燃えろ!炎の勇者エン/オレたちの未来へ…(勇者指令ダグオン)

登録日:2020/06/07 Sun 11:01:10
更新日:2020/06/10 Wed 16:39:51
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「燃えろ!炎の勇者エン」「オレたちの未来へ…」とは『勇者指令ダグオン』47話および最終話である48話のエピソードである。
47話にてダグオンチームの本当の最終決戦が、48話にて青春ドラマとしての最終回が描かれた。
ここで起きた数々の出来事は、断片的にではあるが続編OVAへと繋がる要素になっている。


◆「燃えろ!炎の勇者エン」


― 超生命体 ジェノサイド 登場

宇宙監獄サルガッソで超生命体ジェノサイドとの戦いを制したダグオンたち。
戦いを終えたライアンガンキッドは遠い宇宙へと旅立つところだった。
カイ、シン、ヨク、リュウ、ゲキ、ライらダグオンメンバーは朝早く海岸へと集合し、
更に成り行きで地球に滞在していた宇宙警察機構の刑事であるルナ、不慮の事故でダグオンの素性を知ってしまったマリアも見送りに姿を見せた。

肝心のエンはいつものごとく遅刻してしまったが、どうにか夜明け前には姿を見せた。

エンは宇宙の戦いを思い起こし、ライアンに改めて礼を述べる。

「お前が戻ってきてくれたときオレ、本当に嬉しかったぜ。」

ライアンは一度ダグオンチームから離脱していたが、サルガッソでの最終決戦直前に助っ人として現れ、ダグオンの一員として戦い抜いたのであった。

「今度こそ必ず、剣星の仲間を見つけろよ!」

また、ライアンに同行して地球を旅立つガンキッドには「ライアンの力になってやれよ!」と声を掛けるのだった。

ライアンは「この美しい地球の光景を、俺は忘れない。そして、素晴らしい地球の友のことも!」と言い残し、ガンキッドと共に宇宙へと旅立っていった。



ライアンとガンキッドが去ったことで、ダグオンチームは「ダグオン」としての解散が近いことを実感するのであった。
ここで、ひょんなことからエンとマリアは2人きりになってしまった。
マリアがカイとルナを気遣って無理矢理デートへと送り出し、ライとリュウがダグベースのある山海高校へ帰り、
更に今度はゲキが場の状況を推し量ってマリアに気を遣い、シンとヨクを無理矢理引き連れて退散したのであった。
一時期はマリアにゾッコンだったゲキだが、マリアの意中の相手がエンだと知ると潔く態度を改め、不器用ながら2人を後押ししていた。


皆が去った海辺で、エンとマリアは改めて言葉を交わす。
「ありがとう。無事に戻ってきてくれて。」
「当たり前だろ…。おめえに…借金だって残ってるし。」

いざ2人きりになるとお互いになかなか話せない。
そこでマリアは、宇宙へと旅立つ前に交わした約束について切り出す。約束の日はもう明日へと迫っていた。
約束の内容は「10時に山海橋の側の大時計がある銀行の前で待ち合わせ。借金を返してもらうついでに昼ごはんをおごってもらって、ついでに映画とカラオケも」というものである。
マリアはエンが約束について覚えていたことを確かめると、「遅刻厳禁だからねー!!」と言い残し、無理矢理その場を切り上げて去って行った。



その頃、ダグベースでは異変が置きていた。
ダグベースの中で1人仕事をしていたライは、基地内で謎のエネルギー反応が検出されたことに気づく。
エネルギー反応の正体はサルガッソでの戦いを生き延びていたジェノサイドだった。
ジェノサイドはファイヤージャンボを奪って基地を飛び出し、ファイヤーダグオンの体を仮初めの体にして町へと降り立つのであった。


我が名はジェノサイド。絶対にして完璧なる存在。

そう言ったかと思うと、ジェノサイドはその場でエネルギー波を展開して地球の侵食を開始した。
ダグビークルから地球まであらゆるものを依代とするジェノサイドはまさに二つ名の通りの「超生命体」なのであった。
ダグオンチームはサルガッソの戦いでジェノサイドが語っていた言葉を思い出す。


