登録日:2025/08/17 Sun 20:53:00
更新日:2025/08/17 Sun 21:13:29NEW!
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🌀概要🌀
本編のゲームシステムを引き継いではいるものの、弾薬や回復アイテムが膨大に配置されていることからも明らかな通り、サバイバルホラー要素は薄い。
本作は本編のアラン編『イニシエーション』の劇中劇というポジションである。
『イニシエーション』の舞台となるのは「闇の世界のニューヨーク」であり、アランの創作が現実になった世界であるため、本作の3つのエピソードもアランが闇の世界から脱出するために執筆したエピソードということになる(3つのエピソードはいずれも脚本がアラン・ウェイク)。
『Alan Wake's American Nightmare』では、アランが過去に書いた『ナイトスプリングス』のエピソード『アメリカン・ナイトメア』を元に脱出のための物語『リターン』を執筆してアリゾナ州某所に架空の町ナイトスプリングスを出現させ、主人公の「光の闘士」に自分自身を投影させることでアランがナイトスプリングスに召喚され、一時的とはいえ闇の世界から地上に上がった様子が描かれていた。
本作で描かれるナイトスプリングスはブライトフォールズっぽい場所やウォータリーの遊園地っぽい場所、コールドロンレイク近くの森に似た場所と、馴染みのある風景ばかりであり、登場人物も本編で見覚えのある人ばかりである。
そして、各主人公がアラン・ウェイクと出会ったところで物語は幕を閉じる。
つまり、本作はアランが『アメリカン・ナイトメア』の要領であちこちをナイトスプリングス化させて「主人公」に自分を救出させようとした試みを、「主人公」にされた側の視点から描いた作品なのである。
因みに「現実世界に出現した平行世界」のことを作中用語で「スレッショルド」と呼び、それによって引き起こされる平行世界による汚染や現実改変は「
変貌世界事象」と呼ばれる。
ナレーターはお馴染みのロイド・フロイドから変更され、デビッド・ヘアウッド演じるワーリン・ドアが担当する。
🌀ストーリー🌀
『エピソード1:一番のファン』
脚本:アラン・ウェイク
ナレーター:ワーリン・ドア
ミスター・ドア:
ファンとは 辞書におけるその言葉の定義には…
「愛好家 熱狂的な信者 ファナティックの略称」とあります
部外者から見れば危険な執着で 狂気にも見えますが
ファンには 全く異なるものとして映っているのです
ファンとは楽しみに満ちたこと
生きる目的を明確に知ることによりはじめて得られ 満たされた者となる
だが その目的が受動的になったら?
憧れの人が 無数のファンの中から自分を選んでくれるなら?
彼の秘密のメッセージを解読できる存在
あこがれの存在を救うため どんな犠牲を払えるのか?
ここ…ナイトスプリングスで
今夜のカルトクラシックなエピソードは…『一番のファン』
ナイトスプリングスで一番のダイナー「ナイツ・ダイナー」のウェイトレスは、作家の一番のファンである。
ある日、彼女は作家からメッセージを受け取る。
「助けてくれ!君は俺の一番のファンだ!俺を救えるのは君だけだ!」
彼女は迷うことなくショットガンを手に、ナイツ・ダイナーを飛び出した。
麗しの、か弱き、愛しき作家を救うために。
『エピソード2:北極星』
脚本:アラン・ウェイク
ナレーター:ワーリン・ドア
ミスター・ドア:
消えた愛する人を捜す若い女性
彼女は影に包まれた政府のエージェンシーを出し抜こうとする
そのエージェンシーこそ 彼女の愛するものを奪った組織だ
捜索の中 彼女は謎めいた守護天使に導かれる
星が彼女に道を示す いつものように
この先どんな奇妙なことが起こるのか
彼女は光を辿って 小さな町に行き着いた…
ナイトスプリングスへと
今夜の夢のようなエピソードは…『北極星』
政府の機密機関に弟を攫われた姉は、自身に宿る守護天使に導かれ、やがてナイトスプリングスの寂れた遊園地に辿り着く。
だがそこは、恐るべき政府の秘密の施設であった。
果たしてここに、愛する弟はいるのだろうか…。
『エピソード3:時空の破壊者』
脚本:アラン・ウェイク
ナレーター:ワーリン・ドア
ミスター・ドア:
違う決断をしていたらと 考える
選ばなかった方こそ 我々が進むべき道だったなら?
もっと良かったのか?
それとも 選んだ方が正しい選択だったのか?
