大神家一族の三姉妹と天一坊(快傑ズバット)

登録日:2021/09/27 (月曜日) 01:50:00
更新日:2021/10/13 Wed 21:48:13
所要時間:約 16 分で読めます





快傑ズバット』の第23話。
50億の遺産を巡って争う三姉妹と、裏で暗躍する紅狐党。
現れた謎の包帯男の正体とその秘密とは……?


【ストーリー】

とある町の資産家、大神家の当主が亡くなった。
顧問弁護士から遺された三姉妹に、50億の遺産についての遺言が読み上げられるが、何と遺産は全て三才の時に行方不明になった長男・天一に与えるとされていた。
一年経っても天一が見つからなかった場合は20億を施設へ寄付し、残りの30億を三姉妹で等分するとなっていたものの、長女の霧子と次女の嵐子は不満をあらわにする。

三女の小雪が庭で物思いに耽っていると、顔を包帯で隠した謎の男が現れた。

出典:快傑ズバット/東映/第23話「大神家一族の三姉妹と天一坊」/1977年7月6日放送

思わず身構える小雪だったが、男は父親を恩人と言い、御焼香に来たのだという。
一方、霧子はダッカーの下部組織である「紅狐党」のアジトを訪れていた。

なるほど……この紅狐党の紅フォックスに人を殺して欲しいと?

は、はい

それで、誰を殺すのだ?

はい…妹の、小雪と嵐子を……!

何と、霧子は遺産と取り分を増やそうと妹達の殺害を依頼したのだ。
一人で山道を歩いていた嵐子に紅狐党の刺客が襲いかかるが、そこにギターの音と共にあの男が現れた。

出典:同上

な、何だてめえ!

ご婦人を虐めてる奴を見ると、拳骨がムズムズしてくる男さ……!

早川はあっという間に紅狐党を蹴散らし、一安心かと思われたが、早川が何者かの気配を感じて振り向くと、林の奥から白いスーツの男が現れた。

おいでなすったな……!

俺を知ってるのか?

紅フォックスの用心棒、ダンディハリー。名人級の手品を殺しに使う死の手品師……!

ただし!その腕前は日本じゃあ二番目だ

二番目だと?じゃあ日本一は誰だ?

いつもの通り、自信満々で自らを指す早川。

貴様が…!?勝負してみるか、早川!

早川とダンディハリーの手品勝負が始まり、まずはダンディハリーが技を見せる。

日本一というのはな、早川。こういう事が出来るんだぜ……!

出典:同上

ダンディハリーは取り出したハンカチから火の玉を出して浮かべ、さらにシルクハットから燃える炎の剣を取り出して投げつけた。

出典:同上

すると、早川は投げられた剣を受け止めると剣をどこかに消し、さらに背中から新しい炎の剣を取り出して投げ返して爆発させた。

俺ならこんな芸当も出来るんだぜ……!

早川!これで終わりと思うな!

ダンディハリーは捨て台詞と共に退散し、手品勝負は早川に軍配が上がった。

何とか家に戻った嵐子だったが、どちらが紅狐党に頼んだのか問い詰めた事から霧子と罵りあいになってしまい、小雪はその様子に耐えきれなくなって泣き崩れる。
小雪が悲しみながら父の墓前で手を合わせていると、再び紅狐党が現れて小雪を襲撃。
早川が助けに入るが人数が多くて手間取り、小雪を連れ去られそうになってしまう。
絶体絶命となる小雪だったが、そこにあの包帯の男が現れて小雪を救出。
命を救われた小雪は、包帯の男にある頼み事をする。

こちらが、行方不明になっていた天一兄さんです

小雪は姉妹の争いを止めるため、男に行方不明になっている天一の身代わりを頼んだのだった。
当然ながら疑いの目を向ける二人は、まず顔を見せるように要求。
男は誘拐犯人に大火傷を負わされたと言って包帯を取るが、口元に言葉の通りにひどい火傷の痕が見えたために断念。
さらに、父からもらったお守りを見せるように言うとお守りを出し、右腕の三つの黒子を見せるように言うと、腕の黒子を出してみせた。

