衝撃の刻!明かされた互いの正体(セーラームーン)

登録日:2020/07/08 (水) 20:46:21
更新日:2020/07/16 Thu 23:03:17
所要時間:約 8 分で読めます




「衝撃の(とき)!明かされた互いの正体」とは、テレビアニメ『美少女戦士セーラームーンS』の第20話(シリーズ通算109話)のサブタイトル。
1994年9月24日に放送。



脚本:富田祐弘
演出:佐藤順一
作画監督:黒田和也
美術:鹿野良行







月野うさぎら内部5戦士、そして天王はるかと海王みちるの外部戦士のそれぞれの正体が明かされ、2組の関係が大きく変化する回である。
この回を機に、ただでさえ変身後は利害関係でぶつかり、タリスマンを巡る方法論で対立し合う彼女らは、本格的に一線を引くことになる。
特に、この回を境にはるかは変身前の紳士的な面をうさぎ達に見せることはなくなり、冷厳な態度で彼女らに接するようになる。

重要回だけあって決別の瞬間は非常にシリアスな雰囲気である。





























































……というのはラストのうちのわずか3分程度のみ。


残りの20分強はギャグ満載でお届けしている。



今回の真の主役は愛野美奈子/セーラーヴィーナス
これまで、内部セーラー戦士の中で唯一、敵にピュアな心を奪い取られてなかった彼女が自分の純粋さに悩んだ挙句、自分もピュアな心を奪われるためにあの手この手の珍作戦でピュアさをアピールしまくるというぶっ飛んだ回である。
今回をもって、それまでもお茶目で抜けてる印象を与えてきた美奈子は、完全にギャグキャラとしての道を進んでいくこととなり、もはや無印でのしっかり者のお姉さんとしての面は影も形もなくなった。







【あらすじ】


デス・バスターズの研究室。
教授のデスクの電話が鳴り、受話器を取る教授。
電話の主はユージアルだ。曰く、聖杯のデータに「人の影」が割り込むようになったという。



やはりな。それは聖杯を扱う者なのだ。


デス・バスターズに味方する者が聖杯を手にすれば、暗黒の世界が完成し、逆に彼らの意に反する者が手にすれば野望は砕かれる……。


どうやっても我々が先に手にせねば、ならんのだ……!あっ…。\バキッ/

両手で受話器を掲げて叫んでいたら力みすぎてしまい、受話器を壊してしまう教授。
「聖杯を扱う者とはどこに?」と尋ねるユージアルだが、教授は「先に聖杯を手に入れる方が先だ」と誤魔化す。



ところで教授、今受話器壊しましたね?修理代はお給料から天引きさせてもらいますので。

セーラー戦士どもに、払わせてやりたい……!!

(セーラー戦士達は全員未成年ですよ、教授…。)




一方、火川神社。うさぎ達5人組はいつもの勉強会をしていた。
今日は珍しく、うさぎが難しい問題を新記録で解くことに成功した。みんなから褒められるうさぎ。
だが、亜美が添削すると計算ミスを指摘。
せっかく自信があったのに間違ったことで泣き出すうさぎは、


もうヤダヤダこんな苦しい思いをするなんて……!

と弱音を吐く。

するとレイが彼女を一喝する。


そのぐらいの苦しさが何よ!ダイモーンにピュアな心の結晶を盗られた時の苦しさを忘れたの!?

すると他のメンバーも


そうよ。あの時の苦しさに比べたら、お勉強なんて楽しいくらいよ?

頑張ろう、うさぎちゃん。

うん、わかった……。

本当に苦しかったものね、あの時は……。

うん、ペットボトル一本分を一気飲みしたくらい苦しかったわ……。


…と労い合う。

……だが、美奈子だけはその話題に乗って行けず、引き攣った笑みを浮かべているのだった。


夕暮れの公園のブランコで一人座り込む美奈子。
アルテミスが事情を尋ねると、他のみんながピュアな心を狙われたのに、どうして自分だけ狙われないのか疑問なのだという。
それに対し


うん、ピュアじゃないからなのかなぁ?


