登録日:2020/04/18 (土) 22:40:58
更新日:2024/10/22 Tue 14:44:30
所要時間:約 5 分で読めます
Being Batman can allow you to turn back the tide of treachery that's reached this city's shores… or drown you in its sorrow.
When you doubt your fate, remember why you started all this.
Remember that boy in the alley.
概要
"
Batman: The Telltale Series"とは2016年にTelltale Gamesが発売したインタラクティブ式アドベンチャーゲーム。
DCの人気キャラクター「
バットマン」が主役であり、同社の他作品と同様に登場人物同士の会話や舞台の探索などが主軸とされている。プレイヤーのとる選択によって物語が分岐していくことも特徴のひとつ。
バットマンのテレビゲームと聞けば有名なアーカムシリーズを思い出す諸兄も多いだろうが本作は既存のどのユニバースにも属さない独自の世界観の中で展開されており、独特でスリリングな物語を楽しむことができる。
基本的にはキャラとの対話(における会話の選択肢)が重要なゲームだが、バットマンらしいアクションシーンや探偵的な推理シーンも存分に盛り込まれている。
惜しむらくは他言語用にローカライズがなされていない点。制限時間内に素早く選択肢の内容を把握する必要があるため、ストレスフリーに物語を楽しむにはかなりの英語力を要求されるだろう。制作会社も倒産しちゃってるからこれから対応してくれる見込みもないし
あらすじ
ゴッサム・シティを守る闇の騎士"バットマン"としての活動を始めたばかりのブルース・ウェイン。
彼はウェイン・エンタープライズのCEOとして友人の地方検事ハーヴィー・デントを街の市長選に推薦、支援していた。そんな折、街にミステリアスな女怪盗"キャットウーマン"が現れ、ゴッサムを牛耳るマフィアたちも動きを見せ始める。長らく疎遠になっていたブルースの旧友オズワルド・コブルポットも再び姿を表し、ブルースは街に何らかの陰謀が渦巻いていることを察知。
彼はバットマンとしてマフィアのボスファルコーネを追い詰めるが、その口から聞かされたのは「ブルースの父トーマスはかつてゴッサムの裏社会を支配する犯罪界の帝王だった」という衝撃の事実であった…
登場人物
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ブルース・ウェイン/バットマン
ゴッサムを護る闇の騎士。昼間は自社の資力を活かして街に貢献し、人々の希望の象徴として活躍している。
バットマンとしての経験は浅く、GCPDからの信用を得られておらず犯罪者たちからもまだそれほど恐れられてはいない。ゴッサムの市長選においてハーヴィのキャンペーンを行っており、彼とは固い友情で結ばれている。まだ若いからか、原作に比べると少し明るい性格。
ファルコーネから最悪の形で父親の悪行を知らされてしまい、今までの努力は全て無駄だったのではないかと苦悩している。その上マスコミや今まで尽くしてきたはずの人々からのバッシングにも晒され、更に黒幕の陰謀によって自社のCEOとしての職すら下ろされ、終いにはアーカムアサイラムにぶち込まれるなど、はっきり言って他に類を見ないほど不幸体質である。
余談だが、本作で彼の声優を務めるトロイ・ベイカー氏はアーカムシリーズでジョーカーやトゥーフェイスやアーカムナイトを演じたこともある。
●アルフレッド・ペニーワース
ブルースを育ててきた忠実な執事。
彼のバットマンとしての活躍を支えているが、やはりブルースには戦いとは無縁の幸せな人生を歩んでほしいと思っているようだ。その思いからかブルースに対しては若干皮肉屋。
