JR東海

登録日:2013/06/04(水) 18:49:23
更新日:2022/09/03 Sat 11:35:55
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東海旅客鉄道(JR東海)とはJR旅客鉄道会社の内、東海・甲信・近畿地方及び神奈川県の一部をエリアとしている鉄道会社である。本社の所在地は愛知県名古屋市。

JR6会社の内、2016年までに完全独立・民営化を果たしたJR4社の1つで、JR東日本に次いで売り上げが大きい。
本来なら岐阜県以北の北陸地域を管轄してもおかしくないのだがそこはJR東日本JR西日本が仲良く分けあった為、結果としてJR四国に次いで営業キロ数が短い。
そしてJR東海を語る上で何と言っても欠かせないのが

東海道新幹線の存在と依存っぷりである。

1日当り列車本数:336
1日当り輸送人員:約38.6万人(年間輸送人員:約14,100万人)
年間収益:約9,995億円など

日本一にして世界でもトップレベルの鉄道路線である東海道新幹線を持っているが為にJR東海は存在できている。
それは決して言い過ぎでも誇張でもなく全売り上げに占める割合の内

新幹線単体(乗車券のみの売り上げ):67%
付帯する関連事業:18%
在来線12路線合計の売上:7%
その他の関連事業:6%
その他:2%

と、新幹線の総合的な売り上げは実に85%…!を占める。
もし東海道新幹線が無かった場合の売り上げはJR北海道を上回る程度の‥超大赤字路線会社なのである。

その為、東海道新幹線に対する資本投資やメンテナンスは京阪神路線と北陸本線及び山陽新幹線にだけ資本投資するJR西日本の偏りっぷりをはるかに凌ぐほど一極集中的に注ぎ込んでおり、具体的な例では今後JR東海が一番恐れている東海地方を襲うとされている南海トラフ地震による東海道新幹線の被災と長期運休を防ぐ為に、築50年以上経って劣化した橋梁やトンネルを補修総額7308億円にも登る大規模改修工事を5年間前倒しにして工事を開始した。
いかにJR東海が依存し、大事にしているかが窺える。
もっとも在来線を全く無視してるわけではなく、東海エリア電化路線全域への313系新型車両の大量導入や都市近郊路線である武豊線の電化等は行っており、新幹線工事費用を積み立ている上でこれだけの大掛かりな工事が出来るのだから、いかに新幹線が儲かっているかが分かる*1

一方で、東海道新幹線一極依存から脱却しようと計画が進められているのが中央新幹線であり、2027年の開通名古屋までの部分開業、2045年に新大阪間の開業を見込んでいる。
なおこの中央新幹線、本来であれば国家事業規模の大プロジェクトなのだが、恐ろしいことにこの建設費も(当初の予定では)「借金無しで」行えてしまうほどに東海道新幹線が儲かっている。もっとも借金無しのその代償として当初の予定では東名間を先に営業開始、名阪間は10年前後の後回しになる予定だった。
しかし、国が融資することで名阪間の営業開始も数年早まった。なお、この借金もおそらく余裕で返せると思われる。

しかし、在来線に関しては12路線中黒字路線は東海道本線のみの状態で、中央本線が辛うじて黒字化が見込めそうな他はJR東日本の東北地方の路線やJR西日本の中国地方の路線、JR北海道の地方路線すら凌ぐ超大赤字路線ばかりである。
特にワースト3とされる名松線参宮線(沿線自治体からもイラネと言われた路線)・飯田線(JR東海公式認定の秘境駅専門路線(笑))の内、名松線に関しては利用者46人/日で日本の全鉄道路線の中でも最下位であった岩泉線よりも赤字であり、正直言ってこの3路線は東海道新幹線が無ければ即刻廃線レベル、資料によってはJR北海道の一部路線を上回り日本一の赤字路線、道楽でやっている路線、税金対策で残しているとすら言われる。

