ぐわんげ

登録日:2024/10/19 Sat 08:20:18
更新日:2024/12/29 Sun 08:08:38
所要時間:約 7 分で読めます






室町時代、東方の呪術師は山から聞こえてくる
狐とおぼしき声で日々の漁を占っていた。


「コーンコーン」と鳴けば大漁であると、



ぐゎんげぐゎんげであれば不吉であると…。




ぐわんげとは1999年に稼働開始した陸戦型弾幕系縦スクロールシューティング。
開発はケイブ、販売元はアトラス。


【物語】

時は室町末期、場所は東の国。
まだ自然を敬い、妖怪を信じ、夜の闇を恐れていた頃
人は怪しげな能力を身につけていた。

その能力とは、「式神」という神を己の中に棲まわし、
それを意のままに操るというもので、
式神使いは多くの者に恐れられた。

だが、式神使いには恐ろしき伝えがあった。
その伝えとは、「己の体に式を宿した日から数え一年で
その者は神に命を吸われるであろう」というものだった。

しかしその伝えには続きがあった。
「その一年の内に木火土金水それぞれの方角、
それぞれの季節に習った地所を訪れ、
神々を倒し呪符を集め、そして黄泉への扉を開いて
そこにそびえる獄門山の神を討てば
呪いから解き放たれるであろう」と…

己の体を犠牲に力を授ける諸刃の剣、式神。
飲み込まれるも、利用するも、それを使う者次第。
そして今、三人の式神使いが試練に挑もうとしていた。
それぞれの想いを胸に秘め…。

【作風】

架空の室町時代を舞台としており、パワーアップ表現も日本語&更には点数表示を漢数字に&ゲームオーバーを『夢の終わり』と表現&終了後のネームエントリーもいろは形式と徹底的に和風表現にこだわっている。

【システム】

操作は1レバー2~3ボタン。 8方向レバーで自機の移動、そして「式神の移動」を行う。
ESP Ra.De.と異なり主人公たちは地上を徒歩で移動するため壁や建物で区切られた場所には移動不可能なうえにステージ構築物の一部壁には通常ショットは阻まれてしまうのでそちらの向こう側に存在する敵には式神の攻撃を使用する必要がある。
基本は縦スクロールシューティング風に前に進むが、徒歩な為か横や後ろに進むシチュも多く、更には主人公たちは前にしかショットを打てないが式神は全方位に展開できるためか、全方向から雑魚が押し寄せる場面もちらほら存在する。

本ゲームは被弾時の処理が少々特殊で、画面下側に三つに分割された体力ゲージが表示される。式神を未展開時は敵弾に触れると1メモリ分減少してミスになりパワーが初期状態になりパワーアップアイテムをばらまく(設定次第では4分の1メモリ減少する)が、展開中は4分の1メモリ減少し(設定によっては16分の1メモリ減少)となりダメージが蓄積するまではミスにならずショットのダメージも落ちない。
また、後述の通りこの手の弾幕シューティングとしては珍しく回復アイテムが結構出る。

Aボタン:ショット/式神
短押し(ゆるい速度での連打) 攻撃範囲に優れるショットを発射する。
ボタンを長押しすると「式神」が出現。式神本体で敵に触れている間はショットの代わりに大ダメージを与える爆弾を連続投下。さらに式神と重なった敵弾は遅くなる。
また、展開中は上記の通り打たれ強くなる。
そして式神と敵弾が重なっている時に爆弾で敵を倒すと、式神周辺の敵弾を消す事が可能。しかも式神でアイテムを回収する事も出来るのでとても便利…なのだが、
式神を動かしている間は、自機の移動速度が低速になり、左右移動しか出来なくなる。式神の扱いに慣れないと苦戦を強いられるので注意。

Bボタン:八相弾
本作のボム。直線上に火炎を放つ。
ボタンを押し続けながらレバーの左右入力で火炎を曲げる事が出来る。

Cボタン:オートショット
押し続けるだけでショットを連射できる。
筐体によっては無かったりする。

【アイテム】

  • 角樽
和風の酒樽。
取ると本体のショットがパワーアップ。7個取ると最強状態になる。

  • 菩薩像
取ると式神の火力がパワーアップ。4個取ると最強状態になる。

  • 宝玉
八相弾のストックが一つ増える。
最大五個まで温存可能。

  • 串団子
体力を半ゲージ分回復させる。
ただし、メモリを越えて回復はしない。
結構出てくる。

  • 山積み団子
体力を1ゲージ分回復させる。
これは、メモリを越えて回復する。但し初期体力を超えることはない。
つまり既にミスしている時は一種の1UP。その分出る数は少なめだが、ゲームを通して複数個は出る。