逆に 違いがなかったなら?
無数の異なる自分の運命すら ただ一つの現実ではなくすべての現実を超える力によって固定されているとしたら?
あなたならこれをどう捉えてどのように考えるでしょうか?
彼においては 強力すぎる運命の磁力に時空が破壊される
この孤独な人間の多くのバージョンに注目しよう
彼は敵を追う 「数多の世界の主」と呼ばれる危険な存在
マルチバースを跨ぎ複数のバージョンの街を訪れる
それは常に同じで 常に異なる
ナイトスプリングス
今夜の現実を曲げるエピソードは…『時空の破壊者』
俳優ショーン・アシュモアは、ポイズン・ピル・エンターテイメントの新作ゲーム『タイム・ブレーカー』の主人公役に抜擢され、スタジオに来ていた。
撮影に一区切りつき、ショーンは自分の役を把握するために監督のサム・レイクと会話する。
サム曰く、この作品はメタ構造であり、平行世界にはこちらの世界のフィクションが現実に存在しているという。
話半分で聞いたあと、次の撮影まで休憩をとるため楽屋へ向かったショーンは、自分の休憩室で平行世界から来た自分の別バージョンの惨殺遺体と対面する。
そして、床に落ちているサムの脚本には、今まさに起こっていることが書かれていた。
そして、遺体の手にはゲームの小道具にそっくりな、時空を超える装置が握られていた。
装置を手にしたショーンの前に、赤毛の女が現れ、言った。
「聞いて!伝えたいことがあるの あなたに危険が迫ってる」
次の瞬間、ショーンは平行世界の森の中にいた…。
🌀キャラクター🌀
『一番のファン』
演者:ジェシカ・プレディ
エピソードの主人公。
ワシントン州ブライトフォールズにそっくりなナイトスプリングスに住む、
ローズ・マリーゴールドにそっくりな「ナイツ・ダイナー」のウェイトレスにしてオーナー。
「作家」の一番のファンであり、彼の助けを求めるメッセージを受け取り、ショットガンを手に「作家」のいる大きな屋敷へ助けに向かう。
その正体は、アランの原稿により「ウェイトレス」を演じさせられたローズ自身である。
演者:イルッカ・ヴィリ
声:マシュー・ポレッタ
アラン・ウェイクにそっくりなアメリカのベストセラー作家。
ナイトスプリングスの町の近くの森に建つ立派な屋敷で暮らしている。
標本や動物、自分の著書を介して「ウェイトレス」に助けを求めた。
その正体は、ローズを物語の「ヒーロー」として自分を闇の世界から助けさせようとしたアラン自身である。
演者:イルッカ・ヴィリ
声:マシュー・ポレッタ
「作家」の邪悪な一卵性双生児。
ナイトスプリングスの近くの町の、質素なキャビンで暮らしている。
ヨーロッパをバイクで旅している時に狼人間になる病気にかかってしまった。
双子の兄に嫉妬し、彼のアンチ達を従えて屋敷を襲撃するが「ウェイトレス」に阻止される。
比喩表現がくどすぎる!
スティーブン・キングのパクリだ!
「悪ぶった男」が従える、「作家」のアンチ達。
顔色が異常に悪く、凶器を手に襲い掛かる。
だが、「ウェイトレス」の邪魔をする愚か者は、ショットガンの餌食になるのだ。
『北極星』
演者:コートニー・ホープ
エピソードの主人公。
ジェシー・フェイデンやベス・ワイルダーにそっくりな
赤毛の若い女性。
政府の機密機関に捕まっている「弟」を助け出すため、ワシントン州ウォータリーの遊園地そっくりな組織のアジト「コーヒー・ワールド」に乗り込んだ。
その正体は、アランの原稿によりアランを救い出す「ヒーロー」を演じさせられたオールデスト・ハウスに来る以前のジェシー自身である。
「姉」を守り導く螺旋状の光。
コーヒーの汚染から彼女を守ったり、目的地を示したりする。
演者:イルッカ・ヴィリ
声:マシュー・ポレッタ
アラン・ウェイクにそっくりな「姉」の「弟」。
コーヒー・ワールドの倉庫の地下に監禁されていた。
収容装置に閉じ込められ、宙に浮かび、「姉」に自分が見た夢を語ろうとする。
その正体はジェシーを物語の「ヒーロー」として自分を闇の世界から救わせようとしたアラン自身である。
演者:ショーン・アシュモア
その正体はアランの原稿によりナイトスプリングスの保安官を演じさせられたティム自身である。
政府の機密機関。
コーヒーを製造販売する会社に偽装しているが、その正体は伝播力と拡散力を持つ集合意識型生命体。
