を入手した彼はKAZUYAを追わずとも目的は達成されていた。
KAZUYAはクローン作成を企む一昭を止めるため、TETSUと協力関係を結ぶのだった……
……というところで、一昭のスーパードクターKでの出番は終了している。
DoctorKが続編というよりも実質的な続きであるため連載中は特に違和感はないはずだが、後から読むと
「あれ? 決着は?」となること請け合い。
まぁ子供が成長するまでってどうしても時間かかるもんな……
【DoctorK】
かなりの時間が経ち、読者も一昭のことをほぼ忘れかけた頃……
KAZUYAが改心した妹の
KEIと共に、父の一堡の墓参りをしている時に唐突に出現。
この際、KEIの存在を知らなかったため非常に動揺。
一昭はKAZUYAにある手術を任せようとするが、一昭の事を信用していないKAZUYAは頑なに拒否。
だがKEIが
「どんな経緯があろうと患者は患者」とし、手術を担当することになった。
KEIの手術を二人で眺めるKAZUYAと一昭。
二人の間に流れる沈黙を最初に破ったのは一昭だった。
「KAZUYA! なぜお前オペを引き受けなかった?」
「もうオペ室に立つことさえ出来ない体になったようだな
いつから病んでいるのだ?」
KAZUYAは既に、一昭の肉体を病魔が蝕んでいることに気づいていた。
3年前に全身に転移し、もはや手の施しようがない。彼はこれを「人類の生命を操作した神からの罰」と考えた。
……同時に、一昭もまたKAZUYAの肉体の異変に気づいていた。以前に遺伝子を採取した時に、彼の身体の異常まで知ってしまったのだ。
「このままでは患者のために戦い続けてきた我が一族が絶えてしまう……
私は焦った……老いと……焦りが私を暴走させた……」
その真意を掴みかねるKAZUYA。
その間にもKEIの手術は進行し、その速度も精度もKAZUYAと同等と言えるほどのものになっていた。
それを見て自身の過ちに遂に気づく一昭。
彼が自ら手を汚さなくとも、一族の血はこうして続いていくのだ。
私は間違っていた……
私は……とんでもない事をしてしまったのかもしれん……
手術の最後、体力が限界を迎えようとしているKEIの前に立ち会うKAZUYAと一昭。
一昭は、二人の兄妹が一族を継ぐものと判断。手術の最後を行った。
わ……私が心配することなどなかったのだ……
この二人がいれば後のことは大丈夫だろう……
KAZUYA……KEI……後のことはくれぐれも……
頼んだ……ぞ……
手術を終え、立ったままその生涯を終えた一昭。
医の道を外れた彼も、自分たちと同じ一族の血が流れていたことを実感するKAZUYA。
立ったまま事切れた彼の目を閉じさせ、別れを告げるのだった……
――そして、彼の暴走が、次代に渡ってさらなる混乱を産むことになる……
【K2】
既に故人のため本人は登場しないが、部下のジリノフスキと彼の遣わせた護衛ビクトルが登場。
ロシアのカルト組織「命の番人」によって襲われた一也を守るために来日した。
ジリノフスキは一昭の死後もロシアでヒトクローンの研究を続けさせられたが、
クローンについての知識を全て自分の脳に納め資料を一切残さなかった一昭によってその後の悲劇は防がれた。
その後、ジリノフスキの組織は体細胞センターという国家組織となって最先端医療の研究所に変貌した。
が、その研究所が「命の番人」に襲われ、更に彼らは人類が生み出した最大のヒトクローン、黒須一也について知ってしまう。遺伝子操作すら認めぬ彼らが、人間のクローンが十数年前からこの世に居たなどという事実を許せるわけがない。
その結果、一也はVXガスの被害にあい、生死を彷徨うほどの被害を生み出すのだった。
かつて一族を生き延びさせるためにKAZUYAのクローンを作り出した一昭だったが、
自身と似たような思想の組織によって一族最大の遺産を滅ぼされかけた。因果応報とはこのことだろう……
その後、一也の母麻純の犠牲はあったものの日本に訪れた「命の番人」を殲滅。
大怪我を負ったビクトルの手術を行った
神代一人を見て、ジリノフスキは思わず声を荒げた。
「お前の存在を知っていれば……!