……と、単刀直入すぎる意見を口走り睨まれるアルテミス。思わず訂正する。
大好きなバレーボールを辞めたせいか…?と一人ごちる美奈子。アルテミスは「気にしているのか?」と不安げに尋ねる。


翌日、学校で美奈子は一人でバレーボールのアタックの練習に打ち込んでいた。
スポーツ漫画張りのけたたましいアタックを繰り出し、体育館中をボールだらけにする美奈子。
勢い余って、様子を見に来たうさぎの顔面に当ててノックアウトしてしまう。
慌ててうさぎの介抱に行く美奈子だが、逆にうさぎからピュアな心のことで心配される。
アルテミスがルナ経由で話したらしい。笑って誤魔化す美奈子。しかし…



どう考えたってあたしだけピュアな心が狙われないなんて納得いかないわよ…あ~いけませんとも……


…と、実に不純な不満を内心抱えているのだった。




ゲームセンターで変な福の神の人形のUFOキャッチャーに挑戦している美奈子とうさぎ。
美奈子のことで相談し合うルナとうさぎだが、美奈子は明らかに神経質になっていた。


あたしのどこがピュアじゃないってのよ……あたしのピュアさに気付かないなんて、敵も大したことないわね……

挙動不審な態度に「まさか敵にわざとピュアな心を狙わせようなんて思ってないわよね」と推察(その通り)するルナ。
気が動転したうさぎは何としても止めようとする。



もしピュアな心の結晶を奪われたらどうするの!?

その時は自分で取り返してみせるわよ……

そんなきんぎょ注意報のような変顔しながらの取っ組み合いの結果、コントローラーが滅茶苦茶に押されて大量の人形をキャッチャーに掴ませ、大量ゲットしてしまうのだった。


帰り道、うさぎのピュアさ=ただのおバカさんと解きながら、ピュアさを求めることを諦めさせようとするルナ。それを聞いていじけるうさぎ。
そこで美奈子が神妙な顔になり……


うさぎちゃん、頼みがあるの。

何?

…これ、半分もらってくれない?

…大量の人形だ。しかも態々「ありがた迷惑」とか書いてある。


ちょっとイヤかも…!あはは、あははは……

今度は書店に立ち寄り、「ピュアな心のすすめ」の本を読みだす美奈子。


うさぎ達は


しばらくそっとしておこうよ。

そうよね、美奈子ちゃんのことだから無茶なことしないわよね。

そうかなぁ……

と身を引く。


本には「一途に熱中すること」とあるピュアな心。


確かにうさぎちゃんなんかは、バカがつくほど何事にも熱中するわね。それに比べてあたしは、途中で色々考えちゃう、オトナなタイプなのかな……

…と、美奈子は親友に失礼なことを言いつつ、どの口でそんなことを言うんだというようなことを考察していた。

そこで不意に声をかけられる美奈子。声の主は天王はるかだった。
たまたまみちると一緒に書店にいたらしいはるかは、美奈子の「ピュアな心のすすめ」の本に気付く。
そこで美奈子は「ピュアな心って何だと思いますか?」と二人に尋ねる。
緊張するはるかとみちる。まさか、タリスマンの事を知っているのか?


「た」…

「タ」…

「タ」…?


たとえば、こんなことをするのが、ピュアな心の人っぽいよとかないですか?

「た」…

「た」…?

た…にん(他人)の役に立つようなことをするとか……?

するとちょうど、献血を呼びかける宣伝カーが通りかかる。
咄嗟にはるかが「献血とか」と提案すると、脱兎の勢いで突っ走っていく美奈子。

「考えすぎか」と安心する二人。しかし同時に、美奈子の危うい純粋さが敵に狙われると危惧する。
どぅ~どぅ~♪といつものBGMをバックに優雅に書店から去ろうとする二人。しかしそこに宣伝カーを追いかけたはずの美奈子が帰ってくる。
帰ってきた美奈子は、お礼として福の神人形の2体を二人に手渡すのだった。
はるかは「家内安全」、みちるは「健康第一」だ。