これはお返しします

話し合いの後、男は小雪にお守りを返していた。
あのお守りは小雪から借りたものだったのだ。

私、嵐子姉さんが黒子のことを言いだしたときはヒヤリとしました

偶然僕に同じ黒子があって良かった

しかし、黒子については小雪は失念しており、全くの偶然であった。
これで姉妹の争いを止められると思った小雪だったが、男は「これ以上皆さんを騙すのは心苦しいのです」と言ってこれ以上身代わりをする事を断る。
小雪は何とか男を引き留めようとするが、男は無言で一礼して立ち去ってしまう。

好きになってしまったんですか、あの男?

入れ替わりに現れた早川に言われ、思わず小雪は目をそらす。
小雪は、命を救ってくれた男に好意を抱いてしまったのだ。
しかし、早川は「嘘をついて後で苦しむのは自分ですよ」と忠告し、さらに男について気になる所があると言ってお守り袋を預かる。

その頃、紅狐党のアジトでは、アジトを訪れた首領Lと紅フォックスの前に何とあの包帯の男が立っていた。

ご覧ください、首領L。このとおり、ダンディハリーは着々と計画を進めております

実は、包帯の男の正体は変装したダンディハリーだったのだ。
始めから紅狐党は大神家の遺産を奪おうと計画しており、小雪の申し出はまさに渡りに舟だったのである。
計画通りに事が進んだ紅狐党は、遺産を手に入れるために動き出す。

出典:同上

早川が大神家を訪れると、嵐子が血相を変えて現れ、屋敷に入ると霧子が無惨に殺されていた。
さらに、庭では包帯の男が頭から血を流して倒れており、心配した小雪は思わず駆け寄る。

ごめんなさい、私が天一兄さんになってなんて頼んだばかりに……私、こうなったら、もう何もかも警察に話します

ま、待ちたまえ!

少しばかり勝手が違ったようだな……?

傷もないのに手品で血を出して見せるとは、ご苦労な事だと言ったのさ……ダンディハリー!

小雪の言葉に思わず反応してしまった男を早川が絞め上げるとダンディハリーは正体を現して立ち去り、騙されていたと知った小雪は泣き崩れる。

それから、早川は東条の元を訪れると頼んでいた指紋の照合が出たか訪ねる。
早川は、小雪から預かったお守り袋についた指紋の照合を頼んでいたのだ。
すると、東条から驚くべき事実が聞かされた。

誘拐される前の天一君の手形と、このお守り袋に付着していた指紋は全く同一のものだ

すると……?

結論はひとつだ。ダンディハリーは小雪さんの正真正銘の兄さんの天一君という事になる

やはり、そうか。偶然にしては腕の黒子が一致し過ぎると思ったんだが、あの二人が実の兄妹となると……

実は、天一の振りをして遺産を奪い取ろうとしていたと思われたダンディハリーは、本当に小雪達の兄である天一だったのである。
早川はすぐに大神家に向かうが、嵐子から小雪からダンディハリーに呼び出されて出ていったと聞かされてすぐに後を追う。

ダンディハリーと再会し、小雪はその胸に飛び込む。
しかし、ダンディハリーは無情にもナイフを小雪に突き刺そうとするが、そこに早川が駆けつけて真実を明かす。

いくらお前さんでも実の妹さんを殺しちゃ、寝覚めが悪いってもんだぜ……?

今なんと言った、早川……!?

お前さんが本物の天一君だと言ったのさ

まさか……!?

警察が指紋の一致を証明してくれたよ…三つの時に攫われた事は覚えちゃいないだろうがな

俺が……!?嘘だ……嘘だーっ!

大きなショックを受けたダンディハリーは小雪を捨てて立ち去り、代わりに紅フォックスが手下を引き連れて登場。
早川をマシンガンの銃撃で倒し、残された小雪を取り囲んでしまう。

ダンディハリーが本物の天一と分かった以上、ダンディハリーと我々の繋がりを知っている者は気の毒だが死んでもらうほかはない!

ダンディハリーの秘密を知る小雪を始末しようと、紅フォックスの手が小雪の首に伸びたその時……

フライトスイッチ、オン!

