バイラス(ガメラシリーズ)

登録日:2025/08/17 Sun 13:28:22
更新日:2025/08/17 Sun 15:11:53NEW!
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宇宙一優秀なバイラス人にとって、我々以外の者は全て不必要なのだ!



「バイラス」とは、ガメラシリーズに登場する宇宙人兼怪獣。


概要

別称 宇宙怪獣
身長 96m
重量 120t
IQ 2500
CV 若山弦蔵(『対バイラス』)

初登場は昭和シリーズ第4作『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』。
地球を侵略するために宇宙からやってきた異星人であり、シリーズ初の地球外怪獣である*1
銀色の体と三股に別れた頭部と六本の触手を持つイカのような姿で、顔はわりと人間に近いが口が嘴のようになっている。ついでに生臭い。
名前の由来は「倍に増えていくから」で、企画段階では「ゲッソー」だった。もちろんこっちが先です。

脳波コントロールを用いた技術に優れ、宇宙船やガメラも簡単な指示を出すだけで操れるようにするなど高い文明を誇る。項目冒頭の自信満々なセリフを吐くのも納得である。

自らの分裂体を他の生物に植え付けることで操る能力を持ち、本体は分裂体からは「ボス」と呼ばれる。
分裂体はさすがに本体より知能が劣るらしく、イタズラ小僧の正夫にあっさり騙されるシーンがある。拘束したはずの相手が目の前に現れた時点でおかしいと思え。

──が、

実はこのバイラス、ガメラに約10分で倒されたという、映画作品の敵怪獣としては不名誉な記録を持つ怪獣でもある。
『対バイラス』は「地球へ侵略しにきたバイラスが、正夫とジムを人質に取ってガメラを操り人類を攻撃する」というストーリーであり、怪獣としてのバイラスの出番はかなり少ないのだ。
終盤、正夫とジムがコントロール装置の回路を組み換え、ガメラによって宇宙船が破壊されるが、それでも侵略を諦めずガメラを倒さんと分裂体を吸収・巨大化するバイラス。
だがその戦績は芳しくなく、絡み付こうとすれば簡単にほどかれ、海に引きずり込もうとすれば逆に陸上に引っ張り出され、挙げ句ガメラマーチをBGMにジェットスキーのごとく乗り物扱いされる始末。

三股の頭部を閉じれば槍のように使え、岩どころかガメラの腹部を貫く硬度を持つ。
さすがにこれは効いた……と思われるが、ラストでガメラが空の彼方へ去っていくシーンではもう完治していた。*2
それどころか頭部を刺したまではいいが、そのままガメラに高高度まで連れていかれたことで気温低下により全身が凍結。そのまま急降下したガメラによって海面に叩きつけられ木っ端微塵になって絶命するという末路を迎える。

そもそもバイラスのやったことはガメラの目線で見ると
  • 地球においては警戒色である黒と黄色の宇宙船でやってくる*3。しかも2回も。
  • ついさっきまで一緒に海中遊泳していた正夫とジムを人質にとられる。
  • 自分の自由を奪って黒部ダムや東京を無理やり破壊させられ、ただの害獣だった頃の黒歴史を掘り返される。
と、ガメラの逆鱗に触れるには十分な行為であり、昭和シリーズでも特に怒っていた可能性は否定できない。インテリイカが相手をするには荷が重すぎた。

その後『宇宙怪獣ガメラ』にも登場するが、ただザノン号に操られる敵怪獣の一匹に過ぎず、あまつさえガメラが「宇宙怪獣」という肩書きを得たばっかりに「水中怪獣」扱いになるという悲しみを背負った。


余談

  • 映画冒頭で窒素を重要視しているように描写されたが、「窒素が無ければ生きていけない」わけではないらしい。
  • 本体は最初、あたかも分裂体が操る「バイラス人」に捕まった謎の生き物として振る舞っていたが、何の意図があってそうしたのかは最後まで謎である。
  • ガメラ怪獣にしては戦闘面でのギミックの少ないバイラスだったが、これは予算の都合であり本来であれば他にも様々な能力を有していたという。



