罠!丈の愛した頭脳獣(超獣戦隊ライブマン)

登録日:2020/07/09 (Thu) 16:46:36
更新日:2020/08/01 Sat 21:33:47
所要時間:約 8 分で読めます





マゼンダは、わずかに残っていた優しさと、
愛する心の遺伝子を使い、レイを作り出した。

そして、丈に近付く。


超獣戦隊ライブマン!


罠!丈の愛した頭脳獣




私の捨てた、優しさと愛する心……


「罠!丈の愛した頭脳獣」とは、『超獣戦隊ライブマン』第18話のサブタイトルである。

放送日は1988年6月25日。
脚本は藤井邦夫、監督は長石多可男が担当。

戦隊シリーズ恒例となる怪人との交流を描いたエピソードであり、今回の主役はイエローライオン/大原丈
普段から惚れっぽく三枚目な印象も目立つ丈だが、今回はドクター・マゼンダが密かに残していた優しさと愛の遺伝子から生まれた頭脳獣との間に起きた悲恋に苦悩する姿が強調されている。



【あらすじ】


物語はヅノーベースでマゼンダがビアスに招集される場面から始まる。
ビアスはある小瓶を投げつけ、マゼンダは跪いたままそれを見ると、驚きの表情を浮かべる。

マゼンダ、それが何かわかっているな?

はい……

小瓶にはハートの形をした、縞模様の物体が中に入っていた。

お前は自己改造した時に人間・仙田ルイを捨てた。
かすかに残っていた、優しさと愛する心の遺伝子もな。

はい。

では、なぜ!優しさと愛する心のこの遺伝子が…お前の実験室に大切に保管してあったのだ!?

厳しく詰問するビアスの姿にマゼンダは言葉を失い、更にビアスは「人間と地球を支配しようという超天才にあるまじき愚かな行為…許しがたい!」と怒鳴りつけ、遺伝子の入った小瓶を壁に向かって蹴り飛ばす。

私は……愚か者ではありません。

では何のために、この下らぬ遺伝子を保管しておいた!?

ビアスの詰問に「その瓶の中に入っている遺伝子のカオスで頭脳獣を作り、ライブマンを倒すため!」と答えるマゼンダ。
それを聞いたビアスは「面白い作戦だな、マゼンダ…」と呟き、小瓶を床に落として叩き割った。


場面は変わり、並木道で丈が子供達とスケボーを楽しんでいた。
いつも通り華麗なトリックを見せ、それに感動した1人の少年が丈の動きを真似しようとするが、勢い余って木に激突してしまう。
すかさず駆け寄ろうとする丈だが、そこに白い服を着た女性が突然現れ、少年の負傷した右腕を治療する。
その女性の顔はマゼンダと瓜二つであり、普段の冷酷な性格からは想像できない優しい行動に戸惑う丈。
丈からの連絡を受けた勇介達もこの行動を不審に思い、丈と合流すべくグラントータスを後にする。

地下歩道で丈は尾行を続け、その動きに気付いた女性が急いでその場を去る。
……と思いきや、彼女は階段を上ろうとする老婆を手助けした。

優しすぎる。マゼンダにしては優しすぎる。変だな…

その後も少女が噴水に落としたボールを取ってあげたりと、善行を重ねる姿に丈は違和感を覚え始める。

一方、車で合流地点を探す勇介とめぐみは、コロンから丈がポイント100(いちまるまる)に移動していると連絡を受ける。

ポイント100では母親が助けを求める中、ベビーカーが赤ん坊を乗せたまま下り坂を疾走していた。
丈と女性は先回りしてベビーカーを止めることに成功し、母親に感謝されながら女性も赤ん坊の無事な姿に歓喜の涙を流す。

(人のために優しく、涙まで流す。)

(この人はルイじゃない。ルイによく似た別人なんだ!)

常に他人を思いやり、涙まで流す女性の優しさを見て、丈は彼女がルイ(マゼンダ)とは別人だと確信するのだった。


アヤメが咲き誇る公園のベンチに腰掛け、女性と仲良く語り合う丈。
「レイ」と名乗るその女性は1輪のタンポポに手を伸ばし、そっと吹いて綿毛を宙に飛ばす。

さぁ、大地にしっかりと根を下ろし、花を咲かせるのよ。

優しく語り掛けるレイに続き、丈もタンポポの綿毛を飛ばそうとするが、その様子をマゼンダが物陰から窺う。

完全に気を許したな丈。
ツインヅノー、丈を早くアジトに誘い込め!