《私は地球という器に乗り移り、新しい星として生まれ変わる…》

ジェノサイドの目的は、地球と一体化することで星の全てを支配することであった。


ライはルナの指示を受けてダグベースを操作し、ダグ光波バリアを展開。ダグベースがある山海高校一体の侵食を防止する。
これにより完全な侵食からは免れたが、バリアを展開できる範囲と時間には限度があり、ジェノサイドに対して打つ手もないため、いつまで持ちこたえられるかという状況であった。
ダグベースや山海高校は日常生活の場から一転して、地球最後の砦となってしまった。
ダグオンチームはひとまずバリアの中に残っていた一般市民を山海高校に避難させ、防衛戦へと持ち込むのであった。

街の人々が山海高校へと逃げていく中、マリアは偶然にもエンと出会う。
エンはマリアに「お前も逃げろ」と言い残し、人々の避難誘導に向かっていくのであった。

しかし、バリアを展開していても何一つ安心できる状況ではなかった。
バリアによって侵食の拡大は止められたものの、物理的な遮蔽効果はなく、ジェノサイドに同化された人間はバリアの中へ自由に出入りできる状態であった。
更にバリアの中にいた人間も一度バリアの外に引きずり出されると、またたく間に侵食を受け、ジェノサイドに同化されてしまう。
ジェノサイドは同化した人間を大量にバリアの中へと送り込み、全ての人間と同化して、ダグオンを追い詰めようとするのであった。


ダグオンチームはダグテクターを装着し、逃げ惑う一般市民の避難誘導を開始する。
とはいえ相手はただの一般人。
ダグオンが本気を出せば重症を負わせることは必至であったため、戦わずに徹底して足止めを行うのであった。


無駄だ。地球上の全ては我が手のうちにある…!

山海高校に市民が集まっているいることを把握したジェノサイドは、戦闘機を操りバリアの中へと送り込む。
戦闘機は山海高校へと向かい、ミサイルを放って市民が避難する校舎を破壊しようとした。
ダグオンチームは即座にスーパーライナーダグオンシャドーダグオンへとなり、校舎に放たれたミサイルの盾となる。
相変わらず打つ手が見つからない状況であったが、それでも体を張って市民を守るのであった。


ちょうどその頃、避難するため校舎へと向かっていたガクは、怯えて動けなくなっている子猫を発見する。
子猫の周囲を見渡すと、同化された人間がすぐそこまで迫っていた。
このままでは子猫が危ない。
ガクは勇気を振り絞って子猫を救い出したが、すぐ同化された人間たちに追い詰められ、逃げる場所を失ってしまう。
もはや絶体絶命というそのとき、突如としてエンが現れ、同化された人間たちをノックアウトしてガクの窮地を救ったのだった。

エンの顔を見たガクは少し安心するが、絶望的な状況を前に泣き出してしまう。
エンはそんなガクを一括した。


ガク!!それでもお前はダグオンか!?



え!?

ダグオンてのはな、勇者を意味する言葉なんだ。お前の勇気が、小さな命を救ったじゃないか。
たとえそれがどんな困難だろうと、最後まで諦めるな。それが…ダグオンだ。



見ていろガク…

ダグオン最後の戦いを!!

え!?


トライダグオン!

ファイヤーエン!!

そう言うとエンは、ガクの前でファイヤーエンへと変身した。
ガクが憧れ続けた「真っ赤なヒーロー」が自分であったことを自ら明かし、戦いの場へと赴くのであった。


エンはファイヤーストラトスを呼び出し、ジェノサイドの空間へと走って行く。
カイやリュウは「エン、何をする!?」「ジェノサイドに同化されてしまうぞ!?」と言って止めようとするが、
エンは「これが青春だあぁっ!!」と叫び、危険を顧みずジェノサイドへと立ち向かうのであった。

エンはパワーダグオンに合体してジェノサイド空間へと侵入し、ジェノサイドのファイヤーダグオンを羽交い締めにする。
そして今度はダグベースにいるライに対して、超火炎合体の発動を指示するのであった。

「超火炎合体!?」
「早く、バリアが破られる前に!!」
「で、でも、そんなことすれば先輩が…!」
「考えてる暇はねえ…!」


ライは合体発動を躊躇するがそんな暇がないことは明白という状況であった。
同化された人間は校舎へと進行しており、無事な人間たちも絶体絶命。
更にダグベースもオーバーヒート寸前で、持ちこたえるのは限界に近かった。
ジェノサイドの空間に入ったことで、パワーダグオンにも少しずつ侵食が始まっていた。

