登録日:2023/05/29 Mon 23:00:47
更新日:2023/06/03 Sat 09:24:20
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ひたちなか海浜鉄道湊線とは、勝田駅と阿字ヶ浦駅を結ぶひたちなか海浜鉄道の鉄道路線である。
概要
前身は湊鉄道(→茨城交通湊線)である。
赤字で経営状況が厳しいことから茨城交通が2008年3月をめどに廃線にすることを視野に入れたが、ひたちなか市の意向を受けて廃止届の提出は中止となる。
その後、茨城交通とひたちなか市が出資する第三セクター「ひたちなか海浜鉄道」が設立され、2008年にひたちなか海浜鉄道に経営が引き継がれたことで「ひたちなか海浜鉄道湊線」が開業した。
移管後は列車増発や新駅の設置などといった利便性向上策が功を奏し、2017年には利用者数100万人台、翌2018年にはついに黒字化を達成した。
営業区間は全区間が
茨城県ひたちなか市に属し、
JR東日本の「週末パス」「ときわ路パス」も全線で利用可能となっている。
ただし、Suica・PASMOなどのICカードは利用できない。
運行形態
日中は全線通しの列車が30〜40分間隔で運転され、平日のラッシュ時と土休日早朝は勝田〜那珂湊間の区間運用の列車が設定されている。
ラッシュ時は2両編成を主体とし、その他の時間帯は主に1両編成で運転されている。
1963年までは
常磐線に直通し水戸まで乗り入れる列車も設定されていたほか、1990年度までは臨時急行「あじがうら」の乗り入れがあった。
このため、一部の駅は長大編成の停車に対応している。
使用車両
現在の車両
共通事項として全列車が単行運転可能な両運転台の車両となっている。
1995年に登場した新製車両で、現在の主力車両。
3710という形式名は、語呂合わせで「みなと」と呼べることに因んでいる。
2002年に登場した新製車両。編成記号は「03」でキハ3710形からの連番だが、半自動ドア搭載やブレーキ二重化などの仕様変更がなされたため、地方私鉄では珍しい5桁形式となる「37100」を名乗っている。
2010年から2018年まではアニマルトレインラッピングで運行されていた。
種車は国鉄キハ20形のキハ20 522で、水島臨海鉄道で使用された後に1996年に入線した。
現在は団体・臨時列車を中心に使用されている。
種車は三木鉄道の同名の形式で、三木鉄道廃線後に旧型車両更新の名目で導入された。
他形式との併結には対応しておらず、単行のみで運行される。
元々はJR東海および東海交通事業が保有していた車両で、
高山本線や
太多線で使われていた。
計5編成が存在するが、201・202の2編成は部品取り用となっているため運用には入らず、那珂湊駅構内に常時留置されている。
過去の車両
新潟鉄工所製の日本初のステンレス気動車。
塩害の試験を兼ねて海沿いに近い当線が導入路線に選ばれたという。
湘南型の前面を持った小型の気動車で、国鉄直通列車にも使用されていた。
1992年に廃車後、車体が那珂湊機関区に保存されギャラリーとして使用されている。
元鹿島臨海鉄道の2000形。
前述のキハ205と同じ元キハ20だが、鹿島臨海導入時に前面回りが大きく改造され、角形ライトの奇妙な見た目となった。
2006年までに廃車されたが、1両が那珂湊駅に朱色に塗装変更されて保存されている。
1980年に譲渡された車両。
国内で最後まで現役で運用されていたキハ10系である。
1両は廃車後佐久間レールパーク→
リニア・鉄道館、1両は鉄道博物館にそれぞれ譲渡され展示されている。
元羽幌炭礦鉄道の車両で、国鉄が導入した車両とほぼ同型。
廃車後1両が阿字ヶ浦駅構内に設置された「ひたちなか開運鐡道神社」の御神体として祀られている。
駅一覧
常磐線乗り換え。ひたちなか市の代表駅。
