虹とポケモンマスター!(ポケモン)

登録日:2023/04/01 Sat 00:40:25
更新日:2023/05/24 Wed 22:45:41
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26年間の集大成 あるきつづけてどこまでゆくの?風に尋ねられて立ち止まる いっしょに見上げる虹がいい いってらっしゃい さよならバイバイ さらばサトシ ついに辿り着くその時夢の正体に触れる時 つづくったらつづく! つぼみが花ひらく日 めざしたあの夢をつかむまで めざポケ アニポケ グランドフィナーレ ケンジ サトシ シゲル タイプ:ワイルド ハロー、マイドリーム ピカチュウ ピジョット ポケモン ポケモンエピソード項目 ポケモンマスター ロケット団 伝説の最終回 伝説の終わり 再会 完結編 新しい風が呼んでいるから 新無印 旅立ち 最終回 最高のボロボロ靴 歩いてゆこう そこに空があるから 涙腺崩壊 真の最終回 虹とポケモンマスター! 進め!進め!キミと7色の虹越えて



チャンピオンになったキミは、どこまでポケモンマスターに近づけたのかな?

……!


出典:ポケットモンスター めざせポケモンマスター、11話『虹とポケモンマスター!』、
2023年1月13日~2023年3月24日まで放送。
OLM、テレビ東京、MEDIANET、ShoPro、
©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokémon


概要

『虹とポケモンマスター!』とは『ポケットモンスター めざせポケモンマスター』の第11話にして最終回
ポケットモンスター(アニメ第7シリーズ)』の第147話、アニメ『ポケットモンスター』シリーズの通算で言えば第1245話でもある。
2023年3月24日に放送。脚本は冨岡淳広。

本話は『めざポケ』編の最終回にして、サトシを主人公にしたアニポケの正真正銘の最終回である。
アニポケ自体は主人公交代を経てもつづくったらつづく!……が、1997年4月1日から、2023年3月24日までタイトル変えながら実に26年間も続いたサトシとピカチュウの長い長い冒険の物語は、ついに本話で幕が閉じることとなる。

そして、長らく曖昧だった、サトシの“夢”である「ポケモンマスター」という存在の定義について、とうとうサトシが自分なりのハッキリとした答えを出す回でもある。


あらすじ

タケシカスミとの数回目の別れを経て、久々にマサラタウンに帰郷したサトシだが、無聊をかこつ日々を送っていた。
そんな折、オーキド研究所を訪れると、健康診断を受けるはずだったヒトカゲが脱走し行方不明というトラブルが起きていることを知る。
手持ちを総動員してようやく見つけ出した時、サトシはシゲルと束の間の再会を果たす。
すると、彼はライバルに問うた。
「チャンピオンになったキミは、どこまで『ポケモンマスター』に近づけたのかな?」と……。

それから数日後。
トキワの森を訪れたサトシは、相棒のピカチュウをロケット団に奪われる。
しかし、サトシはよりによってピカチュウ以外の手持ちをオーキド研究所に置いたままにしてしまっていた!
サトシ自ら『すてみタックル』で攻撃するも不発に終わり、絶体絶命……!

ピジョットーー!!

そんな時、懐かしい鳴き声がトキワの森に木霊した……!


主な登場人物

お馴染みの主人公。このエピソードで、26年もつづいた彼とピカチュウの物語はフィナーレを迎える。
前話で故郷に帰りたくなったサトシは、故郷のマサラタウンに一旦帰宅する。
かといって、そこで何かしたい事も無く、旅に出る目的も思いつかずにいた。
そんな中、シゲルからのひとことが頭から離れず……。

サトシの永遠のライバル。
オーキド研究所に初心者用のカントー御三家を届けにやって来たが、忙しいので届けたらすぐに帰っていった。
だったらパソコンで転送すれば良いのに、というのは野暮。
また、帰り際にサトシにとある問いを投げかける。

サトシのママ。
久々にマサラタウンに長期滞在することになった息子の面倒を見ている。
また、新無印編の靴がボロボロになっているのを見かねて新しい靴を用意したものの、なかなか履いてもらえなかったが……?