現在、在来線対策としては先述の武豊線の電化に加え大府駅以外の全駅を無人駅化した他、電化で不要となる高級気動車キハ25形を参宮線や太多線に転用する事で、少しでも赤字を縮小しようと試みている。
その一方で、これまた先述の通り飯田線を誰も乗らないのを逆手にとって秘境駅専門の観光路線として売り出したり、名松線の家松~伊勢奥津間を2016年に復旧させたりする等、新幹線の余裕があるのか廃線は考えていないようである。
ローカル線では車掌が車内を巡回し、無人駅ではきっぷを回収しに来るが、3両以上の列車では車掌が最後部の運転台からドア開閉を担当する関係で巡回や回収をしないことがある。
またワンマン列車のドア開閉時は運転手が一旦椅子を畳み、ホームを直接確認しながらドア開閉スイッチを取り扱う。このため、他社のワンマン列車に比べてドアが開くまでと閉まってから動き出すまでの時間が長い。


一時期というか大半の時代、社長が大のメディア嫌いだったらしく、東海の車両が各種ゲームに登場することは無かった(列車の運転台にカメラを置いて撮影も許可されなかった)。電車でGO!が山陽新幹線編とマイナー区間だけ発売されたのもこのせい。
2014年に社長が交代した関係で緩和され、2015年ついにA列車でいこう9に収録された。なお民営化直後には新幹線・371系あさぎり・キハ85系ワイドビューひだなど優等列車のイメージビデオをポニーキャニオンから発売していたことがある。BGMにS.S.T.BANDを起用していたり、サスペンスドラマ風の曲を起用したりと妙に力が入っていた。

◆路線図
*2


路線名 区間 営業キロ
新幹線
東海道新幹線 東京~新大阪 515.4km
幹線




静岡地区 熱海~豊橋 189.0km
名古屋地区 豊橋~米原 152.3km
美濃赤坂線 大垣~美濃赤坂 5.0km
御殿場線 国府津~沼津 60.2km
中央本線 塩尻~名古屋 174.8km
関西本線 名古屋~亀山 59.9km
紀勢本線 亀山~新宮 180.2km
地方交通線
身延線 富士~甲府 88.4km
飯田線 豊橋~辰野 195.7km
武豊線 大府~武豊 19.3km
高山本線 岐阜~猪谷駅 189.2km
太多線 多治見~美濃太田 17.8km
名松線 松阪~伊勢奥津 43.5km
参宮線 多気~鳥羽 29.1km

◆車両
最も国鉄に近いJRと言われ、一つの形式を路線ごとの環境に適応させたバリエーション展開をしているのが特徴。

【新幹線】
700系をさらに進化させた車両。車体傾斜装置が搭載されている。

N700系のマイナーチェンジモデル。AはAdvanced(アドバンス、進歩)の頭文字。

N700系の後継車両として開発されたフルモデルチェンジ車。SはSupreme(スプリーム、最高)の頭文字。とうとう車内LCDを採用した。

  • 923形
愛称はドクターイエロー。新幹線の検測用車両で、現在の車両は700系ベース。

【在来線電車】
  • 211系
ごく僅かな国鉄設計車両と大多数を占める民営化後に製造されたマイナーチェンジ版が混在していた。静岡地区の車両は言わずもがな、名古屋地区の3両編成にもトイレがない。
2022年3月6日までは国鉄時代に製造された0番台が運用されていた。これにてJR東海から国鉄時代に製造された車両は1両残らず駆逐された。
今後も213系・311系ともども315系に置き換えが進む予定。

  • 213系
国鉄が開発した車両のマイナーチェンジ版で2ドア車。製造当初はトイレ無しで関西線を走っていた。今はトイレを取り付けて飯田線のヌシとして活躍。

  • 311系
最高速度120km/hで東海道線を駆け抜けた2代目新快速車両。今では専ら普通列車運用がメインになってしまっているものの、快速列車にも少ないながら使用される。登場時には公衆電話が設置されていた。

