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更新日:2025/08/17 Sun 12:48:56NEW!
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『TOKYO MER 走る緊急救命室』とは、2021年7月から9月にかけてTBS系列で全国放送されていた日本のテレビドラマ。
毎週日曜日午後9時の、「日曜劇場」の枠で放送されていた。全11話。
概要
本作は、「日本初の自治体直轄運営の緊急救命医療チーム」をテーマにしたドラマである。
企画の始まりとなったのは、2020年、新型コロナウィルス(COVID-19)のパンデミックにおいて、多くの医療従事者が、命懸けでウィルスを食い止めた姿が広く知れ渡った事だった。
これを受け、TBSで新たに、「最前線で奮闘する医療従事者」の物語を描いたドラマが製作される事となった。
本作の特徴としては、主人公の所属する医療チームは重大事故、災害、事件の現場における救命救急を専門としている事である。
従来の医療ドラマによくある、院内の医師同士の勢力争いや患者との関係といった、病院でのドラマは抑え目であり、「現場における救命救急医療」を重点的に描いた。
というのも、本作では最新の医療機器やオペ室を搭載した大型車両「ERカー」を駆使し、「現場で実際に手術をする」命の駆け引きも描く斬新な設定があるからである。
そして、主な舞台となる事故現場については非常に気合いが入った作りになっており、緊迫感あふれる演出となっている。
その気合の入れようは尋常ではなく、毎週ディザスタームービー顔負けの事故現場が描かれ、劇場版では完全にハリウッド映画に匹敵するほどの迫力ある「災害」となっている。
あまりに主人公達が命の危険に晒されるような修羅場で救命救急医療を行いすぎて、「医療ドラマというよりヒーロードラマになっている」という意見も少なくない。
しかし、「一人でも多くの命を救う」という高潔な人間達が奮闘する姿は多くの視聴者の心を打ち、高い支持を得た。
脚本は、映画『
キングダム』シリーズの黒岩勉。
出演者には、鈴木亮平、賀来賢人、中条あやみ、菜々緒、小手伸也、佐野勇斗、要潤、石田ゆり子といった実力派キャストが集結した。
シリーズ化
本作の好評を受け、続編が次々と発表された。
- TOKYO MER 走る緊急救命室 隅田川ミッション
2023年4月16日に放映されたテレビスペシャル。
テレビシリーズの半年後、隅田川の屋形船衝突事故が舞台。
2023年4月28日に公開された映画第1作。(劇場版1と呼称)
横浜ランドマークタワーの火災事故が舞台。
興行収入は45億円と、2023年公開映画の年間興行収入で第9位にランクインした。
- 劇場版 TOKYO MER 走る緊急救命室 -南海ミッション-
2025年8月1日に公開された映画第2作。(劇場版2と呼称)
シリーズ初の関東外が舞台で、鹿児島県の孤島の火山噴火を題材にしている。
Paravi限定(サービス終了後はU-NEXTに移行)で配信されたスピンオフドラマ。
ストーリー
新型コロナウィルス蔓延から1年が経った2021年。
東京都知事の赤塚梓は、あらゆる事故、災害、事件といった救急医療を必要とする現場に対応できる医療チーム「MER」を日本で初めて結成すると宣言。
その試験運用として、東京海浜病院のスタッフを中心とした医療のスペシャリスト達が選出された。
だが、彼らの中心となるチーフドクターの喜多見は経歴に謎が多く、監査役の医系技官の音羽は彼に懐疑の視線をぶつける。
そんな中でも、「一人でも多くの命を早く救う」という理想に燃える喜多見の影響を受け、チームのスタッフや周囲の人間達はMERとしての職務を命懸けで果たしていくのだった。
登場人物
登場人物の苗字の殆どは日本の地名が由来となっている。
TOKYO MER
演:鈴木亮平
主人公。TOKYO MERのチーフドクター。
人当たりが良く、常に他人に真摯な態度で接する好人物であり、チームメイトや患者だけでなく敵対する人物にも親切。
