まる子 おすし屋さんに行くの巻(ちびまる子ちゃん)

登録日:2020/01/15 Wed 05:50:00
更新日:2020/01/25 Sat 21:46:27NEW!
所要時間:約 9 分で読めます





概要

「まる子 おすし屋さんに行く」の巻とはちびまる子ちゃん原作11巻収録、アニメちびまる子ちゃんでは第2期1995年放送の18回。脚本は原作者であるさくらももこ。
数ある話の中でも人気のあるエピソードで、2011年には原作25周年記念としてリメイク放送されている。

時は流れ2019年。令和も見えてきた中、作者脚本回の中でも選りすぐりの人気エピソードをリメイクする“さくらももこ原作祭り”が始まる。
昨今の作風とは一味違う話を流し続け期待値も上がっていく中、その5週目 平成最後の放送に選ばれたのがこの「まる子、おすし屋さんに行く」だった。

そして単純ながらインパクトのある内容で新旧視聴者の腹筋を破壊した。
リアルお爺ちゃんたちは心が痛かったかもしれない。
この話に限ったわけではないが原作祭りの放送後色々な意見があり、当時を懐かしむ人、初めて観て大笑いする人、そして昨今の作風とはキャラの印象が違うのもあって違和感を覚える人もいた。

ちなみに次の話は今回の続編である「まる子 ローラースルーゴーゴーがどうしても欲しい」の巻
まさかのちびまる子ちゃんで平成〜令和を跨ぐのがローラースルーゴーゴー二部作であった。


物語

※以下、名前のないセリフはナレーション(CVキートン山田)。

学校から家に帰ってきたまる子はドリフの時間まで暇を持て余していた。
通りがかった友蔵と散歩に繰り出す2人。
まる子の誕生日が近いことを思い出し、「年金」が入ったのもあって浮かれ、「なんでも買ってやる」と豪語してしまう。
大喜びするまる子に涙する友蔵。

「孫のため 年金つかう 覚悟せむ」 友蔵心の俳句

場面変わりおもちゃ屋。
大きいぬいぐるみを勧める友蔵だったが、流石に遠慮してトランプを選ぶまる子。
友蔵は涙しながら本気で選ぶように言い、全力を出させてしまう。
――これが地獄の始まりとも知らずに

そして本気を出したまる子が選んだものとは。
友蔵「あ!あれは…ローラースルーゴーゴー!」

「ローラースルーゴーゴーとは 当時爆発的に人気のあった乗り物である」

友蔵はまる子が全力を出してくれた事に満足し、勢いよく8500円(漫画と2019年版は5500円)のローラースルーゴーゴーを購入する。
まる子は大喜びし毎日遊ぶと豪語するのだが…


おもちゃ屋で悩んでるうちに昼時になりお腹が減った2人。
そこでまる子がカウンターのあるお寿司屋さんをねだると、さしもの友蔵も顔が引きつらせる。

友蔵(寿司屋!? カウンター!? まずい、予想外の展開じゃ…!!)

その様子を見たまる子は「流石にお寿司はムリ? 年金無くなっちゃう?」と気遣う問いを投げるも、全力と約束してしまった手前後に引けない漢・友蔵、希望通りお寿司屋さんに行くことに。

そして近所でも高いで有名な石松寿司へたどり着く。
安めのシメサバでお腹一杯に誘導しようとする友蔵だったが、光り物は嫌いだからと言われ断念。
少し悩んだ挙句、初手でウニを頼むまる子
そしていきなりのウニに戦慄するも、何気ない素振りでシメサバを頼む友蔵。

「ウニなんて わしも食べたい だけどシメサバ」 友蔵 がまんの俳句

ウニの味にご満悦のまる子は続けてイクラ、伊勢海老と頼み、横の友蔵はひたすらシメサバを頼み続ける。


と、そこへ新たな客が来店する――

花輪君「ヘイ!」

ご存知大金持ちのお坊ちゃま・花輪君と執事のヒデ爺である。
花輪君が来るほどのお寿司屋さんと知り、一層顔が引きつる友蔵

常連らしく「いつもの」を頼み待っている最中、お爺ちゃんと孫で仲良く食事する2人を観てなにげなく「おデート」と称したヒデじい。

イメージで貧乏な服になったまる子と友蔵による茶番劇の開始ベルだった。

友蔵「わしら、知っての通り貧乏人です。でもこの子の誕生日祝いくらいはわしの年金を叩いて!」
  「お寿司屋さんで思いっきりご馳走したかったんです!わしはさっきからしめ鯖しか食べとりません」
  「あんたらみたいな金持ちにはわからんでしょう!(涙)」

