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更新日：2025/04/10 Thu 12:40:20
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橋本左内とは、幕末の志士の一人である。
生没年:天保5年3月11日(1834年4月19日)～安政6年10月7日(1859年11月1日)
諱は綱紀。享年26歳。
生涯
福井藩奥外科医・橋本長綱の長男として生まれる。左内は幼少期から学問が大好きで、いわゆる「神童」と呼べるほどの天才であった。7歳で漢籍・詩文と書道を、8歳で漢学を学び、生涯を通じて学問武道に励んだのである。
家は25石5人扶持と決して裕福ではなかったが、父親は息子の学問に対する姿勢を褒め、嘉永2年（1849年）、左内が15歳の時に学費や生活費などの援助を惜しみなく出して大坂の緒方洪庵の私塾・適塾で学ばせ、勉学に励む自慢の息子を応援し続けた。
嘉永5年(1852年)には父親が病気になったため帰藩を余儀なくされ、父の代理として診察を行い、父亡き後は藩医に取り立てられた。
安政元年(1854年)、父親の死から2年が経過して喪も既に明けたので江戸に留学し、蘭学者坪井信良のもとでオランダ語などの「蘭学」を教えられた。教えの呑み込みが早く、なおかつ自身が天才であることを鼻にかけない左内の謙虚な姿勢を気に入られ、信良に蘭方医・杉田成卿を紹介され、杉田のもとで蘭方医学を学んだ。
ほどなくして、水戸藩の学者・藤田東湖や薩摩藩士・
西郷吉之助(隆盛)、小浜藩士・梅田雲浜、熊本藩士・横井小楠らと交流し、現在の情勢について語り合った。
当初左内は江戸で逡巡した人々の中でも最年少の西郷を「現在の情勢についてただ義憤を抱いているだけで、実際に何をなすべきかは考えられていない」とやや批判の目で見ており、西郷も左内を「女のようにひ弱そうだ」と内心ではやや軽んじていたが、語り合ううちに互いに親交を深め、親友となった。
彼らと語り合ううちに、左内は自身がただ荏苒として藩医として口に糊し、列強の進出が迫る中、激動の自国の情勢を指を咥えて見ているに忍びなかったため、側用人・中根雪江に藩政への関与を願い出た。雪江は藩主・松平春嶽に左内の藩政への関与を提言し、春嶽はこれを許可した。左内は春嶽により藩医職を解任され、御書院番に任ぜられた。その後ほどなくして、春嶽の側近に任ぜられた。
翌年の正月には藩校・明道館の教授に任ぜられ、明道館内に洋書習学所(洋学所)と惣武芸稽古所を設置した。こうして、左内は藩政に積極的に関与していった。
13代将軍・
徳川家定亡き後の将軍継嗣問題が持ち上がると、左内は主君の春嶽の「英明な水戸の斉昭殿の子・一橋慶喜様こそ次期将軍にふさわしい」という意見に同調し、「慶喜様を擁立し幕政の改革を図るべし」と強く主張した。幕政の改革の内容とは、薩摩などの雄藩の連合を図った幕藩体制を取り、そのうえで積極的に西欧の先進技術の導入・対外貿易を行うことであった。その一環として、ロシアとの国交樹立が挙げられた、このロシアとの国交樹立案は、日本の安全保障を見据えたものであった。
しかし、ここから左内の人生に暗雲が立ち込めてくる。
安政5年(1858年)、大老・井伊直弼の手により
安政の大獄が始まったのである。主君・松平春嶽は井伊の政敵(井伊直弼は次期将軍候補に紀州の徳川慶福(家茂)を推挙していた)ということで隠居・謹慎を命ぜられた。前述のように、この将軍継嗣問題には左内も積極的に関与していたため、左内も取り調べを受けた。
この時左内は「将軍継嗣問題に関与したのは殿の命を遂行したまでで、慶喜様が将軍に就任されることこそが幕政の改善につながると考えたからです」と正直に諮問に回答したが、それが取り調べに当たった幕府の高官の心証を害していた。