オレンジ諸島編で共に旅したポケモンウォッチャーの少年。
これまではオーキド研究所が写るシーンではちょいちょい出ていたのに(新無印では姿だけはかなり出ていたものの)セリフが無かったが、AG』最終回以来、なんと17年ぶりに沈黙を破りついに喋る。
更に、手持ちのコンパンもモルフォンへと進化を遂げていたほか、マリルとピカチュウが嬉しそうに再会の挨拶を交わす愛らしいシーンも必見。

お馴染みのロケット団。
前々話でシリーズ恒例の仲違い回で喧嘩していた二人と一匹(そして彼らを案じるソーナンス)。
だがしかし別れてなおサトシのピカチュウを狙い同じ場所に集結した事に感動し、即座に仲直り。何だかんだと言いながら、何だかんだで離れがたいのだった。
そしてサトシがポケモンを連れて来ていなかった事もあり、あと一歩まで追い詰めるが……。
ちなみに下の画像から判るようにパンプジンマスキッパもいるが、ロケットリベンジャーズとして再結成されたかは不明。いずれにせよその二体とも安堵したことだろう。


以下、ストーリーのネタバレ注意


















出典:ポケットモンスター めざせポケモンマスター、11話『虹とポケモンマスター!』、
2023年1月13日~2023年3月24日まで放送。
OLM、テレビ東京、MEDIANET、ShoPro、
©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokémon

サトシの危機に駆け付けてくれたのは、彼が3番目にゲットしたポケモンで、かつてトキワの森のポッポたちを守るため別れたピジョットだった!
ピジョットは『つばさでうつ』でピカチュウが捕らわれている縄を切断。
そしてピカチュウは『10まんボルト』でロケット団をいつものようにぶっ飛ばす。

黒焦げになりながらもロケット団は清々しい顔をしており、「いい感じ~!」と劇場版のラストのようなセリフとともに、どことも知れぬどこかへ吹っ飛ばされていくのだった。


サトシはピジョットと再会を喜び合う。
どうやら、ピジョットが率いていたポッポの群れは、サトシがオレンジ諸島……どころか世界中を巡っている間に大きく成長しており、もうピジョットが群れを守る必要が無くなったようだ。
それを確認したサトシは、再びピジョットを手持ちに加えたのだった。

よーしピジョット! これからまたよろしくな~! ふふふ。


出典:ポケットモンスター めざせポケモンマスター、11話『虹とポケモンマスター!』、
2023年1月13日~2023年3月24日まで放送。
OLM、テレビ東京、MEDIANET、ShoPro、
©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokémon



翌日もサトシがマサラ周辺でポケモンと戯れていると、急に大雨が降りだす。
近くに会った大木で雨宿りをしていると、近くの野生のポケモンたちも雨宿りしにそこへ集まってくる。
そんな光景を見たサトシは、この間、シゲルに言われた『ポケモンマスター』について考えていた事を、ピカチュウに語り始めた。


チャンピオンはゴールじゃない。オレはまだチャレンジャーなんだって思ってる。

もっとたくさんの冒険をして、ポケモンに出会う。

毎日起こる事全部、一つも無駄な事なんかない。あのラティオスとの出会いもね。

オレ、世界中全部のポケモンと友達になりたい。

それが、きっと『ポケモンマスター』ってことなんだ。


出典:ポケットモンスター めざせポケモンマスター、11話『虹とポケモンマスター!』、
2023年1月13日~2023年3月24日まで放送。
OLM、テレビ東京、MEDIANET、ShoPro、
©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokémon


サトシが自分が叶えるべき夢『ポケモンマスター』について、自分の言葉でハッキリと定義を決めた瞬間、空が晴れ、がかかった。


ピカチュウ、いつか俺がポケモンマスターになった時、そこにいてくれよな……!

ピカチュウ!!


目標がハッキリと見えたサトシは、虹の向こうに走り出す。


翌日。ハナコがサトシを起こしに部屋に行くと、そこにはその姿は既に無かった――その代わり、サトシの机の上には世界中探しても見つからない最高のボロボロ靴が一足置かれていた。


いってらっしゃい。



まるでサトシのが花開くのを表すかのように、蕾が花咲かす中サトシとピカチュウは大地踏みしめ歩き続ける。
そして相変わらずそれをニャース気球で追いかけるロケット団。だが、その眼差しには、どこか行く末を見守るかのような暖かさがあった……。

歩き続けるふたりは、枝分かれした道路に到着する。
さあ、今度はどちらに進もうかと悩むサトシ。
するとピカチュウは手ごろな大きさの枝を見つけてきて、サトシに渡す。



出典:ポケットモンスター めざせポケモンマスター、11話『虹とポケモンマスター!』、
2023年1月13日~2023年3月24日まで放送。
OLM、テレビ東京、MEDIANET、ShoPro、
©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokémon



サトシはその枝を空へ放り投げた――


NEXT TIME……A NEW BEGINNING!