「ライ、早く!!」
「…分かりました。…やります!」

ライは渋々ながらも超火炎合体光波を発射。
エンは無事にスーパーファイヤーダグオンへの合体を果たしたが、この操作でダグベースには限界を超えた負荷が掛かり、大破してしまうのであった。
このときライ自身は脱出して無事だったものの、ダグベースが失われたことでバリアも失われ、またたく間に山海高校周辺も侵食されて行った。

もはや万事休すかと思われたとき、エンが即座にジェノサイドの侵食を食い止める。
スーパーファイヤーダグオンとなってジェノサイドと一体化することで、ジェノサイドの力をもコントロールするという荒業に出た。
そして力をどんどん抑え込むことで、地球全体の侵食状態を解いていくのであった。


ここからはスーパーファイヤーダグオンの中、エンの精神世界での戦いが始まる。
「何の真似だ。」
「地球をお前の好きにさせはしない!」
「それで勝ったつもりか。」
「いいや、今はオレとお前は一心同体。勝負は、これからだ!!」
そう言うとエンは、スーパーファイヤーダグオンの機体を飛び上がらせ、上空はるか彼方まで飛んでいく。
仲間たちが心配する中、最後の大勝負に打って出るのであった。


「無駄だ。お前の心を支配するなど、私には容易いこと…」
「黙れ!オレはキサマなどに支配されない!支配されて溜まるか!!」
「愚か者め!」
「うわっ…!」

「おとなしく私に従え。そして私は新しい星に生まれ変わる。」
「誰がキサマなんかにっ…!」
「逆らうな!」
「うわあああぁぁぁぁっ!」
精神世界の中で、ジェノサイドはエンを取り込み、精神を支配しようとする。
エンは抗うが、それをジェノサイドは抑え込む。

「逆らうな。降伏すればお前はその苦痛から開放される。私に跪け!!」
「うあああああっ…。うっ、くっ、嫌だぁっ!
オレの心は…オレのっ…ものだ!誰の…ものでも…ない…!」
危うく完全に抑え込まれるところだったが、エンは苦しみながらもジェノサイドの支配を振りほどく。

「人間の精神など所詮弱いもの。さあお前の心を明け渡せ!!」
それでもジェノサイドは恐怖をちらつかせ、もう一度エンの精神を支配しようとする。

「人間を、甘く見るな!!」
精神世界で戦うエンは、ジェノサイドの精神攻撃に耐え抜き、徐々に優勢となって行った。
しかし、スーパーファイヤーダグオンの機体は徐々に耐えられなくなり、ついに崩壊が始まった。
胸部のアーマー、ショベルアーム、踵部分など、合体パーツなどが次々と機体から剥離していく。

「下等生物の分際で、私を受け入れるのだ!!」
「嫌だっ!」
「お前は新しい星の支配者になれるのだぞ!?」
「ふざけるなぁ!!」
「やめろおおおお!!」

依代が失われることにジェノサイドは危機感を覚えるが、エンは危険を顧みず、崩壊しかけた機体で更に高くへと飛んでいく。

「やめろ…お前も死んでしまうぞ!?」
「望むところだ!」
「何!?」
「キサマを、キサマを地獄に送ってやる!!」
「馬鹿な!?」

エンにもはや迷いはなかった。
スーパーファイヤーダグオンの機体はすっかりボロボロとなってしまったが、それでも構わず更に更に高くへと飛んだ。

「我こそは絶対にして完璧なる存在!」
「オレは…」
「我こそは絶対にして…」
「オレは…!」
「完璧なる…!」
「オレは…!!」
「存在のはずだあああぁっ…!!」
その瞬間、スーパーファイヤーダグオンの機体はついに限界を迎え、ジェノサイドと共に爆発四散する。



オレは、ダグオンだあああぁぁぁぁっ!!!

エンは間一髪、ダグファイヤーに分離して脱出するが、次の瞬間にはダグファイヤーの機体も大気圏の光となって消えていくのであった。



◆「オレたちの未来へ…」


エンは帰ってこなかった。
ダグターボダグウイングが海上、ダグアーマーダグドリルが海中、ダグシャドーとシャドーガードで山中を探したが、手掛かりは何も見つからない。

「エンの奴…戻ってきたら厳重注意だ。」
「まったくだよ…連絡の一本も入れないで!」
「通信機が故障してるんですよ!きっと!」
きっとまた、人の気も知らず好き勝手やっているのだろう。一同はそんな淡い期待を抱く。