き、貴様は!?

ハッハッハッハッハッハッ……!

ズバッと参上、ズバッと解決!人呼んでさすらいのヒーロー!

出典:同上

快傑ズバァァット!

快傑ズバット……!?

殺し屋集団の頭目として君臨し、あまつさえ他人の莫大な遺産を狙って殺人を犯した紅フォックス!許さん!

登場したズバットは紅フォックスの悪事を糾弾し、瞬く間に手下達を撃破。
逃げる紅フォックスを追うが、ダンディハリーが立ちはだかる。

ダンディハリー、自分の妹を殺そうとした奴を味方する気か!

俺には親も兄弟もいねえ!

真実を受け入れる事が出来なかったダンディハリーは、シルクハットから次々に手榴弾を取り出して投げつけ、さらに空のシルクハットをマシンガンに変えて銃口をズバットに向ける。

俺の勝ちだな!

やめてお兄様!

自分を兄と呼ぶ小雪の声に、思わずためらうダンディハリー。
その隙を突かれてズバットの攻撃を受け、揉み合いながら二人は斜面を転落してしまう。
そこに小雪も駆け寄るが、紅フォックスが三人まとめて始末しようとマシンガンを発射した。

小雪、危ない!

お兄様!

何と、ダンディハリーが身を挺して小雪を庇い、銃撃を受けたダンディハリーは絶命。

おのれ、許さん!

さらにマシンガンを発射する紅フォックスだったが、ズバットが弾丸を全てで叩き落とす。
弾切れになった紅フォックスは逃走するが、ズバットの鞭に捕まって投げ飛ばされる。

2月2日!飛鳥五郎という男を殺したのは貴様か!

知らん……!

では、誰だ!

知らん、知らん…!俺はその頃、シシリー島でスパゲッティを食べていたんだ……!

ズバット・アターック!

出典:同上

紅フォックスの言葉を聞いたズバットは「ズバットアタック」で紅フォックスを倒し、ズバットカードを残す。

嵐子と小雪は父と姉、そして兄の冥福を祈りつつ仏門に入り、50億の遺産は全て施設に寄付されたのだった。


【登場悪人】

◆ダンディハリー

あんまりチョロいんで張り合いがなかったぜ!

出典:同上

演:南城竜也

紅フォックスの用心棒で、白いスーツにシルクハット、ステッキという出で立ちをしている。
日本で二番目の手品の腕前を持ち、その手品を応用して殺人を行う「死の手品師」。
どこからともなく炎の剣や手榴弾を取り出したりするほか、特殊メイクを使った変装もお手のもの。

行方不明になっていた大神の長男・天一に変装して50億の遺産を奪おうとしていたが、実はその正体は本当に天一だった。
三才の時に誘拐されてから記憶を失っていたが、指紋を照合した事で正体が発覚。
早川にその真実を告げられるも受け入れる事が出来ずズバットと戦うが、最後は紅フォックスのマシンガンから小雪を庇って絶命した。


(べに)フォックス

良い事を聞かせてくれたな、早川!

出典:同上

演:小林勝彦

ダッカーの下部組織「紅狐党(べにぎつねとう)」のボス。2月2日にはシシリー島でスパゲッティを食べていた。
赤い和服のような服を来た、落語家のような姿をしている。
大神家の遺産を奪おうと企んで変装させたダンディハリーを送り込み、長女の霧子を殺害した。
ちなみに、当時三才のダンディハリーを誘拐した犯人ではない。
ダンディハリーが手榴弾を投げている横で耳をふさいでいたり、最後のズバットとのやり取りなどコミカルな面もある。


【その他】

元ネタは当時ブームであった横溝正史の作品「犬神家の一族」と徳川吉宗の時代の天一坊事件。
脚本の長坂秀佳氏は、1990年に中井貴一氏が主演を務めた「犬神家の一族」の脚本を執筆している。
また、宮内洋氏は翌年から始まる暴れん坊将軍において、徳川吉宗の初代御庭番をつとめている。

追記・修正お願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2021年10月13日 21:48