欲しくないな、これ……
どぅ~どぅ~♪

美奈子のシリアスブレイクは遂にカリスマをも蝕んでしまった。


早速献血カーで献血してもらう美奈子。


その頃デス・バスターズでは、「得体の知れないピュアな心の持ち主」にユージアルが反応しつつあった。
しかし、またセーラー戦士に邪魔されることを嫌がるユージアル。
それを聞き、教授は次のダイモーンを「セーラー戦士の邪魔を防ぐ力」を持ったものにするべく、ドアから切り取ったドアノブを材料にするのだった。


年齢を誤魔化し、献血を梯子し続ける美奈子。
採血されながら、自分のピュアさに自己陶酔している。



他人の役に立つあたし……ピュアだわ。ピュアすぎる……



献血し続ける美奈子の身を案じて、に相談するうさぎ。
衛はうさぎに「敵に襲われるかもしれないから傍にいてやること」、「栄養をつけること」と助言する。

まこと達もまた美奈子の行いを見守っていた。
敵はやがて美奈子を狙うかもしれない。その時のためにも、みんなで助けてあげるしかない。


でも考えてみたらさ、自分のピュアな心のために献血を梯子する美奈って、ピュア?


ピュ、ピュアよ美奈子ちゃんだって!

ピュアピュアピュア……


アルテミスの身も蓋もないツッコミに固まる一同。

栄養ドリンクの差し入れをするうさぎを連れて、また次の献血へ向かおうとする美奈子。


…ところが、そこではワゴン車に乗ったユージアルが見張っていた。
いつものように「捕獲!」と銃を発射するユージアル。
美奈子はドリンクを飲んだまま、彼女の前にピュアな心の結晶が出現してしまう……。

「美奈子ちゃん!」と駆け寄るうさぎ。


すると……



美奈子は生気を失った目でむくりと起き上がると、自分のピュアな心を抱えだしたのである。
仰天するうさぎ。

そして……



ケケケケケケケケケ、ケケッケッ!ピュアな心、ケケッ!出たわ!


けたたましい笑い声をあげる美奈子。もはや人間業じゃない。



よ、良かったね美奈子ちゃん、さぁ、早くしまおう?



ウケケケケケッ!



だが美奈子は奇天烈な笑い声を上げながら、ピュアな心を抱えて全力疾走し始める。
「そんな馬鹿な!」と車で追いかけるユージアルと、それを追ううさぎ。
さらに後には様子を伺っていたはるかとみちるの姿も。アルテミス達は美奈子が落とした栄養ドリンクの瓶に躓き派手にすっころんで大幅にタイムロスだ。



美奈子が駆け込んだのは休館中のビルの地下駐車場だった。
全力疾走して自力で逃げ込んでから美奈子はようやく力尽き、幸せそうな顔で気絶していた。
真っ先に到着したユージアルは「恐ろしい精神力だ…」と戦慄しつつもピュアな心を奪おうとする。ところが、そこへうさぎが止めようと駆け込んでくる。
構わずユージアルは車に積んだダイモーンを召喚。
そのダイモーン・ドアノブダーは「戸締り専門」のダイモーンであった。
駐車場の出入り口を全て封鎖し、巨大パネルで車の出口をも、うさぎと遅れてきたはるかとみちるごと閉じ込めてしまう。
そこでうさぎの前に姿を現さざるを得なかったはるか達。

ここで変身したら正体がバレる。葛藤するうさぎ、そしてはるかとみちる。
だが、意を決してうさぎは変身して美奈子を助けることを選ぶ。
セーラームーンに変身したうさぎを見て仰天するユージアル、そしてはるか達。



なんですって!?

やはり彼女が……!


ピュアな心を大切にしたい!そんな乙女の純情を狙うなんて、許せない!

愛と正義の、セーラー服美少女戦士!セーラームーン!

月に代わって、おしおきよ!