トーマスの犯罪を知ってはいたがそれを止めることはできず、ブルースを心から愛しているが故にその事実をずっと隠し通していた。
他の作品群と比べるとよりブルースとの繋がりが強調されて描かれている。
●
セリーナ・カイル/キャットウーマン
猫の衣装を纏った女怪盗。
ファルコーネによって雇われて市庁舎に盗みに入ったところをバットマンによって妨害され、逃走には成功したが目当てのデータドライブはバットマンによって奪われる。実は仕事のためにハーヴィーと交際しているが、少しずつブルースに思いを寄せるようになる。偶然からバットマンの正体を知ることとなり、
段々とゴッサムの陰謀に巻き込まれていってしまう。
●ジェームズ・ゴードン
ゴッサムを守る警察の一員。本作ではまだ本部長ではない。
バットマンとある程度の協力関係を築いてはいるが、他の警官たちは彼に敵意剥き出しであるため苦労している。プレイヤーの行動によってはゴードン自身のバットマンに対する信頼も危ういものとなってしまう。ヒルとファルコーネの恨みを買ったウェイン家の捜査も担当。
物語中盤からはお馴染みのバットシグナルも登場。
●レニー・モントーヤ
ゴッサムを守る婦警。クエスチョンではない。
ゴードン以外の警察官たちを代表するキャラクターとしてバットマンに対する不信感を露にしている。後に口封じを目的とした何者かによって薬を打たれてしまい、投獄されていたファルコーネを射殺してしまう。
その後はなんとか職務に復帰できたようだ。
●ピーター・グローガン
GCPD本部長。
バットマンには否定的な姿勢を崩さなかったが、最期は暴走するトゥーフェイスからバットマンを守るために命を落とした。
その後、本部長の座はゴードンへと渡ることとなる。
●レジーナ・ゼラーバック
ウェイン・エンタープライズの幹部の一人。
一応ブルースのために行動しているように見えるが、ウェイン家の過去が暴かれたらさっさと彼を切り捨てたあたりどこかいけすかない印象のある人物。後釜のコブルポットについての調査もしていなかった様子。
●ルーシャス・フォックス
バットマンを支える技術者。
スーツの改良や新ガジェットの製造を担っており、ウェイン社内に秘密の研究所を隠し持っている。
ウェイン・エンタープライズのCEOにコブルポットが就任したことで社内での身動きが取りづらくなったが、それでも根気よくバットマンをサポートする。
●トーマス・ウェイン
ブルースの父親。
かつてはファルコーネ、ヒルと組んでゴッサムを支配する犯罪王として密かに君臨していたとのこと。しかし妻のマーサによって反発され、今までの行いを皆にバラすと脅されたことで仲間の二人が危機感を覚え、妻もろとも強盗に見せかけて殺された。
●マーサ・ウェイン
ブルースの母親。
トーマスとは違い善良な女性であったようで、夫の犯罪を止めようと説得していたらしい。結局はそれが原因となって殺害されてしまう。
●カーマイン・ファルコーネ
ゴッサムを牛耳るマフィアのボス。
かつてはトーマスと共にビジネスを回していたらしい。バットマンが現れるようになっても勢力は変わらず、市長選に出馬したハーヴィに資金援助を行っており(当然ながらまっとうな目的ではない)、ブルースとの確執を深めていく。
余談だがバットマンとして彼を逮捕する際、選択によってはなんと瓦礫から突き出た鉄骨で腹を突き刺して半殺しにすることが可能。パニッシャーかよ
●ハミルトン・ヒル
ゴッサムの現市長。任期の終わりに近い。
かつてはトーマス、ファルコーネ共にゴッサムの犯罪王として君臨しており、現在でも腐敗しきっている。ファルコーネに手を切られないよう保険として彼の活動を纏めたデータドライブを所持しているが、バットマンによって奪われる。自らの再選のために邪魔なデントをブルースもろとも排除するためにウェイン家の黒い過去を市民に暴露。最期は公開討論会をハイジャックしたペンギンによって殺害された。