コーヒーを飲んだ人間やプロモーションビデオを見た人間を「コーヒーの化け物」に変化させる。
その正体は
闇の存在だと思われるが、連邦操作局(FBC)の要素やヒスの要素も複合されている。
光が弱点。
コーヒーを飲んでしまい、全身がコーヒーになってしまったナイトスプリングスの住人たち。
その正体は、「作家を嫌う人」と同様に「闇に支配された者」たちだと思われる。
「ダーク・トライアングル・コーヒー」のロゴがプリントされた魔法瓶を模したマスコット(キグルミ)を身に着けた2人組。
コーヒー倉庫内を巡回し、侵入者を排除しようとしている。
その正体は、アランの原稿により悪役を演じさせられたチャーリー・コスケラとシャーリーン・コスケラである。
『時空の破壊者』
演者:本人役
エピソードの主人公。
ティム・ブレーカーやジャック・ジョイスにそっくりな俳優。
『ポイズン・ピル・エンターテイメント』の新作ゲーム『タイム・ブレーカー』の主人公役に選ばれた。
「前作」に引き続き実写映像を多用する作品らしく、その撮影のために会社のスタジオに来ていたが、そこで「数多の世界の主 ドア」の陰謀に巻き込まれる。
平行世界の自分が持っていた装置を使い、様々な平行世界を越えてドアの秘密に迫る。
こちらはティム本人ではなく、平行世界のティムだと思われる。
演者:本人役
一見すると、彼はアレックス・ケイシー本人ではなく完全に平行世界の別人に見える…が、平行世界の果てに彼の原稿が落ちていたり、『
白夜の夜(短編映画)』でアレクシ・ケサが執筆部屋=闇の世界に囚われる様子が描かれていたり、『Alan Wake Ⅱ』本編の
闇の世界のミュージカルにサムも参加していたりと同一人物であるかのような描写も多い。
メタ的にも作中設定的にも「
もう一人の数多の世界の主」と言える。
演者:コートニー・ホープ
ジェシー・フェイデンやベス・ワイルダーにそっくりな赤毛の女。
『タイム・ブレーカー』に登場する政府の機密機関「リップル・エフェクト社(REC)」のエージェント。
行動を共にしていたブランチがドアに殺され、「俳優」に危険が迫っていると警告するが…。
彼女もまた、ジェシー本人ではなく平行世界のジェシーだと思われる。
演者:デビッド・ヘアウッド
遂に物語に介入してきた番組の司会者。
「数多の世界」を自称し、「俳優」の平行世界の別バージョン達を殺害して怪物「タイム・ブレーカー」に変貌させてしまう。
演者:ショーン・アシュモア
『タイム・ブレーカー』の主人公──つまり架空の人物──だが、平行世界に実在する「俳優」の一人でもある。
平行世界には実在するRECのエージェント。
平行世界から「エージェント」と共にポイズン・ピル・エンターテイメントのスタジオにやってきたが、「俳優」の楽屋でドアに殺害されてしまった。
演者:ショーン・アシュモア
平行世界の「俳優」の一人。
「俳優」が迷い込んだ平行世界のコールドロンレイク周辺に似た森の中のトレーラーハウスで暮らしていた。
ドアに殺害され、タイム・ブレーカーになってしまった。
演者:ショーン・アシュモア
平行世界の「俳優」の成れの果て達。
ショートワープ能力と物理攻撃では破壊できないシールドを持ち、何百万体もいるとされる。
ドアが従える軍勢であり、自由に召喚できる様子。
あらゆる次元の管理人。
「俳優」が訪れたオーシャンビュー・ホテル(平行世界滲出ゾーン)では彼の「サンカリン・タンゴ」が流れている。
また、REC本社ではアーティ本人が床をモップ掛けしていた。
演者:イルッカ・ヴィリ
声:マシュー・ポレッタ
「俳優」が次々に次元を超えた先で出会ったアラン・ウェイクにそっくりな人物。
『Alan Wake Ⅱ』本編の2周目「最後の草稿」のエンディングにてアランは「数多の世界の主」へと覚醒しているため、明確にアラン本人である。
🌀レメディー・コネクテッド・ユニバースの関連要素🌀
『一番のファン』
- このエピソードは、『Alan Wake Ⅱ』でローズが書いていた夢小説にそっくり。
- 『Alan Wake Ⅱ』本編でローズは「アランからのメッセージを様々な場所から受け取っていた」と語っており、このエピソードでは実際にメッセージを受け取る様子が描かれている。
