登録日:2024/12/04 Wed 21:53:09
更新日:2024/12/09 Mon 10:11:26
所要時間:約 10 分で読めます
Sid Meier's Civilization Ⅴとは、ターン制シミュレーションゲーム『
Sid Meier's Civilization』シリーズのナンバリング第5作目である。
開発元はFiraxis Games、パブリッシャーは2K Games(Win版)。プラットフォームはWin、Mac、Linux。
▽概要
プレイヤーは文明の指導者となり、紀元前4000年から文明を発展させていく。
建物を建設し、都市を発展させ、技術を研究し、文化を発達させながら、国力を高めて最終的な勝利を目指す。
AIの担当する文明も登場するが、これらの文明とは必ずしも敵対しているわけではない。最終的な勝利を争うライバルではあるものの、ゲーム中は時に手を取り合い、時に争い、ある時は裏切る、そんな存在である。
なお、登場する文明や指導者、ユニット、技術、宗教(!)等は現実の地球のものが用いられているものの、歴史の知識は無くてもプレイ可能。マップは基本的にランダム生成され、登場する文明も毎回異なり、技術の進展速度や開発順も現実世界と異なることがほとんど。とは言え食料を確保しやすい土地だと都市が発展しやすく、沿岸の都市は交易が行いやすいなど、歴史の知識があると趣を感じられるような作りになっている。
▽勝利条件
勝利条件は複数ありいずれかの条件を満たした時点で勝利となる。勝利条件ごとに求められる要素が異なり、科学力や経済力など、一芸のみに特化した文明でも達成が可能となっている。
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勝利条件の詳細 |
全ての文明の最初に建てられた都市を保有することで勝利となる。
他国の首都を平和的な手段で手に入れることは出来ないため必然的に戦争で奪うこととなる。
アポロ計画を完成させた後、宇宙船を完成させると勝利する。
ほぼすべてのテクノロジーを研究する必要があるため、第一に科学力が求められる。宇宙船は複数のパーツが必要になりコストも結構高いため最低限の生産力も必要。
自文明の観光力による影響力が他のすべての文明の文化力を上回ることで勝利となる。
傑作芸術や世界遺産を揃え、社会制度や建造物で観光力を増幅することが求められるため内政寄りの勝利条件。とは言え他国との国境は開放しておきたいし攻められたら元も子もないため外交もおろそかにはできない。あるいは軍事力を生かして他国から傑作芸術や世界遺産を奪うこともできるため達成方法が幅広い勝利条件となっている。
国際連合の設立後、一定ターンごとに行われる世界の指導者を選ぶ決議において必要な票数を獲得すると達成。当然外交力が求められる勝利条件……ではなく実態は経済勝利と言って良い。国連投票では都市国家の票が重要となるため如何に多くの都市国家と同盟関係になれるかがカギになる。ところが都市国家に対する影響力はゴールドを貢ぐことでいくらでもあげられるため、結局のところ金が一番重要な勝利条件となっている。
規定ターン数が経過しても他の勝利条件を満たした文明がいない場合、スコアが最も高い文明が勝利となる。規定ターンが経過する前にAIが他の勝利条件を満たすためこの条件で決着がつくことはまれ。
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▽文明・指導者
全てのDLCと拡張パックを入れた場合、登場する文明・指導者は43に上る。もちろん我らが日本も登場しており、指導者は織田信長。アメリカやイギリス、ドイツ、フランスといった現存している国からアッシリアやバビロニア、ローマ、ヴェネツィアなど一時代を築いたものの滅んでしまった文明まで幅広く登場している。
これらの文明は固有の建造物やユニットが合計2与えられており、指導者もそれぞれ固有の指導者特性を持っているため、文明ごとに取り得る戦略が大きく異なる。
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文明・指導者一覧 |
アメリカ/ワシントン
アラビア/ハールーン・アッラシード
アステカ/モンテスマ
中国/武則天
エジプト/ラムセス2世