余談

サブタイトルに『虹』とある事、湯山監督が「最終回にあのポケモンが出る」と言っていた事から、ホウオウの登場が予想されたが、実際に登場した「あのポケモン」とはピジョットの事だった。
しかし、考えてみれば新無印の最終回でサトシとホウオウの物語は綺麗に終わっていたので、本話に登場しないのは当然ともいえる。

サトシの手持ちだったピジョットの登場はリアルタイムで実に24年ぶり
別れたエピソードで彼は「用事を済ませたら、すぐに帰って来るから」といったことを話していたものの、シリーズがご長寿になるにつれ、
「すぐにって言ってン十年経ちましたよ?」「スタッフも忘れているんじゃないか」などといつしかネタにされるようになるくらいにほとんど音沙汰が無かったが、
最後の最後で再会とその約束が果たされた形になる。まさに大トリ。

ケンジが喋ったこと、ピジョットとの再会という懐かしく熱い展開をラストで一挙にお出ししたファンサにネットは大いに湧き、放送当日のTwitterでは彼らがトレンド入りしたほど。

ロケット団が最初に現れたのはトキワシティのポケモンセンターだが、命令からではなく自発的にピカチュウを狙った最初の場所がトキワの森である。
ロケット団の物語は、トキワの森で始まりトキワの森で終わったのだ。
そして、サトシが最初にトレーナー戦を経験したのもトキワの森でのロケット団戦。そしてその時に初手で繰り出したのがピジョンで、そしてその時ピジョンは敗北していた。
単にピジョットとの再会話としてだけではなく、無印3話での意趣返しもあったのだろう(本話と無印第3話は共に冨岡氏が担当)。
なお、本話でサトシがロケット団に自ら攻撃を仕掛けるのも同話のオマージュである。

『めざポケ』編は、サトシがかつて出会っていたカントー編のポケモンと再会する話が多いが、
新無印最終回ですでに再会していたバタフリーを除いて、唯一オコリザルとだけ再会せずに終わった。

前話でアルトマーレに帰ったので、『めざポケ』編の中で唯一ラティアスが登場しない回でもある。

中盤では、サトシが特に接点の無いニョロモやニョロゾと戯れるシーンがある。
あれだけの旅をしてきたサトシが「ニョロモが泳いでいる」だけで喜べるというのは、彼がいまだにポケモン大好きでたまらない少年であることを示す事以外は特に深い意味の無いシーンかもしれない。
……が、一部のファンはこの点について漫画ポケットモンスターSPECIAL』におけるレッドと彼の手持ちであるニョロゾのニョロを意識した、もしくは、同作の元ネタかつサトシの名前の由来にして「最も好きなポケモンはニョロモ」としていた『ポケモン』の生みの親である田尻智氏へのリスペクトをあのような描写に込めて捧げたのではないか、と考察している。

シリーズ最終回恒例の『NEXT TIME……A NEW BEGINNING!』と表記されたが、実はこの表記は、『BW』以来10年ぶり。
というのも、無印~『BW』まで最終回はこの表記が出たが、『XY&Z』と『サン&ムーン』だけ別の表記*1だったのだ。

本話のエンディングテーマは『タイプ:ワイルド』。カバーverは『サン&ムーン』編で使用されたが、こちらは原曲verが使用された。
オープニングテーマめざせポケモンマスター』を歌っているので気付かなかった人も多かったと思われるが、
『めざポケ』編ではタケシ、カスミ、ロケット団までもがEDを飾ったのに対して、サトシはここまでEDは歌っていなかった。
最終回、ひいてはサトシによる『ポケットモンスター』はサトシの歌に始まり、そして終わっている。
歌詞も改めて見直してみると、サトシの“これまで”と“これから”を歌う内容となっており、今話の内容に相応しく、
何より「今では世界中探しても見つからない最高のボロボロ靴さ!」のフレーズから、今回やたらと靴を押し出していた理由も納得が行くというもの。

そして、見果てぬ夢に辿り着いた彼はこう言うだろう――

ハロー、マイドリーム

最終回だけあって、YouTube公式チャンネルにおける見逃し配信の再生回数は一週間で200万回を突破した。







ポケットモンスター……ちぢめて『ポケモン』。
この星の、ふしぎなふしぎないきもの。
海に、森に、町に。その種類は現在、1000を超える数が確認されている。
そんな『ポケモン』が大好きな少年・サトシと、彼の相棒・ピカチュウ。
見果てぬ夢『ポケモンマスター』をめざして、
サトシとピカチュウ、ふたりの冒険は、これからもどこかでつづいていく。
つづくったら、つづく。







追記・修正はサトシとのお別れを見届けてからお願いします。

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最終更新:2023年05月24日 22:45

*1 『XY&Z』は『And to our own way』、『サン&ムーン』は『…and your dreams!』。