  • 313系
現代版113・115系。JR東海管内の直流電化路線であればどこでも走行可能な標準型。その代わり番台区分が若干訳のわからないレベルまで増えている。

  • 315系
遂に通勤型車両に新型登場。2022年3月5日より中央本線に投入された。
今後中央本線名古屋~中津川間の普通・快速列車用車両は全て315系に統一される予定。
0番台は全車ロングシートで、ドア上にはJR東海としては初めてのフルカラー液晶ディスプレイを設置。停車駅や駅の階段の位置などが表示される。
他にも防犯カメラが設置されセキュリティも強化。211系と比較して3割程冷房性能もアップし、消費電力は35%低減している。
非常走行用蓄電装置の搭載や溶接箇所を減らした台車の採用など、見えないところも地味に豪華。

  • 373系
汎用特急型車両。元々静岡に配備されていた165系急行形車両の代替として開発された経緯があり、本来急行用の「70」がついている。
このためあくまで特急型であるが、1.3mの幅広両開きドア扉のないデッキなど普通列車としての運用も考慮した内装となっている。
ふじかわ・伊那路といったローカル特急やホームライナーとして運用されている他、前述の通り普通列車としての運用も考慮されているため普通列車としての運用もあり、その際は追加料金を払わず乗ることが出来るため手軽にお得感を味わえる。
かつては東海やムーンライトながら、それらの廃止後も普通列車として長いこと東京駅にも顔を出していた。

  • 383系
JR東海唯一の振り子電車。
その性能を活かし、カーブの多い木曽路で本領を発揮する。
381系改造車から継承されたパノラマタイプのグリーン車からは絶景が楽しめる。

【在来線気動車】
  • キハ11形
現時点で単行でも走れる唯一の気動車。現在残っているのはステンレス車体の300番台だけだが、以前は鋼製車体の車両も活躍していた。晴れて復旧を成し遂げた名松線を悠々と往復する。
その一部は子会社の城北線、並びにひたちなか海浜鉄道に渡っている。

  • キハ25形
313系の気動車版。
初期型はクロスシートだが、ビードレスなボディが特徴の後期型は全車ロングシートで、前面の行き先表示も片側しかない。

  • キハ75形
311系の気動車版。ただし前面は異なる。
快速みえでの運用が有名だが高山本線岐阜~下呂間*3及び太多線のほとんどの列車でも運用されている。
かつては中央のドアを封鎖し、奈良と名古屋とを結ぶ急行かすがや非電化時代の武豊線*4にも使用されていた。
この他、全線電化区間の飯田線での運用実績が2回もある。

  • キハ85系
民営化後すぐに着手した特急型気動車。
船来品*5の強力なエンジンと新開発の変速機のおかげで電車並の加速力を確保し、飛騨路や南紀の海沿いを駆け抜ける。
お召し列車への使用経験もあり。


  • キヤ95系
愛称「ドクター東海」。ドクターイエローの在来線バージョンで、気動車だが検測のためにパンタグラフが付いている。
線路がつながっている他社路線にも貸し出される。

  • キヤ97系
日本初、自走できるレール輸送車。トラックのように運転台の後ろが荷台になっている独特の外見が特徴。
従来、機関車が必要だったレール輸送をディーゼル車化する事で、運用の煩雑さを解消。自走不能になった車両の牽引にも使用可能。
定尺レール用の0番台とロングレール用の200番台が存在する。200番台は顔がゴツい。
なんと0番台がプラレールとして発売されていた。

JR東日本にも寒冷地への対策を強化したキヤE195形が導入された。

【在来線ハイブリッド型車両】
  • HC85系
キハ85の置き換えを目的としたハイブリッド特急形気動車…と思いきや「クモハ」や「モハ」と形式称号は完全に電車そのもの。
ただし、公式のプレスリリースでは電車とも気動車とも何も明言していないことに注意されたい*6
全席にコンセントが付いている。またデッキには各車毎に異なった沿線の伝統工芸品を展示する「ナノミュージアム」を備える。
先代の変態連結を行えないのが惜しまれる。
「HC」とは、Hybrid Carの頭文字。