ドアノブダーに戦わせようとするユージアル。だがドアノブダーは「私は戸締り専門で戦うのはちょっとぉ…」と面倒くさそうに言う。
ユージアルに怒られたので、しぶしぶセーラームーンと戦うドアノブダーはそこそこ強かった。
安心してピュアな心に手を伸ばすユージアル。しかし、そこへ投げられる「健康第一」の福の神人形。みちるだ。
ユージアルの命令でドアノブダーが攻撃を仕掛けるが、またはるかが投げた「家内安全」の人形に吹っ飛ばされる。何でできた人形だ

そして意を決した二人は、セーラーウラヌスとセーラーネプチューンに変身。
衝撃を受けるムーンとユージアル。
ワールド・シェイキングでユージアルを後退させた後、美奈子のピュアな心をチェックする二人。
ムーンが止めようとするが、今回もまたタリスマンではなかった。

ちょうどパネルの外では、マーズ達3人がこじ開けようとしていた。
自棄になったユージアルはドアノブダーに皆殺しを命令するが、当のドアノブダーはディープ・サブマージにぶっ飛ばされユージアルに泣きつく。
ネプチューンに言われ、ロッドを掲げるセーラームーン。
ドアノブダー「こいつ(ユージアル)からやっつけた方がいいっすよ!」
…忠誠心の欠片もないダイモーンである。

いつものように、ムーン・スパイラル・ハートアタックを放つムーン。しかし、ユージアルは車の中から掃除機のような機械を取り出す。



ウィッチーズ・ユージアル・ファイヤー・バスター!


機械から発射された火炎は、ムーン・スパイラル・ハートアタックと相殺。跳ね返ったエネルギーに見事に当たったドアノブダーは「ラブリー!」と叫んで絶命し、元のドアノブに戻った。

これこそ、ユージアルが発明した実用新案出願中の「ファイヤーバスター」。その威力はムーン・スパイラル・ハートアタックを防御するほどなのだ。
ドアノブダーが死んだことで駐車場の外のマーズ達は入ることができたが、美奈子を人質に取られてしまう。
「ひとかたまりになんなさい」と誘導されるセーラー戦士達。そして、ユージアルがファイヤーバスターに手をかけようとした時…


一斉にユージアルに叩きつけられる福の神人形の山。
美奈子だ。

そのまま美奈子はセーラーヴィーナスに変身。



全員セーラー戦士だったのぉ!?


「運のつき」と書かれた人形が頭に乗った姿で仰天するユージアル。

そして、ヴィーナス・ラブミー・チェーンでファイヤーバスターに穴を開けられ、ユージアルは撤退する。



キィーッ!覚えてらっしゃい!正体は見ちゃったんだから!バックしまーす!

(…なお、旧アニメ版では敵幹部がセーラー戦士の正体を知るのは死亡フラグなのだが。)


事が終わり、ウラヌスとネプチューンは帰ろうとする。しかし、「はるかさん」「みちるさん」と呼びかけ、彼女らの目的を聞くムーン。
だが二人からは「余計な詮索はするな」と冷たく一蹴されてしまう。
そこにはもう、大人の雰囲気でうさぎ達と戯れていた二人の面影はなかった。
ショックを受け、立ち尽くす5人。


一方で、はるかとみちるもまた、正体がバレてしまったことに複雑な思いをよぎらせていた。


私は後悔はしてないわ。

そう?

そうしなければ、私達も死んでいたかもしれなかったし、それに、あの子達も助けてあげたかった……




そして、屈指のギャグ回のラストでお互い正体がバレた各陣営はそれぞれ大きく動き始め、屈指のシリアス回へと続いていくのだった。



【余談】

  • はるかとみちるのシーンではしばし、場面転換時にどぅ〜どぅ〜♪のBGMとハーモニーカットを用いることがあるのだが、今回はそのハーモニーカットで優雅に立ち去る2人に美奈子が割り込んで通常カットに引き戻している。
  • 献血の下限年齢は最低の200mlでも16歳である。美奈子は劇中では18歳と偽っているが、体重の面を考慮しても健康上大いに問題がある。実際受付のお姉さんに物凄い白い目で見られている。
    また、献血は通常、4週間間隔を開けなければ次の献血ができない。美奈子は少なくとも劇中では3回は短期間のうちに献血している。よくピュアな心を奪われた状態で動けたものである……。
  • 今回のラストシーンははるかとみちるが海岸沿いでバイクを止め、海を眺めているという優雅なものだが、2人の右側には駐車禁止の標識が立っている。













ピュアな心を抱えたまま全力疾走できる人は追記修正お願いします。

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最終更新:2020年07月16日 23:03