エレベーター殺人事件(名探偵コナン)

登録日:2023/02/02 Thu 16:21:03
更新日:2023/03/10 Fri 22:08:00
所要時間:約 6 分で読めます





「エレベーター殺人事件」とは、『名探偵コナン』でかつて江戸川コナンが解決した事件の一件。
原作にはないアニメオリジナルエピソードであり、第19話として1996年6月10日に放送された。
脚本は古内一成氏が担当。

以下、ネタバレにご注意ください。


【あらすじ】

蘭がある日トップデザイナーの芦屋映子に街でファッションモデルにスカウトされ、衣装合わせのために会社が入っているビルに行くことに。
コナンと小五郎も同行するがその途中、コナンはつい先日芦屋の会社のファッションショーが似たデザインの服を他の会社に先に発表されてしまい、中止になったことを思い出した。
小五郎はどうやら芦屋のファンのようで、出会うなり花束を贈って自己紹介をするが、芦屋は動揺し顔を青くする様子を一瞬だけ見せた。
そこへ彼女の秘書である谷口美香が休日出勤でやって来るが、彼女はまもなく辞めるらしく今回の出勤によりさらに1日早く辞めると強気な態度で鼻で笑っていた。
芦屋は15階に、美香は芦屋の指示で8階のフィッティングルームへと向かうが、小五郎とコナンがトイレに行きたくなり、トイレから出てくると慌てた様子の芦屋が1階まで戻って来た。社長室から電話するが繋がらないらしい。
警備員の江田が確認すると何故か彼女が乗ったエレベーターは8階で止まっており、一同が8階に向かうと、彼女は胸に刃物が刺さった状態で倒れていた。
床には靴跡が残っており、それを辿るとビルの非常口へと繋がっており、ビル荒らしの仕業だと芦屋は主張するが…


【事件関係者】


  • 芦屋映子
CV:吉田理保子
日本でも指折りのトップデザイナーでデザイン会社社長。街で蘭をファッションモデルとしてスカウトし、ビルに招待した。
コナンたちが来る先日には自分が手掛けていた冬物の新作の服と似たデザインの服を別の会社に先に公開され、ファッションショーが中止に追い込まれていた。
コナンたちがビルに到着した時には服装に不釣り合いなほど大きなバッグを持っており、また小五郎の名前が上がると動揺して顔を青くする姿を見せた。
そして服に妙な折れ目がついていたり、電話に出ないくらいで慌てふためく姿でコナンに怪しまれることに。

  • 谷口美香
CV:深見梨加
芦屋の秘書。間もなく会社を辞めるようで、この日は休日出勤だったため代わりに会社を1日早く辞めると強気な態度で鼻先でふんと芦屋を笑っていた。
芦屋の指示で8階に向かうが社長室からかけた電話が繋がらず、いざ行ってみると刺殺された姿で発見された。
閉まっているはずの1階の非常口が何故か開いており、小五郎はビル荒らしの犯行だと推理するが、8階でエレベーターから出た時に襲われたとするならエレベーターの中に向かって倒れるはずが、実際は外に向かって倒れており、なぜ犯人がわざわざ向きを変えたのかとコナンは怪しむ。

  • 江田
CV:秋元羊介
ビルの警備員。


【レギュラー陣】


ご存知主人公。ビルに向かっている途中で芦屋のファッションショーが中止になったことをふと思い出し、小五郎の名前を聞いただけで顔を青くしたり、電話に出ないくらいで慌てる芦屋を怪しむ。
また、今回はコナンが本当にトイレに行っているある意味貴重な回だったり。

ご存知蘭姉ちゃん。
街中で芦屋によりスカウトされ、衣装合わせのために会社があるビルに行くことになった。

ご存知迷探偵。
実は芦屋のファンであり、出会った際には鼻の下を伸ばしながら花束を贈っている。
だが芦屋は彼の名前で動揺する姿を見せる。
彼は芦屋が犯人であるはずはないと断言するが…

ご存知警部殿。
状況から芦屋には犯行が不可能と判断し、彼女を容疑者から外している。


【その他】
  • 鑑識員
CV:高木渉
事件現場の鑑識作業を担当。


以下、事件の真相。さらなるネタバレにご注意ください


































証拠もあったわ…
でもあの娘は開き直ったんです…


  • 芦屋映子
今回の事件の犯人。
警備員の江田が事件の2時間前に警備で確認した時には1階非常口の扉は確かに閉まっており、ビルに出入りしたのは彼女だけだったと江田が証言する。
ビル荒らしの仕業に見せかけるためにコナンたちと出会う1時間前に会社に来て8階のエレベーターホールから非常口までの靴跡をつけ、1階の非常口ドアの鍵を内側から外し、その後大きなバッグにスニーカーを入れて処分し、30分後に会社に戻って来るが、行きも帰りも歩いてしまう*1というミスを犯してしまい偽装工作であることをコナンに見破られてしまう。
あれだけ仲が悪そうなのに美香のエレベーターのボタンを押した理由は彼女に8階まで直通のエレベーターに乗ってもらう必要があるためで、エレベーターの中では繋がりにくいという携帯電話の仕様を利用し、その中で携帯電話のダイヤルを押し、社長室に到着してから最後のダイヤルを押して、その後15階に来るようにと美香に電話し、到着した彼女を殺害したという訳である。
またこの時15階のボタンにテープでコインを貼りつけて閉まらないようにもしていた。
また殺害する時に花束を床に置いたため花弁と花粉が落ちており、さらにエレベーターの呼び出しボタンに付いていたテープの跡、彼女の服に妙な折れ目があったことから犯人だと特定された。
証拠品の手袋を処分する時間がなかったため所持品チェックされればアウトだったが、社長という地位のためかコナン(小五郎)に語られるまでバレることはなかった。
動機は美香がデザインを盗んでライバル会社に売ったため。証拠もあったのだが、ファッションショーが中止になった上にますますブランドが落ちると開き直られ、彼女が辞めようとしたためこの日しか実行するチャンスがなかったのである。

  • 谷口美香
デザインを盗んでライバル会社に売り渡し、辞めてからは恐らくライバル会社に転職する気だったのであろうが、最後の出勤日に殺害されてしまった。
彼女の行為は訴えられれば数千万は下らない賠償を請求されてもおかしくなく、芦屋のブランドを盾にまんまと逃げ切ろうとしていたため、その点を踏まえるとあまり同情の余地はない。


【その後】

警察に連行されていく芦屋だが、「貴女にモデルになって欲しかったのは本当なの」と話す。
彼女は蘭のような心も体も健康な人にこそ、自分がデザインした服を着せたいと望んでいたようである。
モデルになれなかったことで落ち込む蘭を励ますコナンだが、蘭はそのことよりも小五郎がいないことが気になっていた。
そしてビル内で俯いたまま眠っている小五郎を見て「ファンだった芦屋の罪を自分が暴いたから落ち込んでいる」のだと蘭が思っている隣で、コナンは自分が暴いたことは内緒にしようと誓うのであった。

【余談】

今回はモデルになり損ねた蘭だが、2021年放送の『モデル、毛利蘭』では、タイトルどおりモデルになっている。
しかしこちらは絵のモデルであり、今回のようなファッションモデルとしては現時点では再スカウトはされていない。


追記・修正はエレベーターに乗っている内にお願いします

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最終更新:2023年03月10日 22:08

*1 人を殺せば急いで逃げるため、当然「帰り」は走るはず。行き・帰りの両方とも「歩き」になるはずがない。