海外の戦場や難民キャンプを渡り歩き、数々の救命現場を経験しており、咄嗟の的確な判断や処置の手際の良さなど、救急医療のプロフェッショナルとして高い実力を持つ。
幼少時代、銃乱射事件において瀕死の状態になった母親を救命救急医師に診てもらえず、両親を亡くしてしまった過去がある。
「一人でも多くの命を救う」事を信条に掲げており、いかなる危険な現場でも進んで立ち入り、救命措置をその場で行う事を厭わない。
時には無謀とも言えるような試みをする事もあり、その度に音羽をはじめとする周囲の人間の肝を冷やしている。
あまりに高潔な理想を掲げるために、当初は周囲から胡散臭く思われていたが、徐々にその熱意を認められ、やがては「駆けつけただけで安心感を与える」存在となっていく。
本編開始1年前の経歴が空白となっており、その事が原因でテレビシリーズでは窮地に追い込まれていった。
演:賀来賢人
セカンドドクターの若い医師。
厚生労働省から派遣された医系技官であり、試験運用のTOKYO MERを査察するためにチームに加えられた。
何に対しても冷淡かつ客観的な態度を崩さず、表情を殆ど変えないポーカーフェイスを貫いている。
その分いかなる時も冷静沈着であり、あらゆる修羅場にも動じる事なく的確な指示を出せる指揮官タイプ。
だが、実は激情家という一面を潜めており、時折素が出て口が悪くなる。
医療技能も高く、喜多見の措置にも弱音一つ見せずついていけるほどの腕を持つ。
低所得の家庭だったため、病弱な両親が治療を受けられず亡くなった過去があり、以来官僚となって医療現場の改革という夢を抱いていた。
当初は、安全な場所を離れ危険な現場で活動する喜多見のやり方を非難し、MERの存続を疑問視していたが、MERで活動を共にするうちに、彼らの存在が医療現場を変えられる希望になっていき、仲間として共に働く決意を固めていく。
テレビスペシャルラストで厚労省に復帰し、劇場版1からはMER専属の統括官に就任する。
演:中条あやみ
MERに飛び入り参加する事になった研修医。
元は循環器科所属だったが、喜多見の強い希望でMERと兼務する事になった。
当初は救命医療を「向いていない」と思っており、仕事に積極的ではなかったが、喜多見や音羽との仕事をするうちに、「命を救う」事への情熱を抱くようになる。
やがて救命医師として成長していき、研修終了後はMERのセカンドドクターに正式着任した。
演:菜々緒
看護師。
元気溌剌なサバサバした雰囲気の女性。
病院で様々なケースに関わり、知識も豊富なため、喜多見の右腕役として現場では阿吽の呼吸でてきぱきと措置をする。
シングルマザーで、娘との時間がなかなか作れないが、お互いを大切に思っている。
演:小手伸也
麻酔科医。
穏やかで心優しい、チームのお父さん的存在。
息子に「自分は副チーフ」と嘘をついていたと発覚してからは、親しみを込めて非公式の「副チーフ」の役職で呼ばれている。
演:フォンチー
看護師。
EPA(経済連携協定)で来日したベトナム人であり、明るく元気なムードメーカー。
日本の漫画やアニメが好きで、日本のことわざもよく引用する。
演:佐野勇斗
臨床工学技士・救命士。
医療工学のプロフェッショナルであり、様々な医療機器の取扱いを熟知している。
生粋のメカオタクで、TO1を「我が子」と言うほどに溺愛している。
劇場版2では看護師の資格も取った。
演:伊藤淳史
テレビスペシャルでMERに一時的に配属になった厚労省の医系技官。
音羽に対抗意識を燃やしているが、実際はMERを潰すために送り込まれた実力不足の「ポンコツ」として扱われていた。
隅田川の任務で自分の実力不足を思い知るも、比奈の懸命な働きを目の当たりにして、医師としていちからやり直す決意をした。
演:ジェシー(
SixTONES)
劇場版1で配属となった研修医。
喜多見に憧れてMER配属を希望したが、当初は危険な現場に戸惑う一方だった。
しかし、比奈の背中を追ううちに、肝を据えた医師として成長していった。
東京都関係者
演:石田ゆり子
東京都知事でTOKYO MERの創設者。