一族が途絶えぬよう……闇に隠れていたもう一つの系譜を知っていれば……!
一昭様は……ヒトクローンの研究に手を出すことは……」
……そこから先の言葉は紡げなかった。
一人の明らかに怒気の篭った瞳が、ジリノフスキを射抜いたからだ。
「……いや……もう言うまい……
黒須一也は黒須麻純の子として生まれるのが必然だったのだ」
それでいいのだろう……ドクターK……
一人は何も言わず手術見学室を後にした。
そのような事はもはや一也には関係ないとでも言うように……
そうして、一昭が持ち込んだ最後の悪夢は終わりを告げた。
その後、ロシア本国の「命の番人」の本拠地が壊滅した報が一人に伝えられる。
それはたったひとりの東洋人によるものだったと伝えられたが……
【評価】
KAZUYAの死を予感してクローンを作り、結果として黒須一也を世に誕生させた一昭。
だがそこに至るまで旧人類の破滅や新人類による統治などで世の中を見出して、麻薬の蔓延によって人を傷つけてきたことは事実である。
特にKAZUYAという優良な存在を残すためのヒトクローンについては、倫理問題をおいておいたとしても、一也が長きに渡って苦悩する原因を作った。
……というか、彼が本当に人類の進化や旧人類の破滅を望んでいたのかは割と微妙な所がある。
2回目に再開した時にはその辺の話がどうでも良くなるぐらい一族の存続……KAZUYAのクローンのみに執着するようになっていた。
彼の過去を考えるに「息子と妻を事故で失った」事が大きな要因になっているようだが、結局これについても深くは語られなかった。
この時の経験で一族のことを考えるようになったとも考えづらいので、妻や息子を蘇らせる、あるいは人間が簡単に死なない為の研究に没頭したと考えるべきだろうか。
TETSUに話した所によると「これからの人類はKAZUYAのような優秀なものが支配しなければならない」「老いによって失われることのないように第2、第3のKAZUYAが必要になる」「そのために完璧なKAZUYAを作り出す必要がある」と語り、何より重要なものは「優良な人種が永遠に生き続ける」という状況のようだ。
一昭は自身の老いが故に一族を繋げることが最終目標になったものの、本来は亡くなってしまった妻と息子を遺伝子から蘇らせるための研究を進めていたのかも知れない。
……遺伝子情報から再生された妻と息子が果たして同一人物か、というの問題はあるものの。
なお、TETSUは「オレの研究は人類全てを一ランク上げること」「扱いやすいやつだけを残す楽なやり方と一緒にするな」と彼の研究を一蹴している。
最終的に一族の血筋に帰ってきた一昭。だが、そこに至るまでに行った悪行は許されるものではない。
KAZUYAもKEIもそこを辛辣に評価し、彼の話となると厳しい口調となるものの、
彼のお陰で黒須一也が産まれKの一族が続いているというのもまた事実、ではある。
「悪魔に魂を売った一昭でさえ母子の絆を奪えなかった」とKAZUYAは語る。
それは、彼が本当はずっと妻と息子を愛していたが故なのかもしれないが……真相を語る者は、もう居ない。
ちなみにやらかしレベルで言えばKEI先生の全盛期のほうがよっぽどだったりする。まぁこっちはほぼ未遂で終わったから……いいのか?