ウェイン夫妻を殺害したジョー・チルを雇ったのはヒルであることが後に判明した。
●ジョー・チル
ウェイン夫妻を殺した張本人。
例の事件はただの強盗ではなく、ヒルによって雇われて行った仕事であったことが後に判明した。
本編開始前の時点で既に獄死していることが語られている。
●
ハーヴィー・デント/トゥーフェイス
ゴッサムにおける期待のニューフェイス。
地方検事としてゴッサムの腐敗と戦っており、ブルースの友人でもある。彼の支援を受けて選挙に出馬、ゴッサムをより良い場所にするため奮闘している高潔な人物。しかしその目的のためとはいえ極悪人であるファルコーネと手を組んでおり、どこか二面性を感じさせる。
ヒルが殺され、なし崩し的に市長に就任したはいいものの、事件に巻き込まれた際に打たれた薬と顔に負った酷い火傷の影響で精神を侵されていき、遂にはブルースと"アーカムの子供たち"を排除するためには手段を選ばない暴君、コインに全てを委ねる狂暴な別人格を宿した怪人へと変貌してしまう。
余談だがブルースよりもかなりガタイがいい。
●オズワルド・コブルポット/ペンギン
ゴッサムの裏社会に殴り込む新世代の犯罪者。
本作ではかなりアグレッシブな印象を抱かせるキャラ付けがなされており、いつものペンギンとはかけ離れた外見をしている。
ブルースの幼なじみであり、長らく疎遠になっていたがゴッサムの犯罪者たちが騒がしくなると同時に街に現れた。
ゴッサムに革命を起こすと宣言しており、実はレディアーカムと呼ばれる人物によって組織された"アーカムの子供たち"の一員。母親がトーマスによる悪行の被害者であり、その復讐を目的としている。
結果としてウェイン社を乗っ取ることに成功し、なんとCEOの座に収まることとなる。薬を打たれて暴走したブルースによって公然の場でボコボコにされ、半殺しにされたりもした。バットマンとウェインテックの繋がりを知ったことでバットマンへの妨害工作も行っており、苦戦を強いられる。
結局はバットマンによって再びボコボコにされ、工具で膝を粉砕された。
●ローランド・デスモント/ブロックバスター
薬物によって身体が強化されたチンピラ。
ペンギン率いるギャングの一員であるようで、度々バットマンの前に立ちはだかる。最後は電撃を用いて倒され、アーカムアサイラムに投獄される。
特になんの説明もなく出てくるキャラクターの割りにやけに手強く、見た目もインパクトがあるため妙に印象に残る。
●ヴィッキー・ヴェイル/ヴィクトリア・アーカム/レディアーカム
ゴッサムガゼットに務める記者。
ブルースに肩入れしているのか、苦しい状況に立たされた彼を幾度か手助けする。重要な局面で彼女かゴードンのどちらを頼るか選択をする場面もある。
実は本作での事件全ての黒幕であり、アーカム家の末裔。"アーカムの子供たち"のリーダーであるレディアーカムその人。
自らを虐げてきた者たちへの復讐を目的としており、両親をアサイラムに幽閉したトーマス、虐待してきた里親などへの憎しみを露にしている。ペンギンらと手を組んでゴッサムを混乱へと陥れるがバットマンによって阻止されてしまい、最後はアルフレッドを誘拐してアーカムの地下墓地で最終決戦に挑む。
●
"ジョン・ドゥ"
アサイラムの患者の一人である謎に包まれた男。
肌は真っ白で髪の毛は緑色に染まっており、顔には常に笑顔が浮かんでいるという奇怪な容姿をしている。なんと
いつの間にか患者としてアーカムに居着いており、職員すら彼が何者なのか、いつからアーカムにいるのか知らないとのこと。ジョン本人もアーカムに現れる以前の記憶を持たない上に記録にも一切記載が無いため、本名すら分からない。唯一分かっているのは彼が精神に問題を抱えているということのみ。
性格は陽気でお人好し、独特なユーモアの持ち主であることがうかがえる。