全ては丈を誘い出すべく、マゼンダが仕組んだ罠だった。

そんなことは知る由もない丈はレイに惹かれていき、その明るい姿にレイも心を許していく。
レイにハート型のペンダントをプレゼントし、お礼を言われたことに照れながら、丈はアイスクリームを買ってこようとその場を離れる。

丈からのプレゼントに喜ぶレイだが、突然現れたマゼンダの平手打ちにその想いは崩されてしまう。

つまらぬものをもらって喜んでいる時か!さっさとアジトへ連れ込め!

その直後にアイスを買ってきた丈が戻ってきそうになり、レイに念を押すとマゼンダは姿を消す。
丈の呼びかけにぎこちない笑顔で応えるレイ。


レイは海沿いにあるアジトを自宅と偽り、丈をその近くまで誘い込む。
今にも泣きそうなレイの姿を心配し、優しく声を掛ける丈。

丈…
私のレイって名前、『冷たい』って書くの。

え…?

私は…!
私は……

さよなら!

レイは泣きながらアジトへ向かい、丈もすぐさまその後を追いかける。
玄関でレイを探す丈だが、突然開いた奥の扉に気を取られているうちに落とし穴にはまってしまう。

開いたままの扉から現れたレイは泣き崩れ、自ら罠にかけた丈に許しを請う。
階段を下りてきたマゼンダはレイに手甲からのビームを浴びせ、レイの身体はみるみるうちに醜悪な頭脳獣「ツインヅノー」へと変貌した。
丈は落ちてきたペンダントがきっかけで穴を見上げ、レイの変わり果ててしまった姿に動揺する。

マゼンダはツインヅノーに命じて丈を人間爆弾に改造しようとするが、間一髪でレッドファルコンがツインヅノーを蹴り飛ばす。
丈はブルードルフィンに救助され、3人でアジトから脱出しようとするものの無数のジンマーに囲まれ、マゼンダもエルボーガンで応戦。
丈もイエローライオンに変身して戦闘に加わり、マゼンダに飛び掛かっていく。
ツインヅノーが頭部からの光線や触手でレッドファルコンとブルードルフィンを苦しめる中、イエローライオンは触手を切断してその窮地を救う。
レッドファルコンはバイモーションバスターで一気にトドメを刺そうとするが、レイを死なせたくないイエローライオンに使用中止を訴えられたことで戦闘は一時中断。


グラントータスに戻り、勇介達に事情を説明する丈。
勇介は全てマゼンダの罠だと忠告するが、レイの優しさを信じる丈はペンダントを握りしめたまま、レイを助けるべくグラントータスから飛び出していった。

アジトの外ではレイが辛い表情で海を見つめており、マゼンダもその後ろ姿をベランダから覗きながら、自分が捨てた優しさと愛する心を懐かしんでいた。
その隣にケンプが現れ、使い物にならなくなったレイを破壊し、凶暴なだけのツインヅノーに作り替えるよう話しかける。
ケンプの言葉を聞いて黙り込んだまま、悲し気な表情を浮かべるマゼンダ。

どうしたマゼンダ?

お前まさか……
レイを見ていて人間としての自分を、取り戻したくなったのか!?

黙れケンプ!

私は……ライブマンを倒す!

マゼンダはすぐさま立ち去り、2人の会話を陰から聞いていたアシュラはそのまま考えに耽る。


裸足になったレイは海に身を投げようと歩き出し、駆けつけた丈がそれを呼び止める。
丈はレイにマゼンダの手が届かない所まで逃げて平和に暮らすよう説得するが、それは叶わぬ願いだった。

丈……
私がなぜ、仙田ルイにそっくりなのか…わかる?

レイの質問に対し、丈は首を横に振る。

私は………
仙田ルイが捨てた、優しさと愛する心の遺伝子のカオスで作られた……
頭脳獣だからなのよ。

時間はビアスが小瓶を割った直後まで遡り、その中に入っていた優しさと愛する心の遺伝子にガッシュがカオスファントムエネルギーを照射する。
すると遺伝子は姿を変え、マゼンダそっくりの女性、つまりレイとして新たに誕生した。

この女の名はレイ。そして、ツインヅノー!

丈は元より、追いかけてきた勇介とめぐみもこの事実を聞いて衝撃を受ける。
レイは再びツインヅノーと化す前に3人を逃がそうとするが、丈は自分が先程プレゼントしたペンダントをレイに見せた。

レイ。このペンダントは、俺が君の優しさを信じた証だ。

例え君が頭脳獣だとしても!

丈の真剣な眼差しを前にいたたまれなくなったレイは、ペンダントを受け取ると砂浜に手を着いて泣き崩れる。

そこにマゼンダがジンマーを引き連れて現れた。

マゼンダ!レイがお前の捨てた優しさと愛する心なら…俺は意地でも守り抜くぜ!