まる子「おじいちゃん(涙)」

あまりの迫力にドン引きする花輪君。

そして花輪君が注文したお寿司が出来上がる。それはキャビア、大トロなど様々な高級ネタの盛りだくさんの、一目で極上品と分かる品であった。
「うちでいつも特注のお寿司を頼んでくれるのは花輪の坊ちゃんくらいですよ」と感心する大将だったが…


まる子「まる子も花輪君と同じやつ食べたい」


大将、花輪君、ヒデじい「…」
友蔵「えええ…」
無邪気なまる子の発言に場にいる全員が凍り付いた。

流石に大将も気を遣って引き止めようとするが、まる子は無邪気な顔で友蔵への信頼を語る。
まる子「今日のおじいちゃんはまる子が全力を出さないと悲しんじゃうんだよ」
まる子「だからまる子は全力で食べたいものを頼むよ!」

全力の約束を出され、自分を信じる孫娘の無垢な表情を見た友蔵は、遂に覚悟を決めてしまう。
清水(きよみず)清水(しみず)の舞台から飛び降りた友蔵は、大将に向かって一言。

友蔵「……同じものをくれ」

引きつった大将、花輪君、ヒデじい。(漫画と2019年版の花輪君は不敵に笑っている)

大喜びで特注のお寿司にありつくまる子。
感激のあまり「おじいちゃんも頼めばいいのに!」と勧める

しかし友蔵は壊れたようにシメサバを頼み続ける。
大将に至っては心境を知ってか知らずか「お客さん、シメサバ好きっすねぇ」といい笑顔で語り掛けてくる。
シメサバを頼み続ける理由は書く必要もないだろう。

食べ終わって店を出ようとする花輪君とヒデじい。
友蔵は特注のお寿司の値段をなんとか盗み聞きしようとするがヒデじいの「ツケ」の一言で失敗してしまう。
金持ち馴染みの店の怖い所である。

さすがに超特上寿司を平らげて満足したかに見えたまる子だったが……


まる子「さっきのお寿司に入ってた黒いの…キャビアってやつ? あれすごく美味しかったから、もう一回食べたいなぁ」


顔面蒼白の友蔵。だがここまで来て最早拒否することはできなかった……
満足そうにキャビア寿司を頬張るまる子。
そしてまる子にお寿司を褒められて泣く大将。「泣きたいのは友蔵の方である」


まる子たちは知る由もないが、ちょうどその頃外ではクラスメイトの永沢と藤木が通りがかっていた。
藤木は一瞬まる子の姿が見えたような気がしたが、永沢に「ありえないだろう」と断定されすぐに見間違いだと思い直す。

藤木「そうだよね、知らずに一般人がこんなお店に入ったら気が気じゃないだろうね」
  「花輪くんくらいの金持ちなら話は別だろうけど……」
  「もしうっかり入っちゃったりしたら、動揺してシメサバくらいしか頼めないよ」

「今日の藤木は実に冴えている」


さて、さすがに満腹になったまる子はお茶を飲みつつ休憩する。
冷や汗まみれながらもどうにか苦境を完走したものと、友蔵が安堵したのも束の間、


まる子「今日食べたお寿司さ、うちのみんなにもお土産として持ち帰ろうよ。みんな喜ぶよぉ」


綺麗な目で家族にも気を遣うまる子だったが、友蔵の精神世界は限界で、戦車に撃たれた上お土産に潰される。

友蔵(持ち帰りっ!! 駄目じゃ友蔵っ、駄目と言えっ!!)「うーん……」

友蔵(言えっ!! 今ならまだ間に合うっ!! 駄目と言うんじゃっ!!)「そうじゃのぉ……」



友蔵「持ち帰りひとつ」(バカァァァァァァァァ……!!!)



そしてついにお会計。そろばんで計算を始める大将。
店内は無情にそろばんの音だけが響き渡る。

大将「7万5000円です」

友蔵「7万5000!? うそおおおおお」

あまりの金額に驚愕し、傍目には無表情にすら見える友蔵。

だが九死に一生と言うべきか、今月の年金は8万円あったと、財布を取りだす友蔵だったが……


友蔵(足りないっ!? ――しまったっ、ローラースルーゴーゴーを買ったんじゃった!!