なぜかブルースに対してやけにフレンドリーであり、諸事情あってアサイラムに投獄された彼の手助けをする。その上なぜかアーカム家についての知識が深く、ヴィッキーの正体を見抜いていた。
本編終了後はアーカムを抜け出したらしく、ブルースとの再開を心待ちにしている様子が見てとれる。
登場時間こそ短いが、プレイヤーに残す印象は強烈。
●ヴィクター・ザーズ
人を殺す度に自らの身体に傷をつける狂人。
相変わらず半裸でツルツル頭の変態だが、言動は割と理知的。既に数えきれないほどの殺人を犯しているようで、アサイラムに収監している。ジョンを「竜巻のように混沌としていて予測不能、荒削りだが犯罪者としての才も持ち合わせている」と評した。
外部に電話をかけるために暴動を起こそうとしたジョンの標的に選ばれ、顔に傷を付けられたことで狂乱。数合わせのために手近な人物に襲いかかる。
●アーノルド・ウェスカー
二つの人格を持つ腹話術師。
アサイラムの中でおとなしく過ごしているが、ザズーと同じく患者たちの中では恐れられているようだ。
●ジョーン・リーランド
アサイラムに務める女医。
ジョンの治療を担当しており、彼とはかなり仲が良い。ハーレイ枠というわけではないが
オリジナルキャラではなく、同名の人物がアニメイテッドシリーズにも登場している。
●ジャック・ライダー
TV番組の人気ニュースキャスター。
物語の随所で、ゴッサム市民全体を代表して世論をプレイヤーに伝える役回り。
終盤、言論統制を敷いていたデントによって拉致されるがブルースによって救われる。
登場ガジェット
●バットスーツ
闇夜の騎士を守る漆黒の鎧。
比較的アーマーらしいデザインであり、シンプルながらなかなか格好良い。捜査モードやシミュレーション機能、ガントレット内臓コンピューターなど、ハイテクぶりも相変わらず。終盤、戦いを重ねる中でボロボロになるが、プレイヤーの選択によってはルーシャスによる新モデルを使用できるようになる。
●バットモービル
闇夜の騎士が駆る漆黒の駿馬。
全体的な輪郭はクラシックなデザインを元としているが、細部に現代的なハイテク感が表れている。なんと普段は赤色のスポーツカーの姿をとっており、ブルースが操作することで変形してバットモービルになるという男のロマンが詰まった設計。
●バッタラング
蝙蝠をかたどった手裏剣。
数少ない遠距離武器なので登場頻度は高い。ブルース曰くその特徴的なデザインは投げた際の軌道を考慮した実用的な設計とのこと。
たまに躊躇なく敵の顔面に投げつけているが殺してはいないはず。
●グラップネルガン
三次元的移動を可能にしてくれるフックショット。
他作品のものに比べると比較的大型に見える。使用頻度は高く、戦闘においてもよく用いられている。
本編冒頭でキャットウーマンにひとつ盗まれてしまう。
●トレース・ディテクション・スキーマー
ドローンにも似た捜査用デバイス。
展開して宙に浮かせることで空気中の成分を検査することが可能。
●スティッキー・テーザー
相手に張り付けることで電撃、もしくはEMPを食らわせることができるデバイス。
タフな相手、敵ドローンなどによく使用される。
●スモークペレット
煙幕を放つ小型爆弾。
奇襲を仕掛ける際によく用いられる。グラフィックの問題なのか、煙の量はかなり控え目。
●クロウ・デバイス
キャットウーマンの用いる壁登り用の装置。
壁に張り付けることで物凄い勢いで身体を上に引っ張っていく。キャットウーマンからひとつ盗むことが可能。
追記・修正はアーカムアサイラムの地下墓地からお願いします。
- 映画のジョーカー以前にトーマスが露悪的に描かれた作品ってあったんだ -- 名無しさん (2021-09-26 15:11:02)
- ジョーカーの方はどこまで現実か怪しいところあるけど、こっちは明確に悪人として描かれてるのが特徴 -- 名無しさん (2021-11-23 14:27:33)
最終更新:2024年10月22日 14:44