【主な人間関係】
部下。一昭の研究について詳しく知っていた節もあり、KAZUYAと一昭の関係についても知らされていた。
いつ出会いどのような繋がりでいるのかは不明だが、一昭の死後も彼の遺産となった一也を身一つで守ろうとするほど忠実な部下。
戦闘能力が非常に高く、TETSUを一方的に倒し、KAZUYA相手にも怯むことない実力者。
未だにスーパードクターKの戦闘力の話になると彼の話題になるぐらいである。医療漫画の戦闘力Tierってなんだよ。
甥。その類まれなる才能を惜しみ、彼のクローンを作り一族を存続させることを決意した。
その為に多くのものを犠牲にしたため、彼からは恨まれその活動を止めようとした……が、健闘虚しくクローンは産まれてしまった。
一也を作ったことを麻純から語られた際も「一昭がやりそうなことだ……」と虚しく呟いた。
姪。ただし、一昭は彼女の存在を知らなかった。まぁKAZUYAですら1年前に知った事だからしょうがないんだが……
その執刀技術を見て、KAZUYAのクローンを作ったことを後悔。KEIも折角出会った叔父がすぐに亡くなったことにはショックを受けた。
……が、KAZUYAのクローンを作ったことに関してはドン引きしていたし、その後K2では「あの叔父がやりそうなことね……」と兄のようなことを言っていたため、一昭の件についてその後知らされた可能性がある。
一番の被害者である麻純がずっと傍に居たから聞く機会は多そう。
KAZUYAのライバル。KAZUYAを狙う一昭達の前に何度となく立ちふさがった。
最初こそジリノフスキに生き埋めにされるも、2回目にKAZUYAが睡眠薬で眠らされた際はスタンガンを持ち込みジリノフスキを撃退し、KAZUYAを救出した。
彼の提唱する「全人類の強化」とは相容れない計画だったため、KAZUYAと協力して一昭を叩くことを決意している。まぁその後TETSUとは会わないんですけどね。
KAZUYAの元許婚。彼女のKAZUYAへの想いを見抜き、彼女を
KAZUYAのクローンを産ませる母体に選んだ。
……だが、KAZUYAのクローンを出産した後、麻純はその場を脱走。二人だけの生活を送ることになる。
追おうと思えばすぐ追えたはずだが、一昭はそれを放置。
それは、自身も妻と息子を失った男にとっての最後の良心だったのかもしれない……
この経緯があったためか、『DoctorK』でKAZUYA達と再開した時の一昭は明らかに以前と態度が異なっていた。
【余談】
- 彼の大きな失敗は「一族について詳しくなかった事」が挙げられる。
- そもそも父とロシアで別れた時点でそれ以降の一族についてを知る術が少なく、そこで妻と息子を失ったことで決定的に狂ってしまった可能性が高い。そこから一族について調べても今を生きている表の一族ぐらいしか解らず、付け焼き刃の知識のまま行動してしまったのは想像に固くない。
- 婿養子として一堡を受け入れた西城家当主の頼介も影の一族については知っていたため、一堡や父の一宗もその事は知っていた可能性は高い。成長するにつれて色々と教えられるはずだった一昭は、残された家族を守るために一族についてを学べなかったことが悲劇の引き金となってしまったのかもしれない。
- ただ、そんな彼のやらかしで黒須一也が産まれ、Kの一族の本家が生き残っているのだから皮肉なものである。更に言えば本人の過激な思想に似た組織によってその本家筋も途絶えかけたのだから、因果とは常に巡り巡ってくるものである。
- 肉親であるため仕方ないのだが「私はお前を愛している」だの「KAZUYAがかわいい」だの妙に愛情表現が直接的である。父の真似をして騙そうとしていた初回はともかくバレた後の2回目も言ってる。海外育ちらしいといえばらしいのか……?
お前の記事は遠くで私が追記・修正してやる
誰にも消させやしない
待っているぞKAZUYA……
- 「一人の明らかに怒気の篭った瞳が、ジリノフスキを射抜いたからだ。」は違わない? そういう描写じゃないでしょあそこ -- 名無しさん (2025-08-18 20:08:06)
最終更新:2025年08月18日 20:13