- 『Alan Wake Ⅱ』でローズは銃を手にブライトフォールズ近くの森やコールドロンレイク周辺、ウォータリーを徘徊して「闇に支配された者たち」を排除して回っていた。
- 「作家」が暮らす屋敷はトーマス・ゼインがアーティスト・コミューンとしていた場所であり、執筆活動をしていた場所でもある。
- 「悪ぶった男」は基本的にミスター・スクラッチを彷彿とさせるが、「詩人」というゼインを思わせる要素もある。
- 「作家」の本の一部を読むことができるが、作風やキャラクターの台詞回しが『MAX PAYNE』にそっくり。
『北極星』
- 「ダーク・トライアングル・コーヒー」は基本的には闇の存在を思わせるが、逆三角形のシンボルを使用している点や政府の機密機関である点は『Control』に登場する連邦操作局に似ている。
また、倉庫をアジトにしている点は『Alan Wake Ⅱ』本編に登場する「樹木の教団」と共通している。
また、プロモーションビデオを見るだけで汚染される伝播力はヒスを彷彿させる。
- 「保安官」はコーヒーに洗脳されてしまったが、『Alan Wake Ⅱ』本編でブレーカー保安官は大のコーヒー好きであることが明かされている。
- 「弟」はジェシーの弟であるP6/ディラン・フェイデンに似た要素を多く持つ。
- 1.政府の機密機関に攫われた赤毛の女の「弟」
- 2.収容装置に閉じ込められている
- 3.空中浮遊能力を持つ
- 4.自分が見た「夢」について姉に語ろうとする
『時空の破壊者』
- 『タイム・ブレーカー(Time Break)』の「前作」は『クォンタム・ブレイク(Quantum Break)』だと思われる。タイトルも似ている。
- タイトルの「Time Breaker」は、「Tim Breaker」にスペルがそっくり。
- エピソード全体が『Quantum Break』を思わせる。
- アシュモア氏は『Quantum Break』で主人公ジャック・ジョイスを演じている。
- 序盤で死ぬ「ブランチ」は、ジョイスのオマージュである。
ジョイスという名前は「選択」を意味する「チョイス」の言葉遊びであり、ブランチも「分岐」を意味する。
また、「ブランチ」を演じる「俳優」がエピソード冒頭で言う台詞「お前のために戻るんだ」は、『Quantum Break』ラストのジャックの台詞「後で必ず、戻って来る」への回答である。
- 「ポイズン・ピル・エンターテイメント」はレメディー・エンターテイメントのオマージュである。
- サム・レイクはレメディー・エンターテイメントのエグゼクティブ・プロデューサーである。
- 「REC」は職員の制服や本社の内装がモナークソリューションズに似ている。
一方でREC本社ビルはFBC本部オールデスト・ハウスに似ている。
- 複数の選択肢がありながら最終的に一つの結末に収束するというこのエピソードの仕組みは、『Quantum Break』のゲームシステムと共通している。
- ルートの一つには、ダイバー島のバードレッグキャビンで赤毛の女と暮らすルートがあり、ゼインの過去を思わせる。
- 重要アイテム「変換エネルギーノード」は、『Quantum Break』に登場した重要アイテム「対抗手段/C.F.R.」に酷似している。
- このエピソードで明かされたドアの過去は、『Quantum Break』で言及されたハッチの過去と完全に一致しており、二人が同一人物であることが露骨に示唆されている。
また、元々ドアはハッチを演じた故ランス・レディックが再び演じる予定であり、没データにはランス・レディック演じるドアのポスターの画像があったりする。
- 「俳優」が別の世界の自分と知覚を共有している設定は「クロノン破壊波動関数生命体/シフター」と共通しており、ジャックと「俳優」やティムが同一人物であることが露骨に示唆されている。
- 「エージェント」は「別の世界の私たちはゲームのキャラクターにすぎない」と言うが、マックス・ペインやディラン・フェイデンも夢=闇の世界を介して自分がゲームのキャラクターに過ぎない世界を垣間見ていた。
奇妙な物語を描くように
些細な追記修正で劇的に項目を改善することだってできる
ここ ナイトスプリングスのように
最終更新:2025年08月17日 21:13