イギリス/エリザベス
フランス/ナポレオン
ドイツ/ビスマルク
ギリシャ/アレクサンドロス
インド/ガンジー
イロコイ/ハイアワサ
日本/織田信長
オスマントルコ/スレイマン
ペルシア/ダレイオス1世
ローマ/アウグストゥス
ロシア/エカテリーナ
シャム/ラームカムヘーン
ソンガイ/アスキア
バビロニア/ネブカドネザル2世
デンマーク/ハーラル
インカ/パチャクティ
朝鮮/世宗
モンゴル国/チンギス・カン
ポリネシア/カメハメハ
スペイン/イザベラ
オーストリア/マリア・テレジア
ビザンチン/テオドラ
カルタゴ/ディド
ケルト/ブーディカ
エチオピア/ハイレ・セラシエ
フン/アッティラ
マヤ/パカル
オランダ/ウィリアム
スウェーデン/グスタフ・アドルフ
アッシリア/アッシュールバニパル
ブラジル/ペドロ2世
インドネシア/ガジャ・マダ
モロッコ/アフマド・アル=マンスール
ポーランド/カジミェシュ3世
ポルトガル/マリア1世
ショショーニ族/ポカテッロ
ヴェネツィア/エンリコ・ダンドロ
ズールー族/シャカ
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▽都市国家
プレイヤーと勝利を競い合うAI文明とは別に、勝利を目指さないAI文明として都市国家が登場する。都市を基本的に1つしか持たず、外交関係も簡略化されている。都市国家には各文明からの影響度が設定されており、これが一定の値に達すると友好関係となり、さらに高まると同盟関係となる。友好関係以上の文明には都市国家の種類ごとにボーナスが与えられる。同盟関係になるとボーナスが増加し、さらに戦争の際自動的に参戦してくれる。なお、同盟関係は1つの文明しかなることができない。都市国家と同盟を結ぶと国際会議での投票数が増えるので、外交勝利を目指す場合には特に重要となる。
▽友好宣言と非難声明
本作の外交関係を決定する重要な要素。
前作は宗教や平和志向度によって文明同士の友好・対立関係が自然と構築されていったが、本作では能動的な行動である友好宣言と非難声明が大きな比重を占めている。
友好宣言とはその名の通り、互いの文明が友好であることを宣言する。これは世界に向けたものであり、友好宣言をしている文明に対して戦争を仕掛けると裏切り者であると認識され、すべての文明から大きな外交ペナルティを貰うこととなる。ただし、どちらかの文明が戦争を仕掛けられても他方に参戦義務は無いなど、同盟関係ほど強いものではない。
非難声明は友好宣言とは反対に、特定の文明が非難に値すると世界に向けて宣言する。これは対象の文明から大きな外交ペナルティを貰う行動である。とは言え、宣戦布告には当たらず必ずしも戦争に発展するとは限らない。そしてモンテスマは非難声明を飛ばす暇があったらさっさと戦争を仕掛けてくる。
友好宣言と非難声明はどちらも世界に向けて敵味方をはっきりとさせる行為であり、敵の敵は味方、あるいは敵の味方は敵といった具合に、友好宣言と非難声明の対象となっていない文明との関係も変化する。
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友好宣言と非難声明の具体例 |
- 文明AとBが友好宣言を結んだ。既にBと友好宣言を結んでいるCはAにとって味方の味方でありCにとってのAも同様、AとCの関係も良くなる。
- 文明AとBが互いに非難声明を飛ばし合った。CもBに対して非難声明を飛ばした場合、AとCは互いに敵の敵となり関係が良くなる。
- 文明AとBは友好宣言を結んだ。BはCと互いに非難声明を飛ばし合っており、CにとってAは敵の味方となってしまうためAとCの関係は悪化する。
- 自文明はAとBとそれぞれ友好関係を結んでいる。ところがAとBは関係が悪化し非難声明を互いに出してしまった。自文明はAとBにとって味方であると同時に敵の味方でもあり、友好関係は万全ではなくなる。場合によっては友を選ばなければならなくなるだろう。
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この友好宣言と非難声明が本作の外交の肝であり、これらを駆使することで自文明の味方を増やし、敵を孤立させることが勝利のカギとなる。
▽ヘックスとスタック廃止