そんなとき、宇宙空間を捜索していたライがあるものを見つけて帰ってきた。

ライが発見したものはダグファイヤーの胸部装甲だった。
これはつまり、エンの機体が失われたであろうことを意味していた。
ライが回収してきた残骸を見た一同は愕然とする。
その中でも特にマリアにはショックが大きく、現実に目を向けられず、「エンは死んでない!」と叫んで飛び出して行った。

マリアは1人で川面を眺めていた。
昨日念を押した待ち合わせの予定が、こんなことになるだなんて。思い返すだけで悲しい気持ちになってしまう。

そんなとき、ふと横を見ると、朝日山校長が座っていた。
どうしたのかと尋ねる校長に、マリアはエンが姿を消したまま帰ってこないとだけ告げる。
校長は事のいきさつを聞かず、「デートの約束かね?」とだけ問いかける。
マリアが答えずに暗い顔をすると、校長は一首の和歌を詠み上げる。

「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の 割れても末に 遭わむとぞ思ふ」

今は離れ離れでもいつかきっと会うんだという気持ちを表した、崇徳院の作である。
校長は「約束の場所で待ってあげなさい。多少いい加減なところはあるが、彼は約束は守る男だよ。」と言って、マリアを励ますのだった。
校長に勇気づけられたマリアは礼を述べ、待ち合わせの場所へと向かうのであった。


同じ頃、他のメンバーも寂しさに明け暮れていた。
ガクは「エンがダグオンだったなんて…。」とこの前助けた子猫をなでながら、姿を消したエンのことを思って涙ぐむ。
そんなガクを見かけたゲキは「泣き虫」と煽ってガクを砂場に投げ飛ばす。
元気づけるためにガクに喧嘩を売るという不器用な優しさだったが、ガクを何度も投げ飛ばしながらエンとの因縁を語りだす。

「奴はワシの左腕を折った。今度はワシがヤツの腕をへし折る番じゃ!じゃから…じゃから…!!」
語っているうちに今度はゲキが悲しみを堪えられなくって喧嘩どころではなくなり、ガクのタックルであっさり転倒してしまった。
ガクは「どんなもんだい!」と威張るが、今度はゲキが「のあああああ~!!エンの大馬鹿野郎~!!」と大泣きして、逆にガクから慰められる始末であった。

シンはゲーセンで遊んでいた。いつものレーシングゲームで遊んでいたがどうも楽しくない。
いつもは隣でエンが一緒に遊んでいたのに、今日はいないのだ。
ふと気づくと運転していた車はクラッシュしていた。

シンは「つまんねぇゲーム…」とつぶやき、ゲーセンを後にする。
ぼんやりとした様子であり、ゲーセンの入り口で恋人のエリカと鉢合わせしても気づかないほどであった。
エリカはシンの様子がおかしかったので、喫茶店に誘って話を聞いてみる。
シンはエリカに気を遣わせまいと「いやぁ、まさかエリカちゃんがオレのことをデートに誘ってくれるなんて!」といつものように軽々しく振る舞って見せる。
しかし、シンが何かを隠していることはエリカの目にも明白であった。
シンは無理矢理明るく振る舞って一方的に喋り続け、暗い気持ちを誤魔化そうとしていた。
エリカはそんなシンを一喝する。そして彼の手を取り「元気出せ!…元気出せ!!」と励ますのであった。


カイはルナと2人で砂浜に立ち、海を眺めていた。
ルナは地球のダグオンチームについて語りだす。「みんなエンのことが大好き」だと。
それをカイは即座に否定する。
エンは日頃から素行不良が著しく、サルガッソの襲撃が始まった日さえも自宅謹慎を無視する始末で、本当に世話が焼けるのだと語る。
その様子を見たルナは、カイにとっては弟のような存在なのねと返すのであった。
しかしこれもやはりただの強がりで、本当は誰よりもエンの身を案じていた。
カイはルナに「1人にしてくれないか」と言って、誰もいなくなった海辺で1人悲しみに暮れるのであった。
「エン…生きて…生きていてくれ…!」


リュウは病弱な妹の美奈子と共に山登りを楽しんでいた。
美奈子は予知夢を見る能力を持っており、何度かリュウの危機を救っていた。
今回も少し前に「リュウと山に登る夢」を見たら本当に山に登れる日が来たのだった。
しかし、美奈子の夢でもエンの安否を察知することはできなかった。ここ数日の美奈子の夢に、エンは現れなかった。