万策尽きた友蔵は、全身に影を纏いながらぼそりとまる子に呟く。

友蔵「まる子や、ローラースルーゴーゴーは今回なかったことにしとくれ」

まる子「……えっ?」

友蔵「おじいちゃんは訳があって今からこれを返してくる、すまん!」

驚愕するまる子を尻目に未開封のローラースルーゴーゴーを持って爆走する友蔵。
店には何が何やらさっぱり分からず泣き出すまる子と、それを慰める大将だけが残された……


「友蔵は走った。小脇にローラースルーゴーゴーを抱えて全力でおもちゃ屋さんに向かっていた」

「もはや乗り物なのに乗れない乗り物。乗り物なのに運ばれる乗り物」

「乗り物なのに足手まといな乗り物。それがローラースルーゴーゴー」

「ああ、友蔵よ。いっそそれに乗って家まで金を取りに行ったらどうだ


登場人物

さくらももこ(CV TARAKO)
ちびまる子ちゃんの主人公なのだが、今回に至っては違うかもしれない。
最初こそお爺ちゃんに遠慮してトランプを選ぶ気遣いを見せたが友蔵がリミッター解除してしまい、寿司屋では高めのネタを食べ続け花輪君のお寿司までねだってしまったのが運の尽き。
ローラースルーゴーゴーを手に入れ、お寿司を腹一杯食べた後天国から地獄を味わうことになる。

なお、原作では寿司屋に行きたいと言い出した時点でもまだ友蔵を気遣っており、その後もあくまで悪意無く無邪気に友蔵を信じて食べたいものを頼み続けたので、
この回では他のエピソードのように悪知恵や狡賢さを発揮する描写は皆無であった。

さくら友蔵(CV 富山敬、青野武、島田敏)
まる子のお爺ちゃん。今回は友蔵視点で進み、実質的な主人公。
孫に甘いお爺ちゃんの典型のように描かれる友蔵だったが、お金だけはどうしようもない。
年金8万があろうとも高級寿司屋の前ではシメサバを頼む機械になるしかなかった。
要所要所で差し挟まれる友蔵の心情描写のイメージ図はどれも秀逸。

石松寿司の大将(CV 掛川裕彦(初代)、塩屋浩三(2019年版))
初代は渋め、2019年版では明るめの声の親父。
懐事情を気にしてシメサバを頼み続ける友蔵をただのシメサバが好きな爺さんだと思う一方、流石に花輪君の寿司をまる子が欲しがった時は止めに入る常識人。
人当たりもよく1人残されたまる子が大泣きした時は慰めていた。

花輪君(CV菊地正美)
まる子のクラスメイトでお金持ち。
まさかいつもの調子で頼んだお寿司が同級生を後々どん底に突き落とすとは思っていなかっただろう。
原作で友蔵がスペシャル寿司を注文した際に何故不敵な笑みを浮かべたのかは未だに謎である。

ヒデじい(CV茶風林)
いつも心優しい花輪君の執事。
まる子と友蔵の食事を気に利かせてデートとオシャレな言い方をしたが貧乏な2人には癇に障っただけだった。

永沢(CV茶風林)、藤木(CV中友子)
まる子のクラスメイト。嫌味と卑怯。
店の前をたまたま通りがかっただけなのに、まるで店内の様子を知っているかのように会話する。

ローラースルーゴーゴー
まる子がねだって購入するも、寿司屋の代金を払うために返品されたおもちゃ。いわゆるキックスクーターの一種。
あまりに語感がよすぎて今回と次回の話の内容は覚えてなくても、「ローラースルーゴーゴー」という単語だけは脳裏に焼き付いている人も多いのでは?

モデルは本田技研が開発し、1974年に発売の「ローラースルーGOGO」。(本体価格は商品名に掛けて5500円*1なので初期アニメ版だとローラースルーハチゴーになってしまう
当時はTVゲーム等も普及しておらず、子供向け玩具で数千円もする本商品はその意味でもエポックメイキングで、正に“子供達の憧れ”だったそうである。
最盛期には月産10万台、発売以来100万台を売り上げたヒット商品。
新しいスポーツ用品になるのでは?と期待され、大人向け商品も登場した直後の1976年に2件の交通事故が発生し、マスコミによる大規模な批判に晒され販売自粛、生産終了と相成った。

なお、事故の主な要因は車社会が到来し、交通事情が変わり始めたばかりの当時の環境にあった
世間ではガードレールや危険に対する注意喚起等、交通整備が満足に整っていなかった上、まだまだ児童公園なんかも存在しておらず子供の安全が確保しきれていなかったのだ。
実際、警察は立て続けの事故にローラースルーGOGOの安全性を徹底的に検証してみたが、結果は「問題なし」であった。
……が、マスゴミにより流布された悪評は覆せず、発売予定の商品は海外市場に回されたのであった。


ナレーション(CVキートン山田)
いつも切れ味のあるツッコミで視聴者の腹筋を崩壊させる影の主役。
今回も要所要所で光り、最後のセリフは友蔵と視聴者にトドメを刺すには十分だった。



追記、修正は石松寿司でたらふく食べてからお願いします。


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