前作は四角形のタイルが敷き詰められたマップであったが、本作は六角形のヘックスでマップが構成されている。また、前作は1タイルに何体でもユニットを進入させることができたが、本作では軍事ユニットは基本的に1ヘックスにつき1体となった。そのため、戦争の際は前衛でいかに後衛を守るか、後衛を危険に晒さず攻撃をいかに通すかといったことを考慮しつつユニットを一体一体動かす必要が出てきている。また、都市を建てる際も都市の発展性だけでなく地形的な守りやすさを考慮する必要が出てきており、戦術的な奥深さにつながっている。
▽戦闘
前作ではユニットが1対1で決着がつくまで戦い、基本的にどちらかのユニットが消滅していた。本作では戦闘方式が一般的なSRPGのようになっており、よほど戦闘力に差がない限りダメージを受けるにとどまる。また、前作では一方的に攻撃できるのは空軍のみだったが、本作では陸上ユニットや海上ユニットにも間接攻撃が可能なユニットが登場している。
▽難易度
難易度は八段階に分かれており、最高難易度は創造主。難易度4にあたる皇子がほぼ対等な条件でのゲームとなり、5の国王以上はAIにボーナスが与えられる。最高難易度の創造主は初期のユニットや建築物・ユニットの生産コスト、初期テクノロジーなど、あらゆる面で大きなボーナスが与えられており、攻略は中々に難しくなっている。
前作ではいかに手早く勢力を伸ばして戦争に備えるか、または特殊ユニットで素早く絡め手を使うかと言った感じで、のんびりやってたら低難度でも強い文明に食われる作りだったのに対し、こちらはアップデートの末、都市を1つ作るたびにコストが何もかも上がる、一人で侵略戦争しまくってると他の文明からやべぇ奴扱いされて嫌われる等のシステムが盛り込まれているため、ゲームの作風が一変している。故に低難度ならのんびり遊んで専守防衛プレイしてても、貿易を活用しまくって金を稼ぎ、宗教ボーナスでいろいろとブーストすることで割と勝てたりする。高難度ではそんなこと言ってられないが。
▽MOD
Steamのワークショップに対応しており、ユーザーによって様々なMODが配信されている。新たな文明の追加やシステムの変更・追加、はたまたチート(!)まで。バニラに飽きた人はぜひ覗いてみよう。
▽日本語訳
洋ゲーなので仕方ないが一部の日本語訳にはおかしい部分がある。たいていは問題無いか雰囲気で意味が分かるものの、プレイに支障が出る誤訳もゼロではない。気になったら攻略Wikiか英語の原文を確認しよう。原文がおかしいって?
▽拡張パックとDLC
拡張パックは第一弾のGods and Kingsと第二弾のBrave New Worldが登場している。それぞれ新たな文明と指導者が追加されるほか、ゲームシステムも追加・変更される。DLCはマップや文明・指導者の追加。今からプレイするなら全部入れるのが無難。攻略Wikiなどの情報も基本的にすべて入っている状態を前提に記述されている。
▽購入について
無印版と全ての拡張パック・DLCがまとまったSid Meier's Civilization Ⅴ: CompleteをSteamで購入するのが手っ取り早い。2024年12月現在、セール中なら1400円くらいで買える。
▽その他特徴的な用語など
アステカ文明の指導者。強面で上半身裸の男がドクロのあしらわれた祭壇を背景に登場するため、初見で遭遇した時にはビビる。見た目通りの戦争屋であり隣人になるとなかなかにやっかい。あまりの戦争屋っぷりと見た目からcivilizationシリーズのアイドルとして親しまれている。とは言え本作ではより強烈な個性をもったアッティラが登場してしまったため、やや影が薄くなった。
フン族の指導者。声の大きさに初めて遭遇したプレイヤーは驚かされる。モンテスマを上回る戦争屋ではあるものの、占領した都市を必ず焼き払うというオンリーワンの個性があるため戦争しても国力が伸びない。そのため他文明の足を引っ張りつつ自分も没落していくという本作きっての問題児。なおプレイヤーが担当した場合、UUがどちらも序盤に集中しており高難易度での使い勝手は今一つ。
なお、このように戦闘民族か文明抹殺生物のような文明でありながら、実はこいつも仮面外交と呼ばれるAI特有の戦略を駆使してくる。少し遠く離れた所にいると「君の首都どこ?大使館作っていい?」と聞いてきて、それを受諾しこっちの所在が分かると、プレイヤーの勢力圏に向けてあからさまに都市を伸ばしてきて、最終的には「そなたの領地も私の物になれば最高や」「馬鹿め、騙されたなm9(^Д^)(共通の敵が居ない状態で友好が高かった場合等のセリフ」)でいきなり戦争を吹っ掛けてくるのだ、コワイ