報道記者から衆議院議員となり、その後東京都知事に就任し、やがては女性初の内閣総理大臣を狙っている。
一見、人当たりのいい女性だが、その裏には計算高い本性を潜ませている切れ者。
親しい人間には、「TOKYO MERを成功させ、出世のための足掛かりにする」と語っているが、本心では人命救助への情熱があり、MERに希望を託している。
テレビシリーズでは重い心臓病を患っていたが、千晶の手術により完治する。
演:要潤
東京消防庁の即応対処部隊隊長。
災害現場における人命救助を使命とするレスキュー隊員であり、仕事に誇りを持っている。
当初は、危険な現場で医療措置を行う喜多見らMERの存在を苦々しく思っていたが、彼らの「人を救う」想いに触れ、やがては互いに信頼し合える関係となっていく。
演:橋本さとし
東京都危機管理対策室室長。
元消防庁即応対処部隊であり、千住の上司。過去の任務で足を負傷したため、車椅子で生活している。
様々な災害においても冷静に指示を下すが、MERの無茶な働きには毎度肝を冷やすことも。
演:猪塚健太
演:工藤美桜
危機管理対策室のオペレーター。
事件の最後は、清川の「死者、ゼロです!」が毎度のお決まりとなっている。
東京海浜病院
演:仲里依紗
循環器科の医師。
日本でも有数の心臓手術技能を持つ人物であり、比奈にとっては憧れの的だった。
実は喜多見とはかつて結婚していたが、世界中を飛び回る彼とのすれ違いにより離婚した。
だが、別れた後も彼のことを放っておけずにいる。
劇場版1では喜多見に再度プロポーズされ再婚。横浜ランドマークタワーでの事件の最中に出産し、一児の母となった。
演:佐藤寛太
循環器科の研修医。
比奈の同期であり、彼女がMERで働き続ける事を勧めていない。
厚生労働省
演:渡辺真起子
テレビシリーズの厚生労働大臣。
赤塚とは因縁のライバルであり、周囲からは二人の抗争は「赤白戦争」と呼ばれている。
厚労省の面目の邪魔となるTOKYO MERを潰すため様々な介入をし、彼らの活動の妨害をする。
しかし、医系技官であった過去や赤塚の本心を知り、最終的にはMERに協力するようになった。
劇場版1では内閣官房長官に出世している。
演:鶴見辰吾
厚生労働省医政局長。
白金の忠実な部下であり、MERの計画中止の策を練る。
音羽の直属の上司で、彼に命令してMERの弱みと、喜多見の経歴の詳細を探るよう命令するが、やがて彼から反旗を翻される事となる。
テレビスペシャル以降は「強い者の味方」として、様々な厚労大臣に尻尾を振っていたが、劇場版2では厚労副大臣に就任し、図らずも全責任を負う立場となった。
演:桂文珍
厚生労働省を支援している大物政治家。
その実、不正な金で大儲けし、自身の保身と権力の事しか頭にない下卑た男。
医療の現場も全くわかっておらず、MERを潰して自分の面子を保とうとしている。
- 火災発生時に緊急ボタンを何度も強く押したことで機械が故障して外との通話ができなくなる
- 我先に助かろうとエレベーター内で飛び跳ねた結果、ワイヤーが切れて危うくエレベーターが落下しそうになる
- エレベーター内の妊婦が破水し、患者や涼香、音羽が酸欠になろうとしているにも関わらず、酸素ボンベを独り占めする
と傍若無人&トラブルメーカーっぷりを披露、あまりの自己中さに視聴者の怒りを買うことに
喜多見たちMERの活躍により全員助けられるが、その後赤塚知事により『自分の事を顧みずに真っ先に人命救出に尽力した』とヒーローとして利用され、MERの取り潰しができなくなった。
最終的には白金大臣にも見限られ、不正献金の証拠をばら撒かれた事で失脚、逮捕された。
演:鴻上尚史
テレビスペシャルの厚生労働大臣。
青戸を送り込んでTOKYO MERに失態を侵させようとしたが失敗する。
演:徳重聡
劇場版1の厚生労働大臣。
厚労省直轄の横浜MERを管轄し、TOKYO MERのような危険な任務をさせないようにしている。
他地域のMER
演:杏
横浜MERのチーフドクター。
多くの場数を踏み、高い実力を持つ医師であり、手術のスピードとしては喜多見以上。