【過去の車両】
一部はリニア・鉄道館と美濃太田車両区*7にて保存されている。

  • 0系
説明不要、初代新幹線車両。16両編成への組み換えや起動加速度の引き上げも行われたが、時代の波に逆らえずミレニアムを前に引退。


  • 100系
民営化後も数年間製造。東海道新幹線唯一の2階建て・カフェテリアが特徴。

  • 300系
JR東海による初の自作新幹線。最高速度を270kmに引き上げ。

  • 700系
カモノハシ。のぞみ大増発後の一時期、車両に“AMBITIOUS JAPAN!”と張り出していた。

  • 381系
特急「しなの」用、自然振り子付き。通常の先頭車のみならず民営化後にはグリーン車中間者を改造したパノラマグリーン車もリニア・鉄道館に保管されていたが修復不能な亀裂が生じ解体。

  • キハ82系
特急「ひだ」「南紀」用。定期運用廃止後も波動用として残っていた。

  • 371系
たった1編成のみのレア形式。「あさぎり」として小田急線に直通していた。鋼製の配色が新幹線ベースと東海らしからぬ出で立ちで、車内放送も新幹線と同一の声であった。現在は富士急線で余生を過ごす。

  • 165系
急行型車両として「富士川」や臨時時代の「伊那路」に充当されたほか、飯田線や中央線木曽谷、関西線のローカル運用にも対応していた。

  • キハ28系・キハ58系・キハ65系
快速みえ、急行「かすが」「のりくら」をはじめ、非電化線区に広く就役していた。

  • 113系
国鉄を代表する近郊型電車。晩年はエキスポシャトルの増発分も担った。

  • 115系
御殿場線や身延線が中心。
身延色のリバイバルで本当にぶどうの色になった伝説が語り継がれている。

  • 117系
私鉄対抗策として投入。JR発足後も快速系統を中心に活躍したが313系の落成でその座を追われる。以後はラッシュ時や県境越えを主とした。
引退が近づいたにもかかわらず、観光列車に抜擢され最後まで営業した編成がある。

  • 119系
飯田線御用達。元は閑散線区で駅間距離が比較的短いことから路線の性格に合った105系を使用する予定であったが、山岳地帯や長距離運転が必然的に伴うことから諸条件を加味した上で新形式が与えられた。元が通勤型なのになぜか近郊型区分
なお、国鉄末期に数本が東海道線静岡地区の増発分に回されたが、高速走行に耐えられず間もなく撤収していた経緯を持つ。

  • 123系
その使命を全うし余剰になった荷物車や郵便車を旅客向けに改造し、身延線の主力であった。元が元なので単行であり、また在籍期間も短かった。
実は民営化以降に改造された編成も存在する。

  • キハ40系・キハ47系・キハ48系
重い、遅い、非力に定評のある当系列群もカミンズエンジンを授けられ、長きにわたり高山線、紀勢線の第一線で働き続けた。キハ11形が入線できない区間はなおさら。逆に名松線では一切姿を見せていなかった。
両開き扉のキハ47系は美濃太田にのみ所属。
キハ11初期車とともにミャンマーへ。

  • 103系
東海では異彩を放つ4扉通勤型電車。沿線(特に高蔵寺)の人口爆発に伴う需要を満たすため東京から調達。しかし4扉とが災いしたのか313系デビューと引き換えに姿を消した。
美濃太田へ行くと今でも見ることができる。

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最終更新:2022年09月03日 11:35

*1 武豊線の電化は東海道本線・中央本線との車両運用共通化によるメリットが電化にかかる工事費用やその後の維持費の支払いを考慮しても大きいからというのがあるようだが。

*2 出典:Wikipedia URL: http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/LineMap_JRcentral_jp.png 日時:2016/01/03 出展者 RailRider

*3 運用範囲が限られているのはドアステップが取り付けられていないため。

*4 東海道本線へ直通する快速ないし区間快速を含む

*5 カミンズ社製。

*6 社内でも分類は曖昧のよう。事実、甲種電気車或いは甲種内燃車のいずれかの免許しか保有していなくとも、所定の講習を受ければ運転可能である。

*7 長年雨ざらしであったために保存状況はお世辞にも良好とはいえない。