当時は、よしんば主君の命を受けていたとしても、あくまでも「私一人の考えです」と
主君をかばうことが武家社会、ひいては朱子学上の美徳とされていたためである。
これがもとで、当初は『
遠島』の判決が下される予定であったが、急遽『
斬首』に変更となった。
安政6年10月7日(1859年11月1日)、左内は伝馬町牢屋敷で斬首された。斬首された当日、左内は立ち会い人から
「死ぬ前に何か言い残すことはないか？」と問われ、
「何もありません。しかし、心を落ち着かせたいので少し待ってください」と呟いたのち、目から大粒の涙を流し、細く肩を震わせて一切の声も出さず泣いた。刑場で泣いた左内を謗る者は誰もおらず、皆左内の心情に黙って共感した。それは、主君に絶対の忠誠を誓い、藩のために働くことを無上の喜びとしていたこの若い侍の心情を理解していたからである。
そうして、「では、お願いします」と従容たる態度で斬首された。享年26歳。
逸話
- 前述のように、左内は幼少期から学問好きで、「神童」の域に入っていた。また、自身の才能をひけらかすようなことはせず、学友が激論を交わす中、自身は黙して話をじっと聞いていたという。
15歳の折には、『啓発録』を表し、生涯の指針としていた。
以下に、『啓発録』の5か条を引用する。
一、去稚心(子供じみた甘えた考えは捨てる)
一、振気(他人に負けないという気概を持つ)
一、立志(一度決めたことには最後まで取り組む)
一、勉学(優れた人のふるまい方を学び、自分でもそれを実行する。また、自身の才能をひけらかさない)
一、択交友(自分にとって良い友人か悪い友人かをよく見極める)
- 幼少期、藩校で左内に勉強の才能があることを不快に思っていた悪ガキから「医者の息子のくせに」といじめられていた。ある日、その悪ガキが腕の傷を見せびらかし、
「医者の子ならこの傷を治してみろ」といったところ、左内は少し考えてから、火鉢からかんかんに熱くなった火箸を持ってきて悪ガキの腕の傷に当てようとした。
藩校の先生がその様子を聞きつけ、「なんでそんな危ないことをするんだ」と左内を叱ったが、左内は「私は切り傷の治し方はわかりませんが、やけどの治し方は父から教わっていますから」と平然と答え、周りを呆然とさせたという。
追記・修正はそれまでの身分から転向したうえでお願いします。
- 左内の、というか一橋派の間違いは将軍の後継者争いで決定権を将軍家定が持っているのに、その家定の悪口を率先して発言しているのが主君の松平慶永。イモ公方とか下等生物とか好き勝手言いたい放題。相手が人間だと言う事を忘れている。家定が慶福と慶喜を比べた時、後ろにいる人間を比べて、悪口しか言わない慶永と悪口を言わない井伊では後者の方がマシなんだよね。慶永は田安家の出身だから徳川宗家の家督を継ぐ資格はある。俺が将軍ならなぁって感じで家定の行動に口を挟むから家定はイヤなんだよ。左内なら家定に慶喜を気に入らせるプレゼン作れそうだけどな。井伊側は長野主膳がプレゼン作るの上手いから家定が慶福を気にいったもの。 -- 名無しさん (2024-07-09 05:43:46)
- 安政の大獄は家定の意向じゃないかな。島津斉彬も含めて一橋派はあなたは無能で不能だと言っているに等しいからね。あと、橋本左内も朱子学の美徳は知っていたとは思うが、最後まで主君の主張を弁護したかったんだと思う。つまり殿は幕府の利益を考えてしたんですと。家定は申し訳ないが将軍に相応しくなかったし、井伊直弼もここの判決に口を挟むのが大老の仕事ではなかったがね。あと、家定は自分より男前だから慶喜を嫌ってて大奥が慶喜の親父嫌ってたから多分家定があんな引きこもりがちなあたり慶喜を気にいるのは無理だ。 -- 名無しさん (2024-08-19 04:16:38)
最終更新：2025年04月10日 12:40