日本の指導者。三本の刀を身に着けている、たまに怪しい日本語を話す、発売前にOba Nobunagaと紹介された等々ネタには事欠かない。指導者特性の「武士道」はユニットがダメージを負っても戦闘力が落ちなくなるというもので、物量を生かして攻めてくるAIが担当するとなかなかに厄介。そしてプレイヤーが担当すると弱い。日本文明は固有の建造物を持たず、固有のユニットが侍とゼロ戦になるなど文明・指導者ともに戦争に特化している。なおゼロ戦は戦闘機の代わりとなるユニットなのだが、戦闘機とは異なり生産や維持に石油が不要。
拡張パックの第2弾で追加されたヴェネツィアの指導者。なんと開拓者を生産できないという強烈な個性を持つ。流石にそれだけでは厳しいため、その代償として交易路の数が他文明の2倍になる。そのため交易路が文明の本体だともっぱらの噂。他の文明とは全く戦略が異なり新鮮なプレイが楽しめ、自分で使う分には中々面白い文明の一つ。一方AIとして登場すると、都市を建てられず領土を拡張しないため周辺の土地を他の文明に献上し、中盤以降戦争屋に滅ぼされ都市と共に貯め込んだ世界遺産を献上するという、アッティラやモンテスマとはベクトルの異なる問題児となる。
インド文明の指導者。初期は頼まれれば普通に戦争し、頼まれなくても隣国に戦争を仕掛けるガンジー2仕様だったが、現在は戦争を依頼されても断り自発的な戦争もしにくい平和的な指導者になっている。ただし核の開発しやすさ・使用しやすさのパラメータがなぜか12となっており、これは全指導者の中でもぶっちぎりのトップ。元ネタは初代civilizationで、ガンジーがゲーム後半に突然攻撃的になり核攻撃を積極的に行うというバグ…もとい都市伝説。
ゲーム序盤に使用可能になるユニット。2ヘックス先まで攻撃可能であり将来的に弩兵へアップグレードできるため中々に使い勝手の良いユニット……というのはどうでもよい話。英語版の表記が「Composite Bowman」であり、直訳は複合弓射手や合成弓射手といったところなのに戦闘弓射手と訳されたことで、誤訳であると話題になった。度々取り上げられたことから「戦闘弓は誤訳だよ」というフレーズがネタになり、攻略wikiの用語集にまで取り上げられてしまった。
追記・修正は時の試練を耐え抜く文明を築き上げてからお願いします。
- ゲームカ◯ログでえらいぼろくそに言われているが、そこまでひどいゲームとは思えない… -- 名無しさん (2024-12-05 22:46:00)
- VとIVのCPUに対する、強いAI(V)とよいAI(IV)という某プレイヤーの言葉はかなり正確な表現してるなと思ったな。それはそれで面白かったよ -- 名無しさん (2024-12-06 15:52:43)
- これ以降のCivシリーズの礎にもなってるシリーズの転換点でもあるのだけど、それだけに「前のと違う」がマイナスに受け取られがちだったのはある。当時、というか4以前のプレイヤーと、今のプレイヤーではだいぶ感想違うはずだよ -- 名無しさん (2024-12-06 22:46:48)
- なにぶん4の廃人が多すぎるからか4は~4が~という評価がかなり多い 普通に過去作とも遜色ない良作なんだけどね -- 名無しさん (2024-12-06 23:05:03)
- 4の煩雑さを削減したがシンプルすぎるって言われても仕方はなかった。今はDLCがあるし -- 名無しさん (2024-12-07 08:58:28)
- 落ち着いてのんびりゲームしたい人には4よりこっちの方が向いてる、都市を無暗に建てまくればコストが増大し、スタックがないから戦争で快進撃を続けるのが難しいし、一方的な侵略戦争しまくれば世界の敵になるし、AIが不利なんだよね最終バージョンは -- 名無しさん (2024-12-07 17:06:39)
- フン族と蛮族を見分ける方法は常に都市を襲ってるかどうかってくらい戦争してる 怖い -- 名無しさん (2024-12-07 20:15:27)
最終更新:2024年12月09日 10:11