下らぬ意地だ。かかれ!

勇介とめぐみはジンマーの相手を引き受けながら、丈にレイを連れて逃げるように促す。

逃げる2人の前にマゼンダが立ちはだかり、「破壊してやる。優しさと愛する心の遺伝子で作ったレイを!」と告げながらレイにビームを浴びせる。
丈の説得も虚しくマゼンダはビームを浴びせ続け、とうとうレイはツインヅノーに変貌してしまった。

さよなら……丈!!

弾き飛ばされたペンダントは流木に引っ掛かり、ツインヅノーの姿にショックを受ける丈を高らかに嘲笑うマゼンダ。
だが、マゼンダの目には一筋の涙が伝っており、その様子をアシュラは見逃さなかった。

マゼンダ!どうしてわかってくれなかった……!?

よくもレイを!許さん!!

悲しみと怒りを胸に、丈はイエローライオンへと変身した。


勇介とめぐみもジンマーを一蹴しながら変身し、ツインヅノーに斬りかかる。
ツインヅノーの吐く火球や触手攻撃で劣勢に立たされるライブマンだが、イエローライオンが意を決してライオンパンチによる攻撃を決断。
渾身のパンチを受けたツインヅノーは突き飛ばされ、そのままトドメのバイモーションバスターで爆発四散した。

マゼンダと入れ違いで登場したガッシュのギガファントムでツインヅノーは再生・巨大化され、ライブマンも直接ライブロボを呼び出して立ち向かう。
触手から放つ電撃にダメージを受けながらもダブルカノンで反撃し、超獣剣・スーパーライブクラッシュで巨大ツインヅノーを倒した。

戦闘後、ヅノーベースに戻ったマゼンダの前にアシュラが現れる。
アシュラはレイの形見となったペンダントをマゼンダに投げ渡すと、何も言わずその場を去っていった。


その頃、丈は無言で海を眺め、勇介とめぐみはマゼンダが優しさと愛する心の遺伝子を残しておいた理由を考えていた。

マゼンダの奴……どうしてルイの優しさと、愛する心の遺伝子を取っておいたのかな…?

わからない。
…でも私、マゼンダがツインヅノーを作るためだけに、取っておいたと思いたくないわ。

丈の頭にはレイの言葉が思い返され、目の前には明るく微笑むレイの姿があった。
在りし日のようにタンポポの綿毛を飛ばし、砂浜で戯れるレイ。
丈がすぐさま追いかけるが、しばらくすると幻影のレイは姿を消す。

丈は願った。

優しさと愛する心で作られたレイが、
かすかにでも、マゼンダに残っていることを。

また会えるさ、レイ……

そう呟いた丈の表情は、悲しくも希望に満ちたものだった。


ツインヅノー


演(人間態):来栖明子

マゼンダが自己改造の前に分離させた優しさと愛の遺伝子から誕生した頭脳獣。
レイと呼ばれる人間態からマゼンダの発するビームを浴びることでツインヅノーへと変貌する。
ツインヅノーの外見は鬼女や夜叉を彷彿とさせるデザインを中心に、太く尖った右肩のパーツなど、金属的な部分も混じった歪な姿をしている。

レイ本人は優しい性格の持ち主だが、一度ツインヅノーになればレイとしての自我は一切失われ、ひたすら暴れ回るだけの凶暴な頭脳獣と化してしまう。
戦闘では体の各部位から伸びる触手や頭部から放つ光線、口からの火球を駆使してライブマンを苦しめた。

生まれてすぐに兵器として利用され、心を通わせたライブマンに倒されるという非業の最期を遂げたが、丈との出会いや束の間のデートは、彼女にとってわずかな救いになったと思われる。


【余談】

物語冒頭、ビアスに優しさと愛する心の遺伝子を保管していた理由を問われたマゼンダは「頭脳獣を作ってライブマンを倒すため」と答えていたが、彼女が自分の体を改造していた時期はライブマンの存在など知る由もなかったことは間違いなく、咄嗟に出た方便だろうと捉えている視聴者は多い。

終盤においてマゼンダは更なる自己改造を施し、遂には生身の部分を完全に捨て去ってしまうが、本エピソードで自分の人間性の象徴であったレイを手放し、歯止めが利かなくなってしまったのも一因かもしれない。

本エピソードで、来栖明子女史は一人二役で仙田ルイ(ドクター・マゼンダ)とレイ(ツインヅノー)というそれぞれ真逆といっても良いキャラを巧みに演じ分けており好評を博したが、実はレイのほうは声だけ別人が担当している。



さぁ、項目にしっかりと文字を書き込み、追記・修正するのよ。

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最終更新:2020年08月01日 21:33