追記・修正は10分以内でお願いします。























それから月日は流れて55年後、我々は予算の都合によりボツとなった設定を取り込んだ「本気のバイラス」を目撃することになる。


バイラス2023

GAMERA -Rebirth-』に登場するバイラス。名称はソフビに倣った。

本作では宇宙人ではなく10万年前に栄えた超古代文明が産み出した生命体という設定。
劇中では「他の怪獣とは違う」とはっきり明言されており、実際強さでも生態でもそれまでの怪獣とは大きく異なる姿が描かれた。

「黄金色の悪魔」という異名を持ち、その名の通りカラーリングはキングギドラのごとく真っ金々
また、全体的によりイカらしいデザインとなり、顔面に至っては完全に別物となった。
触腕の先端には口と牙があり、そこから対象を捕食する。また、純粋な腕力もガメラを軽々と持ち上げるほど強い。
他にもガメラの火球を無力化するバリアを張り、ロケットのように空を飛び成層圏にも難なく到達、挙げ句の果てには「ヘムデンの雷」なる荷電重粒子砲を備えるという多芸ぶりである。

さすがにやりすぎ……というわけではなく、バリアと下記の蘇生などを除けば、飛行能力を含むほとんどの能力が昭和版で考案されていたり、一部の資料や書籍で言及されていた能力の再現である。

劇中ではミイラ化した状態で初登場したが、ガメラによってギロンが撃破された後、本性を表したエミコがオリリウム*4とギャオスの死骸を与えたことで復活。
彼女の口振りから察するに、バイラスを完全に制御する方法があったようで、エミコは母の仇であるユースタス財団評議会に復讐し、バイラスを使って彼らの代わりに人類を「浄化」することを目論んでいた。

蘇生したバイラスは手始めにセルケト号クルーの生き残りを捕食。地上に出てボコを目視*5すると、スペースシャトルで逃げる彼らをヘムデンの雷で狙撃する。
その後、やってきたガメラと交戦するが、バイラスはギロン戦でのダメージが完全に癒えていないガメラを圧倒する。ガメラの火球をすべてバリアで防いで触手で滅多打ちにし、拘束からの放電によってダウンさせた。
バイラスは墜落しそうになっているスペースシャトルへ向けて飛行を開始。だが、ガメラの排除よりもボコの捕食を優先したことがバイラスの命運を分けることになる。
目覚めたガメラがバイラスを追いかけてきたのだ。

迎撃を試みたバイラスだったが、ガメラは避けることなく突撃。その推進力によって真っ二つにされバイラスは絶命、死骸は地上に落ちた後エスギャオスのエサとなった。

最期こそあっさりしたものであったが、劇中で披露された戦闘能力は間違いなく作中最強クラスであり、「昭和最弱候補」とされた過去を完全に払拭したのである。

余談2023

  • オリリウムに触れたボコたちが、10万年前のバイラスが子供を捕食する場面を幻視するシーンがあるのだが、その時に子供たちを閉じ込めていた檻のデザインがまんま昭和版バイラスが入っていた檻と同じであった*6おまえが入るんじゃないのかよ。
  • 『Rebirth』における怪獣たちはそれぞれ分岐・派生して誕生したのだが、ガメラとギロン、ギャオスとジグラ、ジャイガーとバルゴンが近縁種とされる一方、バイラスのみそういった情報が無い*7。このことからもバイラスの特異性が見出だせるが、果たしてこの先詳細が明かされるのだろうか?



宇宙一優秀なバイラス人にとって、我々以外の追記・修正は全て不必要なのだ!

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最終更新:2025年08月17日 15:11

*1 次回作でギャオスが宇宙にもいることが判明するが、地球の固体との関連性は不明。

*2 ついでに後年の描写を見るに「ガメラの腹部を貫く」は負けフラグとして扱われている節がある。イリスとかリバースギロンとか。

*3 要するに「自分危険ですよー」とアピールしまくってる。倒してくれと言っているようなもの。

*4 怪獣のエネルギー源と思わしき謎の鉱石。

*5 この時、「見つけた」とでも言いたげに険しい目付きになる。何気に『Rebirth』では雄叫び以外で怪獣の感情が読み取れる貴重な描写。

*6 少なくとも10人はいたので、さすがにサイズは昭和版より大きくなっていたが。

*7 派生した怪獣がいるということは間違いない。