ライは生物部室でヨクの宇宙人の標本を見せてもらっていた。
ヨクはサルガッソとの戦いの中、1人で地道に宇宙人の標本を集めていたのだった。
サルガッソの宇宙人を全滅させたら皆に見せるつもりだった、と語る。
「宇宙警察機構も顔負けですよ」とライは賞賛の言葉を送るが、ヨクに喜びの気持ちはなかった。
それどころか非常に苛立った様子を見せ、パソコンに床に叩きつけるなど酷い荒れようだった。
「無意味だ!こんなものいくら集めたところで、エンが帰ってこなければ無意味だ!!」
友達思いのヨクにとって、研究成果は仲間がいてこそ成り立つものであった。


マリアは1間前からひたすら待ち続けた。
不良男にナンパされても追い払ったり、小さな女の子の風船が木に引っかかっていたのを取ってあげたりしながらエンを待ち続けた。
隣で別の女性が彼氏とデートの待ち合わせをして出かけていく様子を見てもめげずに待ち続けた。



段々と日が暮れていき、町には雪が降り出した。
ゲキとガクは中華そばの屋台で黙々と麺をすすり、シンは道着に袖を通して寒中ランニングをしていた。
リュウは美奈子を病院へと戻した後、出ていくときにふと空を見上げていた。
ヨクとライはじっと窓の外を見つめていた。

そしてカイは町中で、ランチア・ストラトスのパトカーに出会う。
エンがファイヤーストラトスに乗って帰ってきたのではないか。
そんな淡い期待を寄せるが、そんなはずもなく、中から出てきたのは警察官2人組で、車も普通のパトカーだった。
やっぱりエンはいなくなったことを思い知らされ、カイは更なる悲しみに包まれるのであった。




マリアはひたすら待ち続けた。頭に雪を積もらせながらエンを待ち続けた。
帰らないエンのことを思い、目に涙を浮かべながらもひたすら待ち続けた。
そして、とうとう大時計が夜の10時を告げた。
もうエンはいない。そう思ったマリアは泣きながらその場を立ち去ろうとした。
そのときだった。


よっ、オカルト娘。

背後から聞き慣れた声がした。



マリアが振り向くと、ボロボロになったエンが足を引きずりながら現れた。


また、遅刻しちまった。悪かったな、待たせて。

…映画館、閉まっちまったな。…カラオケなら、開いてるかな?

満身創痍になりながら、エンは生きて帰ってきたのだった。
マリアはエンに飛びつき、エンはマリアを抱きしめるのであった。


ここからはエンディングテーマをBGMに、セリフ無しで物語が進んでいく。
歩道橋を歩いていたゲキとガク、たまたま近くを歩いていたヨクとライ、カイとシン、ビルの上から町を眺めていたリュウ。
一同はエンが無事に生きて帰ってきたことを知る。
特に一番寂しがっていたカイは、心のつかえが取れたかのように、呆然とした表情を見せていた。

エンは優しく笑い、マリアの涙を拭う。
仲間達もエンの帰還を喜び駆け寄っていく。
エンとマリアは手を繋ぎ、集まってくる仲間を迎え入れた。



エンディングは2番に突入し、エンが仲間たちと改めて交流する姿が描かれる。
ガクとツヨシ(17話登場)と共に遊び、マリアの超常現象研究会の活動に付き合う。
ルナが笑顔で見守る中ライをからかい、ゲキとは改めて決闘を果たす(16話、19話の約束)。
リュウとは美奈子も交えながらヒヨコの雌雄判別の話(6話の約束)を聞く。
ヨクからは宇宙昆虫の標本を見せられて驚く。
女性をナンパするシンには背後の存在を知らせる。そこには恋人のエリカ(15話、43話、48話に登場)が苦笑いをしながら人差し指を立て、「ちょっとこっちに来なさい」のジェスチャーをしていた。
そして外で気持ちよく昼寝をするカイに対しては、額の上に大嫌いなゴキブリ*1(18話参照)を乗せてやるというイタズラをするのであった。



サルガッソとの戦いが終わったため、ダグビークルとシャドーガードは宇宙警察機構に回収されることになった。
エンはダグコマンダーも返さなきゃと言うが、ルナは「それは持ってていいわ」と言って回収はしなかった

ライが帰る準備を済ませてルナを呼ぶ。出発の時間だ。
最後にエンが「また会おう」と声を掛けると、ライは「はい!」と敬礼をして、転送装置でサンダーシャトルへと吸い込まれる形で搭乗した。
サンダーシャトルは空の彼方へ飛び去り、エンはその空をいつまでも見つめていた。


\エーン!/

行くぞ、リーダー!