先述の通りかつては常磐線との直通運転を行なっていたが、現在は渡り線が撤去されているため直通は不可能となっている。
『デュエル・マスターズ』の主人公・
切札勝太と読みが似ていることから、2014年10月には1日だけ駅名標が「
勝太駅」になるコラボイベントも行われた。
元々は日立工機(現在の工機ホールディングス)の従業員専用駅で、1998年に「日工前」駅として一般旅客営業を開始し、日立工機の社名変更に伴い2019年10月に現駅名に改められた。
日立工機従業員専用だった時代は時刻表や運賃表にも駅名が載らなかったため、「幽霊駅」と呼ばれたことも。
陸上自衛隊勝田駐屯地最寄り駅。
線内では数少ない交換可能駅である。
虎塚古墳最寄り駅。
2014年開業。駅名は当駅付近にある中丸川橋梁の呼称から取っている。
駅の真上を国道245号の跨線橋が通っており、これがその鉄橋かと勘違いされることも。
那珂湊地区の中心駅で、線内では唯一の通年有人駅。関東の駅100選に認定されている。
車両基地である湊機関区が併設されている。
那珂湊おさかな市場の最寄り駅だが、駅からは少し距離がある。
位置的には大洗町の玄関口ともいえる場所で、アクアワールド大洗水族館は鹿島臨海鉄道大洗駅よりも当駅の方が近い。
映画『フラガール』のロケ地にも使われたことがある。
名物の駅猫については後述。
ひたちなか市役所那珂湊支所の最寄り駅。
平磯海水浴場、平磯漁港最寄り駅。
かつては茨城交通直営のスーパーマーケットとの複合駅舎だったが、閉店後に現在の駅舎に改築された。
沿線地域の小中一貫統合校の整備に伴い計画された駅で、2021年3月に開業。
ちなみに計画段階の仮駅名は「学校前」という非常にアバウトなものだった。
湊鉄道開業当初の終点駅。
干し芋の生産が盛んな地域であり、周辺はサツマイモ畑が多い。
終着駅。阿字ヶ浦海水浴場の最寄り駅で、周辺には海水浴客向けの民宿や旅館が多い。
国営ひたち海浜公園の鉄道における最寄り駅であるが、最も近い南口でも1.5km程度離れている。多客期は海浜公園へのシャトルバスの運行もある。
℃-uteや乃木坂46のPV撮影に駅舎が使われたことがあるほか、麻倉ももの楽曲『彩色硝子』のジャケット写真に使用されているなど、音楽との関わりも深い。
駅猫
2009年7月頃より、那珂湊駅に1匹の黒猫が頻繁に現れるようになり、駅員が世話をした結果駅構内に住み着くようになった。
この猫は『黒ネコのタンゴ』で有名な童謡歌手・皆川おさむに因んで「
おさむ」と名付けられ、利用客から高い人気を博していた。
名前の由来となった皆川氏本人もこの猫のことを認知しており、後に本人から黒猫のオブジェを寄贈されている。
また、「猫がいる駅」などの共通点を持つ縁から、
会津鉄道会津線の芦ノ牧温泉駅と2012年に姉妹駅提携を結んだ。
おさむは残念ながら2019年6月に帰らぬ猫となってしまったが、現在も妹分の「ミニさむ」が駅構内で飼われている。運がよければ会えるかも。
今後の計画
阿字ヶ浦から国営ひたち海浜公園西口付近まで延伸する計画があり、2021年に免許を取得した。
当初は延伸区間に新駅を3駅開業させる計画だったが、事業費削減の観点から公園中央口付近の駅の設置は見送られ、2駅に変更されている。
一方、建設については原材料費の高騰などもあり未だ着工には至っていない。
追記・修正は阿字ヶ浦駅から国営ひたち海浜公園まで徒歩で移動したことがある人にお願いします。
- beatmaniaⅡDXの「シュッパツシンコウ・シサカンコ」、「駅猫のワルツ」でここの駅風景がムービーで使われてるので、音ゲーマーに意外と知名度の高い路線。後者のムービーにはおさむもミニさむも出演してる。 -- 名無しさん (2023-05-31 23:53:52)
- 駅名標のデザインが凝ってる -- 名無しさん (2023-06-03 00:20:30)
最終更新:2023年06月03日 09:24