音羽の医大時代の同級生であり、彼を留学に誘っていたが断られていた。
演:古川雄大
横浜MERのセカンドドクター。
当初はTOKYO MERを小馬鹿にしていたが、実際の彼らの実力を目の当たりにして評価を改めた。
演:江口洋介
南海MERのチーフドクター。
普段は陽気でお気楽な「町医者」だが、緊急時には人命救助に専念し、普段から診察している住民の健康状態を考慮に入れ、的確な判断を下せる。
演:高杉真宙
演:生見愛瑠
演:宮澤エマ
南海MERのメンバー。上から看護師2人に麻酔科医。
常盤と知花は船舶免許も持っている。
当初は牧志の緊張感のなさに失望していたが、火山噴火事件により牧志の本心を知り、彼のサポートに全力を尽くす決意をする。
その他
演:佐藤栞里
喜多見幸太の妹で、ボランティアNPO法人のスタッフ。
生活能力のない兄を呆れつつも、彼の生き方に誇りを持っており、MERの人々を温かく見守っている。
最初は反感を抱いていた音羽にも、彼の優しさを知って互いに心を惹かれていく。
第10話において知り合った椿に持たされた瓶に仕掛けられた爆弾により、喜多見の目の前で爆発に巻き込まれてしまう。
すぐにMERが救命措置を行うが、その甲斐なく絶命してしまった。
彼女の死は、喜多見や音羽に深い心の傷を負わせる事となった。
演:稲森いずみ
警視庁公安部の刑事。
世界で暗躍するテロリストのエリオット・椿を追っており、その過程で彼と接点があった喜多見を怪しみ、彼を協力者だと睨んで徹底して追い詰める。
演:城田優
世界的に悪名高いテロ組織「LP9」の幹部。
SNSにより若者の支持を得て、多くの人間を手駒にしている。
かつて海外で重傷を負った際に喜多見に命を救われるも、「彼の真っ直ぐな純粋さが気に入らない」という理由だけで、喜多見を徹底的に苦しめようとすべく来日。
東京で様々なテロ事件を起こし、喜多見らMERを苦しめていく。
用語集
新たに開設された、東京都直轄の救命救急医療チーム。
「MER」とは、「Mobile Emergency Room(機動救命室)」の略称。
大規模な事故、災害、事件の現場において救命救急医療を実施する事が許可されており、東京都危機管理対策室の指示で動く。
劇場版以降は厚生労働省の管轄で日本各地に同様のMERが開設された。
TOKYO MERが所持する巨大ERカー。現実には存在せず、本作用に新たに作られた改造車である。
最新の医療機器を多数搭載しているだけでなく、本格的なオペ室も常備している。
かなり頑丈に作られており、災害で損傷した時もある程度は耐えられる。
ベースとなった車両は三菱ふそう・スーパーグレート。
この他にはより小回りのきく乗用車型のT02、バイクのT03が運用されている。
横浜MERは本車の改良型Y01、南海MERは三菱ふそう・キャンターを改造したオフロード仕様車NK1を保有している。
追記・修正は待たずに自分から進んでお願いします。
- 椿の動機と所業やっばいな… -- 名無しさん (2025-08-17 07:27:25)
- 新型コロナウィルス無しでは世に出る事も無かった作品の一つかこれ… -- 名無しさん (2025-08-17 08:07:16)
- きっと次は超大型ヘリにMERの機能を搭載した「空飛ぶ緊急救命室」になるな。 -- 名無しさん (2025-08-17 08:53:09)
- ↑そしたらその勢いで船舶バージョンもやり出すかも。 -- 名無しさん (2025-08-17 11:09:47)
- ↑ その船舶版が劇場版第二作。でも空と飛ばすとコード・ブルーみたいになるんじゃ…? -- 名無しさん (2025-08-17 11:55:23)
- 先日タカラトミーとのコラボで発売されたERカーのトミカがこの手の商品としてはかなりの売れ行きで入手困難だとか。凄いね。 -- 名無しさん (2025-08-17 12:09:47)
- 誰が呼んだか「メカの出てこないレスキューポリス」「ロボの出てこないゴーゴーファイブ」 -- 名無しさん (2025-08-17 12:35:10)
最終更新:2025年08月17日 12:48