  • 餅飾り
体力を最大まで回復させる。
最終面で登場するレアアイテム。というか他シューティングではまずない

お約束的な得点アイテム。ショットで敵を倒したり、式神で弾を消したりすると出てくる。
またコンボ数と、式神攻撃で貯まるドクロゲージがどちらも十分に溜まっていれば、ショットを撃ち込むだけで小銭がジャラジャラ出てくる。
本作は敵を倒すことそのものではなくこれを取ることがコンボに絡んでくる。


【キャラクター】

  • シシン
「フンゥゥ…ハァッ!」
身長=六尺三寸(192cm)
年齢=30歳
性別=男

人を襲いその肉を喰う恐ろしき者。
式神によって与えられる苦痛が、彼に狂気を与え人肉を喰らわせている。
言葉を話せず、理解者もいない。そして村人達に「」と呼ばれ恐れられている。
昔、彼に娘がいたと言う者もいるが定かではない。
ショットは前方集中型だがレバーを倒した方向に若干傾く。

  • 力王(りきおう)
「シシンよ…人だ、人の肉を喰え!さすればワシが貴様に永遠の命をやろう。」
年齢=500歳以上
性別=男

シシンの式神で、「人肉鬼」とも呼ばれる冥界の鬼。
人を喰う事を糧とし、シシンの口を通してそれを得ている。
シシンに苦痛を与える事で無理矢理人肉を喰わせている。


  • 柊 小雨(ひいらぎ こさめ)
「参ります!」
身長=四尺七寸(142cm)
年齢=17歳
性別=女

鬼討ちの家に生まれ、巫女としての教育を受ける。
自然や動物を慈しむ性格から、自らの式神と心を通じさせる事ができた。
父の言いつけの下、式神を消す旅に出たが、心を通わせた式神の事を思い、苦悩する。
ショットは前方集中型。移動速度が最も速い。

  • 八飛車(やつひしゃ)
年齢=200歳以上
性別=両性

小雨の式神。妖怪最高地位に存在するといわれる九尾の狐が産んだ子。
産まれたときから尾が一本足らず、八尾だったため、人にとり憑く式神に成り下がってしまった。
妖怪の世界で蔑まされたことから、気が小さく優しい妖怪に育ち、小雨を心から慕うようになる。
そしてこの旅の終わりに自分の死を見据えながらも小雨の命を守る為に戦う。


  • 賀茂 源助(かもの げんすけ)
「いざ、出立!」
身長=五尺一寸(155cm)
年齢=15歳
性別=男

薬剤師の修行中、山寺で祟りを受け狂暴な式神を宿してしまう。
自由奔放かつ気まぐれな性格で、式神が憑いてからはその束縛に不満を持つ。
狂暴な式神を宿しても、罪人にならずに済む生き方を探し、賞金稼ぎとなった。
表面上は愛想をふりまいているが、腹の底では式神を消す事ばかり考えている。
ショットは広範囲型で地形を貫通するが威力は最も弱い。

  • 麒麟丸(きりんまる)
年齢=300歳以上
性別=男

源助の式神、種族は天狗。狂暴極まりない性格で人を殺さずにはいられない。
有力な陰陽師として名高い源助の父に恨みを持ち、やがては賀茂家を滅ぼそうと目論んでいる。
根が単純なせいか、源助の腹のうちに気づいていない。


【ステージ】

全6ステージ、1周エンド。
作中では、「異界録」という名で呼ばれる。

  • 異界録其ノ一 「夜叉桜」
陰陽道、木火土金水、木の示すところの東の地、季節は春。
導きによりたどり着いた主人公の前に曽根塚の屋敷あり。
導きが示す呪符の持ち主は、己が血族の仇をとらんと
身分を偽り屋敷に忍び込む妖しげな踊り子なり。
名は藤村静彦(ふじむらしずひこ)、人にして人にあらず。
恐ろしき仰天の術を操り屋敷での殺戮をはかりけり。
桜を血に染め、悲鳴が響きわたる中、主人公は静彦と対峙する。
古今東西例を見ぬ式神と妖術の対決と相成った。

ボス:藤村静彦
「己のが不運を呪うがよい!」
身長=五尺八寸(175cm)
年齢=24歳
性別=
本名、藤原元彦。滅ぼされた藤原家の無念を晴らすため、邪鬼に心を売り鬼神の力を授かった。
そして男である事を隠し名も偽り、仇である曽根塚の家を滅ぼす算段で、その屋敷に踊り子として忍び込む。
従える舞華どもは、忠実な僕であると同時に邪鬼の監視役でもあり、「静彦が元の人間の生活に憧れようものなら、いつでも静彦を殺すように」と邪鬼から命じられている。