シンが遠くから手を振ってエンに呼び掛け、カイもそれに続いて声を掛ける。
最初は自称リーダーだったエンも、この頃には皆から本当のリーダーとして認められていたのだった。



よっしゃ、行こうぜ!!

ダグオンたちの物語は、こうして幕を閉じたのであった。



◆解説

マイトガイン以降恒例化した、1話完結型の最終戦エピソードである。
本作では第47話をまるごと使って最終決戦を描き、その後の出来事を第48話で消化している。
このため、ロボットアニメにも関わらず、最終話にロボット要素が殆どないという異色の展開となっている。
ロボットアニメとしての派手なアクションを期待した視聴者の期待を大きく裏切った一方で、
高校生勇者7人の青春ドラマを描いた作品として、各人のエピソードをしっかりと完結させている。
エンディングも全48話の間に起こった様々なエピソードの話題を色々と回収している。

最終話で朝日山校長が詠んだ和歌は小倉百人一首七十七番として収録された著名な作品である。

瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の 割れても末に 遭わむとぞ思ふ

現代語訳して説明すると「川の流れが早いので、岩にせき止められた急流は二つに割かれてしまう。しかしやがて流れが一つになって行くように、愛しいあの人と今は離れ離れでも、いつかまた再会しよう」と言ったものである。
エンと離れ離れになったマリアの状況を和歌の情景になぞらえている。
高校生に対して先生が語る話としてはそこまでおかしくもないが、子供向けアニメでやるにはかなりハイレベルなネタである。


最終話をまるごと後日談にしたため、第47話における最終決戦のエピソードもかなり尺を目一杯に使って丁寧に描かれている
最終話を完全な一話完結形式の最終決戦にした場合、冒頭でラスボスとの決戦に至るまでの導入、終盤に少し尺を残してラスボス撃破、最後の僅かな尺か或いはエンディングだけでラスボス撃破後の日常を駆け足気味に描くこととなる。
しかし本作では残り1話を残して最終決戦となったため、冒頭で平穏を取り戻しかけた日常を描き、その後ラスボスであるジェノサイドが現れ、あとはジェノサイドを倒すまでの戦いがエンディングの手前ギリギリまで繰り広げられている。
自らの正体を明かして最終決戦に臨む展開はウルトラセブンウルトラマンエースのオマージュである。
エンが「これが青春だ!」と言いながらファイヤーストラトスに乗ってジェノサイドへ向かっていくシーンは第1話のセルフオマージュである*2
第1話ではエンの向こう見ずな性格を表すセリフとして描かれていたのに対し、第47話では危険に立ち向かう己を奮い立たせるセリフとなっており、エンの成長ぶりを感じさせる。
ラスボスであるジェノサイドが機体を乗っ取り、エンが乗っ取られた機体に合体して封じ込めるという展開も、
変身した主人公らがメカと同化してロボットになるという本作ならではの要素を存分に活用している。

視聴者サービスよりも作品としてのクオリティを優先して、ロボットアニメ、青春ドラマの両面できっちり完結させたと言えるだろう。
一方で、ラストでエンに抱きつくマリアのスカートが浮いてパンチラが起きるなど、謎の視聴者サービスが行われている。


なお、最終話の最後でエンは無事に帰還しているが、エン役の遠近孝一氏が『ラジメーション 勇者指令ダグオン』で語ったところによると、当初はジェノサイドを道連れに死ぬという展開も考えられていたらしい。
エンが無事に生還した結果、この後日談がOVA作品『勇者指令ダグオン 水晶の瞳の少年』として放送翌年にリリースされた。


余談だが、本放送時はラストシーンの次に『勇者王ガオガイガー』の新番組予告が流されている。
感動のラストのあと、非常に熱い主題歌をBGMに新シリーズの展開を紹介する予告は、最終回の余韻がぶち壊しだとして不満を覚えた視聴者と、ハードな展開を思わせる予告に大きく期待を寄せた人に二分される模様。
と言ってもこれは『ガオガイガー』に非があるわけではなく、放送する側の問題である。



約束をちゃんと守れる人の追記・修正をお願いします。


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