  • 異界録其ノ二「七夕村」
陰陽道、木火土金水、火の示すところの南の地、季節は夏。
導きによりたどり着いた主人公の前に斑山(まだらやま)あり。
そのふもとにある七夕村を訪れるが村人の行方、いずこへと知れず。
その村、七夕の夕べに山から神が短冊を詠みに降りて来るとされ
長老は一日中家を出ぬ事を掟とし、皆その決まりを守る者なり。
されど呪符の持ち主を示す導きは斑山の神を指す。
主人公は止める村人をよそに斑山へと向かう事となる。

ボス:班蜈蚣(まだらむかで)
斑山の神の正体。多節の胴体から多くの鬼面邪を繰り出して攻撃してくる。

  • 異界録其ノ三「妖猫譚」
陰陽道、木火土金水、土の示すところの中央の地、季節は夏の土用(どよう)。
主人公がたどり着いた先にさびれた山寺あり。
その山寺、化け猫の住処として名を知られ今や訪れる者は皆無なり。
主人公は導きに従い寺を目指すが未だかつて土用の夜に寺を訪れ
生きて戻った者もこれまた皆無なり。
呪符を持つ者が待つからこそゆえおもむく事とあいなったが、
かのような事実、初めてこの地を訪れる主人公達に知る由も無し。

ボス:猫蜘蛛(ねこぐも)
文字通りの化け猫だが、正確には巨大な蜘蛛に猫の顔面がくっついたようなやつ。目つきが厳つい。
マンガ「おとぎ奉り」にもゲスト出演。

  • 異界録其ノ四「獣神楽」
陰陽道、木火土金水、金の示すところの西の地、季節は秋。
導きによりたどり着くは産目神社(うぶめじんじゃ)なり。
産目神社に伝わりし歌に「行きはよいよい帰りは怖い」というくだりあり。
それは参拝者が邪念をもって願い事を唱えてしまった帰り道、
怒った御社に喰われてしまうという教訓まがいの御伽(おとぎ)と伝わるが、
現に主人公の前に現れたるはまさしく獣の如き社なり。
導きによる呪符の持ち主もこの社を指したり。

ボス:獣社(けものやしろ)
重武装したお城に車輪の付いたとでも言うべき巨大戦車。今作におけるIKDの趣味ボス枠。
ただしダメージを与えて前面を破壊すると、単眼の鬼が顔を表す。

  • 異界録其ノ五「白鳳城」
陰陽道、木火土金水、いよいよ最後となる水の示すところの北の地。
季節は冬。関東全域を支配する足利領の城に訪れる。
その城、あまりにも美しく地元の民から白鳳城(はくほうじょう)と呼ばれ親しまれるが、
実はこの城の城主、悪しき邪鬼によって取って代わられたが事実闇の中へと伏せられるに至り。
呪符の持ち主を示す導きはその天守閣を指し、主人公共、
城主である足利凄氏(あしかがすごうじ)の影に不気味な邪鬼の存在を知る。
そこで主人公、天守閣の城主目指し幕府に対して謀反をおこす。
只々、真実を見極めるが故の行いなり。

ボス:足利凄氏
身長=五尺三寸(約160cm)
年齢=38歳
性別=男
室町幕府を築いた足利尊氏の子孫。
しかし生まれるとき父親のわからぬ子であったため
「この子は猿神から呪いを受け身ごもった子」と呼ばれ
足利の家系に属しながらも山寺に修験者として隠された。
凄氏をひきとった僧正が他界する直前、そのいきさつを凄氏に語ったところ、
怒り狂った凄氏は刀を抜いて城に攻め込み、猿神の化身かの如く次々と城守を倒し、たった一人で城を攻め落とした。

なお、凄氏に取り憑いている猿神は「魔魏羅(まぎら)」と呼ばれ、
怒りによって我を失った凄氏の精神は魔魏羅に支配されていた。
凄氏の攻め落とした城は、名を白鳳城と改め幕府に属するひとつの大名として地方に君臨する事となるが、
その城下は魔魏羅の従える異界の者たちによって守られている。

ちなみに藤村静彦に妖力を授けたのもこいつ。

  • 異界録其ノ六「獄門山」
魔魏羅を倒し、五つの呪符を揃えた主人公の前に
獄門山へと通ずる異界の扉、遂にその姿を現す。
先に広がるは亡者や獄卒(ごくそつ)の悲鳴と怒号が響きわたる
まさにこの世と思えぬ地獄なり。
この山に巣くう式神の主を倒すため、
最後の戦いの火蓋が切られる。その勝利の道筋、困難を極めるは至極なり。





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最終更新:2024年12月29日 08:08